［TGS2022］シングルプレイ専用のスペースアクション「EVERSPACE 2」の社長に聞く，日本人ゲーマーにプレイしてほしい理由とは

　ドイツのハンブルクに本拠を置くROCKFISH Gamesが，「東京ゲームショウ2022」のドイツパビリオンに商談スペースを設けて，スペースアクション「EVERSPACE 2」（PC / PS4 / Xbox One）を紹介している。同社の共同設立者兼CEOであるミヒャエル・シャーデ（Michael Schade）氏に，本作についての話を聞いた。

「EVERSPACE 2」公式サイト

　過去2年間にわたってアーリーアクセス版を公開し，その間，いくつものアップデートを繰り返しながら，Steamのファンレビューで「非常に好評」を維持し続けているPC版「EVERSPACE 2」。
　前作のローグライクアクションではなく，宇宙を舞台にしたシングルプレイ専用のアクションRPGに生まれ変わった続編だ。探索アドベンチャーとドッグファイトを柱に，主人公アダムがクルー達と旅をしながら，未確認種族を発見したり，さまざまな謎を解き明かしたり，隠された宝を見つけたりして，「人間らしさとは何か」を追い求めていく物語が描かれる。

ROCKFISH Gamesのミヒャエル・シャーデ氏。女性キャラクターの男性的なセリフについて，今後は日本人が物語を満喫できるよう，翻訳の精度を上げていきたいと語っていた

　9種類のクラスを元に，自分のプレイスタイルや，戦闘や交易などの目的に応じて宇宙船をカスタマイズしていくという，スペースコンバットファンには嬉しい機能を搭載しており，エンジンやシールド，武器，貨物室，各種デバイスから船体の色など，オプションの幅は広い。
　それぞれが独特な環境を持つ8種類の星系を旅して，ミッションやサブクエストをこなしていく。最初の2つの星系だけでも30時間は楽しめるというかなりのコンテンツ量で，「Unreal Engine」によって描かれる宇宙や惑星も美しい。
　シャーデ氏は，新型コロナウイルス感染拡大前の2019年以来，久々の来日になるとのことだ。

4Gamer：
　今年の8月に大型アップデートが行われたばかりですが，そろそろフルリリースの時期も見えてきそうですね。

ミヒャエル・シャーデ（以下，シャーデ）氏：
　ええ。これまでの2年間で5つの大型アップデートと，いくつもの調整を繰り返してきました。これまで，日本を含む多くのファンの皆さんに支持され，高い評価を維持しているので，2023年の早い時期に正式発売できればと思っています。それまでにもう一度，おそらく11月頃に大型アップデートを1つ，リリースしたいのですが，その評価に問題がなければ，予定どおり発売できるんじゃないでしょうか。

4Gamer：
　これまで，良い評判を保ってこられた理由はなんだとお考えですか。

シャーデ氏：
　そうですね，スペースコンバットというジャンルはメジャーではありませんが，熱狂的なファンが多く，そうした人達にしっかりアピールできているんだと思います。とくにシングルプレイ専用で物語を重視した作品は少ないですから，前作からジャンルを変えた本作が，スペースファンタジーを熱望していた皆さんに受け入れられているということでしょう。
　もちろん，このジャンルでは手抜きのできないドッグファイトやカスタマイズ機能を作り込んでいますし，操作がシンプルなので，コアなファンだけでなく，カジュアル層にまで無理なく遊んでもらえているという印象もあります。

4Gamer：
　これまでアーリーアクセス版を公開してきて，ファンに熱望されていることはなんだと思いますか。

シャーデ氏：
　シングルプレイ専用とは正反対のコンセプトになってしまうのですが，やはりマルチプレイモードのサポートですね。自分の作った宇宙船で，仲間達と一緒に冒険したい人は少なくないようです。ですが，そういう要望があることを予想したうえでシングルプレイ専用の「EVERSPACE 2」を制作したわけですので，これは，我々としてもなかなか対処できない部分で……。


4Gamer：
　なるほど。そんな「EVERSPACE 2」のステージには，かなりのシークレットが配置されていると聞きました。

シャーデ氏：
　ええ。プレイヤーの皆さんに，宇宙空間を探索してもらいたいと願っていますから，うっかり見すごしてしまいそうなところにシークレットを配置するといった工夫をしています。たとえあきらめても，しばらくほかの星系でプレイしたあとに戻ってくると，思いがけなく見つかるということもあるかも知れません。

4Gamer：
　現時点で10種類ほどの星系がありますが，それぞれに異なる環境で，なにより美しいですね。「Unreal Engine 5」を使用しているのですか。

シャーデ氏：
　それはよく驚かれるのですが，開発時から利用している「Unreal Engine 4」のままです。本作は，行動範囲が限られたいわゆるセミオープンワールドなのですが，宇宙空間の広大さや太陽から放たれる光の感じ，地表のマッピングなどはうまく表現できているんじゃないでしょうか。

4Gamer：
　開発の規模はどれくらいですか。

シャーデ氏：
　そんなに大きくありません，20人くらいです。ほかの国や地域に住む開発者にアートやサウンドなどを委託していますし，紙芝居風のカットシーンは東欧の映像制作会社に依頼しています。


4Gamer：
　前作にあったVRサポートについてはいかかですか。

シャーデ氏：
　考慮はしましたが，前作で学んだことは「VRゲームの開発は難しい」ということでした（笑）。
　広い宇宙空間に巨大なアステロイドや宇宙ステーションが存在するゲームでは，どうしてもフレームレートが極端に下がることがありますし，3D酔いをコントロールするのが難かしいなど，頭を痛める問題だらけなので，本作では予定していません。

4Gamer：
　日本人ゲーマーは多いのですか。

シャーデ氏：
　私がこうして東京ゲームショウに参加しているのも，日本人ゲーマーはトップ10に入る顧客だからです。それぞれの星系で異なるボスファイトが楽しめますが，とくに日本の皆さんにはラスボスに注目してほしいのです。「あっ！」と驚いてもらえるんじゃないかと思います。

4Gamer：
　お忙しいところ，ありがとうございました。


　ベテランのスペースコンバットファンの中には，「EVERSPACE 2」から，約20年前にリリースされた「Freelancer」を思い浮かべる人も多く，「精神的後継作品」と考えるゲーマーも少なくないようだ。カメラを切り替えて，一人称視点でドッグファイトに興じるも良し，三人称視点でタクティカルだがカジュアルなバトルを楽しむも良しと，高い評価も納得できる作品だろう。
　日本人に注目してほしいラスボスという発言も，大いに気になるところ。Steamのストアページではデモが公開されており，日本語翻訳も改良を続けているという「EVERSPACE 2」のフルリリースに期待したい。

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