インタビュー
[TGS2022]“シャドウズ オブ ローズ”ではローズの成長が描かれる――「バイオハザード ヴィレッジ ゴールドエディション」開発者インタビュー
本作は,「バイオハザード ヴィレッジ」(PC / PS5 / Xbox Series X / PS4 / Xbox One)と,「シャドウズ オブ ローズ」と「サードパーソンモード」,「ザ・マーセナリーズ アディショナルオーダーズ」という3つの追加コンテンツを収録した特別版である。今回はその追加コンテンツについてアレコレ聞けたので,その内容を紹介しよう。
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。はじめに新シナリオのシャドウズ オブ ローズについて伺います。イーサンの娘であるローズが主人公の物語を作ることになった経緯を聞かせてください。
木下研人氏(以下,木下氏):
シャドウズ オブ ローズの制作が決定したのは,ヴィレッジ本編が発売してからのことでした。発売前から追加コンテンツを制作することは決まっていたのですが,どういった内容にするかは決まっていなかったんです。
そういったなかで,ヴィレッジを遊んでくれたユーザーからいろいろな反響が届きまして,とくに印象的だったのが「ストーリーに感動した」といった意見でした。DLCについてはいくつも構想があったのですが,ユーザーの期待にもっとも応えられるものを選んだ結果,ローズのシナリオが選ばれたわけです。
4Gamer:
ゴールドエディションには,ゲーム本編に加えて,3つの追加コンテンツが含まれるとのことで,かなりのボリュームになりそうです。
川田将央氏(以下,川田氏):
基本的に開発者って臆病なんですよ(笑)。シナリオだけだと物足りないんじゃないか。サードパーソンモードだけでも満足してもらえないんじゃないか。やっぱりある程度のボリュームが必要だなと。内容が決まるまでのほうが大変で,内容が決まってからはある程度スムーズに開発が……。
木下氏:
いやいや,決まってからも大変でしたよ(笑)。
4Gamer:
先ほどシャドウズ オブ ローズの序盤と思われるシーンを遊ばせていただきましたが,デュークのような人物が悪者になっているし,クリーチャーも不気味でしたし,話の展開も分からないしで,ヴィレッジの奇妙な夢を見ているような感覚に陥りました。
木下氏:
そうだとしたら狙い通りかもしれません。ローズはイーサンから忌まわしい力を受け継いでいて,それが原因でふつうの女の子のように生活できていないんです。ローズがふつうの女の子になるために,その力を捨てるというのが本作の大まかなストーリーラインになっています。
4Gamer:
なるほど。
木下氏:
菌根の記憶の一部に潜り込むことで,その力を捨てられると知ったローズは“意識の世界”に飛び込むことを決意します。だから先ほどおっしゃられた,奇妙な夢というのは言いえて妙だと思います。プレイヤーには,よく分からない状況を楽しんでもらいつつ,遊んでいただきたいですね。
4Gamer:
現実の世界はそこまで過酷ではないですが,現実の少年少女も,なんらかのトラウマだったり悩みだったりを乗り越えて大人になっていくような気がします。ローズの成長が描かれる作品ということなんでしょうか。
木下氏:
シャドウズ オブ ローズでは,ローズの“心の成長”が描かれるというとピッタリかもしれません。親と別れ,孤独な人生を歩んでいたローズが,意識の世界でいろいろな困難を乗り越え,能力を広げながら,心を成長させていく。そして最後に大きな結末にたどり着く。そんなストーリーが展開されます。
4Gamer:
エンディングまでのボリュームはどれくらいなんでしょうか。
木下氏:
おおよそで4時間ほどです。その4時間でプレイヤーが満足できるように,すべて詰め込んでいますので,楽しみにしていてください。
4Gamer:
プレイする中で,ローズに協力してくれる男の子の声が聞こえてきました。彼はいったい何者なのでしょうか。
川田氏:
いま話せる範囲で紹介すると,名前はマイケルです。ほかは今後のお楽しみということで(笑)。
木下氏:
シャドウズ オブ ローズは,ウィンターズ家における最後のエピソードになっています。「バイオハザード7」で描かれたイーサンの物語,ヴィレッジでのイーサンの物語,そしてイーサンが守り抜いた娘の物語と続いており,その流れもあって,DLCのセット名を「ウィンターズ エクスパンション」と名付けました。
4Gamer:
