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信長の野望・創造 戦国立志伝公式サイトへ
  • コーエーテクモゲームス
  • 発売日:2016/03/24
  • 価格:パッケージ版:1万584円(税込),ダウンロード版:9155円(税込),TREASURE BOX:1万4904円(税込)
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シリーズ初の武将プレイが楽しめる「信長の野望・創造 戦国立志伝」のインタビューを掲載。本作は前作「創造」とは異なる新しい「信長の野望」だ
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印刷2016/03/19 00:00

インタビュー

シリーズ初の武将プレイが楽しめる「信長の野望・創造 戦国立志伝」のインタビューを掲載。本作は前作「創造」とは異なる新しい「信長の野望」だ

画像集 No.012のサムネイル画像 / シリーズ初の武将プレイが楽しめる「信長の野望・創造 戦国立志伝」のインタビューを掲載。本作は前作「創造」とは異なる新しい「信長の野望」だ
 コーエーテクモゲームスから2016年3月24日に発売される「信長の野望」シリーズ最新作「信長の野望・創造 戦国立志伝」PC / PS4 / PS3 / PS Vita。以下,戦国立志伝)。シリーズで初めて,武将(=家臣)の立場でプレイできるこの作品は,さまざまな側面において「初」が付くものが多く,期待も高まる一方で,「いったいどんなゲームになるのだろう?」という疑問を感じる部分も少なくない。
 そこで今回,「戦国立志伝」の制作を指揮するプロデューサー小笠原賢一氏とディレクター小山宏行氏に,「戦国立志伝」の特徴はもちろん,なぜ今,武将プレイの「信長の野望」を作るのかなど,詳しいところを聞いてみることにした。

 ゲームのプラットフォームはもちろん,プレイヤーも,デベロッパも,販売方法も,何もかもが急激に多様化し続けてる現在,30年を越える歴史を持つ長寿シリーズの最新作は,何を目指すのだろうか。

「信長の野望・創造 戦国立志伝」公式サイト



異なるニーズに向けて,新しいゲームを


4Gamer:
 新作となる「信長の野望・創造 戦国立志伝」は,武将プレイができる「信長の野望」であると伺っています。戦国時代での武将プレイというと「太閤立志伝」シリーズがありますが,これは「信長の野望」とは異なるテイストのゲームです。今なぜ,「信長の野望」に武将プレイを導入するという決断をされたのでしょうか?

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小笠原賢一氏(以下,小笠原氏):
 もともと「創造」は,シリーズ30周年の集大成として制作しました。「信長の野望」といえば,プレイヤーが一人の戦国大名になって,天下統一を目指すゲームです。このことを根底からしっかりと見つめなおして,最新作を作るというのが,「創造」のテーマでした。そして「信長の野望 創造 with パワーアップキット」(以下,創造 with PK)まで完成した段階で,大名視点というところにこだわった上で,リアリティを持ったゲームシステムがしっかりと作れたという手応えも得られました。
 一方で,前作/前々作にあたる「革新」と「天道」は,大名視点でのゲームではあるものの,箱庭内政の要素が非常に強いゲームでした。

4Gamer:
 確かに,プレイヤーの立場こそ大名ですが,かなり細かく領地をいじることができましたね。

小笠原氏:
 それらに比べると,「創造」は一段階高い目線でプレイするゲームになっているわけです。結果として「創造」は,「革新」「天道」でみられたような,腰を据えてじっくりと内政を楽しむプレイスタイルとは異なるゲームとして完成したんです。

4Gamer:
 なるほど。自分も「創造」では,町づくりはAIにほぼ任せて,もっとマクロな視点でのゲームを楽しんでいます。

小笠原氏:
 そうなりますよね。ですが,「革新」「天道」のような楽しさを期待されていたプレイヤーさんの期待には応えられていないわけです。これはゲームの完成度の良し悪しではなく,ゲームデザインの方向性によるものですから,「創造」を作るにあたっても,それはある程度まで仕方がないと覚悟していました。

4Gamer:
 確かに,どちらも,となると中途半端になりそうですし。

小笠原氏:
 ですが,実際に「創造」をリリースしてみると,「革新や天道のような要素がもっと欲しかった」という声が思った以上に多く寄せられました。そこで,期待に応えるべく,最初は「創造」のアップデート,ないしパワーアップキットとして,じっくりと町や領国を育てていくような要素を追加しようかと考えたんです。

