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「塊魂」の高橋慶太氏が新作「Crankin's Time Travel Adventure」をリリースする,クランク付きの携帯ゲーム機「Playdate」とは
このイベントは,Panicが2020年内の発売を予定している「Playdate」の試遊会。14,15日には兵庫・神戸市のKITSUNE BOOK&ARTでも開催された。
「Playdate」は,アメリカ・オレゴンに本社を置くPanicが2020年の発売を予定している携帯ゲーム機だ。PanicはmacOS向けの開発ツール「Coda」や音楽プレイヤー「Audion」などで知られるソフトウェアデベロッパで,2016年にゲームのパブリッシング事業を開始しており,日本法人のパニック・ジャパンから「Firewatch」(PC / Mac / PlayStation 4 / Nintendo Switch)や「Untitled Goose Game 〜いたずらガチョウがやって来た!〜」(PC / Nintendo Switch / Xbox One / PS4)の日本語版が発売されたりもしている。
PanicはiOSアプリなども開発しているので,ゲームを展開するならばアプリでもいいのではないか……と思ったりはするが,ゲームの原体験的なDパッドやボタンでの操作を求めた結果,アプリではなくゲーム機の開発という選択に行き着いたのだという。そんな「Playdate」はディスプレイにシャープ製のモノクロ液晶を採用しており,基板にはWi-Fi,
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とくに筐体の設計で目を引くのが,向かって右側に据えられたクランクだ。これは,開発をサポートしているTeenage EngineeringのJesper Kouthoofd氏が発案したものであるとのこと。Teenage Engineeringはシンセサイザーを制作している会社なのだが,それに用いられているロータリースイッチなどの知見が反映されているという。
このゲーム機に向けた,「塊魂」や「Wattam」などをデザインした高橋慶太氏による新作タイトルが「Crankin's Time Travel Adventure」だ。ゲームの内容は,ぜんまいロボット(?)の主人公を操作して,デートの予定をしている恋人のものに向かうというもの。
高橋氏はクランクというデバイスをいたく気に入ったらしく,本作で使用するのはクランクのみ。クランクを右回転させれば“主人公の時間”が先に進み,左回転させれば前に戻る(回転させなければ空中であろうと静止する)。道中には蝶や鳥,イノシシなど,接触するとミスになる多彩な妨害者が登場するので,それを主人公の「花に触れると屈む」「鉄棒に触れるとぶら下がる」といったアクションでかわしていく。
ゲームのジャンルで分類するならばアクションアドベンチャーになるだろうが,パズル感覚で回避方法を探っていくゲームプレイは,なかなか前例が思い当たらない,新鮮味のあるものだ。どれだけのギミックやステージ数が実装されるのかは不明だが,完成が楽しみなタイトルである。
「Playdate」自体について述べれば,ディスプレイは視野角が広いうえ残像などがなく,クランクの回し心地も良いので,必要十分といったところ。クランク状のインタフェースは,急いで回した時に手の圧力が軸方向に向いて,何かに引っかかったような状態が起きがちだが,「Playdate」のクランクは軸が滑らかに回転するため,試遊の範囲内では発生しなかった。ハード的・スペック的に,どれだけ激しいアクションゲームに対応できるかは不明だが,基本的な触感は上々だ。
「Playdate」のゲーム提供は,購入時に1本がプリインストールされているのを始めとして,発売日以降の毎週月曜日に新作を配信する形で全12本の展開が予定されている。シーズン2としての継続や,ポータルおよびアプリストアなどの開設は,展望としては考えているものの反響次第だという。このように,今のところ探り探りな「Playdate」なのだが,予想よりも大きな反響が寄せられており,初期モデルを開発者向けに先行発売することが12月20日に発表されている。ゲームの開発にはCおよびLuaが利用可能で,macOS向けのシミュレータやデバッガも提供されるとのことだ。
「Playdate」公式サイト
- 関連タイトル:
Playdate
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(C) 2019 Panic