ユービーアイソフトが2019年4月25日に発売したシューティング
「スターリンク バトル・フォー・アトラス」(
PC /
PS4 /
Xbox One /
Nintendo Switch)。現実世界の
「モジュールトイ」と呼ばれるフィギュアとリンクし,付け替えたモジュールがゲームにも反映されるギミックが話題となったタイトルだ。
本作にはデジタル版とパッケージ版があり,デジタル版ではDLCとして各種パーツが販売されている……のだが,今回はせっかくなので
「スターフォックス」とのコラボレーションが実現した,Nintendo Switch版「スターリンク バトル・フォー・アトラス スターターパック」のプレイレポートをお届けしよう。
ゲーム冒頭のタイトルロゴの演出はズルいくらいカッコイイ
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本作の舞台となるのは,7つの惑星を有する
「アトラス星系」だ。オープンワールドな世界で,サブストーリーなどで寄り道しながら,メインストーリーを進めていく。7つの惑星を好きに探索したり,まったりと宇宙空間を飛行したり,イイ感じの景色を探し求めたりと,オープンワールドの基本要素はしっかりと押さえている。
本稿では「スターリンク バトル・フォー・アトラス スターターパック」でのプレイになるが,デジタル版もある
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本作でプレイヤーが操作するのは
「スターシップ」だ。宇宙空間での移動や戦闘は当然として,惑星での探索,運搬,ギミックの解除などあらゆることをスターシップで行う。パイロットとして人(あるいは人型の生命体)は登場するが,スターシップの「パーツ」に近い扱いなので,ゲームの主役はスターシップだ。
舞台は宇宙空間と惑星
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移動するほどロケーション情報が追加され,サブストーリーや探索対象が増えていく。いくつ用意されているのだろうか……
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プレイヤーは宇宙調査団
「スターリンク・イニシアティブ」の一員としてストーリーを追っていく。主人公的な立場の
“メイソン・ラナ”というキャラクターがいるが,前述のようにパイロットは変更できるので,主人公感はちょっと薄い。
本作最大の特徴はなんといっても
「スターリンクシステム」だろう。これはスターシップ,パイロット,ウェポンをリアルタイムで切り替えられるというもの。現実世界のモジュールトイ(フィギュア)をカスタマイズすると,即座にゲーム内に反映されるのはこの設定を再現しているわけだ。
アトラス星系には7つの惑星があり,それぞれが異なる環境を持っている。各惑星には固有の生物がおり,それらをスキャンして図鑑を埋めていくという楽しみもある。
中心的な人物はメイソン
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スターフォックスシリーズより,フォックス・マクラウドたちも参戦。そういえば舞台がよく似ている
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本作はシューティングゲームだが,宇宙空間/空中と,地上では操作方法が異なる。宇宙空間と空中では飛行状態となり,いわゆるフライトシューティング的な感覚で楽しめるが,地上ではホバリングで移動し,フライトシューティングというよりは,TPS寄りなプレイフィールだ。
またロックオンといった機能はなく,自力(といっても補正はあるが)で狙いをつける必要がある。とはいえ,近くの目標を自動で追尾するホーミングミサイル系の武器もあるので,自分で狙いをつけるのが苦手な人はこちらを使ってみるといい。
宇宙空間は高速移動可能なのだが,アウトローのトラップとよく遭遇する
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宇宙空間での戦闘は,いわゆるシューティング。赤色の矢印が敵の位置を示すタイプ
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惑星内は飛行とホバリングの両方を切り替えながら探索する。地上のオブジェクトにはホバリングでアプローチし,運搬系のミッションなどでモノを運んでいるときは飛行できなくなる。ホバリング中も限定的な飛行(というよりジャンプといった方が正しい)とダッシュが可能で,地形を利用して渓谷を飛び越えたりといった,アクション要素が強くなる。
地上ではホバー移動で探索が中心
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通信や運搬も可能
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もちろん,大気圏内の飛行もできる
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惑星内ではホバリングと飛行を駆使した戦闘が楽しめる。平面的な戦闘から立体的な戦闘に切り替わるのはなかなか新鮮だ。ホバリングでじっくり狙いをつけて攻撃を叩き込み,ピンチになったら飛行して逃げることもできる。どくろマークの付いた敵は,いまのレベルに対して強すぎるという表示なので,自信がなければ逃げた方がいい。
また,初めて戦闘したときは敵の弱点となる武器が表示される。そこでスターリンクシステムを駆使して戦うわけだ。
バリアを展開している状態。展開可能時間は短い。ホバー的な挙動に慣れるまではホーミング系の武器で撃破するのがオススメ
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初見の敵と対峙すると,効果的なウェポンが表示される
