インタビュー
「特別上映版『あんさんぶるスターズ!!-Road to Show!!』」インタビュー。森久保祥太郎さん,伊藤マサミさんに共演やアフレコの感想を聞いた
Happy Elementsがおくるスマホアプリ「あんさんぶるスターズ!!」(以下,「あんスタ!!」)の完全新作アニメーションとなる「特別上映版『あんさんぶるスターズ!!-Road to Show!!』」が,2022年3月4日より全国の映画館で公開予定だ。本作には,「あんスタ!!」に登場するアイドルから10名がメインキャラクターとして登場し,新たな物語を繰り広げる。今回4Gamerでは,劇中で活躍するアイドル,遊木 真役の森久保祥太郎さんと,瀬名 泉役の伊藤マサミさんにインタビューする機会を得た。お二人の「あんスタ!!」や真と泉への想い,収録エピソードなどをお送りしよう。
スタイリスト:小田優士 (Creative GUILD)
ヘアメイク:<森久保祥太郎>矢崎麻衣
<伊藤マサミ>茂木美緒
※以下の内容には,メディア合同と個別のインタビューが含まれています
「自分の息子のような存在の真くんの名前が,台本の一番最初にあって驚いたがうれしかった」(森久保さん)
――2015年に「あんスタ」がスタートして7年目となりましたが,2022年現在,どのようなお気持ちでしょうか。
瀬名 泉役・伊藤マサミさん(以下,伊藤さん):
「あんスタ!」が始まった最初のころは,泉はまだ高校3年生になったばかりでした。普通の高校生ならその後の進路を考えたりしますけど,夢ノ咲学院のアイドル科はアイドルになるための特別コースなので,泉としては,卒業したらアイドルしか道がない。というくらいに考えていたと思うんですよね。
もちろん結果的にはどんな道を選ぼうとも学生生活の意味はあると思うのですが,きっとそういう認識で入学し,卒業して芸能界に進んだ彼がしっかりと自分の足で立って,早くも月永レオと海外にまで行ったのはすごく努力したんだろうし,成長ができたんだな,良かったねえと思いました。泉のことは,自分の息子のように感じているので(笑)。まだまだ大変なことはあるけどこれからも頑張ろうね,という気持ちでいっぱいです。
遊木 真役・森久保祥太郎さん(以下,森久保さん):
この作品のリリース前,アプリとしてお話をいただいてお引き受けしていました。でもまさかこんなにいろいろなメディアで展開する大人気作品になるとは,失礼ながら当時は想像もしていませんでしたね。
今から7年前の僕にとってもなかなかかわいらしい役だなと思っていましたが,(役として)しゃべる機会が増えてくるにしたがって「大丈夫かな……」と(笑)。TVアニメになったときに,あらためて覚悟を決めました。
伊藤さん:
そうだったんですね(笑)。
森久保さん:
今回,「Trickstar」のメンバーなど身近なキャラクターとのかけあいの芝居を一緒に収録できたことで,真くんというキャラクターや,他のキャラとの距離感のチューニングがバチッとハマりました。逆に言えば,ここまでコンテンツを展開してくださったおかげで,演じがいのある楽しいキャラクターになったのだと思っています。そういう意味では,僕のほうが成長させていただいたんだなと。
――なるほど,ありがとうございます。年月を重ねていくなかで,演技や声の表現が変わってきた点もあるのでしょうか。
伊藤さん:
ありますね,やっぱり。芸能界に携わった経験によって,ものすごく成長した俳優を僕自身も見てきていますし,アイドルもそうですよね。であれば,歌1つとっても表現をアップデートしたほうがいいんじゃないかと,悩みながら演じてきたところはあります。ただそれを1回やっちゃうと,自分を苦しめることになるんですけどね(笑)。
森久保さん:
そうだよね。でもやっぱりTVアニメの存在は大きかったですね。キャラクター同士の関係性が体感として分かってくると,応援してくださるファンの方とお会いできるイベントなどでも,お芝居的なところがいい意味で影響していきますし。それで僕たちも作品に対する想いや愛情も増していって,作品自体もどんどん成長していっていると思います。表に出ている以上に,そういう裏に乗っかってくるものが変わっていくんじゃないですかね。
伊藤さん:
たしかに!