4Gamer:
 でも,「創造」のパワーアップキットもパッチも,そういう要素を強化する方向ではありませんでしたね。

小笠原氏:
 はい。我々としてもいろいろと考えた結果,「革新」や「天道」のようなじっくり楽しめる箱庭内政要素を,中途半端な形で「創造」に入れるよりも,それに適した新しいゲームをきちんと作ってしまったほうがいい,もう,ゲームシステムのレベルから見なおそうじゃないか,と。
 武将プレイを採用したというのも,これが理由になります。「創造」が目線を上げたゲームであれば,「戦国立志伝」は目線を武将のところまで下げたゲームになるわけです。

4Gamer:
 まさに「半端なことはしない,根底から練り直す」,と。

小笠原氏:
 はい。「創造」のパーツを使って,まったく別の楽しみ方ができるゲームへと再構成したというのが,もっとも適切な表現になると思います。社内での開発コードネームも「創造2」で,ゲームの方向性がまったく異なるんですよ。

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「戦国立志伝」における,ゲームの「クリア」とは


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4Gamer:
 続いて,具体的なゲームの内容について教えてほしいのですが,ズバリ,「戦国立志伝」では,姫武将は出てくるんですか? 人によっては最も隅っこの話題ではありますが,個人的にはセンターで気になっていたので(笑)。

小笠原氏:
 ええ,出ます(笑)。自作武将も登場させられますよ。

4Gamer:
 ありがとうございます! ということで本題に入りますが,ゲームのターン進行について教えてください。これは基本的に「創造」と同じ,と考えていいのでしょうか?

小笠原氏:
 はい。そこは基本的に同じで,リアルタイムですが月に1回ゲームを止めて,そこで内政の命令が出せるという構造です。

4Gamer:
 リアルタイムといっても,「Starcraft」や「Age of Empire」シリーズのような,そこまで忙しいゲームではない,と。

小笠原氏:
 そうですね。プレイのテンポは「創造」よりも,ゆるやかです。
 大名視点ですと,やはり同時に管理すべきことが多いじゃないですか。他国がいろいろ動きますから,それに対応し続けなくてはなりません。だから「創造」は,結構忙しいゲームになっています。一方,「戦国立志伝」は武将視点ということで,自分の領地や城に意識を置いて,じっくりとプレイできるゲームとして作りました。

4Gamer:
 じっくりとプレイできるということですが,大雑把に見て,だいたいどれくらいで「クリア」ないし「一区切りついた」というところまで行けるのでしょうか? 武将プレイですから,振れ幅は大きいとは思うのですが,だいたいこれくらい,という数字はありますか。

小笠原氏:
 そうですねえ……一応,区切りとしては惣無事令(そうぶじれい)や天下統一ができたら終わり,ではあるのですが。

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小山宏行(以下,小山):
 概算で言えば,10時間から20時間というところですが,本当に「人による」としか言いようのないところもありますので,数字は出し難いですね。

小笠原氏:
 織田家の後期に活躍した武将をプレイして,早い時期に手柄を立てて軍団長になり,自分で軍団の指揮ができるようになって,という具合にトントン拍子でいけば,かなりスムーズにゲームが終わるだろうな,と思います,ですが小大名の下についている武将でスタートすると,もっと時間がかかるでしょうね。

4Gamer:
 まあ,出世までのステップ数に差がありますね。

小笠原氏:
 とはいえ,惣無事令や天下統一は確かに一区切りですが,それだけが一区切りだと考えると,大名プレイとあんまり変わらないんですよね。「戦国立志伝」は,一人の家臣として自分の仕える大名家に貢献しながら,大名家が潰れないよう,最後まで家を盛り立てていく。そして最終的に大名家が生き残れば,家臣として満足だと,そういうプレイ方針でも楽しめるように作られています。

4Gamer:
 その点について詳しく聞いてみたかったのですが,例えば「三國志」の武将プレイですと,勝ち組についているならともかく,負け組についた状態で自国が滅びるまでプレイし続けるというのは,遊んでいて辛く感じることもあります。「戦国立志伝」では,このあたりはどうなっているのでしょうか?

