スクウェア・エニックスは2018年7月29日,
「ドラゴンクエスト夏祭り2018 EAST」を東京ビッグサイトにて開催した。これは
「ドラゴンクエストX オンライン」(
PC /
PS4 /
Nintendo Switch /
Wii U /
3DS)のサービスイン6周年を記念して開催されたもので,ステージイベントでは同タイトルの最新情報などが公開された。本稿では,その中から
「聞かせて! これからのアストルティア!」と
「開発者座談会 デザインチーム篇」の模様をレポートしよう。
左からMCを務めた椿 彩奈さん,「ドラゴンクエストX」プロデューサーの齊藤陽介氏,「ドラゴンクエスト」の生みの親である堀井雄二氏,「ドラゴンクエストX」テクニカルディレクターの青山公士氏
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Version 4.3から4.5までのロードマップが公開に
「聞かせて! これからのアストルティア!」のコーナーでは,「ドラゴンクエストX」のディレクターを務める安西 崇氏とチーフプランナーの小澤直美氏が,同タイトルのVersion 4.3以降の情報を公開した。
前列左から安西 崇氏と,小澤直美氏
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まず発表されたのは,Version 4.3では新職業が登場すること。これにより開発ボリュームが大きくなってしまったため,Version 4.3で実装する予定だったキャラクターズファイルは,Version 4.4へ先送りになるという。
Version 4.3以降のロードマップとコンテンツ公開のタイミング
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気になる新職業は,「ドラゴンクエスト」シリーズではおなじみの「遊び人」だ。ただ,従来の遊び人のままだと「ドラゴンクエストX」の職業としては扱いにくいため,「勝手に遊ぶ」という雰囲気は残しつつ,調整を重ねているという。安西氏は,「決して使いやすいわけではないが,弱いということはない」「一つ間違えると強くなりすぎるかも」とコメントしていた。
また,「達人のオーブ」が改修される。具体的には,「石版完成まで遠すぎ問題」「へろへろ問題」「宝珠の管理たいへん問題」といった,プレイヤーからの指摘が多い部分を中心に根本的な見直しを図る。プレイヤーが現在所有している関連資産については,なるべく損が出ないよう調整を進めるという。
なお,石版に穴を空けたりメダルと石版を交換したりするのは,Version 4.3を待った方がいいかもしれないとのことだった。
またゲーム画面左のキャラクターアイコンが3Dグラフィックスに変更され,頭装備などが反映される。従来の2Dグラフィックスと比較したときに違和感が出ないよう,細かい調整を施しているそうだ。
そしてメインストーリーとなる「砂上の魔神帝国」も発表された。舞台は古代ウルベア帝国となり,重要なキャラクターとしてウルタ皇女が登場する。これはVersion 4における起承転結の“転”にあたり,物語が大きく動くとのこと。会場では,制作中のPVの一部が公開された。
Version 4.4では新コンテンツ「バトルトリニティ」が登場。会場ではイメージイラストの公開に留まっており,詳細は続報を待つことになる。
Version 4.4ではツートンカラーの髪色も実装される
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Version 4.5では新コンテンツ「マイタウン」が登場。こちらも2点のスクリーンショットが公開されただけだが,安西氏によると「住宅村でこんなことができるといいな,ということを実現させるべく開発を進めている」とのことだった。
一見,同じシーンに見えるかもしれないが,実は背景や地面が異なっている
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モーション,背景,エフェクト各デザインチームの仕事を紹介
「開発者座談会 デザインチーム篇」には,「ドラゴンクエストX」のモーションデザイナー 川原武将氏,バックグラウンドデザイナー 丹下俊也氏,エフェクトデザイナー 山本 篤氏が登壇した。
左から川原武将氏,丹下俊也氏,山本 篤氏
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エフェクトチームでは,ゲーム内のさまざまな演出を手がけているが,会場ではシナリオ本編とは異なるコンテンツの開始時に生ずるエリアチェンジのエフェクト制作について解説がなされた。それによると,まずモチーフとなるアートを決め,それをいくつかのパーツに分解し,さらにアニメーションツールで扱いやすいようにテクスチャー化する。この作業によりパーツそれぞれを別々に動かせるため,エフェクトを派手にしやすくなるわけだが,さらに光などのテクスチャーを追加し,仕上げていくとのこと。
エフェクトチームでは,キャラクターの仕草なども手がけており,会場ではスライム型の水ヨーヨー,インスタ風パネルや「ドラゴンクエストI」風パネル,口から魂が出ているような仕草などのボツネタが紹介された
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モーションチームからは,「大魔王ゾーマ」の制作過程が紹介に。それによるとモーションチームでは,キャラクターチームが線画で構成したモデリングに,アニメーションで動かしたい部分にボーンを埋め込んでスケルトンを作成。どの部分を動かすかは,キャラクターチームと相談しながら決めていくという。次にキャラクターチームはテクスチャー制作,モーションチームはアニメーション設定を施すためのリギングを並行して進める。そして最終的に衣装などの物理演算調整を施して,モーションが完成する。これらの全行程には,3か月ほどの期間がかかるそうだ。
バックグラウンドチームからは,背景グラフィックスの制作過程が紹介された。それによると背景制作にあたっては,まずシナリオを音読するところから始まり,次にほかのチームと協力してアイデアを出し合うという。
実際の背景データ作成では,「匂いを感じられるくらい説得力のある造型」と「広大で心に残るような景色」を心がけているとのこと。
会場では,「ドラゴンクエストIII」のドット絵をモチーフに,「ドラゴンクエストX」のイベントに登場したルイーダの酒場を制作した過程も紹介された
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ファミリーコンピュータのドット絵風に描かれたダンジョンも披露
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バックグラウンドチームスタッフ各自の代表作も紹介された
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イベント全体のエンディングでは,登壇者各自が来場者に感謝を述べるとともに,「ドラゴンクエストX」の6周年を改めて祝福した。
最後に堀井雄二氏が,「『ドラゴンクエストX』は,プレイヤーを含めて皆で作っていく世界。これからも皆の協力を得て,ますます楽しい世界になっていくと思います」と述べて,イベントを締めくくった。