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[gamescom]全力で走っていたら5周年を迎えていました。「ファイナルファンタジーXIV」吉田直樹氏と祖堅正慶氏への合同インタビューをお届け
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印刷2018/08/25 16:29

インタビュー

[gamescom]全力で走っていたら5周年を迎えていました。「ファイナルファンタジーXIV」吉田直樹氏と祖堅正慶氏への合同インタビューをお届け

 2018年8月27日にサービス開始から5周年を迎える「ファイナルファンタジーXIV」PC / PS4 / Mac)。ドイツのケルンで開催されたgamescom 2018では,現地時間の8月23日に,本作のプロデューサー兼ディレクターを務める吉田直樹氏と,サウンドチームを率いる祖堅正慶氏への合同インタビューが行われた。

 今までの5年とこれからの5年,gamescom,「光の戦士が選ぶ楽曲総選挙」についてなど,いろいろな話を聞くことができたので,その模様をお届けしよう。

吉田直樹氏(左)と,祖堅正慶氏(右)
画像集 No.001のサムネイル画像 / [gamescom]全力で走っていたら5周年を迎えていました。「ファイナルファンタジーXIV」吉田直樹氏と祖堅正慶氏への合同インタビューをお届け

――今年のgamescomの印象はいかがですか。

吉田直樹氏(以下,吉田氏):
 人の入りは例年に比べてすごいですね。どこのブースもゲーマーに楽しんでもらおうと工夫している印象です。遊んでくれる人たちをどうエキサイトさせるかにフォーカスしているところなど,見習うところが増えてますね。

祖堅正慶氏(以下,祖堅氏):
 E3と比べると規模がでかいですね。開催前のリーク情報も少なく,ここに来て初めて知ることも多いです。ついつい空き時間を見てBlizzardブースに行って,キャッキャしてます(笑)。

吉田氏:
 Blizzardブースじゃなくてグッズショップね。二人で行ってDiabloのTシャツかっけぇとか言ってはしゃいでました(笑)。

――FFXIVにとっての,gamescomの位置付けについて教えてください。

吉田氏:
 E3がアメリカのプレイヤーに向けたものだとしたら,gamescomはヨーロッパ全土の光の戦士と触れ合う場所ですね。FFXIVの場合は,国によって明確にコミュニティが違います。イベント全体として見ても,勢いではすでにgamescomのほうが上ですね。大きな発表はE3じゃなくgamescomでするというメーカーも,今後増えていくような気はします。

――注目しているブースを教えてください。

祖堅氏:
 Blizzadですね。

吉田氏:
 そればっかりじゃん(笑)。コール オブ デューティはどうなの。

祖堅氏:
 コール オブ デューティはE3で触っちゃたんですよね。そもそもgamescomは会場が大きすぎて,どこから見ていいか分からないんですよ。

吉田氏:
 僕はFortniteのような,巨大なコミュニティを抱えているところが,どういう盛り上げ方をしているのか気になってます。ただプレイさせるのではなく,この場に来たからこそ楽しんでもらえるものを出すという方向にシフトしてるのが分かりますね。
 どうやって見ている人をゲームでエキサイトさせるかという部分に関しては,日本は完全に遅れているので。そこは毎年興味があって,見ているところです。

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――FFXIVは5周年を迎えるわけですが,今までの5年と今後の5年に対する抱負を教えてください。

吉田氏:
 それが意外とないんですよね。

祖堅氏:
 絶えず全力でやっている毎日なので,5年だからとか考えたことがないんです。目の前のことを一生懸命にやって,気がついたら5年経っていたというだけのことです。でもプロデューサーの立場だと違うのかな。

吉田氏:
 うーん。本当は5年だからこそというのがあるんでしょうけど。僕の中のどっかには,5年だからなんだというのがあって。だって旧FFXIVから数えたら8年ですからね。確かに節目ではあるのですが,大事なのは次にどういう展開をしていくのかプレイヤーに見せることだと思ってます。
 グローバル・スタンダードなMMOとして,足りない機能はほとんどありません。ほかのMMOが追いつけないようにするには,楽器演奏だったり,ハウジングでのロールプレイだったりと,FFXIVでしかできないこと,そしてFFXIVの世界に住むという部分でもっと充実させたいと思っています。
 次のフェイズはそういうところを伸ばしていって,よりテーマパークとして完成させたいという思いが強いですね。

