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[TGS 2017]「龍が如く ONLINE」&「龍が如く 極2」インタビュー。横山昌義氏と佐藤大輔氏に“龍が如くのこれから”を聞いた
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印刷2017/09/26 00:00

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[TGS 2017]「龍が如く ONLINE」&「龍が如く 極2」インタビュー。横山昌義氏と佐藤大輔氏に“龍が如くのこれから”を聞いた

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 4Gamerでは東京ゲームショウ2017の会期中,セガゲームス 龍が如くスタジオの横山昌義氏佐藤大輔氏にインタビューを実施した。

 ご存じのとおり,2016年12月に発売された「龍が如く6 命の詩。」にて,“桐生一馬の物語”が幕を閉じた。しかし,“龍が如くの物語”が終わりを迎えたわけではない。
 そこで,「龍が如く」シリーズの“これから”において重要な存在となるであろう「龍が如く ONLINE」PC / iOS / Android)と極プロジェクト第2弾「龍が如く 極2」について,話を聞いてみた。

「龍が如く ONLINE」公式サイト

「龍が如く 極2」公式サイト


「龍が如く」シリーズプロデューサー 横山昌義氏(写真左)
「北斗が如く」ゼネラルプロデューサー 佐藤大輔氏(写真右)
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「龍が如く ONLINE」


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4Gamer:
 「北斗が如く」についてお話をうかがった直後ですが(インタビュー記事),引き続き「龍が如く」シリーズについてお聞きします。
 まずは「龍が如く ONLINE」ですが,「新・龍が如くプロジェクト」の第1弾という位置付けになっています。このプロジェクトについて教えてください。

横山昌義氏(以下,横山氏):
 単純に「6」のあとの「龍が如く」ですね。新作に「7」と付けるかどうかは未定です。ただ,ナンバリングのタイトルは桐生一馬の物語じゃないかなと思っているので,今のところ,そうするつもりはないですが。
 ナンバリングの本編,その最新作が「新・龍が如くプロジェクト」です。ただ,「7」と呼ぶかを含めて,まだタイトルが決まってないので,そのような言い方にさせてもらっています。

4Gamer:
 「龍が如く ONLINE」はその名のとおり,オンラインゲームということですが,今までの「龍が如く」と同じく,主人公(春日一番)を軸にした物語が楽しめるゲームでしょうか。

春日一番
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横山氏:
 はい。「6」で桐生一馬の物語は終わったので,新しい主人公による「龍が如く」が始まります。コンソール版とスマホ/PC版を作っているところですが,リリース時期も違えば,登場人物も変わってきます。
 同一の主人公と世界観ではあるけれど,別々のお話が展開されていくもの,という取り組みです。

4Gamer:
 スマホ/PC版こと「龍が如く ONLINE」は,どのようなタイプのゲームになりますか。

横山氏:
 どんどん追加されるクエストをクリアしてストーリーを進めながら,デッキバトルが楽しめるタイプですね。神室町でいろいろなミッションをこなしながら,本筋のストーリーを追いかけていくという構成になってます。
 すごく長いシナリオがあり,その合間にカットシーンとか,動く漫画的なものが入ります。東京ゲームショウ2017のシアター映像にも収められていますが,声優さんのボイス入りのドラマシーンによって物語が進んでいきます。

4Gamer:
 PC版とスマホ版の違いはありますか。

横山氏:
 何も変わらないと思いますよ。マウスを使えるか使えないか,ぐらいじゃないでしょうか。
 現在,セガゲームスでは「野球つく!!」というスマホプリのサービスを展開していますが,PC版はランチャーを立ち上げてからプレイするというぐらいしか違いがないんですよ。

佐藤大輔氏(以下,佐藤氏):
 ストーリーがあるクエストクリア型のゲームではありますが,それはいわゆるシングルプレイ用のストーリーモードにあたるものです。さらにGvG(集団戦)の要素が入っていて,ほかのプレイヤーと連合を組んで抗争を繰り広げられます。

