そうだ アニメ，見よう：第230回はTVアニメ第5期「ダンまちV 豊穣の女神篇」。ベルをめぐってオラリオ最大の“派閥大戦”が勃発

　大森藤ノ氏の異世界ファンタジー小説「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」（GA文庫/既刊20巻）は，シリーズ累計1700万部を突破しているヒット作品だ。コミックやゲームなど，多数のメディアに展開し，TVアニメは第5期まで制作されている。

　というわけで，「そうだ アニメ，見よう」第230回のタイトルは，TVアニメ第5期「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかV 豊穣の女神篇」（毎週金曜日24：30/TOKYO MX・BS11ほか）。制作はJ.C.STAFF，シリーズ構成は「デート・ア・ライブ」シリーズの白根秀樹氏，監督は「魔法科高校の優等生」や「とある科学の超電磁砲T」を手掛けた橘 秀樹氏が担当。今回はシリーズ構成に大森氏が参加しているのも話題となっている。
　なお，本編に関する“大きなネタバレ”を含んだ内容となるので，原作未読の人やアニメ未視聴の人は注意してほしい。

「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかV 豊穣の女神篇」

　広大な地下迷宮“ダンジョン”を中心に抱える街「迷宮都市オラリオ」。神々が住まうこの街には，彼らの恩恵を受けた冒険者達の集団“ファミリア”が乱立し，日々ダンジョンでのレベルアップに勤しんでいた。

　駆け出しの冒険者ベル・クラネル（CV：松岡禎丞）は，ふとしたことから女神ヘスティア（CV：水瀬いのり）と出会い，彼女のファミリアのただ1人の団員となる。Lv.1のベルは単独でダンジョン上層に挑んでいたが，ある日，中層級の強さを持つミノタウロスに襲われてしまう。


　間一髪のところでロキ・ファミリアの女性冒険者アイズ・ヴァレンシュタイン（CV：大西沙織）に助けられたベルは，彼女に一目惚れ。アイズに釣り合うような立派な冒険者となろうと決意すると，成長を促進する特殊なスキル“憧憬一途（リアリス・フレーゼ）”が発現し，驚異的な勢いで急成長を遂げてゆく。


　その後，サポーターのリリルカ・アーデ（CV：内田真礼）や鍛治士のヴェルフ・クロッゾ（CV：細谷佳正），タケミカヅチ・ファミリアから期間限定で改宗したヤマト・命（CV：赤﨑千夏），サポーター兼妖術師のサンジョウノ・春姫（CV：千菅春香）らを迎え，ファミリアもパワーアップ。

　アポロン・ファミリアとの戦争遊戯（ウォーゲーム），異端者（ゼノス）をめぐる騒動，元アストレア・ファミリアのリュー・リオン（CV：早見沙織）とのダンジョン行など，数々の試練を乗り越え，ベルはついにLv.5にまで到達する。


　そして，実りの祝祭「女神祭」が開催される中，酒場「豊穣の女主人」のシル（CV：石上静香）とデートすることになったベルは，ヘスティアやアイズ，豊穣の女主人の店員たちの追跡を受ける。フレイヤ・ファミリアの眷族たちを巻き込んで大騒動に発展する中，シルはついにその想いをベルに打ち明けるのだった。

「豊穣の女主人」のシルの正体が明かされる

　「豊穣の女神篇」は，ベルに想いを寄せる少女・シルをメインにした物語が展開される。ベルが駆け出しだった頃から彼を支えてくれた，シルの正体がついに明かされるのだ。彼女の正体は，付き人・ヘルン（CV：白石晴香）の姿を借りた，女神フレイア（CV：日笠陽子）であった。これまで，ベルにちょっかいをかける人物への牽制に終始していたフレイヤが，なりふり構わず彼を奪いにいく。


　TVアニメ第4期「新章 迷宮篇」「深章 厄災篇」でのハードな展開とは打って変わって，ラブコメ要素の強い章かと思いきや，最終的にはヘスティア・ファミリアを旗手とする複数のファミリアで構成された派閥連合と，最大派閥フレイヤ・ファミリアとの“派閥大戦”まで発展。これまでにない大規模な戦いが描かれる章となっている。

