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「あんスタ!!」ストーリー紹介連載第26回。メインストーリー第二部SS編 第三章「シークレットサービス」,第四章「シンセカイ」を語る

 Happy Elementsがサービス中のアイドル育成ゲームあんさんぶるスターズ!!BasicMusicのストーリーを紹介する記事の第26回は,メインストーリー第二部SS編 第三章「シークレットサービス」,第四章「シンセカイ」の2本を取りあげる。

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 本記事では,“知っているとストーリーをより楽しめるポイント”の解説と,筆者の感想や考察をお届けする。記事では詳細なネタバレは控えているが,できるだけ各ストーリーの読了後に読むのがおすすめだ。

 なお,第27回ではメインストーリー第五章「サンドストーム」,第六章「サンクチュアリ」,第七章「サドンデス」を取り上げる。並行して実施されたスカウトのストーリーは次回以降に紹介するのでお楽しみに。

ストーリー紹介連載のバックナンバーはコチラ

「あんさんぶるスターズ!!」公式サイト


ストーリーピックアップ
「メインストーリー第二部『SS』編/3rd Stageシークレットサービス」

公開開始:2021年6月30日〜(Basic/Music)


――あらすじ――

 【SS】の予選会中,シード権を持つEdenは九州に滞在していた。四国でゲリラライブを行っていたMaMこと三毛縞 斑のライブを見ていた七種 茨は,斑から「ゴッドファーザーに関する重要な情報を得た」という暗号を受け取る。罠かもしれないと思いつつも,四国に向かった茨と乱 凪砂は斑と落ち合い,ある場所へ向かう。さらに巴 日和と漣 ジュン,斑と連絡が取れず心配していた桜河こはくも合流する。そして,地下に閉じ込められていた凪砂が「ゴッドファーザー」にまつわる驚愕の真実を知り……。<全30話/シナリオ:日日日>

画像集#003のサムネイル/「あんスタ!!」ストーリー紹介連載第26回。メインストーリー第二部SS編 第三章「シークレットサービス」,第四章「シンセカイ」を語る
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◆本作をより楽しめる過去ストーリーをチェック

・「!」のストーリー
メインストーリー第二部「キセキシリーズ」三部作
(【輝石☆前哨戦のサマーライブ】【軌跡★電撃戦のオータムライブ】【奇跡☆決勝戦のウィンターライブ】)

 Edenを語るにあたり,4人が初登場した「!」のメインストーリー第二部は欠かせない物語だ。各ストーリーでおさえておきたいポイントを簡単に紹介しよう。

【輝石☆前哨戦のサマーライブ】
・年末の「SS」出場権を得たTrickstarのため,天祥院英智が「SS」優勝候補であるEdenの片割れ,Eve(巴 日和と漣 ジュン)を夢ノ咲学院に招致した
・本ライブは“前哨戦”という意味合いもあるものの,サマーライブ自体は対決ではなく共演という形である
・凪砂の生い立ち(ゴッドファーザー絡みの話)が明かされる

【軌跡★電撃戦のオータムライブ】
・サマーライブで辛酸をなめたTrickstarが,“リベンジ”として,Edenを構成するもう1つのユニットであるAdam(乱 凪砂,七種 茨)の通う秀越学園を訪れる

「!」【軌跡★電撃戦のオータムライブ】より
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【奇跡☆決勝戦のウィンターライブ】
・日本一のアイドルを決める「SS」本戦で,TrickstarとEdenが対決
・明星スバルの父(故人)が“業界の汚点”と言われることになった事件の詳細が明かされる。ステージを賑わした一連の騒動はコズプロ上層部による策略(それに関わった人物たちはその後コズプロから出ている)
・「SS」はTrickstarが優勝する

 「シークレットサービス」でかなり重要なポイントであるゴッドファーザーについての話は,上記のほか,メインストーリー第三部Sagaシリーズの【Saga*かけ上がるレインボーステージ】や過去記事も参照するといいだろう。


