SNKが2019年6月27日に発売を予定している
「SAMURAI SPIRITS」(
PS4 /
Xbox One)。本作は,1993年に登場した「SAMURAI SPIRITS(タイトル表記は同一)」を原点とする「サムライスピリッツ」シリーズの最新作だ。
当時の格闘ゲームと言えば,徒手空拳で闘うスタイルが主流となっていた。そこに剣戟格闘ゲームというジャンルを持ち込んだ初代「SAMURAI SPIRITS」は,一撃の破壊力に重きを置いた爽快なゲーム性も相まって,多くのサムスピファンを生み出した。
そんなサムスピファン待望の最新作「SAMURAI SPIRITS」は,シリーズ作品でも人気が高く,今でもコアなファンに遊ばれ続けている「真サムライスピリッツ」をベースにリブートされた作品だという。
本稿では,発売に向けて期待が高まる本作の
開発版を使用したプレイレポートをお届けしていく。システムや読み合いといった対戦部分にフィーチャーした内容となっているので,対人戦をとくに楽しみにしているという人はぜひ目を通してほしい。
一撃必殺! あのサムライスピリッツが再び!
本作の画面は至ってシンプル。画面に表示されているゲージは,「体力ゲージ」と体力が減るたびに蓄積していく「怒りゲージ」の2つだけ。怒りゲージが最大まで溜まることで自動的に発動する怒り頂点は,一定時間攻撃力がアップし,超必殺技にあたる「武器飛ばし必殺技」も使用可能となる。
2つのゲージのみで構成されたシンプルな対戦時のユーザーインターフェイス(UI)。画面内の情報量が少ないため,対戦に集中できる
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対戦時に使用するボタンは,弱斬り,中斬り,強斬り,蹴りの4種類。斬り攻撃には近距離版と遠距離版があり,また,すべてのボタンがダッシュ攻撃にも対応している。キャラごとに細かい特徴もあるが,主な役割は以下の通り。
弱斬り:発生が早いが,リーチは短め。ガードされた際の硬直が少ないため接近戦で多用する。
中斬り:発生がそこそこに早く,かつ全体的にリーチが長いため,中距離からのけん制に使用する。近距離立ち中斬りにはキャンセル可能な技も多い。
強斬り:発生が遅く,硬直も長いが,その分だけ威力は高い。地上でガードされた際は大きく弾かれてしまい,反撃を受けてしまうので注意が必要だ。
蹴り:レバー+蹴りボタンでさまざまな蹴り技をくり出せる。後述する弾き返しに強いため,使い方次第では主力となりえる攻撃だ。
強斬りがカウンターヒットするだけで4割ほどのダメージを与える。まさに一撃必殺の破壊力だ
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また,キャラクターごとにコマンド入力とボタンを組み合わせた必殺技も用意されており,飛び道具や切り返し,けん制など用途はさまざま。また,怒り頂点時にくり出せる武器飛ばし必殺技は,ヒット時に相手の武器を弾き飛ばしつつ,大ダメージを与える。
相手の武器を弾き飛ばす武器飛ばし必殺技。高いダメージに加え,状況も有利になるため,怒り頂点時,または後述する怒り爆発時には積極的に狙っていきたい
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システム理解が勝利につながる。強力な一部システムを紹介
本作はゲーム性がシンプルなため,システムの理解度が勝敗に直結してくる。とくに重要なものをピックアップして紹介していこう。
■システム一覧
避け :弱斬り+中斬り
防御崩し:相手に近づいて
または
+強斬り+蹴り
不意打ち:中斬り+強斬り
見極め :相手の攻撃がヒットする直前にガード
押し返し:立ち状態で見極め成功時に弱斬り+中斬り
弾き返し:

+弱斬り+中斬り
白刃取り:素手状態で

+弱斬り+中斬り
怒り爆発:弱斬り+中斬り+強斬り
武器飛ばし必殺技:怒り頂点時または怒り爆発中に

+中斬り+強斬り
一閃 :怒り爆発中に弱斬り+中斬り+強斬り
秘奥義 :