横山氏:
 だから,ジャンル名を「ドラマティック抗争RPG」としています。

4Gamer:
 「龍が如く ONLINE」は,従来の「龍が如く」とはまったく異なるタイプになるんですね。

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横山氏:
 「新・龍が如くプロジェクト」のコンソール版は,今までのシリーズとスタイルに関しては変わらないと思います。主人公が変わるので,ゲームシステムや遊びといった細かい部分では変わるでしょうけど。
 ただ,ドラマが中心にあって,街で遊んだり,バトルしたりしながらストーリーを進めていく。そういうゲームであることには間違いないです。それが,「龍が如く」の王道スタイルですから。
 「龍が如く ONLINE」はそのミニチュア版というわけではなくて,ガチャを引いてキャラクターを集めていくことになる,まったく遊び方が違うゲームなんですよ。

4Gamer:
 コンソール版のほうは「7」になるかどうか分からないということでしたが,第1作から第6作までの延長線上にあることは確かですね。

横山氏:
 桐生一馬の物語で描いた12年間に起こった歴史は,すべてそのままエピソードとして出てきます。東城会もあれば,近江連合もあって,真島吾朗や冴島大河らも物語において必要があれば登場するでしょうし。

4Gamer:
 「新・龍が如くプロジェクト」について,新作発表会では「主人公から作っていった」という話をされていました。新しい主人公,春日一番はどのようにして作られたのでしょうか。

横山氏:
 「龍が如く ONLINE」の公式サイトでプロローグムービーを公開していますが,そこにあるテキストを書いたことがすべてです。あれを最初に僕が作って,名越(「龍が如く」シリーズ総合監督の名越稔洋氏)と打ち合わせをして,「よし,これでやるか!」という話になりました。
 とくに今回は最初からキャラクターありきだと思っていて,「このキャラクターが,こういう事件に巻き込まれる話をやります」というところから,「龍が如く ONLINE」を生んだという感じです。


4Gamer:
 春日一番を生んだ際には,桐生一馬との差別化を意識したのでしょうか。

横山氏:
 「似ているけど,180度違う人」を描きたかったんですよね。桐生一馬がいなくなった世界で,彼と同じだけの魅力を放てるか,というのがポイントでしたが,それをロジックで考えたところで答えは出ない。まずは「作ってみて勝負しよう」と思って,プロットをぶつけたんです。そうしたら,話が進んでいったという感じですね。

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 誰かのために刑務所に入り,出所後に浦島太郎状態で街に放り出されるというところが,桐生一馬と春日一番はまったく一緒です。
 ただ,そこまでに過ごした時間と出てきたときの待遇がまったく違います。桐生は親友のために罪を被って刑務所に入るので,この時点でかっこいい伝説があるじゃないですか。
 しかし,春日一番は違う。組の存続のために「お前,入ってきてくれ」と言われて,組を破門されているので,ただの堅気として刑務所に入っちゃう。しかも,その間にみんなは裏切っているんです。
 桐生は「堂島の龍」として伝説が紡がれているのに,ただの無職の40歳として出てくるのが一番なんですよ。やったことは一緒だけど,ちょっとしたことでこんなに人生が違うんだ,という対比を描きたいんです。

4Gamer:
 まるで境遇が違いますね。

横山氏:
 一番は「ドン底の男」です。刑務所から出てきても下っ端だったから,誰も寄ってこない(笑)。そこが大違いなんですよ。
 でも,あっけらかんとその場のノリと性格だけで生き抜いていく男を描きたいと思いました。言ってしまえば,チンピラの成り上がりストーリーですね。

4Gamer:
 桐生のような人望はないんですね。

横山氏:
 神室町で生まれ育ったので,ガキの頃から可愛がられてはいます。「馬鹿で可愛いな,アイツ」といった感じで。桐生みたいに「黙って付いてこい」という雰囲気ではないです。よくしゃべりますし。
 キャラクターの設定を作ることで,同じ事件が起きても「桐生だったらこう解決するけど,一番だったらこうやるよね」というものが生まれてきます。それはキャラクターから出てくるものなので,それを先に作ることにしたんです。