【躍進!夜明けを告げる維新ライブ】
 Double Faceの三毛縞 斑について,「!」のストーリーを1本選ぶとしたら,このほかには【追憶*流星の篝火】もおすすめしておきたい。【維新ライブ】では,明るくお祭り好きなだけではない斑の本質を,【流星の篝火】では深海奏汰およびその実家と,斑とのつながりを知ることができる。

「!」【躍進!夜明けを告げる維新ライブ】より
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・「!!」のストーリー
【軋轢◆内なるコンクエスト】
 新章におけるEdenのストーリーといえばまずはこちら。彼らは一見ドライな関係に見えて,実は意外と息の合った“家族感”があり,この話ではとくに,凪砂と日和の幼少期からの深いつながりをチェックできる。


【新参!目覚めの暗夜行路】
【秘宝紐解く/骨董綺譚】

 斑と桜河こはくによるユニットDouble Faceについてはこちらの2本をぜひ。【暗夜行路】では2人がユニットを組むことになった経緯とともに,「ゴッドファーザー」の後継者を名乗る悪人(通称「GFK」)を糾弾するまでの流れが語られている。2回目の“出勤”となる【骨董奇譚】では,「GFK」の遺産をめぐる物語が語られ,歩き始めた道を進まざるを得なくなった斑の姿が胸に迫る。


◆ストーリー中のキーワードを解説

 今回の記事でも,ストーリーの順を追ってキーワード解説や感想などをお伝えしていく。

  • プロローグ〜TERRORISM/第1話〜第11話

Edenの“家族感”
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 ああ見えて,メンバー間の会話には意外とほっこりさせられるEden。ここの巴 日和のセリフは一見冷たく聞こえるが,筆者には,漣 ジュンに対する日和なりの礼儀というか敬意の表れのようにも感じられた。そもそもジュンは日和に“拾われた”存在だったし,このあとに日和が「ジュンは自分の所有物」のような言い方をすることもあるが,日和はジュンを決して奴隷やペットのようには思っていないように感じられる。

ここまでの「SS」編について
 前回「SS」で優勝したTrickstarと準優勝したEdenは,今年はシード権が与えられている。ここまでにシード権のないユニット同士が登場したのは「2nd Stageサブマリン」の流星隊と紅月のみとなるが,ラストで行ったのは対決ではなく「合同ライブ」である。よって,予選でどちらが残ったとの描写はない。

「つむぎくんみたいなことを言うね」
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 凪砂のことを「つむぎみたい」と言った茨のセリフは,「!」の【追憶*集いし三人の魔法使い】に出てくる青葉つむぎの言葉からくるものである(下の画像を参照)。

「!」【追憶*集いし三人の魔法使い】より
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七種 茨の「大叔父さん」=「ゲートキーパー」
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 「SS」編で暗躍する「ゲートキーパー」は,茨に「大叔父さん」と呼ばれている。1st Stage「サテライト」の序章「プロローグ『ゲートキーパー 門前の小娘』」によれば,茨と「ゲートキーパー」は遠縁の親戚にあたるらしい。ただし「書類上は」や「そのほうが都合が良かった」という描写もあるため,純粋な親戚かどうかは不明。

「門番」「神父」「使徒」
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 「門番」は言うまでもなく「ゲートキーパー」のこと。「神父」と「使徒」については現在のところ詳細不明。

三毛縞 斑の出自
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 斑が会話の中で「母はそっち方面の人間」という言い回しをするが,ここでの「そっち方面」とは,いわゆる裏社会のこと。なお父は警察関係者らしく,「国家権力と裏社会の人脈を駆使すれば、たいていのことは何とかなる」(「!」【ドロップ*遠い海とアクアリウム】より)と言うとおり,昨年度の斑は親の権力を利用することもあったようだ。だが,深海奏汰の実家問題で両親と衝突し,現在は半ば勘当状態にあるらしい。斑のアイドルストーリー第1話では,新年度になって寮に入った経緯や,アイドル活動がしづらくなった話などが語られている。