 次の5年は新しいコンテンツとか新しいシステムとか作っているので,それはそれでFFXIVはもっと成長していきます。それと同時に世界をもっと広げるという次の5年でありたいです。

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――アネモス編に比べると,装備の強化難度が高く感じました。逆に,アネモス編の難度が緩すぎたということはありますか。

吉田氏:
 アネモス編って,ちょっとおもしろい遊ばれ方をしたコンテンツだなと思っています。たぶん初動で先行した人達って,すごい勢いでモンスターを狩りまくって,エウレカレベルを上げて,最終的にレベルキャップに近づいたあたりでNM(ノートリアスモンスター)を狩りまくるというプレイスタイルでカンストしたんです。それと同時に,欠片が集まって武器が強化されるという流れだったと思います。
 そのあとに始まった波が,とにかく明かされたNMを順番に狩ってレベリングもしながら,武器を育成させるというもので,その波に乗っていた人はおそらく雑魚狩りをほぼしていないんです。そのため,先行プレイヤーと,そこで作られた波に乗っていた人で感覚が違うんですよね。

 今回先行した人たちって前回も先行した人たちだから,自分達で試行錯誤しながらチェインをつなぐことを考えたり,突然変異や環境適応させる効率の良い方法などを模索したりと,アネモス編の先端を走っていた人達は,パゴス編という新しい仕組みに挑戦していった人たちです。
 ただ,結局スタートラインが一緒なので,前回の波に乗っていた人は,武器を強化するために雑魚狩りするという発想になかなか行かないのだと思います。

 とはいえ,確かにエレメンタルレベルを上げる方法は,少し分かりづらくなっていたところもあります。なので,アネモス編と同じような感覚で遊べるよう,NM自体のエレメンタルEXPは上げるように調整しました。ただし,武器の強化だけは,先人たちがものすごい勢いでモンスターを狩ってちゃんと強くしたのだから,そこは緩和しません。今回は,そういう鍛え方をしてください,というのが調整の意味でもあります。

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――“しあわせうさぎ”が,NMの出現に影響しているという噂があります。

吉田氏:
 そこは言えないですね。エウレカでなければ言ってもいいのでしょうけど,FFXIとかでもNMの沸かせ方ってみなさんで生み出していったと思うので。ただ,推測しても確証が得られにくいという部分があるのは理解しているので,そこはどうにかできないか考えています。

――モンスターハンターワールド(以下,MHW)とのコラボレーションについて,実装してからの反響はどうですか。

吉田氏:
 戦士だけの構成が流行ったりだとか,召喚4人でスーパータイムを叩き出したりとか,ある意味モンハンっぽく遊ばれている気がします。MHW側でも,ベヒーモスがまったく身動きできず,2マップ目に入ったら速攻メテオ落ちてきて死亡みたいなのもありますからね。これはこれでロールフリーでいいねっていう声は,とくに海外を中心に多かったので,新しいコンテンツを作るときのヒントになればとは思いました。
 ただ個人的にですけど,僕らとしては想定していた規模の内容にしていたのですが,モンスターハンターワールド側が常軌を逸した作り込みをしていて悔しかったです。あちらは基礎システムに手を入れているのに対して,FFXIVはディスクリプションのおかげで部位破壊表現もできなかったので,リベンジの機会を作りたいのが正直なところですね。

祖堅氏:
 やり取りするアセットの数も異常でした。通常のコラボは上側のデータのやりとりで終わるので,ファイルの量も多くはないんです。なので,どう実装すればいいのかというのも想像が付くんですけど,今回のコラボは違いました。
 リオレウスが動くときの物理的な法則によって,コールされるSEのアセットが何千と来るんですよ。なので,これ何のファイルだろうって解析するところから始まるんですよね。
 解析してもそのままアセットを持ってきて実装することはできないので,それをFFXIVに組み込むために工夫したり,サウンドエンジンを変更したり,それくらいやりました。結構手間がかかったというか,我々としてもやりごたえのあるコラボレーションでした。

