「夢現Re：Master」の魅力を，声優の吉岡麻耶さんと井澤詩織さんが語った，発売直前イベントレポート。お二人へのミニインタビューも掲載

　工画堂スタジオは，2019年6月13日発売予定のアドベンチャーゲーム「夢現Re：Master」（PC / PlayStation 4 / PlayStation Vita / Nintendo Switch・以下，ゆリマスター）の発売直前イベント「秋葉原から生配信 夢現Re：Master 発売直前おさらい中」を2019年6月8日に開催した。


　会場となったコトブキヤベース・アキバには大勢のファンが集合し，パーソナリティの吉岡麻耶さん（大鳥あい役）と井澤詩織さん（太刀花なな役）と共に，本作の魅力について語るトークが繰り広げられた。本稿ではその模様をお届けしていこう。

MC席左から井澤詩織さんと吉岡麻耶さん。イベントはYouTubeとニコニコ生放送にて中継された

モニター裏には原案・ディレクターのみやざー氏がマイクを持って待機し，開発トークを添えた

「夢現Re：Master」公式サイト

　「キラ☆ふわガールズラブ ゲーム制作会社アドベンチャーゲーム」と銘打たれた本作は，帝都東京の都心からほど近い虹園寺（こうえんじ）に存在するゲーム制作会社「ユリイカソフト」を舞台とした百合ものアドベンチャーゲームだ。主人公の大鳥あいは，家庭の事情で疎遠になってしまった妹のこころを訪ねて，彼女が勤めるユリイカソフトに入社。そこで出会う個性的なキャラクターとの交流や，ゲーム制作の裏側を垣間見るような物語が展開される。
　主人公である大鳥あいは，妹のこころが大好きな平凡な女の子。劇中では思わず田舎の方言が出てしまうセリフもあり，演じる吉岡さんは本格的な栃木弁の指導のもとに演技をしたそうだ。根暗でネガティブ気質でやや天然なところはあるものの，基本的にはいい娘で，プレイヤーの誰もが可愛いと思えるキャラクターに設定したと，ディレクターのみやざー氏は解説した。

吉岡さんが演じる主人公，大鳥あい

　ここでスクリーンには，本作の3つの特徴が映し出された。一つ目は「ゲーム制作会社を舞台にした，社会人百合物語」だということ。本作にはゲーム会社ならではのエピソードが盛り込まれていて，これらは工画堂スタジオを中心とする開発スタッフの経験を踏まえた内容になっているという。
　ゲーム開発における用語などはもちろん，ゲーム会社における“あるある”な出来事も数多く登場し，「ゲーム会社に勤める人には他人事とは思えないような絶望的な状況」といった描写もあるとのことで，該当するプレイヤーに向けた注意喚起も飛び出した。ちなみに専門用語が登場するアフレコにはかなり時間がかかったそうで，吉岡さんは13日間，井澤さんも5日間，収録に費やしたそうである。

ゲーム中に登場する開発用語の例。「エンバグ」は，バグを入れてしまうこと。バグ修正のときに新たなバグを入れてしまったときなどにも使われる

　続いて二つ目は「女の子しか出てこない世界の百合物語」。女の子しか存在しない本作の世界観において，友情や恋愛などの日常はすべてが百合になるという。この世界観設定はみやざー氏考案によるもので，男性を当て馬にするような百合では，女性同士の恋愛が禁忌となりがちで，シチュエーション作りが限られてしまうそうだ。そこで，思い切って男性キャラクターを除いたと解説。女の子同士の恋愛が普通なので，物語のバリエーションも豊富に作られている。
　そんな世界に登場するキャラクターには，実の妹でお姉ちゃん子なはずなのに，今はなぜかあいに対してきつく当たるゲームディレクターの「柳谷こころ」，「プチザウルス」とあだ名され，マイペースで唯我独尊なシナリオライター「無限堂さき」，ギシリア出身で日本の文化を愛するイラストレーター「マーリー・マーラー」，彼女ら開発陣を取り仕切るユリイカソフト社長兼プログラマー兼広報の「醍醐ほのか」とその愛犬で副社長の「ばな子」，そして本業は声優で金髪，巨乳，メイド服姿のアルバイト「太刀花なな」といった個性あふれる面々がそろっている。

ユリイカソフトに勤務する主な登場人物。全員がゲームクリエイターとしての肩書きを持っている点にも注目

　ななを演じた井澤さんは，その人物像について「とにかく明るくて，演じるときにずっとハイテンションを保って演じなければならないので，あごが痛かった（笑）」と語っていた。ユリイカソフトを訪れたあいが最初に出会うのが彼女なのだそうだ。

井澤さん演じる太刀花なな。こう見えて実は結構苦労人なのだとか

　そして三つ目の「重厚で意外性のあるエンディングでプレイヤーの度肝を抜く百合物語」の紹介では，吉岡さんと井澤さんによる実機プレイが披露された。
　いきなりのハイテンションで登場し「お触りは服の上から」と迫るななや，給湯室の流しで入浴するさき，久しぶりに会ったあいのことを名字で呼ぶこころ，ひったくりをハイキックで撃退するマリーなど，それぞれの出会いはかなり衝撃的のようだ。その様子の一部は，現在配信中の体験版（PC版）でも楽しめるので，気になる人はぜひ遊んでみてほしい。

井澤さんがいくつかのセーブデータを使って，実機にてゲームプレイをした

無限堂さきとの衝撃の出会いのシーン。常識人のあいはかなり困惑!?