+強斬り+蹴り
武器外し:
+中斬り+強斬り+蹴り
武器拾い:武器の近くで弱斬り
避け:弱斬り+中斬り
その場で身を翻し相手の攻撃をかわす。無敵時間が短く,硬直も発生するため,相手の攻撃にあわせてピンポイントで避ける必要があるが,うまく活用すれば強斬りや一部必殺技に対して反撃を決められる。
防御崩し:相手に近づいて
または
+強斬り+蹴り
いわゆる投げにあたる防御崩し。崩した後はキャラに応じて,中斬り→必殺技や強斬りにつなげてダメージを与えたい。また,武器飛ばし必殺技が確定するキャラも存在する。崩しの主力となる防御崩しだが,空振りした際は大きな隙を晒してしまうため,狙い所には気をつけたい。
見極め:相手の攻撃がヒットする直前にガード
相手の攻撃を直前ガードすることで,怒りゲージを溜められるシステム。必殺技を見極めた際は削りダメージも無効化されるため,飛び道具に対して見極めを続ると,一方的に有利な状況を生み出せる。見極め成立後の押し返しは,ダメージはないもののダウンを奪えるので,要所での切り返しに使いたい。
弾き返し:

+弱斬り+中斬り
上段判定
※の斬り攻撃を弾く当て身技。けん制の斬り技に合わせて狙っていくが,空振りの硬直が短く,リスクは低め。成功時は相手を一定時間行動不能にでき,その隙に武器飛ばし必殺技や秘奥義などの最大反撃を叩きこめる。また,強斬りを弾き返した際に相手の武器を吹き飛ばす効果があるなど,絶大なリターンにつながるので,このシステムをいかに活用するかが勝負の分かれ目となりそうだ。
※上段判定:立ちガード,しゃがみガードのどちらでもガードできる攻撃
怒り爆発:弱斬り+中斬り+強斬り
試合を通して1回のみ発動できる強化システム。完全無敵かつ相手の攻撃を受けている最中でも発動可能のため,防御崩し後などのガードが出来ない状況でも発動して緊急脱出できる。怒り爆発後は武器飛ばし必殺技(ヒット時は怒り爆発状態が解除),または後述の一閃(一度のみ)を発動できる。
武器飛ばし必殺技:怒り頂点時または怒り爆発中に

+中斬り+強斬り
ヒット時に相手の武器を吹き飛ばす必殺技。武器を吹き飛ばされたキャラクターは素手状態となり,不利な状況を強いられる。キャラクターごとに性能は異なるが,キャラクターによっては防御崩しから連続でヒットするほか,中斬りなどからの連続技に組み込める。当たれば試合の流れを大きく変える一撃となるので,怒り頂点時または怒り爆発中には積極的に狙いたい。
一閃:怒り爆発中に弱斬り+中斬り+強斬り
怒り爆発中にのみ発動可能な最終奥義。完全無敵の突進技が発動し,ヒット時は怒り爆発ゲージ
※に応じた体力を奪う。怒り爆発ゲージは体力が低いほど多くなり,最大ゲージで一閃をヒットさせると8割もの体力を一瞬で奪い去る。こちらが怒り爆発中の場合,相手は必然的にガードを固めがちになるので,強気の不意打ちや防御崩しなどでガードを揺さぶりたい。
※怒り爆発ゲージ:怒り爆発時に怒りゲージから変化するゲージ
秘奥義:




+強斬り+蹴り
試合を通して1回のみくり出せる大技。発生が非常に遅く,無敵時間も存在しないが,ヒット時は体力の6〜7割ほどを奪いさる。ゲージ消費はなく,試合中いつでも発動できるため,弾き返し成功時や相手の防御崩しの硬直に叩きこむことで一瞬で勝負を決めることも可能だ。
強斬りを中心とした3すくみにより独特の緊張感が生まれる
本作のベースとなった真サムライスピリッツは,
「強斬りを当てるゲーム」と言って過言ではないほどに強斬りのリターンが高くなっていた。本作においてもそれは同様で,強斬りをいかにして当てるかという読み合いを中心に,リスクとリターンを考慮した立ち回りが重要になっている。
<攻め側>
立ち回りから強斬りを狙う(リスク大,リターン大)
リーチの長い攻撃でけん制する(リスク中,リターン中)
ダッシュから防御崩しを仕掛ける(リスク大,リターン中)
遠距離から飛び道具でけん制する(リスク小,リターン小)
<受け側>
強斬りをガードして反撃を狙う(リスク小,リターン小)
けん制に対して飛び込みを狙う(リスク中,リターン中)
上段斬りに対して弾き返しを狙う(リスク中,リターン大)
飛び道具を見極めて怒りゲージを溜める(リスク小,リターン小)
ほかの格闘ゲームで見られるジャンプ攻撃での接近行動は,サムスピシリーズ特有のジャンプ軌道の緩さ,ジャンプ攻撃の発生の遅さが影響し,対空攻撃で容易に落とされてしまう。よって両者ともに地上戦での差し合いを強いられるのだが,ここで重要になるのが,
「弾き返し」のシステムだ。
けん制に対して弾き返しをされた場合,強斬り一発で済めばまだ御の字で,武器飛ばし必殺技や秘奥義を当てられるとそれだけで試合が終わりかねない。リーチに甘えた行動を取り過ぎると突然の死が訪れることも
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弾き返しのリターンが尋常ではないため,弾き返し不能技である必殺技でのけん制,下段斬り攻撃,中段の不意打ち,各種蹴りによる攻撃が立ち回りで重要な役割を担う。ただし,これらの細かいけん制は,差し返しの強斬り一発で体力差をひっくり返されてしまう可能性があるため,いずれにしろ安易に動くことができない。
強斬りと弾き返しと弾き返し不能技,この3要素による読み合いがこれまでのシリーズにはなかった独特の緊張感を生み出している。
下段の斬り攻撃や中段技の不意打ちは,弾き返しを狙う相手への対策の1つ。蹴り技も弾き返せないので,蹴りが強いキャラクターは主力技となり得るだろう
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開発版で使用できる7キャラクターを紹介
開発版で使用できた7人のキャラクターを簡単に紹介しよう。当然のことではあるが,開発版なので発売までに仕様変更が入る可能性がある点は留意してほしい。
覇王丸
サムライスピリッツシリーズの顔とも言える,主人公の覇王丸。そしてサムスピの代表技といえば何といっても覇王丸の強斬りだろう。今作ではより一層バッサリ感が増した強斬りに,フェイントも仕掛けられる飛び道具の旋風裂斬,使いやすい無敵技の弧月斬,奇襲効果の高い中段技の烈震斬など,豊富な必殺技がそろっている。安定した戦いが期待できそうだ。
必殺技の酒攻撃は飛び道具を跳ね返す性能がある。うまく使えば遠距離戦でも優勢に立ち回れそうだ
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武器飛ばし必殺技の天覇凄煌斬。相手のジャンプを読んだ対空や防御崩しなどから狙っていきたい
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ナコルル
鷹のママハハと共に戦うサムライスピリッツシリーズを代表するヒロイン。ママハハを高速で突進させるアムベヤトロや,高速突進下段技のアンヌムツベなどリーチの短さを補いつつ,早さを生かした戦い方を得意とする。また「鷹につかまる」や「三角跳び」といった変則的な動きもできるため,的を絞らせずに戦えそうだ。
鷹につかまった後,高速落下攻撃を仕掛けるカムイムツベ。鷹につかまる後の攻撃をキャンセルして発動することもできるので,連続技にも組み込める
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ママハハにつかまりその反動で渾身の一突きを見舞う秘奥義。悲し気なナコルルの表情にも注目したい
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ガルフォード
甲賀流忍術の使い手で相棒のパピィと共闘する。遠距離では稲妻をまとわせたクナイを投げるプラズマブレードが使いやすく,相手の頭上から奇襲を仕掛けるレプリカアタックやパピィによる各種攻撃で優位に立ち回れる。近距離もコマンド投げのストライクヘッズによる崩しが強力で,全体的にバランスのいいキャラクターに仕上がっている。
相手の頭上から落下しつつ攻撃するレプリカアタックは,使うボタンによって,表裏ガードの2択を仕掛けられる。瞬時に見切りづらいので奇襲効果は高い
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ガルフォードの武器飛ばし必殺技はメガプラズマファクター。発生が早く,けん制技や防御崩しからの連続技に組み込みやすい
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牙神幻十郎
覇王丸を憎む人斬りの剣客。荒々しい戦闘スタイルに見えるが,表裏択を迫れる突進技の三連殺,隙の少ない無敵技である光翼刃,コマンド投げの雫刃と,攻守ともに優秀な技がそろっている。下段のしゃがみ中斬りと中段のニュートラル蹴りで二択を仕掛けてガードをこじ開けよう。
無敵技かつ横へのリーチも長く着地硬直も少ない,と非の打ち所がない性能の光翼刃
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武器飛ばし必殺技は五光斬。発生の早さを生かして,対空や防御崩しから狙いたい