――そうした歴史が積み重なり,ついに劇場版が公開される運びとなりました。お話を聞いたときのご感想をお聞かせいただけますか。
伊藤さん:
キャラクターが多いので,そのなかでの10人に選ばれたことは素直にうれしかったですね。泉は真くんと関係性があるので。もちろんただ一緒に行くだけじゃなくてちゃんとした意味合いはあるのですが。
「あんスタ!!」の映画化は,誰もがいつか実現するだろうと期待していたと思うんですが,それがまさかのゆうくんと海外旅行……いや旅行じゃないですが(笑)。お仕事をご一緒させてもらえるなんて,泉にとっても夢のような時間だったんじゃないかと思います。
森久保さん:
「あんスタ!!」はゲームから始まって,多数のキャラクターソングやTVアニメ,ライブやイベントなどのメディアミックスが盛り上がっていき,すごい社会的影響力を持つまでにファンの皆さんに育てていただきました。劇場版という展開は,そういう意味では驚きはなかったんですけど,「遊木 真」の名前が台本の一番最初に書いてあったことに感じ入りましたね。
僕にとっても真くんは自分の息子みたいな存在ですから。ほかにこういう距離感のキャラクターはいないので,真くんがこのドラマの主軸に関わっていく立場になったのがうれしかったです。
――選ばれたことは意外に思われたんですね。
森久保さん:
驚きましたよ,やっぱり。あと,ものすごく怖かったです。というのも「ということは,けっこセリフがあるんだろうな?」と。あまりプレッシャーを感じることはないんですが,そんなに長い時間(真として)しゃべれるかなと(笑)。
4Gamer:
その真と泉は,モデル時代からの深いつながりがありますね。彼らの関係性について感じていることがあれば,ぜひお話しいただけますか。
伊藤さん:
1つ言えるのは,この2人はただ仲が良かったとか一緒にいただけじゃないんですよね。今でこそ泉が暴走して表面的にはわちゃわちゃ面白い感じになったりしますけど,何でそうなったのかを掘り下げていくと,実はすごく濃密なストーリーがあるわけですよ。ご存じない方は,ぜひ彼らの過去が語られているシナリオを読んでいただきたいです。
特別上映版には,お互いに長い時間をかけて理解を深めていったからこそ,今こういう会話ができるんだなって思う瞬間がありました。泉はいつもどおりテンションが高いところもあるんですが,心の中ではとても感慨深いんじゃないかと思います。すごくうれしいんじゃないですかね,あいつは。
森久保さん:
僕は彼らの関係を情報としては知っていたけど,演じたことのあるシーンは突飛な場面が多かったので,僕自身が2人の距離感を体感できていなかったんですよね。だから特別上映版で一緒にニューヨークに行くことになって,日常的なシーンも描かれるなかで,いわゆる“ニュートラルな距離感”を初めて感じられたんですよ。
伊藤さん:
分かります。
森久保さん:
最初のころは,真くんは泉さんを毛嫌いしているのかなって思っていたんです。でもそのあとにいろいろなエピソードがあって,そうではなかったんだと,具体的に体感できたのが今回の特別上映版です。しかも収録をマサミくんと一緒にできたので,そこで僕自身も関係性を掴めたというのはあったと思います。演じたことによって,いろいろ得たものは多かったです。「おっ,泉さんにもこんな一面があるんだ。格好いいじゃん」って感じるシーンもありましたしね。
伊藤さん:
真くんも泉のことは,どこかで頼りがいがあるって感じてるんじゃないかなって思いますね。
森久保さん:
そうそう。それが僕にとっては新鮮な感覚でしたね。
4Gamer:
これまでの2人の関係性をふまえた上で観ると,また新たな楽しみ方ができそうですね。それでは,ほかに印象的だったシーンなどがあれば,ネタバレにならない範囲でお聞かせいただけますか。
森久保さん:
僕はやっぱり,普通の日常的なシーンが逆に印象的でしたよね。「一緒にでかける? どうする?」みたいなやりとりが。これまではどうしてもエキセントリックなシーンが多かったので(笑)。
