任天堂が2020年7月17日に発売を予定しているSwitch用ソフト「
ペーパーマリオ オリガミキング」の
プレイレポートをお届けしよう。
紙のように薄い“ペラペラ”のマリオが初登場した
「マリオストーリー」からおよそ20年。独自の発展を続けてきた
「ペーパーマリオ」シリーズ最新作となる本作は,新機能によるアクションと謎解き,パズル要素のあるバトル,そして奥深い物語が魅力的な,幅広い年齢層が楽しめる作品に仕上がっていた。
楽しいだけじゃない,苦みやコクもある物語
“伸び〜る腕”や紙っぺらを使った新アクションも面白い
今回の物語は,
マリオと
ルイージが「オリガミまつり」の招待状を受け取ったところから始まる。お祭りを楽しむため,さっそく兄弟でキノピオタウンに向かうが,街は祭りの準備でキレイに飾られているものの,人っ子,いやキノピオっ子ひとりいない,もぬけの殻。ピーチ城では
ピーチ姫が待っていたが,なにやら普段とは違う“パキパキ”した雰囲気だ。一体何があったのか……。
ルイージの愛車でやって来たものの,なにやら様子がおかしい
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言っていることもだいぶ怖い……。はたして本当のピーチ姫なのだろうか
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城に仕掛けられたワナにかかり,捕まってしまったマリオは,同じく囚われの身となっていたオリガミの女の子・
オリビアと出会い,一緒にピーチ城から脱出することに。その途中,変わり果てた姿(?)で捕まっている
クッパと再会。どうやら,ペラペラなこの世界の住人は,パキパキと折られてオリガミ兵にされてしまうようで,クッパは中途半端に折られた状態だったようだ。
なんとも間抜け……ではなく,気の毒な姿になっても部下思いなクッパ
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この謎めいた事態を引き起こしていたのは,オリビアの兄である
オリー王だった。彼はオリガミの王を名乗り,この世界をオリガミたちの国「オリガミ王国」に作り変えようとしているらしい。
5色の紙テープに絡め取られ,ピーチ姫もろとも運ばれてしまうピーチ城。このままではペラペラな住人たちは,すべてカクカクパキパキのオリガミに変えられてしまう。オリー王の野望を阻むために,マリオとオリビアは5色の紙テープをたどる冒険を始めるのだった。
プレイヤーはマリオを操作し,オリー王とオリガミ兵によって危機に陥った世界を冒険することになる。キノピオたちがオリガミ兵のせいで困っていたり,普段なら使える交通手段が封鎖されていたり,世界を司る力を持つカミガミまでもがオリガミにされていたりと,行く先々でさまざまな問題と直面する。それらを解決しながら,マリオとオリビアの旅が続いていくわけだ。
「ペーパーマリオ」シリーズは,近作ではアドベンチャー要素が強かったが,本作のゲーム展開や物語は
“ムービーたっぷりなストーリー主導型のRPG”といった雰囲気だ。もちろんペラペラのマリオならではのアクションを活かした謎解きなどのアドベンチャー要素もしっかりあり,RPGもアドベンチャーも両方たっぷり楽しめるのが魅力となっている。
各所に挿入されるムービーも見応えあり
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独特の楽しさを生んでいるのが,
「カミの手」による感覚的な操作を使った謎解きや
「カミッペラ」を使った世界の修復だろう。
カミの手は,魔法陣のある場所で発動できる特殊なアクションだ。コントローラのボタンとジャイロを使って
“長く伸び〜る腕”を操作し,その場にあるものを掴んでめくったり,切り取ったり,ガンガン叩いたりできる。道の先に進めないときや何か怪しいものを見つけたときは,掴めるものがないか,よく探してみよう。
カミッペラでの世界の修復は,各所にあるほころび「スカスカ穴」を,アクションの名前にもなっている紙っぺら(紙切れ)をまいて修復するというもので,道を作ったり,機械を修復して使えるようにしたりと,できることは幅広い。カラフルなカミッペラをばらまくアクション自体も爽快だ。
また,旅の途中のあちこちでは,
オリガミにされたキノピオを見かけることがある。道に咲いている花やフライパンの上の目玉焼きなど,風景に溶けこんでいる彼らを探し,見つけたらハンマーでたたいて元に戻してあげよう。キノピオたちはバトルで応援に加わってくれるので,旅路の心強い仲間となるだろう。
ちょっとしたヒントを頼りにアイテムを探したり,マップをしっかり探索して隠れた道を見つけるといった,RPGやアドベンチャーの定番と言える遊びの要素も用意されている。簡単すぎず難しすぎずというほどよい塩梅で,時間を忘れて没頭できそうだ。
キノピオたちのセリフも味わい深い。セリフの文字まで折られかけているなど,細かい部分にもこだわりを感じる
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地形の裏側に思わぬルートがあることも
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冒険の舞台は,森や洞窟,紅葉の山にススキ野原,水の神殿,和風のテーマパーク,劇場など,バラエティに富んでいる。物語の冒頭はちょっとホラーテイストではあるものの,舞台が変わればムードも変わり,ユーモアあるエピソードが楽しめる。
随所に仕込まれたシュールな笑いや,毒っ気(?)のあるテキストも本作の大きな魅力のひとつ。「ペーパーマリオ」シリーズのファンはもちろん,初めてシリーズ作品に触れるという人も大いに期待してほしいポイントだ。
