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「あんスタ!!」ストーリー紹介連載第21回。エイプリルフール企画「宇宙戦争編」,メインストーリー第二部SS編・第一章「サテライト」,第二章「サブマリン」を語る

 Happy Elementsがサービス中のアイドル育成ゲーム「あんさんぶるスターズ!!BasicMusicのストーリーを紹介する記事の第21回では,2021年4月に公開されたエイプリルフール企画「メインストーリー第二部【宇宙戦争編】」,メインストーリー第二部SS編・第一章「サテライト」,第二章「サブマリン」の3本を取りあげる。

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 本記事では,“知っているとストーリーをより楽しめるポイント”の解説と,筆者の感想や考察をお届けする。記事では詳細なネタバレは控えているが,できるだけ各ストーリーの読了後に読むのがおすすめだ。

ストーリー紹介連載のバックナンバーはコチラ

「あんさんぶるスターズ!!」公式サイト


ストーリーピックアップ
「メインストーリー第二部【宇宙戦争編】」

公開:2021年4月1日(Basic/Music)


――あらすじ――

 時は20XX年。ESを発端とした宇宙計画により,アイドルたちはロボットを操縦するパイロットになった。そこでのアイドルたちは,ライブ対決から発展したロボットバトル「ドリフェス」で戦い,人々に夢や感動を届けている。そんななか,緊急警報が鳴り響き,スペースコロニーが爆破される事件が起きる。<全4話/シナリオ:木野誠太郎(Happy Elements株式会社)>

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◆「!!」のエイプリルフール

2020年/「おじさんといっしょ!!」
 毎年趣向を凝らし,こだわりまくりの施策でファンを楽しませている「あんスタ」のエイプリルフール。
 「あんスタ!」から「あんスタ!!」にリニューアルして最初のエイプリルフールは,(初心に戻って?)陣と章臣が登場,「あんスタ!!」が“こども向け知育アプリ風”コンテンツに変身した。「Basic」では記憶力が問われる「あんさんぶる体操!!」なるミニゲームが,「Music」ではノーツが動物アイコンになったリズムゲームが楽しめた。ストーリーやMVには陣と章臣のほか,Edenの漣ジュンとCrazy:Bの桜河こはくも登場,大いに振り回される様子がコミカルだった。なお,楽曲「あんさんぶる体操!!」の作詞はおなじみ松井洋平氏,作曲は子供向けの音楽や振付の制作を手掛ける,ケロポンズの増田裕子氏と平田明子氏が担当した。

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※Basicは「わくわくベーシック」,Musicは「どきどきミュージック」というタイトル

◆2021年のエイプリルフールは

 2021年のエイプリルフールでは,1日限りの「メインストーリー第二部」として,宇宙空間での壮大な物語が繰り広げられたのだった。今回の登場人物はfineの天祥院英智,Trickstarの氷鷹北斗,UNDEADの朔間 零,Knightsの朱桜 司,Valkyrieの斎宮 宗,Crazy:Bの天城燐音で,ESの各事務所に所属する1〜2ユニットのリーダーが選ばれたと推測される。ストーリーは,これまでのエイプリルフール同様「ES計画」「ドリフェス」といったキーワードや,キャラクターたちの立ち位置など,「あんスタ!!」の設定や流れを知っているほど,面白いものになっていたと思う(さらに言えば,ロボットアニメ系に詳しいとより楽しいものだったはず)。

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 これまでのエイプリルフールも実に凝った作りだったが,今回はついに新曲のみならず,フルCGで長尺のムービーが作られたのも驚きの一つだ。これがなかなかの破壊力だったので,ここまで来ると今後のエイプリルフールはどんなことになるのだろう? と,さらなる期待が高まった一作と言える。なお,楽曲「エンドレスヴィーデ」の作詞は松井洋平氏,作曲・編曲は浅倉大介氏が担当しており,さらなるサプライズであった。



ストーリーピックアップ
「メインストーリー第二部『SS』編/1st Stageサテライト」

公開開始:2021年4月15日〜(Basic/Music)


――あらすじ――

 アイドル業界の「頂点」を決める一大イベント,「SS」の予選会が始まった。アイドルたちは,全国各地域で行われるこの予選会で勝ち抜けば,年末に行われる「SS」本戦に出場できるという。北海道に派遣されたのはALKALOIDと,前回「SS」の優勝者であるにも関わらず,シード権を放棄して予選出場を決め,なぜかジャングルに放り込まれてしまったTrickstarだ。さらに,予選会に参加するアイドルたちにはそれぞれ「指令」が与えられており……。<全34話/シナリオ:日日日>