血まみれメアリとアイドルの愛犬たち
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 「血まみれメアリ」とは,日和とジュンが玲明学園の寮で一緒に飼っていた犬の「ブラッディ・メアリ」のこと。現在は星奏館に在住。なお朱桜 司によると,ブラッディ・メアリの犬種はヨークシャー・テリアらしい(【スカウト!前線の番犬】より)。なお,明星スバルの飼い犬の「大吉」は“通常より太っている”柴犬,大神晃牙の飼い犬の「レオン」はウェルシュ・コーギー,姫宮桃李の飼っている「キング」はゴールデン・レトリバーである。

漣 ジュンと桜河こはくは寮で同室
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 こはくに対するジュンのこのセリフ,特待生になる前のジュンも似たところがあったのではないか……という気もする。

大事なものを喪わないように
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 「あんスタ!!」にはこれに近いセリフがよく出てくる。なくした痛みを知るからこそ,そばにある人やものがいかに大切か分かるということかもしれない。

  • GLOBALISM/第1話〜第13話

椎名ニキの言葉
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 “相方”である斑を心配するこはくに対し,ニキが言った一連のセリフ。アイドルになったからといって料理人を諦めなくてもいいと感じ始めたニキが,こはくに「やりたいことがあれば我慢するな」と励ました場面には胸が熱くなった。そんなのはCrazy:Bらしくないし,楽しく幸せに生きようという彼の言葉には,迷う人の背中を押す力強さがあると思う。

桜河こはくの「姉はん」
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 「暗号を読むのが得意な上の姉」「変装が得意な下の姉」というこはくの姉たち。すでにご存じの人も多いと思うが,下の姉については「『SS』編/7th Stageサドンデス」にて詳しく語られる。

臨時ユニット「Lilith」
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 「Lilith」とは,「!」の【Saga*ぶつかり合うリバースライブ】にて登場した,氷鷹北斗の父である誠矢,日和,ジュンの3人組臨時ユニットである。【リバースライブ】では,佐賀美 陣,守沢千秋,氷鷹北斗,姫宮桃李の「Rain-bows」と戦った。なお「Lilith」のセンターはジュンである。

「ラ*ダーキーック!」by三毛縞 斑
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 何度見ても名シーンである。「ゲートキーパー」は「『SS』編/2nd Stageサブマリン」で,「年甲斐もなく元気な若者と格闘しちまったせいで、ちょっと不覚を取ってダメージを負った」と話していたが,それがこのときの騒動であったことが明らかになった。

  • エピローグ(1)〜(5)

昨年度の乱 凪砂(のパブリックイメージ)
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 物語終盤の緊張感あふれるシーン。ここで凪砂は「門番の奥にいる“敵”」と戦うため,Double Faceとしての斑に取引を持ちかける。そして言ったのがこちらのセリフだ。この一連の流れを見ていると,まさに昨年度の【オータムライブ】や年末の「SS」のころの凪砂を思い出す。この人が今後どう動いていくのかは,大いに注目すべき点だ。


ストーリーピックアップ
「メインストーリー第二部『SS』編/4th Stage シンセカイ」

公開開始:2021年7月31日〜(Basic/Music)


――あらすじ――

 東北地域の「SS」予選会,Switchが提案した“優勝者決定戦”ではValkyrieが勝者となった。しかしその翌日,斎宮 宗と影片みかは,逆先夏目たちが作ったVR空間「シンセカイ」の中にいた。夏目は予選会の残りの期間で実験を行うと言い,多額の通貨を得ているValkyrieは,ほかのアイドルにとっての格好の餌食だと話す。宗たちは多数のバーチャルキャラクターに翻弄されながらも,「SS」への出場権を守るために奮闘する。<全30話/シナリオ:日日日>

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◆本作をより楽しめる過去ストーリーをチェック

・「!」のストーリー

【スカウト!夏の花】
 VR世界をメインテーマとしたストーリーと言えば,昨年度の物語であるこちらをぜひ。この当時のVRシステムは「SVRS」と呼ばれており,開発には逆先夏目,春川 宙,そして遊木 真が関わっていたことが明らかにされていた。

