プレイレポート
BBDWは“ストーリー特化型RPG”。膨大な物語をサクサク読み進められる「BLAZBLUE ALTERNATIVE DARKWAR」をプレイ
BBDWは2008年の「BLAZBLUE CALAMITY TRIGGER」からはじまった,格闘ゲームとしては異例とも言える,長大かつ重厚なストーリーを備えたシリーズの正統続編らしく“ストーリー特化型RPG”を謳っている。
同シリーズの物語は一度,主人公“ラグナ=ザ=ブラッドエッジ”の完結編となる「BLAZBLUE CENTRALFICTION」で幕を下ろしたのだが,果たしてBLAZBLUEはスマホゲームになり,いかなる進化を遂げたのか?
今回は配信に先駆けてプレイしてみた感想をお届けしよう。
なお,作中のシナリオについては核心に触れないよう記述しているが,物語序章の展開を多少なりとも紹介している。
ゲームシステムに関しては記事後半に集中させているので,ネタバレを避けたい人は数スクロールほど目をつぶっておいてほしい。
「BLAZBLUE ALTERNATIVE DARKWAR」
公式サイト
「BLAZBLUE ALTERNATIVE DARKWAR」ダウンロードページ
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※本稿で使用している画面写真は,すべて開発中の画面です。
序章からグイグイ引き込まれる大ボリューム
“ストーリー特化型RPG”はだてじゃない
BBDWはBLAZBLUEシリーズ本編の過去編とも言える,この世界での大事件“DARKWAR(暗黒大戦)”に関連する物語が語られる。
主人公は特定のキャラクターではなく,これからさまざまな陰謀に巻き込まれていく“なにも知らないプレイヤー自身”だ。
それもありシリーズファンのみならず,これからBLAZBLUEをはじめるという初見の人でも,世界観の壁に悩むことなく楽しめる。
それでは以下,物語の序章を断片的に追っていこう。
※物語序章のネタバレ注意
舞台は,魔法や錬金術といった技術を後世に伝える“魔術師”の楽園,孤島「イシャナ」。島の中心部,魔術師を育成する魔道学園の近くに,なぜか記憶を失っているあなた(主人公)と銀髪の少女の姿が。
彼女「シエル」はあなたの護衛だといい,突如として襲ってきた魔獣との戦闘から身を守ってくれる。本来ならば島に存在しないはずの魔獣,さらには手に負えそうもない黒槍の少女。状況は穏やかではない。
そこに,魔道学園の生徒「カズマ」が合流する。彼によるとあなたは魔道学園の制服を身に着けており,この学校の新入生でもあるという。
しかして状況が緊迫していくさなか,あなたたちは誰かからの転移魔法により,突如として島の森林地帯へと飛ばされてしまった。
※「魔法」:“理の外側の強大な力”
※「魔術」:“科学的に行使する術”
それから間もなく,あなたたちは島の様相が一変していることに気づく。島内には住人や学園の生徒の姿がどこにもなかった。
変貌した島の探索中,あなたは錬金術師「トリニティ」と出会い,この島が“世界”そのものから切り離されたという,異常事態に陥っていることを知る。世界から隔離された島から脱出する方法はあるのか?
あなたはイシャナを奔走し,その手がかりを見つけねばならない。
といったところがBBDWのあらすじだ。“おいしいところ”にはほとんど触れていないので,実際にプレイしてもらえばアウトラインの印象はだいぶ変わるはずである。また,この物語がいかにして暗黒大戦へとつながり,BLAZBLUEシリーズのさまざまな人気キャラクターたちと出会い,衝突していくのかは,序章を抜けた先で明らかにされていく。
さて,実際に遊んでみて驚かされたのはシナリオの物量である。
ストーリー特化型の謳い文句はだてではなく,各話のテキスト量がびっしりで読み応えが半端ではない。ローンチ段階で収録されている物語序章だけでも小説1冊分以上のボリュームがあるとのことで,今後はテキストアドベンチャーとしても通用するほどの文章量になりそうだ。
当然,それらの内容もセンテンスも冗長的なことはない。シーンごとの登場人物も人数が絞られており,世界観や設定をゼロから理解しやすい作りとなっている。また,記憶も知識もない主人公=プレイヤーの構図をしっかりと保っているところももポイントだ。
BLAZBLUEシリーズが初見の人でも,主人公と同じ目線で読み進められるうえ,ファンには“ピンとくる語句や展開”も織り交ぜられているので,完全新規の新鮮なストーリーを楽しめるようになっている。
ゲーム進行はクエスト選択式で,ガチャなどで入手した「ユニット」(キャラクター)を編成し,挑んでいく。そこで得た経験値や育成素材などを使い,ユニットを強化し,次の物語へと進んでいく。
スマートフォン向けRPGではおなじみのプレイサイクルだ。
コンテンツは大別して,物語を楽しむ「ストーリークエスト」,進化素材“欠片”が手に入る「キャラクタークエスト」,各種リソース集めに便利な「デイリークエスト」,さらに期間限定の「イベントクエスト」が存在する。まずはチュートリアルも兼ねたストーリーを優先しよう。
チェインを組んで最強コンボを叩き込め!
