インタビュー
[E3 2016]「バイオハザード7」開発陣インタビュー。「恐怖」に焦点を絞った本作で,初代バイオハザードの衝撃を今のプレイヤーに味わってほしい
本作は,PlayStation VRへの完全対応が謳われており,E3会場には,体験版のPlayStation VR対応版が出展されていた。詳しいプレイ内容を書くとネタバレになってしまうので,概要だけに留めるが,体験版では不気味な館からの脱出を目指して,建物内を探索することになる。
戦闘シーンは一切なく,プレイ時間もそれほど長くはないのだが,いかにも嫌なことが起きそうな場所を,怖いもの見たさでおそるおそる調べたり,心臓が止まるかと思うような演出を体験したり……という感じで,とにかくプレイヤーの恐怖を煽る仕掛けが満載。VRによる没入感のおかげもあって,声が出てしまうほどの恐怖感を味わえる。新たなバイオハザードの方向性を存分に体験できる内容だ。
体験版をすでに遊んでいる人は,あの館が自分の周り360度に広がっている様子を思い浮かべてほしい。ホラーとVRの相性は抜群で,とにかく怖いのだ。
さて,そんな体験をした後で,本作のプロデューサーである川田将央氏,ディレクターの中西晃史氏,そしてプロモーション・プロデューサーの神田 剛氏に,メディア合同でのインタビューを行う機会を得た。バイオハザード最新作がどのようなものになるか,楽しみにしている人はぜひご一読を。
――バイオハザード7は,もともとPlayStation VR用デモの「KITCHEN」として公開されていましたよね。あれはバイオハザード7として開発が進んでいたものの一部を切り出した形だったのでしょうか。
川田将央氏(以下,川田氏):
はい。昨年のE3にVRコンテンツを出展するにあたって,バイオハザード7のごく一部をVR体験用素材として抜き出し,さらにシチュエーションを限定して“体感”に特化したコンテンツをKITCHENとして公開しました。その反響などから「バイオハザード7はVRと相性が良く,可能な限りフル対応すべき」という手ごたえを得られたので,今回その集大成として,VR対応の体験版を出展した次第です。
――KITCHENの時点では,フル対応は決まっていなかったんですね。
中西晃史氏(以下,中西氏):
対応することだけは決まっていたんですけど,どこまでやるかは検討段階でしたね。
――発売日は2017年1月26日となっていますが,その前にPlayStation VRの発売があります。こちらに合わせて,今回のようなVR体験版の配信などを行う予定はあるのでしょうか。
川田氏:
まだ決まっていませんね。もちろん可能性はありますので,いま検討しているところです。
――プレイして,これまで以上にホラーゲーム寄りのテイストだと感じました。
川田氏:
そう受け取ってもらえたのでしたら,大成功です。本作では「恐怖」に焦点を絞って世界観を設定していますし,アイソレートビュー(一人称視点)を採用しています。
中西氏:
基本的には,「プレイヤーがいかに怖い体験をできるか」ということを軸にしていますね。
――本作の世界観は,従来のシリーズとは異なるものになるんですか?
中西氏:
あくまでバイオハザードのユニバースの中に位置づけられています。今回は,「新しいバイオは何かが違うぞ」と感じてもらいたかったので,あえてつながりを見せなかっただけです。
川田氏:
本編をプレイしていただければ「あ,やっぱりバイオだ」と感じてもらえると思いますよ。
――体験版の反響はいかがでしょう。
中西氏:
「カプコン見直した!」と前向きなコメントをいただいています。良いスタートを切れたようで,非常に嬉しいですね。
逆に,変わったことへの不安や,体験版で戦闘がまったくなかったので「ずっとこれなの?」と心配されている方もいるかもしれませんが,そこはきちんと,期待されているバイオハザードの経験ができるものを作っています。
――とはいえ,一人称視点の採用などで,戦闘部分は従来と印象がだいぶ変わってくるのでは?
