スパイク・チュンソフトは,PS4用ソフト「
CONCEPTION PLUS 俺の子供を産んでくれ!」を2019年1月31日に発売する。
タイトル名と
“エンドレス子作りRPG”というジャンル名が強烈な本作は,2012年4月にPSP向けに発売となり,2018年10月にはTVアニメ化された「
CONCEPTION 俺の子供を産んでくれ!」のPS4向けリメイクタイトルだ。グラフィックスの高解像度化や一部演出の強化,新キャラクター追加などにより,パワーアップして“再誕”する本作を紹介しよう。
新たな魅力を持つ13人目の巫女アーフィーも登場
ケガレを祓うため「愛好の儀」で星の子を産み出そう
主人公は,名前と生年月日,血液型を変更できる
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まずはストーリーから紹介しよう。主人公の
弓削イツキは,幼いころに両親を亡くし,同級生でいとこの
粉月マヒルの家に居候しながら学園生活を送る高校生。ある日,マヒルに学校の屋上に呼び出されたイツキは,その場で「私ね……妊娠したみたい……」と告げられる。
その告白に驚いていたところ,突如として上空に謎のゲートが出現。それに吸い込まれた2人は,気が付くと見知らぬ場所にいた。
案内役のマナ。見た目は可愛いが言葉使いに難があり,内容も俗っぽいものばかり
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2人がたどり着いた場所は,星の力によって成り立つ魔法世界「グランバニア」。王である
シャングリラや宮廷学者の
ナルシステスから,「人の交わり」によって排出される邪悪なエネルギー
「ケガレ」によって世界が危機に瀕していることや,自身がケガレを祓う力を持つ救世主
「マレビト」として召喚されたことを告げられたイツキは,元の世界に帰るため,ケガレを祓い世界を救うという大役を引き受ける。
 イツキに世界の命運を託す,王のシャングリラ |
 ナルシステスは,この世界について詳しく教えてくれる |
ケガレを祓う力を持つのは,マレビトと,マレビトと12星座の
「巫女」との間に産まれた
「星の子」のみ。イツキは,マヒルを含む12人の巫女と,星の子を産む儀式
「愛好の儀」を執り行い,星の子たちとともにケガレが集められている
「星屑の迷宮」に挑むことになるのだ。
この11人にマヒルを加えた12人が,12星座の巫女としてイツキとの愛好の儀を執り行うことになる。なぜマヒルのみ,現実世界から呼ばれたのか? こちらも気になるところだ
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本作は,グランバニアの街で巫女たちとの交流やパーティの編成などを行うアドベンチャーパートと,ケガレを祓うべく怪物と戦いながら迷宮を探索するRPGパートという,大きく分けて2つのパートでゲームが進行する。
アドベンチャーパートでメインとなるのが,12星座の巫女たちと交流する
「キズナイベント」だ。愛好の儀では,相手の巫女の機嫌や好感度,そしてイツキとの関係性の深さが,産まれてくる星の子に影響する。より強い星の子を授かるため,コミュニケーションを重ねて絆を深めよう。
巫女は,頑張り屋で常に全力投球な郵便配達員の
タルア,わがままだけど素直な一面を持つ大富豪の一人娘
フェミルナ,引っ込み思案で少し後ろ向きな絵描きの
ユズハなど,それぞれ異なる職業を持っており,その性格もさまざまだ。どの巫女も個性的で魅力があり,まず誰から関係を深めていくか迷うことになるだろう。
 祖父の作ったパン屋を1人で切り盛りするコレットは,水瓶座の巫女だ |
 動物好きな射手座の巫女スゥは,学園内の飼育小屋で動物の世話をしている |
蟹座の巫女で,普段は孤児院の手伝いをしているルカ。触れるだけで相手の心が読み取れる「ツクヨミ」という力を持つ
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筆者のお気に入りは宮廷医師の
レオーネだ。セクシーな雰囲気はもちろん,イツキをからかう際に見せる茶目っ気や,しっかり者で真面目な“大人の女性”としての一面に魅了された。ゲームを進めてさまざまな巫女と交流していくことで,筆者のように“推し”の巫女が見つかるはずだ。
さらに本作の
新キャラクターで,13人目の「蛇遣(へびつかい)座の巫女」として登場する
アーフィーも見逃せない。星の子を訓練する「育て屋」の教官である彼女は,かつて行われた「星の子の巫女化計画」の被験者となった星の子だ。普段は素直で優しい性格だが,自身が星の子だからなのか,星の子育成への使命感に熱く,教官として厳しい一面も持っている。
もちろん彼女とも愛好の儀を執り行うことができるが,それにはとある条件をクリアしなければならない。ここでは詳細を明かせないが,「CONCEPTION」らしいと感じさせる内容だったので,ぜひ新エピソードとなる彼女の物語を楽しんでほしい。
