プレイレポート
アメリカンプロレスの王道WWEの絢爛豪華な試合が楽しめる「WWE 2K19」プレイレポート。レジェンド選手が吠え,自作キャラで夢を掴む
WWEとはアメリカを本拠とするプロレス団体。選りすぐりのスーパースターたちが,ギミック(キャラクター設定)のもと,抗争や連合などのアングル(シナリオ)に基づいたドラマを繰り広げる。高い身体能力を持つスーパースターたちによる,ショーアップされた試合。そして団体の会長自ら試合に参加し“リムジンを爆破されて死亡する”というアングルで話題をさらうといった,ショーへの妥協無き姿勢が高く評価されている。
そんなWWEの公式ゲームが,2Kの「WWE〜」シリーズで,2000年の「WWF SmackDown!」から連綿と続いている。開発を担当しているユークスは「新日本プロレスリング闘魂烈伝」「レッスルキングダム」「ランブルローズ」など,古くからプロレスゲームを手がけており,一時は新日本プロレスを子会社化していたこともある。それだけに,今回の「WWE 2K19」もプロレスファンのツボを押さえた内容となっている。
WWEのスーパースターは実名で登場。アンドレ・ザ・ジャイアントのようなレジェンドや,日本の中邑真輔といった様々な時代のスーパースターを使って遊べるのに加え,スーパースターを自作したり,WWEの選手体験ができるモードが存在するなど,プロレスファンの妄想を満たしてくれるのだ。実写のようなグラフィックスと相まって,プロレスに詳しければ詳しいほど楽しみが増すゲームと言えるだろう。
正統派のテクニックから,舞台裏の乱闘まで。スリリングでエンターテインメントなWWEプロレス
残念ながらゲームに日本語は収録されていないが,日本語の取扱説明書(PDF)が用意されているので,操作面については問題なく学んでいくことができる。プロレスゲームだけに操作は少し独特だが,“[□]が打撃で,[×]は組み,[△]が得意技(Signature)や必殺技(Finisher),[○]がロープ振り(Irish Whip)やフォール”という大原則と,“大抵のボタンは短押しと長押しで弱と強を使い分ける”ということを覚えておけば問題ない。
慣れてきたら,相手が立っている時に左スティック+[×](中技),左スティック+[×]長押し(大技)や,[L2](走る),コーナーポストで[L1](コーナーポストへ上がる)など,いろいろな操作を試してみるといいだろう。
CPUはそこそこ強いため,最初は戸惑うかも知れないが,操作や技の特性を理解していけば,自分の中で戦術を組み立てられるようになる。たとえば,それぞれの技には“相手の身体のどこを痛めつけるか”が決められているため,パワーに優れた相手の腕を組み技や関節技で集中攻撃するといったクレバーな戦いもできる。
もちろん,スーパースターのファイトスタイルを再現して華麗に試合を決めるのもアリだ。細かな点だが,往年のプロレスゲームでよく見られた,“成功率の高い小技で相手を転がし,絞め技や関節技を掛けることだけをひたすら繰り返す”というワンパターンな試合運びへの対策が取られているのも見逃せない。
関節技の犠牲者は,技を外す際にパンチなどの返し技をオートで繰り出す。こうした返し技自体は他のプロレスゲームにも存在しているのだが,本作ではしっかり攻撃力が設定されている。そのため,ミニゲームに失敗するなどで,関節技をすぐ外されてしまった場合,与えたダメージよりも返し技で受けたダメージの方が勝ってしまうようなことも起こるため,関節技の掛け逃げはできないのだ。
多様な操作と少し複雑なシステムで慣れるまで少し時間がかかるが,理解するとディープな試合を楽しめる。そして試合中でカギを握るのが「リバーサルゲージ」と「ペイバックゲージ」だ。
リバーサルゲージを消費して,技をかけられたときにタイミングよく[R2]を押して返し技で反撃できるのだが,このゲージが枯渇すると相手のなすがままに技を決められてしまう。また試合後半はリバーサルゲージの蓄積が早く,フィニッシュを決めるはずが返されてしまったりと,試合に駆け引きが生まれている。
もう1つ特徴的なのは特殊スキルの「ペイバック」で,こちらは試合経過とともに溜まる「ペイバックゲージ」を使って,さまざまな効果が発動できる。どのペイバックを使うかで効果は異なるが,例えばリバーサルゲージなしで技を返す,毒霧やローブロー,乱入といった反則,相手の必殺技を使ったりなど,うまく決めれば試合が盛り上がるものが用意されている。
WWEのユニークな試合形式が再現されており,金網デスマッチやテーブルマッチ(場外備え付けのテーブルをリングに運び込み,これに相手を叩きつけると勝ち)はもちろん,「Backstage Brawl」では舞台裏での乱闘も楽しめる。廊下や控え室,オフィスといったリング外で戦うばかりか,ゴミ箱などを凶器としたり,駐車場のトレーラーから相手を投げ落とすような戦い方も可能。リングでのシリアスな戦いもプロレスなら,こうした乱闘もまたプロレスなのだ。
インディー団体からのし上がれ!ドラマチックなレスラー体験
本作のメインコンテンツの1つである「MyCAREER」は,自作キャラクター「MyPLAYER」を主人公とし,プロレス選手になったような体験ができる。2Kのスポーツゲームではお馴染みのモードで,海外ドラマのようなストーリーと,主人公の成長を体験できるのだ。
主人公は,WWEの輝けるスーパースター……ではなく,インディー団体BCWのレスラー。ボロボロのバンで寝泊まりし,巡業先では自分で宣伝ビラを配るなど,一生懸命に活動を続けている。