小笠原氏:
 「戦国立志伝」においては,家臣としてプレイする場合,いかにして主家を潰れないようにするか,というところに思い入れができるプレイになりますね。その上で,たとえ主家が潰れてしまってもそこでゲームオーバーというわけではなく,ほかの大名の下で仕切り直すことも可能です。もちろん,滅んだ旧主家での地位よりも低い地位からの再スタートになりますが。

4Gamer:
 なるほど。

小笠原氏:
 ですが,それは「可能」という話であって,それが正解というわけではない,と思っています。つまり,プレイヤーさんの選択肢として,そういう道もありますよ,ということなんですね。大事なのは,戦国時代を思い描きつつ,そこに感情移入してプレイできるようなゲームであることだと考えています。だから,たとえ仕える大名家が弱小であっても,「ならばこそ」の面白さが感じられるようなゲーム要素を用意しています。

4Gamer:
 戦国時代の日本地図を自分の色で塗りつぶしていくというよりは,一人の武将として戦国時代を体験していくゲームとして「戦国立志伝」は作られている,ということでしょうか。

小笠原氏:
 そうですね。もちろん統一というのは一つの大きなゴールですが,「戦国立志伝」における典型的な「終わり」というのは,プレイしている武将が死んだときなんです。

4Gamer:
 武将本人の人生だと考えれば,確かに死んだときが一区切りですね。

小笠原氏:
 その武将が一生をどのように送り,プレイヤーがそこでどのような追体験をしたのか。それが「戦国立志伝」におけるゲーム体験であり,ゲームとしての一区切りだと思います。ですから,その武将がどのような生き様を送ったのかを,しっかり振り返れるようなエンディングを用意しています。

4Gamer:
 ああ,人生を振り返ることができるのは良いですね。

小笠原氏:
 その上で,息子がいたり,地位を継承できる配下がいたりすれば,息子や配下でプレイを継続できますが……やはり「一区切り」というのであれば,スタート時に選んだ武将で,その武将の一生を体験したときですね。


「お使いゲーム」ではない武将プレイ


4Gamer:
 ところで,「戦国立志伝」では何人くらいの武将が出てくるのでしょうか? 武将プレイですから,自分の出身地や,場合によっては血縁の武将をプレイしたい,という要望も強いのではないかと思います。そういったニーズに対して,「武将の人数」は,これまで以上に大きな意味を持つと思うのですが。

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小山氏:
 2000人ちょっと,ですね。

4Gamer:
 2000……ですか!?

小笠原氏:
 「創造 with PK」で,1800人ちょっといるんです。今回は大坂の陣まで入っているので,戦国時代最末期の武将も入れた結果,2000の大台に乗りました。2100人を越えるかどうかというところですね。まあ,文句なく史上最大人数です(笑)。

小山氏:
 今後,どうしようという感じですね。もうこの数字を更新するのって無理なんじゃない? と(苦笑)。

4Gamer:
 ま,まあ,プレイヤーとしては,最低でも2100回遊べる,ということで(笑)。
 さて,武将つながりで教えてほしいのですが,本作では武将に地位を与えられるということですよね。これは具体的に,どのような階層で,どういうシステムによって管理されるのでしょうか?

小山氏:
 大きく分けると,家臣・城主・大名という3区分になります,実際にはもう少し細かく分かれていまして,一番下から「家臣」「城代」「城主」「軍団長」「大名」となっていますが,基本的には「家臣」「城主」「大名」という3階級だと考えてください。

4Gamer:
 「三國志」でいう,軍師のような地位はありますか?

小山氏:
 ありません。本作においては,城主や大名も,「権限の大きな武将」という位置づけですので。いわば全員が,武将という枠組みの中で,戦国時代を戦っているわけです。ですので「軍師」のように,そこからズレるような立ち位置は,ゲームシステムとしては組み込んでいません。

4Gamer:
 なるほど。では下の地位で――例えば家臣でプレイする場合,上からの命令はどういうタイミングで降ってきて,それに対してプレイヤーはどう対応していけばいいのでしょうか?