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吉田氏:
 勉強になりましたね。最後はMHWとFFXIVチームの殴り合いみたいになってましたが,ちょっと向こうが加減を知らなかった(笑)。

――頭を狙ってヘイトを取るという仕組みはMHWチームがすべて考えたのでしょうか。

吉田氏:
 そうです。最初企画書が来たときに,もしかしたらMHWのプレイヤーからFFXIVチームが嫌われるかもしれないから,余計なことをしないでくれって言ったんです。MHは役割がなく,みんなが好きに戦えるのがいいのに,と言われてしまう可能性があるので,そんなにFFXIVに気を使わなくていいよと,藤岡さんに言ったんですよ。彼も分かりましたとかいって,蓋を開けたらこれですよ(笑)。
 ただあれは,徳田くんも言ってましたけど,MHの中に役割とギミックを使った戦いを一回入れてみたかったそうです。FFXIVのせいにしてしまえば試せるぞっていうのもあったと言ってましたね(笑)。藤岡さんも絶対鼻を明かしてやろうと思ってたといってましたので。まだ極が残ってるそうですし。

――吉田さんは取締役になられましたが,職責が重くなってくると,FFXIVに関われる時間も減ってくるのでは心配してしまいます。

吉田氏:
 この話をお受けする条件として,FFXIVやライブストリームに関わる量を減らす必要があるなら,そもそも受けませんと言いました。そうしたら,何も変えなくていいと言ってもらえたので,FFXIVと関わる時間はこれからも変わりません。現行の仕様を把握したり,まだ発表していないシステムもいくつかあったりするので,今はそっちで手一杯です。

――「光の戦士が選ぶ楽曲総選挙」という企画を実施されましたが,祖堅さんと吉田さんそれぞれがお気に入りの曲を教えてください。

祖堅氏:
 1つは単純に曲が好きだからという理由で,次回のどこかで使われる曲です。

吉田氏:
 つまり楽曲総選挙に入ってないけど,超お気に入りができたってことだよね。ずるいよねそれ,楽曲総選挙の話を聞いてるのに,まだ誰も聴いていない曲をあげるなんて(笑)。

祖堅氏:
 だってできちゃったんだもん(笑)。もう1つは「天より降りし力」です。あれは旧FFXIVと新生の境目で生まれた曲であり,今僕がこうしてgamescomに来ているのも,あそこがきっかけだったので。さあやり直すぞって自分の心に火を付けるきっかけになった曲です。すごく思い出深いですね。

吉田氏:
 僕はたくさんあるんですけど,どれか1つと言われると「希望の都」です。ステージイベントでは今でも使ってます。エオルゼアシンフォニーのオープニングの一曲目が希望の都で始まるのは,僕のリクエストだったりします。
 この曲は,FFXIVを引き受けて新生にするぞって時期に生まれた曲です。祖堅に,何だかすげえゲームがスタートしたって思えるような曲がいいとお願いして,これでしょって何曲か上げてくれた中にあったのが,希望の都だったんです。もう思い描いていたものがそのまま上がってきたので,なにもリテイクできませんでした。

祖堅氏:
 全然手直ししていないです。

吉田氏:
 僕にとって祖堅という音を作る人間と出会って,初めて自分もゲームデザイナーとして,ディレクターとして,こういう世界観でこういう曲が鳴っているゲームにしたいんだって思いがあって。希望の都はそれに対する完璧な答えでした。
 FFXIVのイベントなどでは,今でも一番最初に鳴り響いてほしいと思ってしまうので,僕にとっては思い入れが強い曲です。あの曲を聞いたとき,新生FFXIVいけるんじゃないかなって思いましたからね。

画像集 No.007のサムネイル画像 / [gamescom]全力で走っていたら5周年を迎えていました。「ファイナルファンタジーXIV」吉田直樹氏と祖堅正慶氏への合同インタビューをお届け