伊藤さん:
そうですよね。僕は彼らが高校生活を経ていろいろな歴史を歩んできて,真くんが泉をうまいこと扱い始めたと思いました(笑)。初期の「やばい,泉さんが来た! 勘弁してよ」って拒絶するしかなかったころからずいぶん落ち着いて,なんならうまく手綱を握っているところが垣間見えたりして,なるほどねと。
たしかに長い時間をかければ関係性も変わっていくだろうし,そのうち泉は真くんに手懐けられてしまうのでは? なんて思ったりもしましたね(笑)。
森久保さん:
僕もそういう解釈です。泉さんにやり込められてるばかりかと思っていたけど,これまでも実はそうじゃないときもあったんだなっていうのを,今回感じられました。
4Gamer:
泉のほうが“お兄ちゃん”ですが,真も成長しているのでお互いの関係性が変わっていきますよね。
伊藤さん:
そうですね。泉がお兄ちゃんってのは変わらないけど,お兄ちゃんの取り扱い方が変わってきたのかな(笑)。
――収録の現場はどんなご様子でしたか?
伊藤さん:
泉と真くんは一緒のシーンも多かったんですが,ラッキーなことに,収録も森久保さんとご一緒できたんです。こんなにかけ合いをしたのは初めてでしたね。僕自身もうれしかったですが,泉に対しても「ゆうくんと一緒にいられて良かったねえ……」って思いました。
森久保さん:
どちらかというと真くんは泉さんに振り回されるやりとりが多いので,振り回してくれる人がちゃんと横にいてキャッチボールできたのは,やりやすかったし楽しかったですね。
TVシリーズを収録したのは2019年ごろでしたが,あのときもできるだけキャストを同じ時間で収録させようと(制作陣が)努力してくださったんですよ。今は別の意味で難しいですが,あのころは1つの作品に全員が揃うなんてまずなかったので。TVシリーズはすごく時間をかけて大切に作品を作られていましたし,全部が丁寧だなと。
伊藤さん:
そうでしたよね。
いよいよ明日12月22日(日)に第二十四話(最終話)「奇跡」が放送&配信!
— 【公式】アニメ「あんさんぶるスターズ!!-Road to Show!!-」 (@stars_animation) December 21, 2019
最終話アフレコ集合写真とTrickstar&Eden8名のキャストコメントを公開しました!!最終話に込めたキャスト陣の想いをぜひご覧ください。
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4Gamer:
では,アフレコでの思い出があれば教えてください。
伊藤さん:
僕が劇中ですごく声を張るシーンがあったんですよ。映画を観れば分かると思うんですが,アフレコでは「キャラをちょっと超えちゃうかも?」ぐらいの感じで演じてみたんです。そうしたら監督さんから「いや,もっとやっていいですよ!」って言われて,ハピエレさんも「やっちゃいましょう!」と(笑)。
一番リテイクが多かったのもそこなんですが,みんなチャレンジャーだな……と思いましたね。僕自身,何を叫んでるか分からなくなるくらいでした。仕上がりがどうなっているかまだ分からないので,皆さんぜひ一緒に確認してください(笑)。
森久保さん:
先ほどもお話ししましたが,やっぱり(伊藤さんと)一緒に収録できたのがうれしかったですね。今までもキャラの絡みはあったけどピンポイントだし,キャラ性や関係性を深める意味でも良かったと思います。けっこう我々の収録は早いほうだったんですが,ちょうどそのあとに山下大輝くん(朔間凛月役)が合流しました(笑)。
――そうだったんですね。それでは,今回の特別上映版で注目してほしいポイントはありますか。
伊藤さん:
予告編で完成した映像を見て,ディテールの細かさに驚きました。TVアニメも良かったですが,その上をいくというか。もちろんストーリーやキャラにも注目してほしいんですが,そうしたアニメーターさんのお仕事部分や,音声,主題歌も楽しみにしていただきたいです。僕自身もどうなっているか楽しみにしているので,一緒にいろいろなことを発見していただけたらと思います。