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4Gamer:
 一番というキャラクターがあって,そこから話が作れられていくと。

横山氏:
 「なぜ先にキャラクターを作ったか」という部分には,もう1つ理由があります。「龍が如く ONLINE」は,龍が如くスタジオとオンライン研究開発部が共同で作っているんですよ。コンソール版は「龍が如く」チームが作ることになると思いますが,「龍が如く ONLINE」には初めてシリーズに関わる人間もいます。だから,「こいつに寄せていくんだ」というのが,スタッフ全員に分かるキャラクターを最初に作ったほうがいいと思ったんです。

4Gamer:
 「龍が如く ONLINE」とコンソール版,それぞれのストーリーはパラレルに存在するという位置づけになりますか。

横山氏:
 そうなると思います。まだ検討している段階ですが,リリース時期がどれぐらいずれるのかも想像できないですし。
 ただ,プロローグと街に出てくる理由までは同じものになります。

4Gamer:
 そこから,どう話が転がっていくかが違うということですね。

横山氏:
 はい。ただ,「どちらもやっていないと話が完璧に分からない」ということは避けたいですね。ONLINEはONLINEだけ,コンソール版はコンソール版だけでも楽しめるようにします。

4Gamer:
 「龍が如く ONLINE」のサービス形態は基本プレイ無料とのことですが,課金アイテムはどういうものを予定されていますか。

横山氏:
 まだ全部が決まっているわけではないんですが,キャラクターカードを引くガチャはあります。そのほかのものは,全体の設計を踏まえて考えているところです。


「龍が如く 極2」


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4Gamer:
 続いて,「龍が如く 極2」についてお聞きします。
 2016年に「龍が如く 極」PlayStation 4 / PlayStation 3)が発売されましたが,当然,「第2作も」というファンの声が届いていたと思います。開発陣としても「これはやるべきだ」という気持ちがあったのでしょうか。

横山氏:
 それは思いましたよ。望まれているなら,「絶対,やるべきだ」と。ただ,「大変だろうな」とも思っていました(笑)。

(一同笑)

横山氏:
 いや,本当に大変なんですよ。「6」を発売した後ですから,ドラゴンエンジンで作らないとファンの皆さんも納得してくれないでしょう。僕らとしても,ドラゴンエンジンで動く「龍が如く2」を見てみたいですし,これは楽しいだろうなというイメージもありました。
 そうなると,あとは労力と時間の問題です。ただでさえ大変なのに,さらに真島吾朗がプレイアブルになる追加シナリオなどもありますから。

4Gamer:
 真島編はどのような位置づけのシナリオになりますか。

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佐藤氏:
 メインストーリーとはまったく別のものとして存在しています。最初のセレクターから違う,というイメージを持っていただくといいでしょう。タイトル画面に真島編のメニューがあり,メインストーリーの進行度合いに応じて,1章が開放されるという形です。

横山氏:
 「龍が如く2」のメインストーリーには,真島が東城会を辞めていて「真島建設」を作っている,という場面があります。これは初めて真島に会うタイミングですが,そこで東城会を辞めた理由を自分の口で言っています。
 真島編では,それがつまびらかになるというわけです。時系列的に言うと過去の話で,初代「龍が如く」と「龍が如く2」の間の話ですね。桐生が街から消えていた1年間,東城会では何があったのかが描かれます。

4Gamer:
 そのエピソードが公開されるのは初めてですよね。

横山氏:
 はい。「極2」のために作りましたから。

4Gamer:
 もともと設定としては存在していたのでしょうか。

横山氏:
 ないです! 正直に言いますけど,ありませんでした(笑)。
 今回,追加シナリオをどうしようか,何を新しく入れるべきなのかを考えたんですが,それに最もふさわしいと思ったのが,真島が東城会を辞めた理由だったんです。