【迷い星*揺れる光、プレアデスの夜】
 過去のSwitchを知るために参考にしたい三大ストーリーは,「!」の【迷い星*揺れる光、プレアデスの夜】【追憶*集いし三人の魔法使い】【駆け引き◆ワンダーゲーム】をぜひおすすめしたいのだが,今回は,五奇人の“末っ子”としての夏目にフォーカスされた【プレアデスの夜】を推しておく。

「!」【迷い星*揺れる光、プレアデスの夜】より
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【モーメント*未来へ進む返礼祭】
 Switchと同様,Valkyrieを知るために参考にすべき「!」のストーリーをあえて3本選ぶなら【モーメント*未来へ進む返礼祭】【追憶*マリオネットの糸の先】【演舞 天の川にかける思い】かと思う。中でも【返礼祭】は,2人の出会いのほか,宗の卒業を迎え,宗とみかが“対等な芸術家同士”という新しいつながりを得る物語が語られているため,ぜひチェックしてほしい。

「!」【モーメント*未来へ進む返礼祭】より
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・「!!」のストーリー

【投影★心を映す幻灯機】
 【踏み出す行き先/ネクストドア】で新たな始まりを見せたSwitchが,そこからさらにもう一歩進んだ本作をおすすめ。今までは夏目と青葉つむぎという2人の先輩のあとをついていた宙が,彼らと並び立ち,ときに引っ張っていく姿が頼もしく眩しい。


【秘宝紐解く/骨董綺譚】
 【降臨!紡ぎ始めるネヴァーランド】と迷いつつ,新しいほうの【骨董綺譚】をチョイス。要するにどこのユニットも「箱イベを読んでおけば間違いない」という話なのだが,この話では「シンセカイ」にも登場する氷鷹誠矢と影片みかの出会いのシークエンスが登場するため,ぜひおさえておいていただきたい。


◆ストーリー中のキーワードを解説

  • プロローグ〜非現実の帝国で/第1話〜第11話

青葉つむぎに冷たくあたる斎宮 宗
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 「そのあたりの点」とは,旧fine(天祥院英智,乱 凪砂,巴 日和,青葉つむぎ)と五奇人の過去の因縁のこと。かつて宗は英智一派からValkyrieのライブを妨害され,一時的にステージに上がれなくなってしまったことがあった。詳しくは「!」の【追憶*マリオネットの糸の先】を参照。

痛みには鈍感な影片みか
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 みかは痛みなどにやや鈍いところがあるらしく,先ほど挙げた【マリオネットの糸の先】では「おれ、あんまり痛覚ないんかな? 鈍感なんかな〜、針で刺しても感じひんねん♪」と語っていたことがある。

「SSVRS」って何の略?
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 新章になってから比較的早く「SSVRS」なるシステムが登場していたが,宙によればこれは「Switch(S)」の「すごい(S)」「ヴァーチャル(V)」「リアリティ(R)」「システム(S)」の略だということだ(春川 宙アイドルストーリー第1話より)。「SSVRS」は,おそらく「!」の【スカウト!夏の花】に登場した「SVRS」が発展したものではないかと思われる。

検索は自己責任で……。
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 「日本国憲法は適用されない土地」の話に出てきた「犬*村」とは,おそらく「*鳴村」のことだろう。ここで解説はしないが,詳しく知りたい人は検索してみてほしい。なかなか背筋が寒くなるのでご注意を。

臨時ユニット「Ba-barrier」
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 「Ba-barrier」とは,「!」の【Saga*かけ上がるレインボーステージ】から登場した,椚章臣,三毛縞 斑,影片みか,春川 宙の臨時ユニットだ。「『SS』編/3rd Stageシークレットサービス 」でもSagaシリーズについて言及したが,前編である【レインボーステージ】と後編の【Saga*ぶつかり合うリバースライブ】の2本が,「!」のメインストーリー第三部となっている。