家庭の事情で名字が変わっている姉妹。こころはなぜかあいのことを名字で呼ぶ

　ここからは会場に集まったファンからの質問に，声優陣2人とみやざー氏が返答していく流れに。いくつか上がった中で，「（ヒロイン全員から愛されるような）ハーレムエンドってありますか？」という質問に対しみやざー氏は，「ないです」と返答。また付随して「ヒロイン間での恋愛はある？」という質問については，「それもないですが，プレイヤーの皆さんで想像して楽しんでほしいです」と応えている。
　また声優陣に対して「お二人は百合という概念を知ったきっかけは？」という質問に，「BLなら覚えてるけど」と井澤さん。某少年漫画のアンソロジーを買ったら，実はBLもので「ホホホッ!?」という声が出たが，素直に受け入れられたと答えていた。肝心の百合に関して意識したのは2人ともあまり覚えておらず，吉岡さんは「声優の仕事について勉強し始めてからかな？」とのこと。百合キャラ役も経験があるが，本作のように本格的な百合作品に出演するのは初めてだとも話していた。

　なお今回のイベントに続き，本作の発売記念イベントが2019年7月13日に神田明神ホールにて開催されることも決定している。パッケージ版に封入されるイベント参加券，またはDL版の購入証明があれば参加可能（応募者多数の場合は抽選）なので，ファンはお楽しみに。

大鳥あい役・吉岡麻耶さん＆太刀花なな役・井澤詩織さん ミニインタビュー

　最後に今回イベントのMCを勤めた声優陣に，イベント終了後に簡単なコメントをいただいたので，そちらをお届けして本稿の締めとしたい。

4Gamer：
　今回のイベントを終えての感想をお願いします。

井澤さん：
　告知が1週間ぐらい前だったにも関わらず，たくさんの方に来ていただけて嬉しかったです。ただでさえ，この時期の土日はほかにもイベントがたくさんありますからね。その中で来ていただけたことに，大変感謝しています。

吉岡さん：
　天気もあまり良くなかったですから。事前のじゃんけん大会のときも，皆さんすごく盛り上がっていただいて，とても楽しかったですね。

4Gamer：
　ご自身が演じるキャラクターがどんな娘なのか，あらためてアピールをお願いします。

吉岡さん：
　体験版をやってもらうと分かるんですが，あいちゃんはちょっと引っ込み思案で，ほかのキャラクターと比べると普通の女の子なんです。でもそんな彼女が，それぞれのルートに進むに従ってどう変わっていくのかを見ていただきたいなと思っています。

4Gamer：
　セリフに方言があって，演じるのが大変だったとか。

吉岡さん：
　はい。方言はセリフの音声を聞きながらの収録でしたが，慣れていないうえに男性の音声だったので，それをあいちゃんの声に置き換えるのが難しかった。でも，演じるのはすごく楽しかったですね。

イベント終の井澤さんと吉岡さん

4Gamer：
　ななちゃんはいかがですか？

井澤さん：
　ななちゃんはあいちゃんと正反対にめちゃくちゃ明るい子で，不自然なぐらい元気な印象を受けるんですが，それには秘密があるんです。ななちゃんルートでゲームを進めるとその秘密が明らかになっていくので，第一印象だけで判断してほしくないキャラクターですね。

吉岡さん：
　確かにほかのルートでは，その秘密が分からないキャラクターかもしれないですね。ちょっとビックリするかもしれない。

井澤さん：
　彼女がほかのルートでなぜそういう立ち回りをしているのかも分かるので，ぜひ早めに遊んでみてください（笑）。

4Gamer：
　ご自身が演じるキャラクター以外で，気になるキャラクターは誰ですか？

井澤さん：
　私はさきちゃんとの絡みがあいちゃんの次に多かったイメージなんですが，彼女の面倒な性格にななはうまく対応していて，可愛らしい子だという印象があります。

吉岡さん：
　私も台本を読んだときは，さきちゃんのキャラクターが独特で面白いと思ったんですが，実際ゲームを遊んでみると，声が入ったななちゃんが本当に魅力的に感じてきて。

井澤さん：
　うふふ（笑）。

吉岡さん：
　本当に可愛い（笑）。収録中は台本にある文章でしか会話しませんけど，声によるリアクションが入ると，凄くいいなと思いましたね。

4Gamer：
　発売直前となりますが，ファンの方に向けてメッセージをお願いします。

井澤さん：
　スタッフさん達が「人気が出たらアニメ化したい！」っておっしゃっていましたので，ぜひ皆さんに楽しんでいただきたいです。もしアニメ化してもキャストチェンジは絶対しないと公言してくださっているので（笑）。「ハードを持っていないから」という理由で遊べない方を減らすためにいろんなハードで出ていますので，ぜひぜひお願いします！

吉岡さん：
　私はゲームをするとき，すべてを攻略しないと気が済まないたちなんですよ。もちろん人によっては，推しキャラを進めただけで終えてしまうという方もいると思うんですけど，この作品に限っては，それはダメなんです！　全部を攻略していただかないと，真相には届かないようになっているので。「ゆリマスターをプレイした」と胸を張って言うためにも，ぜひ全部プレイして，その真価を味わってほしいと思います。というか，台本を読んで私が驚いたときと，同じ気持ちになってほしいです（笑）。

4Gamer：
　ありがとうございました。

「夢現Re：Master」公式サイト