物語は,そんな主人公にWWE入りのチャンスが訪れるところから始まる。見事テストに合格し,WWEに入団した主人公。これからスーパースターへの階段を駆け上がっていくかに見えたが,そうは問屋が卸さない。覆面を被った謎の男に襲撃され,やむなく反撃したところを動画に撮られてネットに公開されてしまったのだ。
一般人と乱闘するとはけしからん,ということでWWEをクビにされ,古巣のBCWに戻った主人公。しかし,問題の動画がバズって人気が急上昇するのだから世の中捨てたものではない。かくて主人公は“バズ”の2つ名を賜り,時の人となった。しかし,WWEも黙って見逃してはくれず,BCWの試合中継を妨害してくる。
メジャーのWWEとインディーのBCWでは力の差は歴然だが,主人公たちはとある奇策で戦いに挑む……というのが中盤辺りまでの展開。男同士の友情や,明かされる意外な事実など,話として面白いのに加え,主人公は自分が作ったレスラーなのだから,感情移入もひとしおだ。あるスーパースター(もちろん実名)が憎まれ役として登場する辺りも,WWEの懐の深さが感じられる。
主人公・MyPLAYERは,自分自身で作成する。ルックスや体格,装備する技など,かなり細かく設定可能。日本人っぽい顔も作れるので,いろいろ試してみるといいだろう。
特に重要なのがRPGのクラス(職業)に当たる「ファイトスタイル」だ。ナチュラルなパワーに優れた「パワーハウス」,巨体ですべてを押し潰す「ジャイアント」,軽量級の「クルーザー」,打撃を得意とする「ストライカー」,関節技を使う「テクニシャン」の5種類が存在。レベルが上がると「サブスタイル」を取得でき,さらに専門化していく。
例えばジャイアントの場合,巨体なのに身軽に飛べる「ビッグマン」と,パワーや耐久力に特化した「モンスター」に分岐できる。つまり,本作では巨漢レスラーといっても“飛び技もできるバンバン・ビガロやビッグバン・ベイダー的なレスラー”と“純粋に巨体とパワーをウリにするアンドレ的なレスラー”をしっかり区別して表現できるわけで,プロレスファンの心をくすぐってくれる。
試合の多くは,単に勝つだけでは先へ進めない。“場外に駐めた車の前で相手の体力を減らす”“相手がリング内にいる時に打撃を決めて体力ゲージを赤くする”といった特殊条件を満たさなければならない。単に勝ちパターンを繰り返すだけでなく,特殊条件に合わせて柔軟に試合を組み立てる必要があり,プレイにメリハリを与えている。
試合に勝てばポイントとゲーム内マネーを獲得。ポイントはスキルツリーに割り振ってパワーアップし,マネーはこのモードでの技の習得に使う。技の習得はトレーディングカード風になっており,各種の「パック」を買うとランダムで技やアピールなどが手に入る。習得した技を使い,自分のレスラーを理想に近づけていく,ロールプレイングゲーム的な楽しさがある。
最強レスラーから,他団体の再現まで。とことんディープなレスラー作成
このゲームで特に長く楽しめそうなのが「WWE Creation」だ。いわゆるレスラーエディットモードで,WWEのスーパースターを自分で作り出すことが可能。MyPLAYERとは違って成長要素は無いものの,最初からすべての技が使えるようになっている。テンプレートを使って手っ取り早く作ることもできれば,能力値の1つ,技の1つまで細かく決めることもできる。
特に外見の自由度は高く,顔つきや体格,髪の色に服装など,様々な項目を設定可能。自分の理想のスーパースターを作るも良し。本作に収録されていないレスラーを再現するも良し。アニメや漫画のキャラクターを作ることもできてしまう。顔写真を取り込んだり,テクスチャを自作することで,さらに高度なエディットができるだろう。
コツを掴むまではうまく作成できないかもしれないが,ランダムで外見を生成することもできるため,まずは1人スーパースターを作ってみよう。より細かく調整して作り上げると愛着がわいてくる。
また,他のプレイヤーが作ったスーパースターをダウンロードもできる。ネットに繋がってさえいれば,PlayStation Plusに加入していなくてもダウンロードできるので,他のプレイヤーが作ったキャラクターを参考にしてみるのもいいだろう。
こうして作ったスーパースターたちは様々なモードで使用できるので,エディットするごとに楽しみが広がっていく。
本作はプロレスファン,その中でもタイトルに冠されているようにWWEファン向けのゲームであることは間違いない。日本語版が存在しないこともあり,プレイするハードルは決して低くない。そしてさらに本当の意味で本作を楽しむためには,プロレスやプロレスゲームの知識が求められる。
特にコアなのがWWEの興行を再現した「WWE Universe」と,歴史を辿る「2K Showcase」モードだ。WWE Universeでは,プロモ(マイクパフォーマンス)から,試合の一つ一つまでがプレイアブル。試合興行の雰囲気を存分に味わえるが,プロレスを知らないと「なぜか使用キャラクターが試合ごとに変わるCPU戦モード」といった理解にしかならないだろう。
2K Showcaseは,今年3月に電撃復帰したダニエル・ブライアンの歴史を映像とゲームで辿るものとなっており,こちらもWWEのファン向けだ。とはいえアクションゲームとしての面白さもあるため,ゲームを楽しみながらダニエル・ブライアンの知識を得るというのもアリだろう。
「WWE 2K19」はプロレスファンのツボを押さえた,大ボリュームかつWWEへの愛に溢れた内容となっている。英語のみという壁があるが,プロレスファンや,格闘技に興味のある人はぜひプレイしてほしいタイトルだ。
「WWE 2K19」公式サイト
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