  • ESの魔法使い/第1話〜第14話

ネット全盛時代
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 VR空間「シンセカイ」で,みかが「(失敗しても)たかがゲームの話」と言うと,バーチャル世界のマドモアゼルは「仮想現実を舐めすぎだ」と反論する。「そのキャラこそを本人だと思い込む」というセリフは実に風刺的だ。つい忘れがちな“ネットの向こうには生身の人間がいる”という事実は,常に心に留めておきたい。

現役スーパーアイドル氷鷹誠矢,登場
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 非常に意味深な言動で人々を翻弄する氷鷹誠矢。この“明星くん”はスバルの父のことで,誠矢とスバルの父は同じ夢ノ咲学院出身のアイドルだった(誠矢は現役)。また,みかの「あのひとはおれを後継者にしたい、とか言うてたけど?」や,今作での誠矢の「初対面の際の言動を間違えた」というセリフは,【秘宝紐解く/骨董綺譚】に登場するエピソードを踏まえてのものだ。

あなたが落としたのは……
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 Valkyrieが挑戦した特別ミッション「泉の女神」。作中で言及されているとおり,元ネタはイソップ寓話の「金の斧」だが,「綺麗な○○」ネタは,あの国民的ネコ型ロボットに登場するガキ大将のアレだろう(きれいなジャイ*ン)。この一連のシーンはメタっぽさもあって非常に楽しい。

革靴は美味しく食べられる?
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 革靴を食べるエピソードといえば,1925年の映画「黄金狂時代」が有名。世界の三大喜劇王とも呼ばれるチャールズ・チャップリン氏が,作中で茹でた革靴を食べるシーンがある。ちなみに革自体は一応食べられるらしいが,靴などは鞣す過程で薬品処理されているので食べるな危険。

いつの時代でも
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 この言葉を聞いて思い出すのは,佐賀美 陣の「凝り固まった大人社会に風穴をあけられるのは、いつの時代も馬鹿なガキだけだ」や(「!」【懐古*嘘つきたちの偶像】より),日々樹 渉の「この世にイノベーションをもたらすのは、無垢な子供か後先を考えないお馬鹿さんですよ」「!」【追憶*春待ち桜と出会いの夜】より)などのセリフだ。これもまた「あんスタ!!」にはよく出てくるフレーズと言っていいかもしれない。

夢ノ咲学院の教師陣(元アイドル)
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 今作「シンセカイ」で登場した佐賀美 陣と椚 章臣は本物ではないが,彼らの若かりしころのストーリーは「!」の【懐古*嘘つきたちの偶像】【懐古*センチメンタルライアーズ】で見られる。なお「シンセカイ」で夏目が「佐賀美先生は椚先生を『椚』って苗字で呼び捨てにはしなイ」と言っているが,陣は章臣を(過去)「椚くん」→(現在)「椚先生」または「あきやん」と呼んでおり,章臣は陣を(過去)「佐賀美先輩」→(現在)「佐賀美先生」または「陣」と呼んでいる。

  • エピローグ(1)〜(4)

痛快娯楽時代劇「ばんぱいあ将軍」
 かつての人気番組「ばんぱいあ将軍」の名前が初出したのは,【温故知新/継承の御前試合】。この番組は蓮巳敬人や朔間 零が昔ファンだったとのことで,【御前試合】は本番組の再始動(リブート)企画として実行されたものだ(「音楽特区」の再開発という目的もあった)。ちなみに「ばんぱいあ将軍」の二匹目のどじょうを狙った「ふらんけん代官」なる作品もあったそうだが,「ばんぱいあ将軍」ほどの人気は出なかったらしい(【悠久の鬼 スカーレットハロウィン】より)。

なつめちゃん……(小声)
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 逆先夏目は幼少期,占い師として活躍する母親の都合(演出)で女の子のふりをさせられていたことがあり,つむぎの親が経営していたアイドル養成スクールに「いきなり現れた正体不明の天才美少女」として長く語り継がれていたらしい(「!」【追憶*集いし三人の魔法使い】)。夏目はこのことを“過去の恥”と言っており,「夏目ちゃん」と呼ばれるとキレる傾向にある(照れ隠しのような気もするが……)。