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4Gamer:
 真島は人気も高いですしね。

横山氏:
 「桐生が新しいアパート借りようと思ったら,審査に落ちまくって大変」みたいなシナリオを追加しても面白くないじゃないですか(笑)。

4Gamer:
 (それはそれで見てみたいですが……)それでは,追加シナリオはどのぐらいのボリュームになりますか。

横山氏:
 3〜4章くらいにはなりそうです。やっぱり人によってプレイスタイルが違うので,目的地までササッと進めれば早くクリアできるでしょうね。

4Gamer:
 「龍が如く」はプレイヤーによって,プレイ時間やボリュームの感じ方が本当に違うゲームですよね。

横山氏:
 とりあえず,エンディングまで一気に駆け抜けてから,2周目でじっくり100時間も遊んでくれる人もいますし,逆にエンディングの手前でメインストーリーを止めておいて,サブストーリーをやりこむ人もいます。
 ただ,「龍が如く 極」の錦山 彰に焦点を当てた追加シナリオは見るだけでしたが,それよりはボリュームがありますよ。

4Gamer:
 PS2版とはまるで違うタイトルになると思いますが,とくにファンが驚くポイントはどんなところでしょうか。

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横山氏:
 これも人によって,まったく違うでしょうね。
 僕は,「極2」をシリーズファンへのサービスという要素が強いタイトルだと思っています。例えば,真島編には「龍が如く0」で出会ったヒロインのマキムラマコトと再会するエピソードも入っています。さらに「龍が如く0」で好評だった「水商売アイランド」という遊びをベースにして,「新・水商売アイランド」を追加しています。
 これらは「龍が如く0」をプレイしてくれたファン,これまで「龍が如く」を可愛がってくれたファンの皆さんに「面白い!」と思ってもらいたい,と考えたからです。

 ナンバリングタイトルだったら,おそらくこういうことはやらないと思います。新規のお客さんが置いてきぼりにならないような作りにするし,そうせざるを得ない。それがナンバリングの宿命でもあります。
 今回,「極2」だからこそできるファンサービスの要素に力を入れています。今まで「龍が如く」を遊んでいただいているファンの皆さんが喜んでくれるだろう,というものを新規に作っています。


4Gamer:
 PS2版が発売されたのは2006年のことですが,その当時,やり残したことがありますか。

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佐藤氏:
 実のところ,当時,やり残したことはないんですよ。やっぱり,その当時で最高のものを作ったと思っているので。
 ただ,あれから10年経ってエンジンも変わりました。もちろんハードも進化したことで,今ならやれることが増えています。そこで,2017年に合った面白いものを詰め込んでいるという感じでしょうか。

4Gamer:
 最後に,真島の追加シナリオ以外の追加要素を教えていただけますか。

佐藤氏:
 山ほどありますよ(笑)。プレイスポットはかなり刷新していますし,バトルの設計もPS2版とは違います。蒼天堀の街にしても,オリジナル版より行動範囲が増えてます。ドラゴンエンジンを使うことで,「6」と同様に街がシームレスになっていますから,神室町も行けるようになったところが増えています。

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4Gamer:
 PS2版を知っている人ほど,たくさん驚きがありそうですね。

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横山氏:
 「龍が如く2」はシリーズ史上,最も売れたタイトル(廉価版含む)なんですよ。「2」の成功によって,「龍が如く」シリーズが確立され,その後もリリースされていくことになりました。当然,ファンの皆さんの印象もすごく強いんですが,思い出は美化されていくものですから,ロードが長かったとかの欠点をすっかり忘れているんですよ。
 ゲームの良かったところの記憶だけが残っていて,皆さんの中でPVみたいなものができあがっています。でも,僕らはそれに勝たなきゃいけないんです。そして,やらなきゃいけないことでもある。だから全部作り直すんです。
 11年前の自分達との戦いですよね。技術をもって超えるのか,経験をもって超えるのか。それを考えて,当時を超えたことを証明しなくてはいけないと思っています。

「龍が如く ONLINE」公式サイト

「龍が如く 極2」公式サイト

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