プレイした範囲では,シャドウズ オブ ローズば,かなりホラー寄りという印象を受けました。ヴィレッジはどちらかと言えば,エンターテインメント寄りの作品に感じましたが,話が進んでいくと印象は変わっていくのでしょうか。
木下氏:
テーマが「悪夢」なのでホラー寄りではあります。また,ヴィレッジがエンターテインメント寄りというのはその通りです。シャドウズ オブ ローズは,ヴィレッジとは異なるホラー体験ができるようになっています。
4Gamer:
クリーチャーもローズの顔面から生気を吸い取る化け物で,かなり気持ち悪さを感じました。
木下氏:
あのクリーチャーは沼から湧き出て,ローズをつけ狙います。いろいろな疑問が浮かぶクリーチャーですが,その答えは結末でキチンと明かされます。
4Gamer:
プレイしていると,動かしているローズとは違うローズがそのクリーチャーに襲われていました。それらの謎も最後までに解き明かされるのでしょうか。
木下氏:
すべての答えは分かるようになっています。
4Gamer:
武器商人のデュークに似た男性もマスクを被って登場していました。あれは本当にデュークなんでしょうか。
木下氏:
菌根の記憶で作られたいびつな世界に入り込んだという話なので,菌根の記憶にデュークが記録されているんです。それが違う形――あの世界のシンボルとして,ローズを狙う存在になっているといったイメージです。
4Gamer:
冒頭の部分がプレイできなかったので,デュークがボスなのかと勘違いしていました(笑)。
木下氏:
別人だということは強調しておきます。もともとデューク本人もすごく腹黒キャラではあるんですが(笑)。
4Gamer:
では,新たなプレイモードであるサードパーソンモードの導入経緯を教えてください。
川田氏:
率直に申し上げると,ユーザーからの要望が多かったからです。「ヴィレッジをサードパーソンで遊びたい」というユーザーの声が多く,それであれば遊べるように作っちゃおうと。
4Gamer:
そんな気軽に作れてしまうものなんでしょうか。
川田氏:
いえ,正直やるものではないなと思いました(笑)。「カメラの視点を変えるだけでしょ?」って思うかもしれませんが,ありとあらゆるものを変更しなければいけなくて,新しくゲームを作るくらいの感覚でした。
木下氏:
カメラを引くことによって,ファーストパーソンの視点で見えなかったところまで見えてしまうので,そこの品質が一番の問題でした。ファーストパーソンで動かさなくてよかった部分がサードパーソンだと動かさないといけない,といったことも多かったですね。ヴィレッジのアクション要素が多かったのも苦労した要因の1つです。
4Gamer:
そういえばファーストパーソンでは,当然イーサンの顔は見えませんが,サードパーソンでも見えないんでしょうか。
木下氏:
徹底して顔は見えないように作ってはいます。ただもしかすると見えてしまうシーンがあるかもしれません。
4Gamer:
サードパーソンモードの実装を求める声が多かったとのことですが,これはバイオハザード7のときからも多かったのでしょうか。
川田氏:
バイオハザード7でも,要望はかなり届いていましたが,実装には至りませんでした。
4Gamer:
エクストラゲームの「ザ・マーセナリーズ」も,アディショナル オーダーズとして拡張されるとのことですが,どういった要素がパワーアップしているのでしょうか。
木下氏:
一番分かりやすく目玉と言えるのが,プレイアブルキャラクターとしてクリスとハイゼンベルク,ドミトレスクの3人が追加となったことです。これまでザ・マーセナリーズを遊んだことがない人が,ハイゼンベルクやドミトレスクを動かせるなら,プレイしてみたい! と思っていただけると大変うれしいですね。
4Gamer:
追加キャラクターは,完全に一から作成しなおしたのでしょうか。
木下氏:
使えるリソースに関しては流用していますが,キャラクターごとのアクションや,遊びの流れについては一から構築しなおしています。たとえば,クリスであれば銃と体術を使って戦うんですが,戦っているうちに闘志が上がっていき,アクションのパフォーマンスが向上します。これらのゲームシステムについては本編になかったものになります。
4Gamer:
クリスの戦い方はなんとなく想像がつくんですが,ドミトレスクやハイゼンベルクはどのような戦闘スタイルになっているのでしょうか。
木下氏:
ドミトレスクは,両手の爪による攻撃が基本のアクションです。敵を攻撃していくにつれて,だんだんとドミトレスクのテンションが上がっていき,本編にもあった印象的なシーンの攻撃アクションが使えるようになります。
4Gamer:
印象的なシーンと言いますと?