新キャラクターのアーフィーを含め,巫女たちはそれぞれ個性的で魅力があり,本稿では紹介しきれない。ぜひゲームをプレイして会ってみてほしい
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巫女に会いに行くときや施設を利用するときは,マップのメニューから行きたい場所を選んで移動する
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グランバニアでは,マップのメニューで「休憩を取る」を選択したときや,迷宮探索から帰ってきたときなどに1週間が過ぎ,4週間で1か月,12か月で1年が経過する。1週間で行える「キズナイベント」の回数は限られているので,よく考えて巫女に会いに行こう。
巫女との会話では,選択肢が表示されることがある。返答によって巫女の機嫌や好感度が変化するので,それぞれの性格を考えながら真摯に受け止め,最良と思える選択をしよう。イベントをうまく進められると,愛好の儀を執り行う際に必要な
KP(キズナポイント)が入手できる。好感度が高まってきたら,いよいよ愛好の儀だ。
現実の世界と同じく四季があり,バレンタインデーや花見,海水浴,体育祭といった季節のイベントも起きる。こちらも楽しみつつ巫女との絆を深めていこう
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ここであらためて愛好の儀を説明したい。愛好の儀とは,イツキと巫女が「マトリョーシカ」に魂を注ぎ込んで星の子を産み出す儀式だ。まさにサブタイトルの「俺の子供を産んでくれ!」に関わる部分で,そのセクシーな描写も気になるところだが,この世界を救うための重要な“儀式”であり,決して不道徳な行いではない。粛々と執り行おう。
絆を深めた巫女が2人いれば,より能力の高い星の子が産まれる「W愛好の儀」も行える。……ゴクリ
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愛好の儀が終わったら,産まれてきた星の子の職業選びだ。星の子にはATK(攻撃力)やMAT(魔法攻撃力),SPD(素早さ),LUC(運の良さ)といった,RPGでおなじみのパラメータがあり,条件を満たした職業に就くことができる。
星の子の能力は,巫女によって異なるパラメータの傾向,巫女の機嫌や好感度,誕生した季節などによって変動し,さらにマトリョーシカの種類に応じてステータスや属性が変わっていく。ひととおりの人数が揃ったら,このあたりも意識しつつ儀式のパートナーを選び,星の子の職業を決めよう。
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MIKO DATAの画面で,巫女の機嫌やパラメータ傾向を確かめよう |
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属性の付与やステータス向上など,マトリョーシカの種類もさまざま。迷宮探索やケガレとのバトルで手に入れよう |
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星の子は,KPが手に入ったり,巫女の機嫌がよくなったりといったギフトをもって産まれてくる |
物理攻撃が得意なFIGHTER,魔法を操るMAGICIANなど,職業とその特徴もRPGではおなじみのものなので,すぐに理解できるだろう。パラメータが高い星の子が産まれると,上位の職種が開放される
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手強いケガレやトラップが待ち受ける「星屑の迷宮」
弱点を突き,コンボを放って強敵に勝利しよう
イツキと星の子によるパーティを組んだら,ケガレを祓うため星屑の迷宮へ挑もう。
星屑の迷宮は,「春」「夏」「秋」「冬」という4つのブロックに分かれており,それぞれの地下10階には3つの分岐がある。星座を司る12種の
「星授」は,その先の最深部に納められているのだ。
人々のケガレを吸収する力を持つ星授は,星の巡りによって10年ごとに1つずつ力が失われていき,
「ケガレ神」という変わり果てた姿になってしまう。これを倒し,新たな星授を納めることこそ,マレビトであるイツキと星の子たちの使命となる。
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武器は1人ずつ選択するだけではなく,まとめ買いも可能だ |
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山羊座の巫女ファルンが踊り子として働く酒場では,クエストが確認できる。迷宮に入る前に,達成条件や報酬を見ておこう |