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 新たなメインストーリーを取り上げる今回の記事では,比較的ライトなユーザー向け&既存ユーザーのおさらい用の「チェックするとより物語を楽しめる過去ストーリー」および「ストーリーに登場するキーワードのチェック」をメインにお届けしていきたい。

◆本作をより楽しめる過去ストーリーをチェック

・「!」のストーリー
メインストーリー第一部〜第二部(+第三部)
 最近「あんスタ!!」を始めたばかりの人も,できれば「!」のメインストーリーにもひととおり目を通してほしいのが正直なところだ。ただし3部作すべてを合わせるとボリュームがとてつもないので,本作を読むにあたっては以下の事実だけでもおさえておいてもらいたい。

<第一部>
・夢ノ咲学院で,「SS」の出場権を賭けた【DDD】というライブ対決が行われた
・Trickstarの決起のもと,アイドルたちによる革命が成し遂げられ,学院で新たな歴史が始まった
「プロデューサー」の存在が革命を成功させた要因の一つであり,Trickstarにとってかけがえのない仲間になった

「!」メインストーリー第一部より
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<第二部>
・「SS」の出場権を得たTrickstarが,本戦に向けた前哨戦として「サマーライブ」で玲明学園のEveと,「オータムライブ」で秀越学園のAdamとぶつかりあった
・「SS」の本戦決勝(「ウインターライブ」)で,EveとAdamが合体したEdenとTrickstarが対決し,Trickstarが優勝した
・決勝の舞台上で,アイドルだった明星スバルの父が糾弾される事件が起きた(コズプロ上層部による策略)

「!」メインストーリー第二部【奇跡☆決勝戦のウインターライブ】より
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 なお,第一部・第二部ではTrickstarがストーリーの“主役”だったが,第三部「Sagaシリーズ」では,やがて「!!」の物語につながっていく,アイドル業界全体の「大きな流れ」が描かれている。こちらもぜひ。

・「!!」のストーリー
メインストーリー第一部
 舞台をESに移し,ストーリーはESの新人ユニット,ALKALOIDが中心となる。落ちこぼれとされ,ライブで成功しなければ解散するよう命じられた彼らと,新しい環境に移った夢ノ咲学院やライバル校のユニット。そして,彼ら全員を混乱に陥れようとするCrazy:B。これらのアイドルたちがどんな景色にたどり着いたかは,ぜひ本編で確かめてもらいたい。なお,アイドルたちが所属するESの四大事務所の基礎知識も,この新章第一部で知ることができる。

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【新星団★輝きのBIGBANG!】
 「何者でもない」存在から「SS覇者」となったTrickstarは,自分たちの個性と肩書の間で揺れ動き,思うような活躍ができないでいた。ここでは「ESアイドルたちを紹介する」新たな番組を担当するように命じられるが,彼らは与えられた予算を使い,他ユニットを招いてライブをする番組【BIGBANG】を誕生させる。どこまでも自分たちらしくあろうとする,文字通りの「トリックスター」ぶりが痛快な一作だ。

【羨望◆小さな翼のフェザータッチ】
 メインストーリー第一部のあとのALKALOIDの物語としては,こちらをピックアップしたい。第一部の【MDM】から順調に成長を重ねていた彼らは,初めて自分たちでライブの企画を考えることになる。一つの壁を乗り越えたその先の4人の絆がまぶしい,さわやかな物語だ。

◆ストーリー中のキーワードを解説
 今回の記事では,ストーリーの順を追ってキーワード解説していく。

プロローグ「ゲートキーパー 門前の小娘」より

いばにゃん,じめにゃん
→これまでは,接点どころかかなりタイプのかけ離れた存在だった,Edenの七種 茨とRa*bitsの紫之 創。2人はEdenとRa*bitsが出演した「ボギータイム」というバラエティ番組での共演を経て,お互いを愛称で呼ぶようになったようだ(【バラエティとタッグ/ボギータイム!】参照)。また,茨は「ゴッドファーザー」の血縁にあたる人物だったことも過去に明らかとなっている。詳しくは以前の解説記事にて。

「ゲートキーパー」とは?
→「!!」のメインストーリー第二部から登場した謎の人物。「ゲートキーパー」とはもちろん本名ではなく,今は亡きアイドル業界の“神”,通称「ゴッドファーザー」と何らかの関係があると思われる。ゴッドファーザー絡みは,こちらも過去記事を参照してほしい。