◆メインストーリー第二部「SS」編第三章「シークレットサービス」&第四章「シンセカイ」所感

 この記事が出るころにはメインライター日日日氏へのインタビューが掲載されており,一部展開などについて解説などもされているため,ここでは軽めに筆者の所感をお届けしたい。


 破天荒な設定で度肝を抜かれた「サテライト」,意外にコミカルな展開でほっこりする場面もあった「サブマリン」。次はどんな物語が……? と思いきや,「シークレットサービス」は伏線祭りというか,かなりのシリアス展開に驚愕させられた。最初の「みかんをモグモグする凪砂」あたりは大変ほのぼのしていたというのに。落差がものすごい。

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 今作「シークレットサービス」で印象に残った場面,というか覚えておくべき場面は多いが,最初にチェックしておきたいと思ったのが以下のセリフだ。

画像集#039のサムネイル/「あんスタ!!」ストーリー紹介連載第26回。メインストーリー第二部SS編 第三章「シークレットサービス」,第四章「シンセカイ」を語る

 この「あんスタ!!」というコンテンツは限りなく現実に寄せたメディア展開などをしているが,ストーリー自体はフィクション要素が多い。このセリフからも分かるように,作中の世界では,優れたアイドルが絶対的な権限を持つとされている。現実世界でも売れっ子タレントやアイドルは大きな影響力を持つが,「あんスタ!!」はそこを誇張した世界観のうえに成り立っていると筆者は捉えている。

 また,今作のなかでジュンとこはくがお互いのユニット(EdenとDouble FaceではなくEdenとCrazy:B)について話をする場面がある。こはくが「わしも『Crazy:B』としては、そういう陽の当たらん連中とばかり関わりがちやから」と言うと,ジュンは「意外と『Eden』でもおひいさん以外は、薄暗いとこで育ってきてるんですけどね」と答える。

 そして2人は,「頂点に立つ『Eden』とド底辺におる『Crazy:B』も、意外と同じ点から出発しとるのかも」と語り合う。ご存じのとおりDouble Faceも“そちら側”ではあると思うので,今回フィーチャーされたEdenとDouble Faceはどちらも,異なるようで似ている点があると言えるのかもしれない。

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 物語終盤,凪砂はモノローグで「今も生きている可能性のある二代目『ゴッドファーザー』を斃し、三代目の『神』となる」ことを決意する。今回,Edenにおける凪砂と対比させるとすれば,Double Faceは斑だろう。“神”になると言った凪砂がいる一方,斑は自分を顧みて,手を汚してしまった自分がヒーローになる資格はないと,自分は“強い悪人”になろうとするのだ。

画像集#042のサムネイル/「あんスタ!!」ストーリー紹介連載第26回。メインストーリー第二部SS編 第三章「シークレットサービス」,第四章「シンセカイ」を語る
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 この2人には,どちらにも手を差し伸べてくれる存在がいることも興味深い。凪砂には,一騒動あった後,何も聞かず“いいから歌おう”と誘ってくれる日和がいる。そして斑には,言葉を尽くして“自分はここにいる”と,そばに寄り添おうとしてくれるこはくがいる。

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 かけがえのない存在を前に,凪砂は“日和を守る”と誓い,斑は自分を救おうとしてくれるこはくの言葉にははっきりと返事をしない。とはいえ斑は「今の俺は独りじゃない」とも感じており,ひそかに揺れ動いているように見える。こうした2人のうち,先ほどの凪砂の決心は,今後の物語に大きな影響を与えるはずのものなので,彼らや彼らの仲間がこれからどうなってしまうのかは非常に気になるところだ。

 ほかの予選もそうだが,「シークレットサービス」はとくに,物語がこれだけで完結していない印象が強い。数々な謎を残しつつ,アイドルたちの想いがどんなふうに実を結んでいくのか……今後の展開に注目したい。