戦略性と爽快感が共存するコマンドバトル
クエストバトルでは最大4ユニットでチームを編成し,魔獣などの敵を相手に,Wave制のコマンド選択式バトルで戦っていく。
味方が全滅する前に,出現する敵をすべて倒しきれば勝利だ。
ユニットには各々ステータスなどが備わっているが,とくに陣形の前衛・後衛に関わる“ポジション”の概念が大切だ。ポジション適正はユニットごとに異なるので,「前衛向きだけど後衛配置」などにならないよう,まずはきちんと適性を確認し,チームを組んでいこう。
一応,自動編成もバッチリ機能するので,最初は自動任せでもよい。
バトル時,ターンが回ってくると味方ユニットに「R(Revolver)」「D(Drive)」「S(Special)」のいずれかのコマンド(手札)が付与される。プレイヤーはそこから4つのコマンドを選択し,攻撃に移る。
つまり,ターンごとに手札が変化するわけである。
各コマンドの威力は大まかに「R」<「D」<「S」の順で上昇する。ただし,先に選んだコマンドと同じ強さ,もしくは1段階上のコマンドを選択すると「チェイン」が発生し,ダメージボーナスが発生する。
いずれも原作用語のため,初見では面食らうかもしれないが,要するに“1・2・3の文字をきれいに重ねる or 並べる”だけのことだ。
■チェインの一例:
〇「R」→「R」→「R」→「D」
〇「R」→「D」→「D」→「S」
〇「D」→「S」→「S」→「S」
×「R」→「S」→「D」→「R」
※チェイン未発生でもボーナスがないだけで,攻撃自体は発動
4コマンドをすべてチェインでつなげると,4つめのコマンドが「EX(ExtraAttack)」に変化し,最後のユニットが強力な攻撃を放つ。ダメージを伸ばしたいときは可能な限りチェインをつなげよう。
なお,各コマンドにはチェインの役割のみならず,それぞれ固有の特性も備わっている。「R」「D」なら各種ゲージの上昇量が大きく,「S」ならユニット固有の攻撃技・回復技が発動するといったものだ。
これにより,ゲージを早くためるならRやDを重視,回復が必要ならSを,そのうえでチェインをつなげられるか……などなど。
一手番ごとにトランプゲームのような駆け引きが生まれている。
このほか,ゲージ類も説明しておこう。
「R」と連動する“オーバードライブゲージ”をためると,1ターン中に5つ以上のコマンドを選択できる「オーバードライブ」を発動可能だ。オーバードライブはゲージ50%以上の累積で使用可能となり,累積量に応じてコマンドの選択上限数も増加する。
BLAZBLUEらしい,長大なコンボを叩き込めるシステムである。
「D」と連動する“ヒートゲージ”をためると,ユニットの必殺技「ディストーションドライブ」を発動可能だ。ゲージは3本までためられ,1本消費で「DD」コマンドが出現し,演出ありの必殺技を叩き込める。
なおDDは“Sからチェイン可能”なので,ダメージを高めたいときはチェインを丁寧に編んだうえで,DDにつなげるといい。
ちなみに,ゲージ3本消費時は「AH」コマンドが出現し,一撃必殺技(=BBDWでは超必殺技)「アストラルヒート」を発動できる。
おさらいに,各種コマンドの効果をまとめておこう。
コマンド名 | 効果 |
---|---|
「R」 (Revolver) |
敵に小ダメージ。オーバードライブゲージが増加。「R」と「D」にのみチェイン可能 |
「D」 (Drive) |
敵に中ダメージ。ヒートゲージが増加。「D」と「S」にのみチェイン可能 |
「S」 (Special) |
敵に大ダメージ。ユニットごとの固有効果が発動。「S」と「DD」にのみチェイン可能 |
「EX」 (ExtraAttack) |
敵に特大ダメージ。4コマンドのチェイン時のみ自動発動。「DD」使用時は条件を満たしても発動しない |