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 Happy Elementsのアイドル育成ゲーム「あんさんぶるスターズ!!Basic/Music」の新章スタート後,初めての年末年始を迎えるにあたりアイドルたちの軌跡をひもとく解説記事をお届けする。新たにプレイを始める人はもちろん,すでにプレイしている人も,ストーリーを楽しむ際の参考としてほしい。

[2020/12/29 00:30]

「サテライト」プロローグ〜周縁@Scratch第1話〜第10話

「SS」とは何か? をあらためておさらい
→日本全国のアイドルがNo.1を競い合う年末の一大祭典。夢ノ咲学院が主催しており,これまでは,学院への出資額が最も多い家庭の子息が所属するユニットに出場権があった。したがって昨年度は天祥院英智が所属するfineにその権利があったが,【DDD】と名付けられたライブ対決にて,出場権利を賭けた戦いが繰り広げられた。そこで勝利したTrickstarがその後の「SS」本戦で優勝を飾っているが,「SS」で夢ノ咲学院出身のアイドルが優勝したのは初めてのことだった。余談だが,【DDD】には“第2回”が存在し,そちらは「!」の【Link♪ここから始まるシンフォニア】で読める。

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「Powerこそが神さまなんだってさ」(白鳥藍良)
→ALKALOIDのメンバーが“神”について話すシーンで,白鳥藍良が風早 巽に同意を求めるこのセリフは,【羨望◆小さな翼のフェザータッチ】に出てきたものだ。藍良が羽ばたくきっかけを与えた巽との一連の会話のなかで,巽は神を信じ,世界を変えるPowerそのものを神と呼ぶのだと思うと語っていたのである。

乗り物が好きな風早 巽
→流星隊と共演した【交差する/モーターショウ】にて,巽が車の運転が好きであることが発覚した。ただしどうも彼はスピード狂のようで,“昇天ドライブ”なるキーワードも登場している。

「指令」と「裏指令」について
→今回の「SS」の特殊ルールとして,出場するすべてのメンバーに「指令」が与えられている。「指令」は他人に教えてはならず,「指令」を破れば罰金を取られるらしい。また,ユニットリーダーには「指令」のほかに「裏指令」が与えられており,破った場合は罰金ではなく「罰」がある。その罰とは,「ゲートキーパー」曰く「基本的にそいつが大事にしているもんを奪い取る」ものだという。

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去年は“武者修行”していたTrickstar
→昨年の【DDD】で「SS」の出場権を得たTrickstarは,その後「!」のメインストーリー第二部にて,全国各地で“武者修行”をしていたことが明らかとなっている。そこで出会ったアイドルたちは,「SS」予選で再戦したり,本戦での心強い味方となってくれたりしたようだ。また,今年度のTrickstarは「SS」のシード権を放棄しているが,彼らは昨年度の年末近くにも,【DDD】で得た出場権を一度返上し,それを賭けて【スタフェス】に参加した経緯があった(「!」【ノエル*天使たちのスターライトフェスティバル】参照)。

「あの御方が唯一,愛したのは実の子供だった」(「ゲートキーパー」)
→「ゲートキーパー」が語る,「御大」「世界で最も偉大な神さまで王さまだったあの御方」とは,“アイドルの祖”である通称「ゴッドファーザー」だと思われる。そして,Edenの乱 凪砂は彼に匿われていた過去がある。

「サテライト」冷戦@Paranoia第1話〜第6話

メインストーリー第一部でのALKALOIDとTrickstarの接点
→作中でも言われているとおり,この2ユニットはまだ意外と接点が少ない。メインストーリー第一部では,Crazy:Bの桜河こはくを“人質”に取ったKnightsから,「こはくを救いたくば『デュエル』で我々に勝利せよ」と戦いを仕掛けられたALKALOIDが,Trickstarの参入によりどうにか勝ちを拾った。なお,戦いを仕掛けた側のKnightsには,Crazy:Bを助けようとしていたALKALOIDの行動を援護する目的があったようだ。

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「サテライト」墜落@Joker第1話〜第13話〜エピローグ

「昔のfineは青い先輩がリーダーだった」
→明星スバルがここで言う「青い先輩」とは,現Switchの青葉つむぎのこと。一昨年度のfine(以下,「旧fine」)は,つむぎが書類上のリーダーで,実質的なまとめ役は天祥院英智だった。旧fineには,ほかに現Edenの巴 日和と乱 凪砂が所属していたが,その2人は五奇人との戦いを終えたあとで脱退,玲明学園と秀越学園にそれぞれ転校した。