――票が集まっていて意外だと思った曲はありますか。

祖堅氏:
 全部意外と言えば意外でしたね。

吉田氏:
 僕が大好きだったシリウスが,ギリギリで落ちたのがショックでした(笑)。シリウス好きなんだけどなー。

祖堅氏:
 でも地域によって好き好みって結構あるんだなって思いました。ヨーロッパだとこう,日本だとこうって明確に分かれていて,すごく参考になりました。あ,結果発表は少々お待ちください。

――パッチ4.4はどんな感じになりますか。

吉田氏:
 4.3で紅蓮のリベレーターという物語が一回完結したので,4.4はテレビドラマで言うと,第4シーズンの序章です。まずはトレイラーを見て「はぁ?」となって,本編を見て「はぁ?」となって,ファンフェスを楽しみにしていただきたいです。最もテンションが上がる時期かと思うので。

画像集 No.008のサムネイル画像 / [gamescom]全力で走っていたら5周年を迎えていました。「ファイナルファンタジーXIV」吉田直樹氏と祖堅正慶氏への合同インタビューをお届け

――来月開催される東京ゲームショウには出展されますか。

吉田氏:
 ブースは出展させていただきますし,バトルチャレンジもやろうとは思ってますけど,大きな発表はないと思います。14時間生放送がその前にあって,どうしてもそこに全部の情報を集約しちゃうので。プレイヤーと一緒にFFXIVを遊ぼうみたいなステージは考えています。

――ねぶた祭に出展されたきっかけを教えてください。

吉田氏:
 光の戦士は日本全国にいますが,現状では一緒に盛り上がれる場所が首都圏に寄ってしまっているので,ねぶたなら近隣の人がきて,伝統のある祭とFFXIVの両方が楽しめるかなって思い,出展することにしました。
 そうしたら,ねぶた名人が作ってくれることになって,嘘でしょって。しかも,ねぶた名人のご子息が光の戦士だったりとか,意味が分からなくて(笑)。マイねぶたってレギュレーションが厳しくて,本来は小さめなはずなのに,行ってみたらすごく大きく作られていて,これマイねぶたを超えてませんかといったら,ギリギリで歴史に残る最大サイズを作ってみたって。ヒカセンパワーを甘く見てました。

 ねぶたもそうですが,いろいろなことをやるのがプレイヤーへの恩返しかなって。沖縄から来られた方もいたので,今後も機会があれば,こういう取り組みをやっていきたいと思ってます。

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――14時間生放送の見どころを教えてください。

祖堅氏:
 メインとサブがあるのですが,サブはFFXIVをプレイしながら「馬鹿な開発者ばかりだな」って感じで,だらだらと見てくれれば嬉しいです。

吉田氏:
 メインは5周年っぽい放送になってるかなと思います。いろいろな方からお祝いのお言葉もいただいているので,そういうのもはさみつつ。ただ,基本的にはプロの司会もおらず,馬鹿なおじさんたちがわーわーやっているだけの放送なので,なんとなくFFXIVをやりながら,お酒を飲みつつ見てもらえればと思います。

 あと,開発パネルみたいなのをやろうと考えてます。ゲームの中にある1つの集落がどう作られていくのか,というのにフォーカスしたお話をします。若手で,下から這い上がってきた子がプレゼンするので,生暖かく見守ってください。内容は面白いので,新しい切り口の開発パネルになると思います。

画像集 No.004のサムネイル画像 / [gamescom]全力で走っていたら5周年を迎えていました。「ファイナルファンタジーXIV」吉田直樹氏と祖堅正慶氏への合同インタビューをお届け

――光の戦士達に一言お願いします。

 この5年,僕らとしては本当にあっという間でした。全力でやってたら5年という感じです。こうして全力で走ることを許してもらえているのは,たくさんの方に遊んでもらえているからですし,そこは再確認しつつ,これまでの5年を繰り返すのではなく,積み上げてきたからこそできることがあると思ってます。
 この先は,ほかのゲームではできないようなことをやっていきたいです。ただ,現時点では何も決めていません。とにかく1人でも多くの人に遊んでもらって,盛り上がるゲームにしたいので,今後ともよろしくお願いします。

――ありがとうございました。

「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター」公式サイト

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