「DD」 (DistortionDrive) |
ユニットの必殺技。レアリティSS以上で習得。ヒートゲージ1本消費で使用。「DD」にのみチェイン可能 |
「AH」 (AstralHeat) |
ユニットの超必殺技。レアリティSS+以上で習得。ヒートゲージ3本消費で使用。前後のコマンドとチェインしない |
ここまでがバトル全体の固有システムだが,当然RPGらしく“各ユニットの能力・スキル・特殊効果”なども大きく関わってくる。
高レアのユニットには「1ターン攻撃力上昇。5ターンでクールダウン」などのスキルもあり,発動こそコストは不必要だが,使いどころを考えなくてはならない。オーバードライブやディストーションドライブの発動前まで温存しておく,けれどそういうときに限ってうまくチェインが重ならないなど,プレイングに訴えかけてくる絶妙な塩梅だ。
正直なところ,いきなりでは用語もルールも難解に聞こえるかもしれないが,最初から全部覚える必要はない。ストーリー序盤などは,チェインさえつなげていれば問題なく突破できるバランスだった。
徐々に難しくなっていくのは,肌で感じてほしいところとして。
それでもなお「難しいし面倒」という人は,バトルスピードの高速ボタンと“AUTOモード”に任せっきりにしよう。BBDWのオートはかなり優秀なので,こういったRPG類によくある「手動じゃないとキツイ」という場面まで,しばらくはオート頼りでも大丈夫である。
それまでは物語を読みながら,ルールを覚える時間としよう。
ユニット育成に関しては,能力一覧や各種リソースこそゴチャゴチャしているように見えるが,その実かなりシンプルだ。
基本は,戦闘や経験値アイテムで上げる「レベル」,一定条件を満たしてレアリティを向上させる「進化」,ステータスを上げる装備品「オーブ」,より大きな効果の装備品「魔道書」が存在する。
ある程度ゲームを進めたら,手持ち素材で強化していけばいい。
少し意外に感じたのは,レアリティが上昇する進化のハードルの低さだ。進化にはユニットごとの「欠片」が必要になるが,欠片はガチャで同一ユニットを獲得したとき,不要な欠片の精製(売却),1日3回まで挑めるキャラクタークエストなどで手に入る。入手経路はわりと多い。
レアリティ「SS」のユニットを「SS+」に上げるときに必要な欠片の数は150個。体感ではあるが多すぎるわけでもないので,特定のユニットをSSまで進化させるだけならさほど難しくはなさそうだ。
そもそもBBDWは,全キャラクターが最高レアリティまで進化可能な仕組みだという。最後の詰めこそ,そう簡単ではないだろうが,入り口は優しめに広げてくれている。好きなキャラの進化を狙うといい。
BBDWを遊んでみて思ったのは,全体的な快適さである。
UIには微調整の余地がありそうだが(ホーム画面への導線が画面右上だと個人的に使いづらかったり),理解するほどに考えたくなるバトルシステムや,操作時間を圧縮できるオート&高速機能,愛着を活かせそうな成長システムなど,さまざまな場面で気配りを感じさせる。
とはいえ,物語は快適とはいかない。なにせBLAZBLUEらしく,重厚な世界観と,濃密なストーリーが,圧倒的な文章量で襲いかかってくるのだ。軽快どころか前のめりになって立ち向かわなければならない。
そこまでしてのめり込んでプレイさせられてしまう魅力は,先行プレイでも十分にうかがえた。見覚えのあるロケーション,聞き覚えのあるBGMに,久々にファン心をくすぐられたのも大きい。新しくはじまる蒼の物語が一体どんな展開を見せてくれるのか,今から楽しみだ。
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