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玲明学園の革命児だった巽
→旧fineが活躍していたころ,玲明学園では風早 巽が「革命児」と呼ばれていたという。当時の彼がどんな行動をしていたかは,メインストーリー第一部第5章「一番星」での,HiMERUのモノローグを読むとよく分かる。現在Crazy:Bに所属するHiMERUは,巽と同時期にお互いがソロで活躍しており,接点もあったようだ。だが,何らかのきっかけでHiMERUは巽を「裏切り者」と考えるようになり,今も恨んでいる様子である。

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「ネーミングセンスが天祥院先輩」
→これまで,何かとネーミングセンスをいじられている天祥院英智。彼が名付けたのは月永レオ率いる臨時ユニット「ナイトキラーズ」のほか,ライブタイトルの【DDD】や【MDM】などがある模様。なお,【DDD】は実は日本語の頭文字であることが「!」の【Link♪ここから始まるシンフォニア】で明かされている。さらに【MDM】は2winkの葵ひなたの口から「もっと・大好き・増し増し祭」の略と言われているが,こちらの真偽は不明。また最近では,自分の作った特製ドリンクを「皇帝液」と名付けていたことも見逃せない(天祥院英智アイドルストーリー「昼下がりのガーデンで」より)。

何かと屋外ステージを建てていた夢ノ咲学院生
→“北海道ジャングル”で野外ステージを組み立ててしまったTrickstar。夢ノ咲学院ではアイドルたち自らがステージ建設に携わることも多く,そうした様子もいくつかのストーリーで描かれてきた。よく考えるとアイドル自ら大工道具を握るのはなかなかすごいことではないだろうか……。

「!」【ジャッジ!白と黒のデュエル】より
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“嘘くさい笑顔”
→ストーリー終盤,いつもと様子が違うプロデューサーに対して遊木 真が言うセリフ。真はかつて自分もそういう表情をしていた話をするが,この“嘘くさい笑顔”というキーワードは,「!」の【リメンバー 真夏の夜の夢】に登場している。

「!」 【リメンバー 真夏の夜の夢】より
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ストーリーピックアップ
「メインストーリー第二部『SS』編/2nd Stageサブマリン」

公開開始:2021年5月31日〜(Basic/Music)


――あらすじ――

 【SS】の予選会で,沖縄に向かった流星隊と紅月。そこでは多くのESアイドルたちが地元アイドルを相手にライブ対決を繰り広げており,殺伐とした空気になっていた。そんななかで流星隊は,劣勢となった地元アイドルに助けを求められて手を貸すことになる。一方の紅月は,とある理由でユニット内の決定権を握った颯馬が,リズリンのベテラン勢を利用した下剋上を企てる。そのころ,深海奏汰が地元の宗教団体によって「神さま」に祭り上げられたという連絡が入り……。<全31話/シナリオ:日日日>

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◆本作をより楽しむための過去ストーリーをチェック

・「!」のストーリー
【追憶*流星の篝火】
 メインストーリー第二部「サブマリン」を読むにあたり,これだけは絶対に外せないマストすぎる一作。【流星の篝火】では,夢ノ咲学院1年生だったころの守沢千秋と深海奏汰の出会いから描かれる。この話には「サブマリン」でもよく名前が登場した元流星隊の三毛縞 斑も登場しており,彼らの過去を押さえておくと,現在の物語により深みが生まれるはずだ。【海神戦】についてもこの話を参照。
 なお,流星隊に南雲鉄虎,高峯 翠,仙石 忍が加入してからのストーリーでは,1本選ぶなら【バトンタッチ!涙と絆の返礼祭】をおすすめしておきたい。

「!」【追憶*流星の花火】より
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【追憶*それぞれのクロスロード】
 流星隊の過去を知るのに必須なのが【流星の篝火】なら,紅月の過去についてはまず【クロスロード】を押さえてほしい。ここでは蓮巳敬人と鬼龍紅郎,神崎颯馬が出会って間もないころの様子のほか,かつての夢ノ咲学院で敬人が革命を起こそうとしていた経緯が描かれている(昨年のTrickstarや,その前の天祥院英智による革命よりさらに前の話)。そしてもう一つおすすめしておきたいのが,【花吹雪*皐月の藤紫】だ。こちらは紅月ではなく,颯馬が単独で参加したライブに関するストーリーとなっているが,颯馬と奏汰の関係性をより深く知る上で重要なものとなっている。「サブマリン」を読む前に,目をとおしておくといいかもしれない。