中西氏:
そこはまだあまりお知らせできないのですが,バイオハザードは「サバイバルホラー」であって,戦って生き残るゲームです。ですから,敵と戦うという要素は,重要なものとして捉えています。
一人称視点になることで,敵と距離が近くなるので,自分が襲われている印象は,さらに強くなるでしょう。KITCHENでは刺される演出がありましたが,ああいうのをゲーム中に感じられるわけです。
――それはかなり怖くなりそうな……。
中西氏:
KITCHENでは,ショッキングな表現をどれぐらいまで作れるのか,テストしていた部分があったんですが,良い反響を得られました。今回の出展にあたり,僕らも久しぶりにKITCHENをプレイしたら,思わず身を引くくらいびっくりしました(笑)。
こういう感覚は,三人称視点ではなかなか出せないものですね。
――それが本作のポイントである「未体験の没入感」につながっているわけですね。KITCHENの時点では,VRへのフル対応は決まっていなかったとのことですが,対応の決定によって,ゲーム内容に影響が出ませんでしたか?
中西氏:
まず当然の前提として,VRなしの通常のゲームプレイで十分に満足してもらえるものを作るというのが基本的なポリシーです。また,VRの有無に合わせて,カメラなどの細かな調整はしますが,ゲーム内容に違いが出るということはありません。
――出展中の体験版は,自由に移動操作が行えますが,VR酔いという問題もあって,このあたりは苦心されているのでは?
中西氏:
そうですね。今回のVR版が完成したのは先週のことですし,今はどういう形の移動にすれば酔いにくいのか,研究を進めているところです。
VRにおける移動方法は,ポイントを選んでワープするタイプがトレンドですけど,あれは酔わない人からすれば「もっとやらせろよ」と思ってしまうんですよね。ですから,できるだけ多くの人が遊べるようにしつつ,自由に移動できるようにもしたいです。最終的にどうなるかは,まだちょっと分かりませんが。
川田氏:
現在のROMでは,ゲームを立ち上げている状態でもVRのオンオフを自由に切り替えることが可能ですし,セーブデータも共有できるので「酔ってきたからVRなしで続きを遊ぼう」といったことは可能になる予定です。
――PlayStation Moveの利用などは検討しているのでしょうか。
川田氏:
現時点ではないですね。まずはVRへの対応に集中しています。
――今回のタイトルはバイオハザード7 レジデント イービルですが,これは日本市場でのタイトル名である「バイオハザード」と,海外市場での「Resident Evil」が両方入っていますよね。ここにはどういった意図があるんですか?
川田氏:
このタイトルから,どういった印象を持たれましたか?
――個人的には,日本と海外で違っているタイトルを共通にするため,プロモーション的な観点からそうしていると思ったのですが。
中西氏:
半分はそれですね。日本のプレイヤーの感覚だと,生物災害が起きてくれないとバイオじゃないじゃん! となるんですけど,海外では邪悪な住人さえいてくれたらResident Evilになるので,そのあたりのギャップは,開発としても感じていました。
もう半分については,メッセージ性があったりなかったりするんですけど……そのへんは追い追いということで(笑)。
川田氏:
とりあえず,本作はバイオハザードとレジデント イービルのどちらのテーマにも沿った内容に仕上がっていると思います。
――体験版,のホラーに寄せた作風からは,シリーズをリブートするタイトルになるのではないかという印象を受けたのですが。
中西氏:
リブートというわけではないんですが,大きなチャレンジをしているタイトルではありますね。
川田氏:
バイオハザードはこれまでシリーズを続けてきて,ずっと進化してきました。特に1〜3と4〜6でゲーム性が大きく異なりますが,7は,また1つの変革になるのではないでしょうか。
神田 剛氏(以下,神田氏):
今回は革新性の部分で,想いを込めてやっています。
中西氏:
自分が「初代バイオハザードを初めて遊んだときの衝撃」みたいなものを,今のプレイヤーに味わってほしいという想いはあります。ですから本作では,先の読めない状況や,生き残れるのか分からない不安みたいなものを感じられるようにしたいですね。
――最後に,バイオハザード7を楽しみにされているファンに,メッセージをお願いします。
神田氏:
バイオハザード7は,シリーズ20周年の目玉となるタイトルです。これからその姿と魅力を皆さんにお伝えしていきますので,楽しみにしていてください。皆さんの期待は裏切りません。
中西氏:
発表できて嬉しく思っています。皆さんの暖かいフィードバックで,仕上げるモチベーションが上がっていますので,ご期待ください。
川田氏:
タイトルが発表されたときの皆さんの驚きを見て,作ってきて本当に良かったと実感しました。さらに良いものに仕上げていくので,期待していてください。
――ありがとうございました。
「バイオハザード7 レジデント イービル」公式サイト
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