プレイレポート
[TGS2023]ノルウェーのベテラン開発者が手掛ける新作アドベンチャー「Dustborn」は,“言葉の暴力”を使いこなす主人公と仲間たちの物語
「Dustborn」の舞台となるのは,非常事態によって複数の国家に分断されてしまった未来のアメリカ。アメコミ調のアートスタイルが目を引く3人称視点のアクションアドベンチャーとなる。カリフォルニア州は巨大IT企業に支配された「パシフィカ」と呼ばれる独立国となっており,シリコンバレーから何かを盗み出した主人公らが,北アメリカ大陸の東へと逃避行するという,ロードムービー風のストーリーが展開される。何かの理由で「Vox」と呼ばれる「言葉」にパワーを宿す超能力者がいるという設定だ。
試遊版は,今年8月に開催されたgamescom 2023で紹介されたものと同じ内容のようだ。主人公のパックスは,言葉を巧みに利用する詐欺師であり,“言葉の暴力”で戦う能力を持っている。今回の試遊版の序盤でも,小さな車の中でお互いが怒鳴り合う仲間に辟易したパックスが,一喝しただけで仲間たちは言葉に詰まってしまうシーンが確認できた。
パックスの相棒であるサイは,自分の言葉を防御に使い,体を硬化させたり重い物を持ち上げたりでき,ヤサ男風のノームは相手に触れながら話しかけることによって,痛みや怒りを取り払う能力がある。リーダー的な立場にあるテオはVox能力は持っていないものの,ハッキングなどテクノロジー関連のスキルで,このチームをまとめている。ほかにも,道中では何人かの仲間がバンドメンバーとして加わってくるようだが,現時点では明らかにされていない。
本作の試遊版を紹介してくれた,Red Thread GamesのCEOであるラグナー・トーンクイスト氏によると,この世界においてはVoxのパワーを利用することは違法とされているそうだ。ゲームのスタート時点ではパックスたち4人組は,プレイヤーも知らないパッケージを盗み出している。つまりプレイヤーは,何が起こっているのか分からないまま,彼らが使う能力に慣れ,そのままストーリーが進行していく趣向になっているというわけだ。
「Dustborn」を開発するRed Thread GamesのCEOであり,クリエイティブ・ディレクターを担うラグナー・トーンクイスト氏。多くのPCゲーマーに愛された「The Longest Journey」シリーズなどを生み出した大ベテランである |
プレイヤーは,ストーリーを通してさまざまなイベントや会話を体験することになるが,その選択によってキャラクターたちの感情が微妙に変化していく。ストーリーは,マルチエンディングではないそうだが,トーンクイスト氏によると1000は超えるであろう。それぞれの感情の分岐があり,お互いの関係も微妙に変化していくという。これらは30ページ相当のデジタルコミックとしてまとめられ,最終的にはQRコードが発行されてほかの人とシェアできるようになるという。新しいストーリー展開を体験するべく,何度もプレイすることになりそうだ。
パックス一味は,パンクバンドとプロモーターに偽装して,大きなバスでパシフィカを出て,アメリカのオレゴン州やユタ州,ネバダ州あたりで警察国家「アメリカ共和国」へと潜入していくことになる。今回の試遊版ではドライブ中にハモったり,警察に強いられる形でパンクロックを披露したりする,リズムゲーム風のミニゲームも体験できた。なお,このミニゲームは失敗してもストーリーに変化はないが,皆で上手くハモることによってお互いの感情が変化を見せるようだ。
ここまでくれば,本作はストーリー重視型のナラティブアドベンチャーに近いことがお分かりいただけただろう。実際に「もしゲームプレイが10時間分(まだその長さは決まっていない)あるとすると,アクションは90分ほどの分量になる」とトーンクイスト氏は語っている。
今回は,サイの妹を訪ねたところで警察部隊が輸送ヘリに乗ってやってくるアクションシーケンスも紹介された。ここでは,金属バットを手にしたパックスが,ロボット警官や後続の機動部隊を粉砕するという,どこかコミック調の肉弾戦が楽しめた。
パックスの能力は,こうしたアクション中にアドレナリンを溜めていき,それがマックスになった時点で発動できる。ロボットたちには効果はないが,人間の警官であれば大声で叫ぶことで相手をなぎ倒す「PUSH」などのスキルも使える。
また,超能力を持つ仲間がバトルに参加してくることもあり,サイはシールドを発生させて身を守ってくれたり,ノームがヒーリングしてくれたりするようなシチュエーションもあるようだ。
また,戦闘自体もミニゲーム化されており,今回のデモでは紹介されなかったものの,ホームランを打つことで警察ヘリを破壊するといった遊びも用意されているとのことだ。
トーンクイスト氏と言えば,ノルウェーの強豪メーカーであるFun Comの古参のメンバーで「The Longest Journey」の生みの親であり,「Anarchy Online」や「The Secret World」などのクリエイティブ・ディレクターとして活躍していた大ベテランだ。2012年には独立してRed Thread Gamesを起業しており,2019年にはサバイバルホラーの「Draugen」をリリースしている。
そんなトーンクイスト氏が率いる開発チームの最新作だけに,「Dustborn」もかなりエッジの利いた“近未来寓話”が楽しめそうだ。今回の試遊版でチラリと公開された北アメリカ大陸のマップでは,コロラド州あたりの中央部が侵入区域地域に指定されており,大きな天変地異が起こったという設定も示唆されていた。
果たして,どのようなストーリーが展開し,どんなオリジナルのコミックブックが出来上がるのだろうか。2024年夏ごろと思われるリリースを心待ちにしておこう。
TGS会場のNetEase Gamesブースでは,日本語化されたムービーが視聴できる |
「Dustborn」公式サイト
東京ゲームショウ2023公式サイト
4Gamer「東京ゲームショウ2023」掲載記事一覧
キーワード
DUSTBORN IS A REGISTERED TRADEMARK OF RED THREAD GAMES AS (C)RED THREAD GAMES AS. ALL RIGHTS RESERVED.
QUANTIC DREAM IS A TRADEMARK OF QUANTIC DREAM. ALL RIGHTS RESERVED.
DUSTBORN IS A REGISTERED TRADEMARK OF RED THREAD GAMES AS (C)RED THREAD GAMES AS. ALL RIGHTS RESERVED.
QUANTIC DREAM IS A TRADEMARK OF QUANTIC DREAM. ALL RIGHTS RESERVED.
DUSTBORN IS A REGISTERED TRADEMARK OF RED THREAD GAMES AS (C)RED THREAD GAMES AS. ALL RIGHTS RESERVED.
QUANTIC DREAM IS A TRADEMARK OF QUANTIC DREAM. ALL RIGHTS RESERVED.
DUSTBORN IS A REGISTERED TRADEMARK OF RED THREAD GAMES AS (C)RED THREAD GAMES AS. ALL RIGHTS RESERVED.
QUANTIC DREAM IS A TRADEMARK OF QUANTIC DREAM. ALL RIGHTS RESERVED.
DUSTBORN IS A REGISTERED TRADEMARK OF RED THREAD GAMES AS (C)RED THREAD GAMES AS. ALL RIGHTS RESERVED.
QUANTIC DREAM IS A TRADEMARK OF QUANTIC DREAM. ALL RIGHTS RESERVED.