「!」【追憶*それぞれのクロスロード】より
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・「!!」のストーリー
【一戦!矜持示す天下布武】
 リズリンという事務所はいわゆるベテラン勢が多いところで,入所したばかりの紅月は,なかなか目立った活躍ができず苦労していたようだ。だが,自分たちに何ができるのか,何をやるべきなのか? をとことん考えて大人社会で戦う方法を見つけ,本番ステージに挑んだ彼らの姿は実にまぶしいものだった。新しい時代の新しい紅月,という意味で,本作は彼らにとって欠かすことのできない物語と言える。


【変身!星々を繋ぐコメットショウ】
 新章に入ってから現在までにさまざまな物語が描かれてきたなかで,全ユニット中で最も大きな事件が起きたと言えるのでは? と思うのが流星隊の【コメットショウ】だ。今年度に入ってからの流星隊には,南雲鉄虎を中心とした夢ノ咲学院での活動形態である「流星隊N」と,守沢千秋を中心とした従来の「流星隊M」の二つの形態が存在したのだが,ESに活動の基軸を移した5人の「流星隊」として活動を続けることとなった。


◆ストーリー中のキーワードを解説

プロローグ〜激戦区・沖縄 第1話〜

神崎颯馬の刀
→常に日本刀(本物)を持ち歩く颯馬だが,これは「きちんと政府の許可を得ている」らしい(「!」の【追憶*それぞれのクロスロード】より)。

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奏汰が経営する水族館
→「あおうみ水族館」。最初にこの場所が詳しく描かれたのは「!」の【ドロップ*遠い海とアクアリウム】。新章では【スカウト!サマースノー】にて,みんなの協力で経営難を乗り越えた流れを読める。

リズリンでの接待
→リズリンのベテラン勢への接待話で,UNDEADの零や薫も春ごろは同じようなことをしていたという話が出てくるが,そちらの流れは【Howl!魂を燃やす不夜城】で。

美濃の蝮
→戦国時代の武将,斎藤道三のこと。油売りの行商人から身を起こし,下剋上の限りを尽くして美濃(現在の岐阜県)の戦国大名にまで出世した。諸説あり。

ニライカナイ 第1話〜第14話,エピローグ

「ニライカナイ」とは
→沖縄で古くから伝わる,海のかなた(あるいは海の底)にあると信じられている楽土。

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高峯バリケード
メインストーリー第一部第5章「一番星」にも登場した“高峯バリケード”という必殺技(?)は,「!」の衣更真緒ストーリー「バスケ部の日常」で,守沢千秋が名付けたものである。

お化けが怖い/本を読む守沢千秋
→お化けが苦手で,寝る前に眼鏡をかけて本を読む千秋の姿は「!」の【お化けがいっぱい☆スイートハロウィン】を参照。

「!」【お化けがいっぱい☆スイートハロウィン】より
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◆ユニットを超えたつながり
 第二章「サブマリン」を読んでいて印象深かったのが,ユニットを超えたアイドル同士のつながりだ。それぞれの関係性に過去のストーリーがしばしば思い出されたので,ここで紹介しておきたい。

鬼龍紅郎と南雲鉄虎
→言わずもがな昨年度「空手部」で一緒だった2人。一押しのストーリーはもちろん,空手部の“返礼祭”とも言える「!」の【スカウト!拳闘の四獣】

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蓮巳敬人と深海奏汰
→先ほども挙げた「!」の【追憶*流星の篝火】によれば,奏汰の家と,敬人の実家(寺)は昔から折り合いが悪かったらしい。2人は夢ノ咲学院でも,五奇人と生徒会派閥という敵対関係にもなった。

神崎颯馬と深海奏汰
→同じ海洋生物部のメンバーなだけでなく,家同士に深いつながりがあったことが,先ほども挙げた「!」の【花吹雪*皐月の藤紫】で明らかとなっていた。海洋生物部での関係性については「!」の【ドロップ*遠い海とアクアリウム】などもおすすめ。

蓮巳敬人と南雲鉄虎
→本作で敬人に対し,「紅月に入ろうとして落ちた苦い記憶が蘇って緊張する」という鉄虎。この2人の昨年度の組み合わせで印象的だったのが,「!」の【剣戟!月光浪漫の歌劇】だ。紅郎と敬人との共演で緊張する鉄虎がほほ笑ましい。