小笠原氏:
 タイミングは,わりとマチマチですね。月頭の評定のときでもありますし,戦闘関係でしたらリアルタイム進行のなかで,発せられることもあります。命令の遂行についても,「創造」と同様に,複数月に跨って実行されるようなものもあります。

小山氏:
 命令と言うと強制力を感じますけれど,実際には,わりと自由にできます。もちろん家臣ですから,上から「こういうことをしましょう」という大きなお題目は出てくるのですが,そのためにプレイのすべてを費やすゲームではないんです。
 どちらかと言えば,自分の領地を経営しつつ,その中で主命をどう果たしていくかを考える,というスタイルです。もちろん主命を果たすと勲功が溜まり,それによって出世を果たしていけるのですが,決して「主君からお使いクエストを命じられ,それを果たして地位を上げる」というゲームではありません。

4Gamer:
 あくまで領地経営がメインである,と。

小山氏:
 はい。発せられる命令も「どこそこを攻めるために兵を溜めろ」とか「物資を提供せよ」,あるいは直接的に「どこそこを攻めろ」といった命令が下されますが,それらの命令をいつ,どのように達成していくかは自分で考える,といった形の進行になります。

4Gamer:
 確かにそういう命令ですと,そもそもちゃんと領地経営していないと達成できなさそうですね。

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大名であることの意味と重荷


4Gamer:
 ここまで聞いてきて,家臣や城主でプレイする「戦国立志伝」の風景はだいぶ想像できるようになったのですが,では大名でプレイする場合は,どんなゲームになるのでしょうか。より具体的には,大名での内政では,どんなことができて,何をしなくてはならないんでしょう?

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小笠原氏:
 本作においては,大名と言っても,あくまで「一番偉い城主」なわけです。複数の城を持っていることもありますが,基本的にできることは城主と同じですし,同じようなことをやっていくことになります。
 無論,権限の面で言えば,外交の特権であったり,軍事的な指揮権の広さだったりといった,大名ならではの広がりはあります。

4Gamer:
 そうなると逆に気になるのですが,複数の城を持つ大名の場合,その複数の城を管理しなくてはならないものなんでしょうか? 自分はとくにめんどくさがりなので,どれくらい委任できるかというのは,とても気になります。

小山氏:
 委任はそれなりに可能です。逆にすべての城を直轄領として,何もかも自分で面倒を見るということも,一応は可能となっています。

4Gamer:
 そこの自由度も大きいんですね。

小山氏:
 ええ。ですが複数の城を直轄している状況というのは,逆に言えば,「家臣に城を与えていない状況」と言い換えられます。しかるに勲功を積んだ家臣が,その勲功にも関わらず昇進できないとなると,当然その家臣は不満を持つことになりますよね。ですので,やはりどこかで,家臣に城を与えて城主にする必要が出てきます。

4Gamer:
 功績には報いねばならない,と。

小山氏:
 もっとも,この勲功システムは,別の方向にもゲームを動かす力を持っています。家臣は活躍すれば勲功をためていきますが,勲功を積んだ家臣を城主にするためには,城が必要になるわけです。となると,他国を攻撃して城を獲得する必要も出てくるわけです。

4Gamer:
 あー,勲功を積んだ家臣に褒美を与えないといけないけど,城は勝手に増えないから主君が扱いに困るという……。

小山氏:
 まあ,勲功まわりについては,そこまでシビアなバランスにはしていませんので,「ものすごく困った!」ということにはならないとは思います。ただ,放置しておくわけにもいかない案件です。このあたりは大名としての統率力が求められる面ですし,「大名プレイならではの内政」と言える部分でもあります。


合戦の要は「敗走しないようにする」こと


4Gamer:
 内政に続いて,合戦についても教えてください。まず一番基本的なことですが,合戦はリアルタイムなんですか?

小笠原氏:
 合戦も,大枠は「創造」のシステムと同じだと考えてください。ですので,リアルタイムでの進行となります。ただ今回は武将プレイですので,自分が扱うのは自分の部隊だけ――つまり,例えば柴田勝家であれば,柴田勝家隊だけを操作することになります。そのため,さまざまなミクロなマネージメントを行うことになります。
 自分以外の味方の隊はAIが動かしますから,彼らとうまく協調しながら,目の前の戦況に対処していく。そして敗走しないように頑張る(笑)。これがとても大事になってきます。

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4Gamer:
 操作できるのが自分の部隊だけですから,「敗走しない」のはすごく大事ですね……。