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スターリンクシステム,要するに機体のカスタマイズだが,それは本作の肝の部分だ。パイロット,スターシップの本体,ウィング,ウェポンを選択し,自分好みの機体を作り上げる。
パーツはニンテンドーeショップでダウンロードコンテンツとして購入するか,取り扱っている販売店でモジュールトイを購入し,ゲームに使用することでアンロックする方式で,ゲームを進めても新しいパーツが手に入ることはない。
フィギュアを集め,カスタマイズして遊ぶという楽しみ方はホビー的だ。本作を100%フルに楽しむにはすべてのアイテムを揃える必要があるわけで,販売されているモジュールトイだけでも(スターターパックを含めて)2万8600円(税抜)かかる。
この価格は賛否の分かれそうなところだが,フィギュアを組み替えるとゲームにリアルタイムに反映されるのは,これまでにない新鮮な楽しさがある。そこに価値を見出せるかどうかで価格の評価は変わってきそうだ。
「スターリンク バトル・フォー・アトラス スターターパック」。スターフォックスでお馴染みのアーウィン,パイロットはメイソンとフォックス・マクラウドなどが付属する。ウェポンやパイロットのみのパッケージもある
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モジュールトイの仕様としては,コントローラに装着する専用マウント
「スターリンクマウント」を使用し,そこにモジュールトイを取り付けて楽しむ。ゲーム内のカスタマイズと同じ仕様でパイロットを選び,スターシップ,ウィング,ウェポンを取り付けると,その状態がゲーム内に反映される。
それぞれのパーツには電子接点が付いており,それによってどのパーツが,どの向きで取り付けられたかを認識しているようだ。モジュールトイを使用したパーツの換装は,ゲーム内の設定で「リアルタイム」と「一時停止」を選択できる。シームレスにカスタマイズを楽しみたい人はリアルタイムを選ぶといい。
スターリンクマウント。この台座にスターシップをセットする
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翼を逆向きにつけてみても意外にカッコイイ
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セッティング画面。パイロットとスターシップ,ウィング,ウェポンを変更できるほか,改造パーツで性能向上も狙える
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ウィングとウェポンには向きがあり,反転させることもできる
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ウィングとウェポンを追加すると,スピードと操作性,防御力,重量のパラメーターが変化する。状況によってはウェポンを外す選択も
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アーウィンのウィングにはウェポンが内蔵されているため,使い勝手がいい
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一時停止設定のときはプレイ中にモジュールトイを外すと,この画面に切り替わる
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現実世界のフィギュア“モジュールトイ”と連動する本作は,ゲームと現実の融合の可能性を大いに感じさせる。現実のフィギュアをいじくるカスタマイズは直感的で分かりやすく,シンプルに楽しめる。
デジタル版とパッケージ版とではその面白さの本質が若干異なるため,ぜひパッケージ版で楽しんでもらいたい作品だ。
おまけ:お約束の「フォトモード」
本作の多種多様な生態系と表情豊かな宇宙空間を楽しむ手段として,フォトモードがある。個人的にはオープンワールドゲームでマストといえる機能だ。フォトモードには,構図と編集の2モードが用意されており,思いっきり遊べる仕様だ。
構図モードから見ていくと,まず構図作りの自由度が高い。カメラは自機から際限なく移動できるし,高度の調整もしやすかった。
良さそうな撮影ロケーションを見つけたとき,飛行していると通り過ぎてしまうことも多々あったが,カメラの移動に制限らしいものがないので,そのあたりもカバーできるのは嬉しいところだ。カメラの移動速度調整がない点がちょっと残念なところだろうか。
フォトモード
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編集モードはオーバーレイや被写界深度,焦点距離などが用意されている。機能としてはシンプルであり,撮影物に少しだけ味付けをするくらいがちょうどいい。オーバーレイは極端なものばかりで,かつ微調整は不可能なのだが,今風のエフェクトが中心だ。編集する際は被写界深度と焦点距離を変更してみるところから慣れていくといいだろう。
一番難しいのはフォトモードに入るタイミングだ。スターシップの操作が多い戦闘中はカッコいい場面が多いのだが,狙ってフォトモードに入るのがなかなか難しい。それでも頑張って絵になる写真を撮ってきたので,ぜひ見てほしい。
フォトモードに入った直後は構図モードからスタートする
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構図を決めた状態
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編集モードで調整を加えたもの
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オーバーレイは絵作りに困ったときに使ってみるといい
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生物のスクリーンショットは生態系の観察からがオススメ
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