仙石 忍と蓮巳敬人
→本作で忍が,「ポ*モン」を知っている敬人に「喋れば喋るほど親しみを覚える」と話していたが,「!」の【暗躍!月影の風雲絵巻】では,敬人が「忍者と恐竜が嫌いな男子はいない」と言い,忍を喜ばせていたことがある。

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仙石 忍と神崎颯馬
→アイドルでありながら,かたや忍者,かたや武士という個性際立つ2人。先述の【風雲絵巻】での共演も印象的だが,個人的におすすめしたいのは「!」の仙石 忍ストーリー「武者と忍者」。このあたりから意気投合した模様。

鬼龍紅郎と守沢千秋
→「眼鏡くん」「鬼龍くん」と,懐かしい名前で呼び合う姿にぐっとくる2人。彼らの出会いは,「!」の過去ストーリー【追憶*流星の篝火】【追憶*それぞれのクロスロード】を参照。また,紅郎のドラマ出演に千秋が協力する【スカウト!熱血硬派】もぜひ押さえておきたい。

高峯 翠と蓮巳敬人
→気が合いそうとは言い難い2人だが,「!」の【風雲絵巻】にて,ゆるキャラ好きな翠が敬人にイラストを描いてみせたことがある(「はんぞうモン」と「ひこ*ゃん」)。また,「!」の【スカウト!ビブリオ】では,紫之 創や青葉つむぎたちとともに,雨の日の図書館で一緒に過ごしたことも。

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〜名前のみ登場する人物とのつながり〜

鬼龍紅郎と斎宮 宗
→幼なじみ。幼いころは何かといじめられていた宗を,紅郎が助けてやることもあったらしい。宗は紅郎の亡き母を慕っていた。2人の関係性が見られるストーリーは多いが,挙げるなら「!」の【追憶*マリオネットの糸の先】【スカウト!ノクターン】を。

蓮巳敬人と天祥院英智
→こちらも幼なじみ。寺の息子である敬人が,葬祭の折などに天祥院家に出入りするようになったらしい。病弱な英智は,漫画家になりたかった敬人にいろいろな物語を聞かせてもらっていたという。彼らの物語で個人的なおすすめは,なんといっても「!」の【決別!思い出と喧嘩祭】。なお,「サブマリン」の作中で敬人が言う「目を離すと死にそうな乳児の如き幼馴染」は英智のことで,「毎日でも語り合いたい友」とは朔間 零のことだと思われる。

鬼龍紅郎と三毛縞 斑
→彼らについてはぜひとも「!」の【躍進!夜明けを告げる維新ライブ】を読んでほしい。周りに後輩や仲間がおらず,2人だけになったときの会話のヒリヒリする雰囲気が見どころ。ちなみに彼らはESアイドルの高身長TOP3に入る2人だ(紅郎181cm,斑180cm)。近くで見たら相当な迫力がありそうだ……。



 キーワード解説の最後に,第二章までのストーリーから読み取れる範囲での「指令」をまとめてみた(※ただし不明も多数)。気になる人,答え合わせしたい人は以下のボタンからチェックしてみてほしい。


「ここをクリックして開く」


Trickstar
氷鷹北斗:不明/(裏)運営側の命令に逆らわないこと
明星スバル:不明
遊木 真:不明
衣更真緒:不明

ALKALOID
天城一彩:不明/(裏)「SS」予選会で5位以内に入ること
白鳥藍良:体重を一定に保つこと
礼瀬マヨイ:不明
風早 巽:「ゲートキーパー」の指示に従うこと

流星隊
守沢千秋:定期的にユニットから離れること(指令/裏指令かどうかは不明)
深海奏汰:リーダー不在時にユニットを率いること
南雲鉄虎:暴力を振るわないこと
仙石 忍:ステージで忍者言葉を使わないこと
高峯 翠:ゆるキャラに触らないこと

紅月
蓮巳敬人:不明/(裏?)ユニットの方針を颯馬に委ねること
鬼龍紅郎:衣装まわりの仕事をしないこと
神崎颯馬:魚介類を食べないこと

第二章で明らかとなった「契約」
プロデューサー:Trickstarをジャングルから救出するかわりに,一切のプロデュース活動をしないこと


◆メインストーリー第二部「SS」編〜第一章「サテライト」&第二章「サブマリン」所感

 ついにメインストーリー第二部が始動。テーマは「SS」で,第一章「サテライト」では北海道地区予選のALKALOIDとTrickstarが,第二章「サブマリン」では沖縄地区予選の流星隊と紅月がフィーチャーされた。今後,あと5回の予選を経て,物語は年末の決勝戦へと進んでいく予定のようだ。