小笠原氏:
 もちろん大名でのプレイであれば,臣下の武将に対して大まかな命令を出すことは可能です。軍団長でも,自分が任されている軍団に対しては,大名と同じように指揮ができます。このあたりのプレイ感覚は「創造」に近いと思ってください。
 ですが大名や軍団長でのプレイであっても,陣形であるとかいったミクロなマネージメントを行えるのは,自分の部隊だけです。いわゆる,「自分の声が届く範囲」というやつですね。

4Gamer:
 大名や軍団長プレイのときの戦闘についても確認させてください。ほかの部隊に対してある程度命令が出せるのは分かるのですが,命令しなかった場合は,AIがコントロールしてくれるのでしょうか?

小笠原氏:
 そうなります。その上で,プレイヤーが「こっちに行け」という命令を出せば,その命令に従って行動します。
 ただし,自分が率いる部隊については,自分で命令しないと,その場で棒立ちになったままですね(笑)。

4Gamer:
 筆者のようなめんどくさがりとしては,「そういったミクロマネージメントをどれくらい“しなくてもいい”のか」というところが,気になりまして。

小笠原氏:
 戦闘の基本は「創造」と同じですので,カメラを引いて見ているぶんには,放置しているだけで戦闘は進んでいきます。一枚マップの上で軍勢がぶつかる戦闘ですね。これでしたら,しっかり数を揃えて挑めば,ミクロなマネージメントはなくても勝てます。
 ただし,自分が家臣のときは話が変わります。家臣のときは,戦闘のスケールも変わってくるんです。

小山氏:
 家臣と城代は,そもそも自分から出陣できません。あくまで,上の人から呼ばれて,戦場に参加するという形になります。このときも視点を引いて戦うことは可能ですが,基本的には自分の視点にして,陣形や戦術を駆使して戦う必要があります。

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未来の「信長の野望」のために


4Gamer:
 内容について,いろいろ聞いてきましたが,販売まわりのことも教えてください。本作もSteamでの販売や,英語版の販売などはあるんでしょうか。

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小笠原氏:
 まずSteamについてですが,「創造」と同じ販売チャンネルは使いますので“あります”。
 また,「創造 with PK」で久しぶりに英語版をリリースしましたが,英語圏のプレイヤーさんからの反応は非常に良好ですし,今後はできる限り英語版もリリースしたいと考えています。それにやはり,PCゲーム市場においてSteamの影響力の大きさは,目を見張るものがありますし。実際,「創造 with PK」の英語版は,ビジネス的に見て成功を収めていますので。

4Gamer:
 それは非常に心強いニュースですね。

小笠原氏:
 例えば,Paradoxさんのゲームがスウェーデンならではの発展をしたストラテジーゲームであるように,「信長の野望」も日本ならではの発展をしたストラテジーゲームだと思っています。だから海外のプレイヤーさんにとって「信長の野望」は,新鮮な楽しさのあるゲームになっているんです。

4Gamer:
 もうひとつ,販売周りで面白いというか,興味深く思ったのは,要求スペックです。「戦国立志伝」の要求スペックって,現代的なPCゲームの中では,群を抜いて低くありませんか? CPUの要求に「Core 2 Duo」の文字を見たのは,すごく久しぶりです。この要求水準だと,格安のWindowsタブレットでも動きそうですよね。

小笠原氏:
 スペックについては,「創造」での要求スペックより上げない,ということを基準にしていました。一方で「創造」のころに比べて,タブレットPCの性能は急激に上昇しています。結果,安価なタブレットPCでも動くゲームとして仕上がった,というところはありますね。そもそもシミュレーションゲームは,そんなにハイエンドに寄せるべきゲームでもないと思ってますし。加えて,PS Vitaで動くものも考えないといけません。PS Vita市場も,しっかりビジネスになっている市場ですからね。

4Gamer:
 分かりました。
 さて,自分はストラテジーゲームが大好きなんですが,お分かりのとおり,おそろしくめんどくさがりなんです。そんな自分がここまでいろいろ聞いてきて,「これは,めんどくさがりでも遊べそうなゲームだな」と安心しました(笑)。