迷宮には強敵が待ち構えている。装備やパーティ編成をしっかり確認してから迷宮に向かおう
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潜るたびに形を変える迷宮は,3Dダンジョンのシンボルエンカウント形式となっており,イツキ+12人の星の子たちの最大13人で探索できる。宝箱や体力回復のスポットがある一方,不利な状況になってしまうトラップも多数仕掛けられているので,マップを確認しながら慎重に進もう。
青く光るポータルを見つけて次の階層に進もう。ケガレは5階層潜るごとに強くなる。手強いと感じたら,地上に戻るポータルで一度引き上げて,装備を整えたり星の子のレベルを上げたりしてから再度挑もう
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魔物と化したケガレとのバトルはコマンド選択式で,イツキに加えて,4人1組で行動する星の子たちのチームを指示して戦う。攻撃する際に重要となるのが位置取りだ。敵の側面や背後に回り込みながら「WEAK POINT」を狙うことで,大ダメージを与えられる。
もちろんケガレも一方的にやられているだけではない。ときに広範囲に向けて放つ「強攻撃」を繰り出すことがある。その際必ず予備動作を行うので,画面表示や行動順,位置取りを確認しながら,仲間を動かしたりガードさせたりして耐え抜こう。
ケガレを攻撃するとOVER CHAINゲージが溜まっていく。最大ゲージの
「OVER CHAIN」状態になると敵全体の行動順を遅らせて,一方的にコンボが仕掛けられるようになる。同じ敵に攻撃し続けていると,その敵単体のみの行動順を「CHAIN」状態にすることも可能だ。コンボ数に応じて,取得経験値とKPのボーナスが加算されるので,状況を見極めながら積極的に狙っていこう。
さらにチーム4人の星の子の力を集結して
「星天使」に変身する
「GASSIN」という技もある。強力な力を発揮するがその分KPを消費するので,強敵相手やピンチのときなどに使おう。
バトルは,シンプルで分かりやすさがありながらも戦術性が高く,なかなか攻略しがいのある難度となっている。RPG好きなプレイヤーでも満足できるはずだ。
星の子を「独り立ち」させることで街に新たな施設がオープンし,街の規模も大きくなる。独り立ちした星の子から仕送りが届くことも。レベル上限を迎えて強い敵と戦うことができなくなった星の子も,こういった形で冒険をサポートしてくれるのだ
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巫女たちがより可愛く,マヒルも親しみやすい性格に
オリジナル版プレイヤーも新鮮な気持ちで楽しめる
“PLUS”となったのは新キャラクターのアーフィーだけではない。最も目に付くところが,
グラフィックスの向上だろう。プラットフォームがPSPからPS4になったことで高画質化されただけではなく,キャラクターの動きや演出面といった細かい部分も強化されている。
中でも注目してほしいのが,キズナイベントや愛好の儀などの会話パートで使用されている,
巫女の3Dキャラクターモデルだ。
大塚真一郎氏が手掛けたキャラクターデザインのイラストに近いクオリティとなり,
より可愛く魅力的になっている。オリジナル版のプレイヤーには,ぜひ3Dキャラクターの進化に触れてほしい。
システムメニューの「データベース」では,3Dキャラクターモデルやさまざまな表情を堪能できる
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さらにオリジナル版プレイヤーにお伝えしたいのが,
マヒルの性格の変化だ。言動があまりにもツンツンすぎてきつい性格に見えていたマヒルが,幼なじみとしての親しみやすさがある,穏やかな性格になったのだ。オリジナル版のマヒルになじめなかったという人には,ぜひリベンジしてほしい。ほどよく“ツン”も残っているので,オリジナル版のマヒルが好きだったという人もまた好きになれるはず。
なお,諸事情によりタッチコミュニケーション機能が削除されている。「これを楽しみにしていたのに……」とガッカリした人もいるかもしれないが,その分グラフィックスの向上や,親しみやすくなったマヒル,13人目の巫女アーフィーといった新要素が加わっているので,新たな楽しみを見つけられるだろう。
巫女と交流を重ねて絆を深める。新たな星の子を授かり,能力を見極めて職業を決める。バランスの良いパーティを組んで装備を充実させ,さらなる強敵に挑む……。この,恋愛アドベンチャーとハック&スラッシュという2つの要素がうまく融合されており,どちらの良さも十分に味わうことができた。
初めて手にするという人はもちろん,オリジナル版を遊んだという人も,あらためて新鮮な気持ちでゲームをプレイしてみてほしい。