 初っぱな,「なぜジャングルに……」とファンを大いに戸惑わせ(笑わせ?)たTrickstar。だが,この経緯には複雑な事情があったらしいことが分かる。ピンチをチャンスに変える,とはよく言われる言葉だが,それをさらに“誰も思いつかないような奇策”で解決してみせるのがTrickstarだ。前年度のSS覇者である彼らには,誤解を恐れず言うなら「いい意味で貫禄がない」ように筆者には感じられる。4人の絆はこれ以上ないほど固く結ばれたものであるけれど,どこまでも軽やかで,自由自在に宇宙を飛び回れるやんちゃな星たちというイメージなのだ。終盤に北斗が言う「動かないのは死んでると同じだ」は,まさに昨年の春,夢ノ咲学院を動かしたあの革命における情熱を思い出させる。

 そしてもう一つ,「肩書に執着はないが,タダでくれてやるつもりもない。それは自分たちが愛されたことの証明だ」の言葉は,Trickstar4人全員の総意だと思う。それはあまりにも力強く頼もしく,あの“何者でもなかった”彼らがここまでの存在になったのかと,その大きな成長を感じずにはいられなかった。

画像集#038のサムネイル/「あんスタ!!」ストーリー紹介連載第21回。エイプリルフール企画「宇宙戦争編」,メインストーリー第二部SS編・第一章「サテライト」,第二章「サブマリン」を語る

 同じく北海道予選に現れたのがALKALOIDだ。メタな意味で,彼らにはTrickstarと同じく“物語(大きな流れ)の主人公”という共通点がある。だが,同じなのは人数くらいで,個々の性格も,ユニットとしてのカラーもまったく異なっている。個人的には,Trickstarが「4人兄弟」だとすれば,ALKALOIDは「4人家族」のイメージがある(作中でも,巽がマヨイに自分たちが両親のような存在だと話している)。けれど今回,巽がほかの3人に言えない秘密を抱えてしまったことによって,4人はバランスを崩しかけてしまう。「あんスタ!!」のテーマの一つは“1人ではできなくても,みんなと一緒ならあんさんぶるできる”だと筆者は考えているのだが,自己犠牲の精神がものごとを悪いほうに複雑化してしまうのは,言ってみれば夢ノ咲学院時代からの“あるある”話なのだ。

 「サテライト」で筆者の好きなシーンの一つが,1人で問題を抱える巽に一彩が声をかけたシーンだった。ここでの一彩のセリフ「でも今の僕は,アイドルとしての僕を肯定する。『ALKALOID』としての僕を,誰かから愛してもらえる僕を」には強く心を動かされた。そうしてくれたのは巽たち仲間のおかげだと,その恩を一生忘れないと一彩に言われ,巽はどんなに救われただろうと思う。そうした「恩を受けた誰かにどうすれば報いることができるのか」という気持ちは,終盤の巽のモノローグにもつながっている気がする。そしてその答えはおそらく,「アイドルとしてやりたいことをやる」なのかもしれない。

画像集#039のサムネイル/「あんスタ!!」ストーリー紹介連載第21回。エイプリルフール企画「宇宙戦争編」,メインストーリー第二部SS編・第一章「サテライト」,第二章「サブマリン」を語る

 第二章「サブマリン」は,のんびりとした気風とは裏腹に,殺伐とした戦いが繰り広げらる沖縄が舞台となった。ここでの紅月は個人的に,正直あまり語ることがないのだが……断じて悪い意味ではない。それは【天下布武】を経て,過去のしがらみや遠慮という鎖を断ち切り,新しく生まれ変わった紅月への揺るぎない安心感があったからだ(だからといってほかのユニットに信頼がない意味ではないことをお断りしておく)。なので,ユニット内での関係性より――命令できない敬人と,命令されなくて戸惑う颯馬のやりとりは目が離せない愉快さだったのだが――対・流星隊メンバーとの間で印象的な場面が多かったように思う。先ほども述べたが,紅月の3人がらみで挙げるなら,とくに紅郎と千秋,敬人と奏汰,颯馬と奏汰の関係性だ。