小山氏:
 そこは本当に,いろんな方がいらっしゃいますね。こと細かに自分ですべてやりたいという方もいれば,やりたいところだけ操作したいという方もいる(笑)。この要望の幅の広さは,私達にとって常に大きな課題になっています。

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小笠原氏:
 大名視点を追求した「創造」に対して,武将視点でゲームを作り直した「戦国立志伝」という形でのご提案になったのも,まさにそれが根底にあります。
 「信長の野望」は,もう30年以上続いているシリーズとなります。なので,プレイヤーさんの嗜好の幅も広ければ,年齢層も非常に幅広くなっていますし,そもそも「戦国ゲームとはこういうものだ」というイメージが,その広い年齢層でまるで違うんです。

4Gamer:
 なるほど。プレイヤーの要求というか,ゲームに対する「かくあるべし」という思いが,極度に多様化しているわけですか。

小笠原氏:
 だから,1本のゲームでそのすべてにきれいに対応するのはもう無理で,複数のタイトルでプレイヤーさんの要望に応えていくしかない,というのが現時点での判断です。

4Gamer:
 そうなると,プレイヤーからコーエーテクモゲームスさんに対して,要望の声を届けていくというのが大事なように思えます。

小笠原氏:
 こちらとしても,「信長の野望」での武将プレイというのは「戦国立志伝」が初の試みになりますので,そこでどんな反響があるのかというところには,大いに注目しています。
 今後のアップデートの展開にしても,ロードマップは作っていますが,プレイヤーさんの要望とのすり合わせは絶対に必要だと感じています。もちろん弊社には「太閤立志伝」という蓄積がありますが,安易にそれを持ってくることはできない,と考えています。

4Gamer:
 と,言いますと? 「太閤立志伝」のコンセプトは,「戦国立志伝」と近いようにも思えますが。

小笠原氏:
 「太閤立志伝」はリコエイションゲームというジャンルに属する作品で,どちらかと言えばRPGやアドベンチャーゲームとしての要素が強く含まれています。ですが「戦国立志伝」は「信長の野望」シリーズであり,シミュレーションゲームです。
 ですから今の段階で予測しているリクエストとしては,リコエイションゲームっぽさ,あるいはアドベンチャーゲームっぽさがもっと欲しい,というものがあると思います。実際に,そういう意見が多く寄せられるようであれば,そういった要素の追加をしようかという検討は,もう始めています。

4Gamer:
 ではなおさら,フィードバックは重要ですね。

小笠原氏:
 はい。「信長の野望」はこれまでもプレイヤーさんに意見をいただきながら,進歩を続けてきたという側面がありますし,そのコミュニケーションの成果として作品が成立してきたとも考えています。今回についても,そこはしっかりやっていきたいですね。

小山氏:
 いただいたご意見は,たとえ「戦国立志伝」には入れられなくても,次回作以降に活かすことができます。我々としてはもちろん「これで面白いゲームができた」と確信して作品をリリースしていますが,プレイヤーさんからの反応で作品を磨くことができますから,ぜひ,ご意見をいただければと思います。

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小笠原氏:
 「創造」と「戦国立志伝」は,最初にお話したように,大名視点にこだわったゲームと,武将視点まで下ろしたゲームという,まったく違う方向性で作られた作品です。
 これについても,今後この2つの路線を別々の作品として作っていくほうがいいのか,それとも両方の要素を持った1つのゲームとして作ったほうがいいのか,両方を遊んだプレイヤーさんからご意見を聞いたうえで,判断していきたいと思っています。

4Gamer:
 これから「信長の野望」シリーズそのものも,まだまだ発展していく,ということですね。では最後になりますが,4Gamer読者にメッセージをお願いします。

小山氏:
 「戦国立志伝」は,信長の野望シリーズでも初の武将プレイとなる作品であると同時に,今までにない遊び方ができるゲームでもあります。「三國志13」も武将プレイのゲームですが,それとはまた違ったシミュレーションゲームとして,ぜひ楽しんでみてください。

小笠原氏:
 信長の野望シリーズの30周年を飾る作品として,大名視点でのプレイを突き詰めた「創造」に対し,「戦国立志伝」は初の武将プレイという大きな挑戦に挑んでいます。「戦国立志伝」での実装が初めてとなる新しい試みも,たくさん行っています。ご期待ください。

4Gamer:
 ありがとうございました。

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