
インタビュー
「オーバーウォッチ 2」,新常設モード「スタジアム」はアップグレードや3人称視点など新要素満載。ディレクターたちに開発理由を聞いた
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スタジアムは,4本先取のラウンド制で,ラウンドごとに得られるコインを用いてヒーローをアップグレードしていくモードだ。ヒーローの能力を限界まで引き出し,これまでにない激しい戦いを体験できる。
迫力のある戦況を理解しやすいように,3人称視点を採用し,ヒーローは途中で変更不可となっている。
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[インタビュー]「オーバーウォッチ 2」ラウンド制や3人称視点を採用した新モード「スタジアム」は,ヒーローを限界突破させ,相性不利を覆す
![[インタビュー]「オーバーウォッチ 2」ラウンド制や3人称視点を採用した新モード「スタジアム」は,ヒーローを限界突破させ,相性不利を覆す](/games/484/G048450/20250218002/TN/001.jpg)
Blizzard Entertainmentは2025年2月13日,「オーバーウォッチ 2」大規模アップデートを紹介する番組「オーバーウォッチ 2:スポットライト」で,新モード「スタジアム」を発表した。ラウンド制や3人称視点を採用した経緯などを,スタジアムの開発リーダーとアートディレクターに教えてもらった。
「オーバーウォッチ 2」,TPS視点で戦うシーズン16の新ゲームモード“スタジアム”の詳細が発表に

Blizzard Entertainmentは本日(2025年4月15日),同社が運営する対戦FPS「オーバーウォッチ 2」のシーズン16で追加予定の新ゲームモード「スタジアム」の詳細を発表した。スタジアムは,5人からなる2つのチームがBO7(4本先取)方式のマルチラウンドで戦うTPS視点の対戦モードだ。
スタジアムは,2月に開催された特別番組「オーバーウォッチ 2:スポットライト」で初公開され,注目を集めた。約1週間後に本実装を控えたこのモードについて,ディレクターのAaron Keller氏や,ゲームデザイナーのDylan Snyder氏,レベルデザイナーのRyan Smith氏へ国内メディア合同で行ったインタビューを掲載する。
スタジアムはクイック,ライバルに続くコアモードに
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――スタジアム発表からしばらく経ちますが,プレイヤーからの反応はいかがでしょうか。
Aaron Keller氏:
プレイヤーやコミュニティからの反応は,ポジティブなものがすごく多く,新モードに対して期待を寄せてくれました。とくにクローズドαテストで実際にプレイしてもらった時のフィードバックは良く,多彩なアップグレードや,自分なりのビルドを組めることに興味を示してくれました。
――スタジアムを企画した背景を教えてください。
Aaron Keller氏:
スタジアムのアイデアは,オーバーウォッチ 2のローンチ前,つまり約2年半前からあたためていたものです。革新的で大胆なモードが必要だ,と考えたのがきっかけです。
また,クイックプレイやライバルプレイとは独立した形でも成立するモードにしたいという意図もありました。本格的な開発は1年半くらい前にスタートし,さまざまな試行錯誤を繰り返しましたが「ヒーローのカスタマイズ」というのは当初から変わらないコアな部分です。
オーバーウォッチは長年運営されてきた中で,ある程度答えが見えているゲームという印象もありました。そこで,スタジアムでは,プレイヤーがテンプレではなく,状況に応じた選択ができる柔軟性を増やしたかったのです。
私は好きなのですが,通常のモードでは15分間動きっぱなしということもあるのに対し,スタジアムは試合中に息抜きできる時間も意図的に設けています。
また,ヒーローのやれることを広げ,従来のコアモードとは異なるゲーム体験を楽しめます。Blizzardのほかのゲームを例にあげると,「ハースストーン」の「バトルグラウンド」のような,メインモードとは別の大黒柱として機能するモードにしたいと考えています。
――ずばり,スタジアムで勝つためのカギは何でしょうか。
Aaron Keller氏:
試合ごとに適切なアップグレードを選ぶのが勝利のカギです。従来のヒーローやマップなど,ゲームシステムは踏襲している部分もあるので,これまでの知識はある程度活かせますが,スタジアム専用のアップグレードシステムが加わります。
自分の強み,味方/相手チームの構成や動きなど,戦略的にビルドを組み上げるのが,勝利への近道となります。
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――従来のモードには6v6も追加されていますが,そこにスタジアムがさらに加わります。プレイヤー数の分散についてはどう考えていますか。
Aaron Keller氏:
スタジアムの導入で,新規プレイヤーや復帰プレイヤーが増えることを期待しています。実際のところは,ローンチするまでわからないので,開発陣もプレイヤーの動向に興味を持っています。