森久保さん:
僕はやっぱり,とにかく大きなスクリーンで観るべき作品だと思っています。ストーリーの壮大さもそうだし,世界観もより迫力を増して,みなさんご存じのキャラたちがさらに魅力的になっていると思います。あとは日常の場面とか,歌って踊るパフォーマンスだけが「あんスタ!!」の魅力じゃないんだぞというところをお伝えしたいですね。
4Gamer:
予告編のお話が出ましたが,ゲーム本編には出ていないと思われる“謎のキャラ”が登場しますね。ネタバレのない範囲で,その人物についてお話しいただけますか。
伊藤さん:
「あんスタ!!」のいいところって,それぞれのキャラに奥行きの深いしっかりとした設定があって,描写が細かい点だと思います。この人物については,「どうしてこの人が出る必要があったのか?」っていうのはきちんと分かるようになっているので,楽しみにしてほしいですね。
森久保さん:
特別上映版のストーリーがどうなっていくか,というところでフックになる存在ですし,それにふさわしいキャスティングだと思います。
4Gamer:
劇場の大画面で観られるのが楽しみですね。伊藤さんは演出家としてもご活躍されていますが,もし伊藤さんが「あんスタ!!」の作中でアイドルたちの映画を撮ることになったら,どんな作品を作ってみたいですか。
伊藤さん:
高校を卒業したアイドルたちで,ミステリーとか古典劇とか……たとえばシェイクスピア作品などに触れさせて,役者としての魅力を磨いてみたいですね。ちょっと大人な演技を,年上組にさせてみたいです。
4Gamer:
いいですね! では森久保さんは,生き馬の目を抜くアイドル業界で作中の彼らが生き残るために,どんなことが必要だと思いますか。
森久保さん:
やっぱり素直に,上手に歳を重ねていくことじゃないですかね。年齢を感じないというか,常に何かに挑戦しているほうが……実際のアイドルで歳を重ねても輝いている方って,そういう人たちばかりだと思うので。年齢に抗わず,受け入れつつ,でも成長していくっていう。そういうのが,いくつになってもすてきなアイドルとして円熟味を増していくんじゃないかと思います。
――森久保さんご自身にもそう感じます。では最後にそれぞれから,本作を心待ちにしているファンの皆さんにメッセージをお願いします。
伊藤さん:
「あんスタ!!」は何か新しいことを始めると,さらにそこから先の展開も必ず用意しているんですよね。最初はアプリだったのが歌を出すようになって,そこからイベントやライブ,TVアニメと広がっていき,今では池袋の一等地に立派なお店までできちゃって(笑)※。
この特別上映版自体も素晴らしい映画なのでぜひ本編を楽しんでほしいですし,この先のさらなる可能性を妄想するにももってこいの作品だと思います。ファンの方はもちろん,「あんスタ!!」をやったことがない方もぜひ観てほしいですね。お友だちをお誘い合わせのうえ,何度も観ていただけたら幸いです。
※2021年5月26日,「あんスタ!!」発の常設店舗「CAFE CINNAMON」が池袋にオープンした(公式サイト)
森久保さん:
今,アイドルである彼ら自身の歴史としても,人生のなかで次のフェーズにいくタイミングだと思います。平成から令和に変わり,今回の映画化も作品として次の段階に行く起点となるものだという気がしています。アイドルとしての彼らや,「あんスタ!!」というコンテンツの歴史の中での新たな起点となるこの瞬間を,ぜひ一緒に楽しんでいただけたらと思います。
――本日はありがとうございました!
――2022年1月30日収録
特別上映版「あんさんぶるスターズ!!-Road to Show!!-」公式サイト
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(C)Happy Elements K.K/あんスタ!!アニメ製作委員会