　フレイヤはまず，眷属を使ってベルを拘束。“魅了”の権能を使って，迷宮都市すべての人物（ベルや一部の神を除く）に，ベルが始めからフレイヤ・ファミリアに所属していたと思い込ませる。
　これに気づいたヘスティアは，自身の権能「偽現・炉神の聖火殿（ディオス・アエデス・ウェスタ）」で魅了を打ち破るが，諦め切れないフレイヤはヘスティアにベルを賭けた戦争遊戯を提言するのだ。ベルのモテモテぶりは本作でも見どころの一つだが，ここまでいくと羨ましいを通り越して，ちょっとコワいかも。


　大森氏は，ずっと愛に疲れていたフレイヤが，恋に傾いて起きた“シルの物語”が「豊穣の女神篇」だと語っている。迷宮都市すべてを巻き込んだ，フレイヤの“恋の暴走”がこの章のテーマとなっているそうだ。

迷宮都市最強の男に立ち向かえ！

　戦争遊戯は，47もの派閥が参加する派閥連合が一見有利に見えるが，公平を期すために2大派閥の一つ，ロキ・ファミリアの参加は禁止されている。そうなると，アレン・フローメル（CV：八代 拓）やヘディン・セルランド（CV：島﨑信長）など，多数のLv.6を抱えるフレイヤ・ファミリアが圧倒的に有利だ。
　さらに，迷宮都市最強の男，Lv.7のオッタル（CV：小柳良寛）を打ち破らなければ勝利はない。Lv.5のベルをはじめとする派閥連合が彼をどのように攻略するかが，大戦の勝敗のカギとなるわけだ。

派閥大戦クライマックスは2月から放送

　第15話「初恋（シル）」が放送され，「豊穣の女神篇」は大団円を迎えた。第5期は制作上の都合で第1〜11話が2024年10月〜12月に，第12〜15話が2025年2月〜3月という，変則スタイルで放送されている。派閥大戦が始まる第11話「地獄（フォールクバング）」から次の第12話「継承（アストレア・コード）」まで1か月以上待たされ，ツラい思いをした人も多いはず。その気持ちは痛いほど分かりマス。

　正直，小説2巻分をぎゅっと圧縮しているので，削られているシナリオは多い。しかし，原作者の大森氏の監修で，きちんと見どころを押さえた構成となっている。ベルたちがどのようにオッタルに立ち向かうのか。そしてシル＝フレイヤの恋はどんな結末を迎えるのか。ぜひ自分の目で確かめてほしい。




　なお，この「豊穣の女神篇」でも登場した，英雄譚「水と光のフルランド」の秘密をめぐるアクションRPG「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 水と光のフルランド」（PC / Nintendo Switch）が発売中だ。こちらも大森氏が監修しているので，興味がある人はプレイしてみよう。

「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」ポータルサイト

アニメ「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」公式X

放映データ
2024年10月〜毎週金曜24：30〜TOKYO MXほか

キャスト
ベル・クラネル ：松岡禎丞
ヘスティア ：水瀬いのり
シル・フローヴァ ：石上静香
リリルカ・アーデ ：内田真礼
ヴェルフ・クロッゾ ：細谷佳正
ヤマト・命 ：赤﨑千夏
サンジョウノ・春姫 ：千菅春香
フレイヤ ：日笠陽子
オッタル ：小柳良寛
アレン・フローメル ：八代 拓
ヘディン・セルランド ：島﨑信長
ヘグニ・ラグナール ：小林裕介
ガリバー兄弟 ：市川太一
ヘルン ：白石晴香
ヘイズ・ベルベット ：長谷川育美
ヴァン ：佐藤 元
ミア・グランド ：慶長佑香
リュー・リオン ：早見沙織
アーニャ・フローメル ：西 明日香
クロエ・ロロ ：洲崎 綾
ルノア・ファウスト ：芳野由奈

スタッフ
原作：大森藤ノ（GA文庫/SBクリエイティブ刊） キャラクター原案：ヤスダスズヒト
監督：橘 秀樹
シリーズ構成：大森藤ノ/白根秀樹
キャラクターデザイン：木本茂樹
美術監督：小林悠喜
美術設定：鈴木 朗/金 廷連
色彩設計：安藤智美
撮影監督：福世晋吾
編集：坪根健太郎（REAL-T）
音響監督：明田川 仁
音楽：井内啓二
プロデュース：EGG FIRM
アニメーション制作：J.C.STAFF
オープニングテーマ：GRe4N BOYZ 「少年」
エンディングテーマ：sajou no hana 「ハイドレート」
(C)大森藤ノ・SBクリエイティブ/ダンまち5製作委員会