 作中でも言われていたとおり,「サブマリン」は【流星の篝火】を思わせる展開が多く見られたが,なかでも颯馬と奏汰のつながりは,その当時からさらに変化して,今この瞬間らしい“答え”を導くきっかけとなったように思う。

画像集#040のサムネイル/「あんスタ!!」ストーリー紹介連載第21回。エイプリルフール企画「宇宙戦争編」,メインストーリー第二部SS編・第一章「サテライト」,第二章「サブマリン」を語る
画像集#041のサムネイル/「あんスタ!!」ストーリー紹介連載第21回。エイプリルフール企画「宇宙戦争編」,メインストーリー第二部SS編・第一章「サテライト」,第二章「サブマリン」を語る

 流星隊は本人たちも言うとおり,【コメットショウ】からの空気を引きずっていたように感じた。ユニットの構成や(一部とはいえ)担当カラーが変わるのは極めて大きな事件なので,そりゃまだガタガタしていても仕方ないだろう,という気もする。作中で敬人が千秋に「行き過ぎた善性,聖性は人を道から外すぞ」と言っていたが,【コメットショウ】を経てもなお(むしろ経たからなのか),千秋はすべての責任を過剰なまでに背負おうとしているように筆者には思えた。ただ,そんな彼に対してメンバーは腫れ物に触るような態度を取るわけではなく,わりと言いたいことを言っている。これはある意味で安心できる要素で,後輩たちにおけるそれは“自我の芽生え”や“反抗期”における態度のようにも思える。

 彼らがときおり醸し出すギクシャクした空気にやきもきする人もいるかもしれないが,筆者としては,終盤における千秋の「あの日,当たり前のように大掃除を手伝うため駆けつけてくれた,おまえたちの姿を生涯忘れない。本当に,俺は嬉しかったんだ」「ずっと待ち望んでいた,ヒーローがきてくれた」というモノローグを聞けば,固く結ばれた5人の絆を疑う余地はないように思う。また,奏汰が後輩たちに,自分から身の上話を打ち明けたところも深く心に残った。彼は昨年度には,気のおけない仲間である五奇人にさえ「自分の家のことは忘れてほしい」と言っていたくらいだったのだ(「!」の【スカウト!エキセントリック】より)。

 流星隊は今まさに,“新たな章”に入ったところのように感じられる。解決すべき課題は多いかもしれないが,それこそが“戦い続けるヒーロー”らしいとも思う。【スーパーノヴァ】のころから奏汰が言っているように,「最終的に笑顔なら勝ち」だ。ラストの奏汰と颯馬の会話を聞いていて感じたのは,我々はネガティブな気持ちを生むことなく,彼らのステージを観て笑顔になることこそが,アイドルである彼ら自身の心からの願いなのかもしれないということだった。

画像集#042のサムネイル/「あんスタ!!」ストーリー紹介連載第21回。エイプリルフール企画「宇宙戦争編」,メインストーリー第二部SS編・第一章「サテライト」,第二章「サブマリン」を語る
画像集#043のサムネイル/「あんスタ!!」ストーリー紹介連載第21回。エイプリルフール企画「宇宙戦争編」,メインストーリー第二部SS編・第一章「サテライト」,第二章「サブマリン」を語る

 最後に,「ゲートキーパー」について。彼は第一章「サテライト」のラストのステージを観ながら,「こうなればいいなと期待していた」と言い,第二章「サブマリン」の後半では,「沖縄の予選会は,限りなく理想どおりに,予定どおりに進行している」としながらも,「ゴッドファーザー」の秘密を追っているらしい三毛縞 斑の牽制には失敗したと語っている。ESの思惑と彼の狙いは同じなのか,ゴッドファーザーとの関係は,プロデューサーやアイドルたちの運命は……など気になることは満載だが,まだまだ前哨戦は始まったばかりである。これから明かされていく物語を心待ちにしつつ,アイドルたちを応援していきたいと思う。

 第22回記事もお楽しみに!

■たまお(ライター)■

 エンタメ系フリーライター。音楽・ゲーム業界などでの社会人生活を経て,作品やキャラの素晴らしさを文章で伝えるためにライターへ転向。現在4Gamerにて「あんさんぶるスターズ!!」のストーリー解説記事を連載中。このほか追いかけ中のタイトルは「アルゴナビス」「スタマイ」「ツイステ」「ヒプマイ」「パラライ」「刀剣乱舞」「A3!」「まほやく」「ブラスタ」など。

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