クイックプレイやライバルプレイに並ぶ,第3の柱として,プレイヤー数増加の相乗効果を生んでほしいですね。
――新規プレイヤーには,既存モードを遊んでからスタジアムに入ってもらいたいですか。それとも,いきなりスタジアムから始めても問題ないでしょうか。
Aaron Keller氏:
新規プレイヤーでも,いきなりスタジアムから始めて大丈夫です。スタジアムのローンチ時は,ヒーロー数を17人に絞っているので,いきなり40人近くを覚える必要はなく,負担が少ないと思います。
ヒーローが使えるアビリティは増えましたが,そこはテンプレートのようなビルドを2種類用意しているので,一番最初のハードルを下げられていると思います。
慣れてきたら,ちょっとずつ自分でカスタマイズしていき,最終的には状況に合わせて,完全にカスタマイズしたビルドを組めるようになるでしょう。
――スタジアムが人気になった場合,メインモードになる可能性はありますか。
Aaron Keller氏:
スタジアムが大人気になるのは,もちろん大歓迎です。さまざまな要素を気に入ってくれると思って開発を進めているので,大きく育てばいいなと思っています。
一方で,クイックプレイやライバルプレイのサポートを削ることはありません。既存プレイヤーには安心してゲームを楽しんでほしいです。
――スタジアムはなぜ試合中にヒーローを変更できないのでしょうか。今後,変更できるようになる可能性はありますか。
Aaron Keller氏:
ヒーロー変更については,スタジアム開発中に内部で何度も議論を行いました。変更不可という結論に達したのは,各プレイヤーが自分のヒーローに最適なビルドを作る,という体験を妨げなくないからです。
例えば,ゲンジはアップグレードでビームも跳ね返せるようになります。相手がザリアだからと,このアップグレードを行ったのに,相手がヒーローを変更したら,アップグレードの意味がなくなってしまいます。
ただし,ヒーローを柔軟に変更できるのは,オーバーウォッチの大きな核の1つでもあるので,フィードバック次第では再検討の可能性もあります。
また,今後はアップグレードの追加などで,さらに柔軟性を増やし,ヒーロー間の相性不利をビルドで対策しやすくするなど,いろいろな工夫を検討しています。
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――ここ最近はパークやスタジアムと,非常に大きな変化が続いていますが,今後のアップデート方針はいかがでしょうか。
Aaron Keller氏:
プレイヤーの反応から,自分好みにヒーローをカスタマイズできる要素は,需要が大きいと実感しています。プレイヤーの反応が開発陣に自信を付けましたし,開発陣としてはインパクトの強い変更をどんどん入れていきたいと,駆り立てられています。
パークはシーズンごとに調整を加えますし,スタジアム内の新モードなど大きなものも入れるかもしれません。シーズンが進むにつれ,我々がやりたいことが見えてくると思います。
もっとエキサイティングなコンテンツを,もっと早いペースでどんどん追加していきたいです。
新要素満載のスタジアムは,新しいことを試す挑戦場所
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――スタジアム発表から今までの間にさまざまなフィードバックがあったと思いますが,何か変更点はありますか。
Dylan Snyder氏:
スタジアムにおける大きな変更点の1つは,3人称視点のカメラです。スポットライトでの先行プレイやクローズドαテストを通じて多くのフィードバックをもらいました。
それをもとに,3人称視点カメラの操作感を何度も改善し,プレイヤーの期待に応えるものに仕上げられました。また,バランス面でも多くの意見がありましたので,それを反映させ,ローンチに向け,しっかりと調整を行っています。
――スタジアムでは,3人称視点が基本で,1人称視点はオプションになっています。この方式にした理由を教えてください。
Dylan Snyder氏:
もともとオーバーウォッチには,ラインハルトのシールドやジャンクラットのRIPタイヤなど,特定のスキルで3人称視点になるものがありました。なので,3人称視点は完全に新しい要素ではありません。
スタジアムでは,ヒーローごとのアビリティをより大胆に活用できるように設計しているので,常に3人称視点にして,周囲の状況を把握しやすくするのが,ゲーム体験として理にかなっていると判断しました。
Ryan Smith氏:
とくにタンクをプレイすると,3人称視点がすごくマッチしていると感じられるヒーローがいます。
また,スタジアムは私たちにとって,さまざまな新しいことを試す場所だとも思っています。3人称視点はプレイヤーに選択肢を与え,自分の好きなようにプレイして,自分のプレイスタイルを確立できる,その手段の1つだと思っています。
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――既存のゲームルールのマップがスタジアムでも利用されますが,スタジアム用に調整が行われているのでしょうか。
Ryan Smith氏:
はい,それぞれのモードに対して,スタジアム用に調整を加えています。たとえば,コントロールだと拠点確保にかかる時間が短くなっています。プッシュモードだと,チェックポイントの数は同じですが,全体のマップサイズは半分くらいに圧縮されています。クラッシュだと,5拠点から3拠点に減らし,2拠点先取のルールに変更しています。
――スタジアムに追加されるヒーローはいつごろ,誰になる予定でしょうか。また,実装が難しいヒーローがいれば教えてください。
Dylan Snyder氏:
ぜひお話したいのですが,今日はまだ発表できません。ただ,近いうちに情報を出せると思います。
スタジアムは常に新しいコンテンツを提供することが重要だと考えているので,理想としては各シーズンごとに3人程度のヒーローを追加していく予定です。
実装に難しさを感じたのは,マーシーですね。彼女は「ザ・ヒーラー」というか,ヒーラーの代名詞というか,非常に明確な役割とアビリティを持っています。スタジアムでは,彼女の別の一面を見せるということで,非常にやりがいのある楽しい挑戦となりました。
――スタジアムでは,試合フェーズと強化フェーズが明確に分かれています。プレイヤーの選択肢を増やすという観点で,パークシステムとの違いを教えてください。
Dylan Snyder氏:
パークシステムは,オーバーウォッチ本来のテンポや流れを崩さないように注意しました。選択肢を増やすことで,試合ごとに変化を持たせつつも,試合のテンポを止めないことが重要です。
一方,スタジアムは別の目的で作られたモードなので,テンポの維持に縛られる必要はありませんでした。そのため,ゲームプレイ中に一度立ち止まって,状況を整理してから次の戦いに備えるといった,山と谷の構成(ラウンド間には武器庫での強化フェーズがあり,ビルド構築に集中できる)にし,ラウンドごとの戦略性と深みを強くできたと思います。
――ラウンド中のアップグレード操作の使いやすさや情報表示について,チーム内でどのような議論がありましたか。また,ゲームプレイ体験を損なわないように工夫したところを教えてください。
Ryan Smith氏:
これらの点については,現在も議論を続けています。開発中もたびたび変更を加えていますが,UIチームがとても優秀なので,かなり洗練されたものになったと思います。
個人的には,分かりやすさについては親切すぎるくらいにしたいと思っていますが,プレイヤーがテンプレに縛られすぎないようにしたいとも考えています。プレイヤーが戦況に合わせて,自由な試行錯誤ができるよう,それを支援する設計ができたと思います。
――1人称視点と3人称視点で,ヒットボックスの大きさやエイムアシストの挙動に違いはありますか。また,ボタン1つで切り替えられるようにする予定はありますか。
Dylan Snyder氏:
ヒットボックスは1人称視点でも3人称視点でも同じです。これは,スタジアム以前から同じですし,クライアントとサーバー間で常に情報を同期しています。
また,3人称視点特有の,身体の一部だけを出して敵を撃てる,といった優位性をなくすために,弾が通る場所も1人称視点と同じにしています。
3人称視点で,撃てそうだけど実は通らない,という状況では,UIで赤いバツ印を表示することで,弾が当たらないというのを明示し,視点ごとの一貫性を保っています。
――スタジアムでは,各ラウンドでコインを獲得し,アビリティを強化できます。この設計意図や,開発時に苦労したことを教えてください。
Dylan Snyder氏:
通貨システムもかなり試行錯誤を繰り返しました。チームをキャリーする活躍をしたプレイヤーに報いたい一方で,あまり活躍できなかったプレイヤーもヒーローをアップグレード可能な設計にする必要があります。
そこで,活躍している敵プレイヤーを倒すと多くのコインがもらえる賞金首システムや,劣勢チームが逆転しやすくなるように獲得コインにブーストを加えるシステムなどを入れています。
また,プレイスタイルを変更するようなアップグレードは無料の「パワー」として,規定ラウンドごとにアンロックできる仕組みにしています。パフォーマンスに依存せず,戦況に合わせた選択を楽しめます。
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――最後に,日本のファンに向けてメッセージをお願いします。
Dylan Snyder氏:
長い間開発を続けてきたスタジアムを,ようやくみなさんにお届けできるのがとても楽しみです。とくに日本のOWCS(Overwatch Champions Series)の試合を見ていて,日本のコミュニティがどんどん盛り上がっているのを感じています。その中にスタジアムが加わるとあれば,本当に嬉しいです。
Ryan Smith氏:
私はオーバーウォッチというゲームが大好きで,開発に携われていることに誇りを持っています。今回のように,インタビューを通じて,コミュニティのみなさんと対話できることも本当に嬉しく思っています。みなさんに早くスタジアムをプレイしてもらいたいです。
今後もスタジアムに関して,さまざまなことを計画していますので,ぜひ楽しみにしていてください。
「オーバーウォッチ 2」公式サイト
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