木下氏:
衣装台をぶん投げたり,娘たちを呼び出して攻撃を加えたりとかですね。見た目にも豪快な攻撃を使えるようになります。
4Gamer:
衣装台を投げつけるのは面白いですね。投げつける衣装台は突然虚空から出現するのでしょうか。
木下氏:
画面外から突然現れます(笑)。
川田氏:
細かいことはいいんですよ(笑)。
木下氏:
一方,ハイゼンベルクは,磁力とハンマーを使ったアクションが基本的なものになります。磁力はワンボタンで切り替えられるようになっていて,すばやい敵を磁力で捉えてぶん殴るといったように,攻略においてかなり役立ちます。
4Gamer:
イーサン,クリス,ハイゼンベルク,ドミトレスクと4人それぞれ違う遊びが楽しめると。
木下氏:
その通りです。また,ヴィレッジ発売後からもう少しテンポよく敵を倒したいという要望が多く,敵の出現するタイミングや行動パターンにも手を入れています。
4Gamer:
アディショナル オーダーズでは,このほかにも「Bloody Village」と「Bloody River」という2つの追加ステージが用意されるとのことですが,こちらはどのようなステージになっているのでしょうか。
木下氏:
ステージの詳細については,今後の発表をお待ちください。話せる範囲ですと,追加ステージは,初期のザ・マーセナリーズで使われていなかったところを中心に作っています。敵のサイズも調整していて,すごく小さいライカンが出現します。
4Gamer:
今後の発表とのことですが,どこかのタイミングで大きな情報番組を配信するといった予定はありますか。
川田氏:
ちょうど発表したばかりですが,10月にバイオハザードシリーズの最新情報をお届けする「バイオハザード・ショーケース」を配信します。日程についてはまだ確定していませんが,楽しみにしていてください。
[TGS2022]「バイオハザード RE:4」,PlayStation 4での発売決定。10月に“バイオハザード・ショーケース”を配信することも明らかに
カプコンは,2022年9月15日に配信した同社のタイトルを紹介する番組「TGS2022 CAPCOM ONLINE PROGRAM」で,2023年3月24日に発売予定の「バイオハザード RE:4」をPlayStation 4に向けても発売すると発表した。また,10月にはデジタルイベント「バイオハザード・ショーケース」の配信を予定している。
4Gamer:
最後にゴールドエディションの発売を楽しみにしているファンや読者にメッセージをお願いします。
木下氏:
想定よりもボリュームがあり,時間は掛かってしまいましたが,3つのコンテンツを楽しめる豪華DLCとなっています。また,同タイミングで「バイオハザード RE:バース」も実装されますので,みなさんにぜひ遊んでいただければと思います。
川田氏:
ヴィレッジをすでに遊ばれている方はもちろん,まだ遊んだことがない人にとっての入り口にもなる作品だと考えています。これを機会に遊んでみてください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「バイオハザード ヴィレッジ ゴールドエディション」公式サイト
4Gamerの東京ゲームショウ2022特設ページ
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