さらに注目してほしいのが,長い旅のあちこちで待っている,さまざまなキャラクターたちとの出会いと別れ。彼ら一人ひとりが背負う物語もなかなか味わい深く,かなりグッとくるものがある。笑える話にしんみりくる話。そのどちらも魅力的な本作の物語を満喫してほしい。
ボムへいが旅の仲間に。彼は自分の名前しか覚えてないというが……
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もちろん「スーパーマリオ」シリーズとして,コイン集めも欠かせない要素となっている。物語を進める際やアイテムの購入,バトルなど多くの場面で使うことになるが,さまざまな場面でたくさん手に入るので,ザクザク集めてガンガン使うといった景気のいい楽しみ方ができるだろう。
 見晴しの良い高台にある望遠鏡。使用するにはコインが必要だが,コインが溜まりやすいため気にせず使えるはず |
 便利なアイテムやアクセサリーはそれなりに高価だが,コインはたくさん手に入るので気楽に購入しても問題ないだろう |
和風のテーマパーク「OEDOランド」への入場に必要な入国手形(チケット)は,「町人」と「お大名」でかなりの価格差がある。ちょっと迷うところだが,思い切ってお大名コースを買ってみてはいかがだろうか
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ちょっとクセあり? しかし理解すると楽しくなるパズル要素のあるバトル
いままでの「ペーパーマリオ」シリーズ作品との大きな違いは,
パズル要素のあるバトルシステムだ。過去シリーズ作品の基本的なルールを踏まえつつも,だいぶ様変わりしたものとなっている。
攻撃前にパズルのように敵を整列させることが重要となっており,並べ方によってバトルの展開が大きく変わるのだ。
ブルーにハイライトされている列を時計回りに回すと敵が1列になる。上手に並べたら攻撃開始だ
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バトルは円状のステージになっており,床が同心円状に4列,放射状に12列に区切られている。これを回転させたりスライドさせることで床の上の敵を動かし,時間内に規定の操作回数で整列させていく。攻撃範囲内により多くの敵を並べると,相手をまとめて攻撃できるだけではなく,与えるダメージも増加するのだ。
武器は大きく分けて,ハンマーとブーツの2種類。ハンマーは近くに並べた敵をまとめて叩き,ブーツは1列に並べた敵を連続して踏みつける。敵の数や並びを見て床を動かし,より多くの敵を攻撃できる武器を選ぼう
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上手に整列させて効果的に攻撃できると,反撃を受けることなく一方的に勝つことも可能で,さらに戦闘後に得られるコインにも大量のボーナスが付く。とはいえ,パズルがうまくいかなければ戦闘に勝てないわけではない。強力な武器を装備して大ダメージを狙ったり,ファイアフラワーやPOWブロックなどのアイテムを使ったりといった“RPG的”な解決手段もちゃんと用意されているのだ。
有名RPGシリーズの召喚獣(?)のようにカミの力を呼び出して,敵全体に大ダメージを与えることも可能だ
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コインを使うことで,パズルの制限時間の延長や,キノピオの応援による攻撃も。パズルで迷ったときや手強い敵との戦いの際に活用しよう
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攻撃の際にタイミングよくボタンを押すと与えるダメージがアップするという,シリーズおなじみの要素は健在。同様に「トゲの生えた敵はハンマーかアイアンブーツで攻撃する」や「空を飛んでいる敵にはハンマーが当たらないので踏みつける」といった,シリーズ独自の属性バトルも変わらず楽しめる。
ボス戦では,バトルの仕組みがガラリと変化する。敵が乗っている床を動かすのではなく,矢印のマスを使ってマリオ自身を移動させ,攻撃のマスや魔法陣のマスに導くというもので,パズル自体はそこまで難しくないが,ボスの倒し方に気づかないと苦戦するという印象だ。
ステージの仕組み,敵の身体の秘密や行動などをよく見て考え,強敵に勝利しよう
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特殊なバトルシステムなだけにちょとクセがあり,初めての人はもちろんシリーズファンも少々戸惑うかと思うが,しっかり把握できればかなり楽しくなる。「コツが掴めない」「どうしても勝てない敵がいる」という場合は,バトルの練習ができる
「バトル研究所」や戦闘中の
ヒント機能を活用するといいだろう。
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バトル研究所のパズルドリルで戦い方を覚えよう |
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ちょっとした会話風にバトルのヒントが? パズルに迷ったら,ヒント機能を使ってじっくり考えよう |
謎解きが楽しいアクションとアドベンチャー要素に,これまでにないパズルのようなバトルシステム,そして“ペラペラ”な世界とキャラクターに新たな魅力として加わったオリガミの独特なビジュアル。かなりゴージャスな内容となっている「ペーパーマリオ オリガミキング」は,初めての人にもシリーズファンにも新鮮な楽しみを与えてくれるだろう。
そして,さまざまな“問いかけ”が含まれている物語は,アドベンチャーやRPGが好きな人にとってたまらないものがあるはず。物語を深読みしたり,考察したりするのが好きな人にもオススメの作品だ。