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 続く第4戦「シンセカイ」は,「シークレットサービス」から大きくイメージが変わった,風変わりで明るい物語だった(個人的に「おもしろVR空間『シンセカイ』」という呼び方がかなり気に入っている)。

画像集#048のサムネイル/「あんスタ!!」ストーリー紹介連載第26回。メインストーリー第二部SS編 第三章「シークレットサービス」,第四章「シンセカイ」を語る

 今作「シンセカイ」に登場するのはValkyrieとSwitchだ。なかでも,夢ノ咲学院の五奇人だった斎宮 宗と,五奇人の“末っ子”逆先夏目にスポットが当てられる。まず現在のValkyrieが置かれた状況を整理すると,彼らは今年度の早春(宗の卒業時)から離れて暮らすことになったものの,“人形”だった影片みかが1人の人間,そして芸術家として歩き出し,お互いに試行錯誤しながら変わらぬ活動を続けていると言っていいだろう。
 一方のSwitchは【投影★心を映す幻灯機】からユニットの方向性を春川 宙が決めることになり,彼らにとって新たな道を歩み始めたところだと言える。

 そして,今作で大きなテーマとなるのがバーチャル世界である。今回の予選で夏目はSSVRSというシステムを使い,自身が目指す理想の世界を作る。Switchの始まりの1人である青葉つむぎは夏目に「夢が叶いましたね」と言ったとき,夏目は「叶ったんじゃなイ、叶えたんだヨ」と返したのが印象的だった。

 つむぎの言葉を借りれば「他人に興味ない孤高のボク……」を気取る夏目だが,夏目という人は実に他人のことをよく考えているように見えるし,人知れずたゆまぬ努力を重ねる人なのだと思う。「夢を叶えた」という彼の言葉からは,自分を誇らしく思う気持ちが垣間見える。

画像集#049のサムネイル/「あんスタ!!」ストーリー紹介連載第26回。メインストーリー第二部SS編 第三章「シークレットサービス」,第四章「シンセカイ」を語る

 夏目の作った“理想郷”のなかに放り出されたValkyrieは,およそ彼らが目指すイメージとはかけはなれた,けれどほほ笑ましい姿を見せながら奮闘する。そんな物語を楽しく追っているなかで,ハッとさせられたのがこの言葉だった。

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 誰も傷つくことのない天国のような世界,という話は6th Stage「サンクチュアリ」のときにまたあらためてしようと思うのだが,ここでみかが言った“アイドルの居場所”というのがフックになって,終盤の宗の行動――夏目の理想郷にはSwitchがいないと指摘し,自分たちの舞台を用意した――につながっていったような気がする。

 ここ最近のストーリーを読んでいると,しみじみと宗に対する安心感を覚える。もちろん彼もまだ若いのだし,完璧なわけではない。けれど彼がかわいい“末っ子”のために面倒をみてやる姿は実に「にいさん」らしくて心が温まった。「シンセカイ」はほかにも見どころがたくさんあったけれど,夏目と宗,彼ら2人が五奇人として存在したあの時代からさまざまな出来事を経て,今もなお切れることのない尊いつながりが印象的だったな,と感じた。

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 余談だが,終盤で夏目が宗を呼び捨てで呼んだことと,宗が夏目を名前で呼んだところには,深く心を揺さぶられた人も多いのではないだろうか。

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 筆者は,このとき彼らが自分たちを名前で呼びあったのは,「にいさん」「小僧」という五奇人としてのつながりというよりも,「対等なアイドルどうし」として向き合うことができたからだと解釈した。

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 第27回記事もお楽しみに!

■たまお(ライター)■

 エンタメ系フリーライター。音楽・ゲーム業界などでの社会人生活を経て,作品やキャラの素晴らしさを文章で伝えるためにライターへ転向。現在4Gamerにて「あんさんぶるスターズ!!」のストーリー解説記事を連載中。このほか追いかけ中のタイトルは「アルゴナビス」「スタマイ」「ツイステ」「ヒプマイ」「パラライ」「刀剣乱舞」「A3!」「まほやく」「ブラスタ」など。

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