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シャルロット
レイピアを扱う女性剣士のシャルロット。ホールド可能な飛び道具であるトライスラッシュやリーチが長く使いやすいバイオネットラージュによるけん制が強く,近距離戦では低いジャンプ軌道を生かしたジャンプ強斬りによる被せが強力。切り返しのパワーグラデーションも頼れる無敵技で,開発版ではイチオシのキャラクターだ。
画面半分以上のリーチを誇るバイオネットラージュ。相手に飛ばれると危険なため,パワーグラデーションによる対空を意識させておくことが重要だ
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秘奥義のラ・ダンス・ドゥ・ラ・ローズはリーチが短く発生も遅いため使いづらい印象を受けるが,相手の防御崩しをジャンプでかわした際に当てられる。ジャンプ軌道の低さを生かした,シャルロットならではの最大反撃だ
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柳生十兵衛
二刀流を扱う幕府の隠密剣士。驚異的なリーチを誇る立ち中斬りを持ち,これを軸に中間距離で立ち回る動きが強力だ。また,優秀な飛び道具の水月刀などに加え,扱いやすい通常技が一通りそろっているのもポイント。ただし,対空攻撃に若干の難があるため,いかに相手の飛びを対処するかが勝利のカギとなりそうだ。
心眼刀は,相手の斬撃を受け止めて反撃を叩きこめる。斬り攻撃はジャンプ攻撃でも下段攻撃でも適切なボタンを入力すれば反撃できるので,一点読みを通して強烈な一撃をお見舞いしよう
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十兵衛の武器飛ばし必殺技である絶・水月刀は巨大な水柱を発生させる。発生は遅いが多段技のため削りダメージが高く,ガード中に動いた相手にもヒットする
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アースクェイク
鎖鎌を持った巨漢の忍者という,一度見たら忘れられない風貌のアースクェイク。動きこそ遅いものの,鎖鎌を使った各種強斬りはリーチが長く,ジャンプの頂点で出しても相手に当てられる。また,一見すると飛び道具に弱そうに見えるが,相手の頭上から落下しつつ攻撃するファットレプリカアタックで対応が可能だ。
ファットバウンドはボタンの強弱で跳ねる回数が変化する。判定も強く,対処が難しいので飛び込みの選択肢として使っていこう
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秘奥義のアースクライシスは自らが炎のコマとなって空中で相手を巻き込みつつ火車にする豪快な必殺技。弾き返しから必殺の一撃を狙いたい
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温故知新。シリーズ伝統のテクニックを紹介
本作には過去シリーズにあったテクニックの一部が変わらず搭載されている。対戦に役立つテクニックが多いため,チェックして,対戦に活用していこう。
空振りキャンセル
通常技の空振り時にキャンセルして必殺技や弾き返しをくり出すテクニック。フェイント効果も高いので空振りと見せかけて必殺技で反撃を刈り取るといった使い方も可能だ。
強力な弾き返しも空振りキャンセルが可能だ。攻撃の空振りの隙を狙う相手に決めよう
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ジャンプ強斬り深め当て
本作はジャンプ攻撃ヒット時ののけぞりが短いため,地上攻撃がつながりにくい。連続技を狙う場合,ジャンプ強斬りを着地際に出し,そのまま発生の早い地上攻撃や必殺技につなごう
深めにジャンプ強斬りを当てることで次の地上技を連続ヒットさせられる。飛び道具や強斬りの隙に飛び込むことができた際には狙いたいテクニックだ
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目押しジャンプ
サムライスピリッツシリーズにはジャンプの着地硬直が存在するが,この着地硬直中に再度タイミングよくジャンプを入力することで,着地硬直をキャンセルしてジャンプができる。目押しジャンプ(目ジャンプとも呼ばれる)と呼ばれるこのテクニックは,攻め継続や空対空などを行うときに重宝する。
シリーズ伝統のテクニックである目押しジャンプ。着地硬直をキャンセルして,立て続けに攻められるのでジャンプの低いシャルロットで使うと非常に強力だ
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弾かれキャンセル
中斬りや強斬りがガードされた際に一定時間行動不能となる弾かれモーションが発生するが,この弾かれモーションは必殺技や弾き返しでキャンセル可能となっている。わざと隙をさらして,相手の反撃を刈り取るという動きが可能で,これにより弾かれたあとに何もしないという読み合いが発生することも。
強斬りガード後に立ち中斬りなどで反撃をしてきた相手には,キャンセル無敵技や弾き返しで読みあいを仕掛けたい
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新時代のサムライスピリッツを体験せよ
11年振りのシリーズ最新作ということで美麗グラフィックスに生まれ変わった本作だが,一撃必殺の大ダメージ,容赦なく飛び散る血飛沫,硬派すぎる無骨なゲーム性はまさしく古き良き「サムライスピリッツ」シリーズを継承している。
また,できる限り簡略化された対戦時のUIや読み合いが分かりやすいシステムなど,格闘ゲーム初心者が対戦を楽しめるまでにかかる時間やハードルは低めになっており,誰でもカジュアルに遊べるタイトルに進化している。
これから徐々にイベントでのプレイアブル出展なども行われ,露出が増えていく本作。ほかのタイトルでは味わえない緊張感とテクニックの先にある真剣勝負の世界にぜひ一度触れてみてほしい。