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  • 発売日:2016/08/25
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新生SNKのモノ作りはここから始まる。「餓狼MOW2」の話題も飛び出した,「THE KING OF FIGHTERS XIV」開発陣インタビュー
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印刷2016/06/25 00:00

インタビュー

新生SNKのモノ作りはここから始まる。「餓狼MOW2」の話題も飛び出した,「THE KING OF FIGHTERS XIV」開発陣インタビュー

大阪の江坂にあるSNKプレイモア本社ビル。入口には,新しくなったばかりのコーポレートロゴが掲げられていた
画像集 No.024のサムネイル画像 / 新生SNKのモノ作りはここから始まる。「餓狼MOW2」の話題も飛び出した,「THE KING OF FIGHTERS XIV」開発陣インタビュー
 SNKプレイモアが2016年8月25日に発売を予定しているPlayStation 4用対戦格闘ゲーム「THE KING OF FIGHTERS XIV」(以下,KOF14)。前作「THE KING OF FIGHTERS XIII」(PC / PS3 / Xbox 360 / AC。以下,KOF13)以来,およそ6年ぶりのナンバリングタイトルとなる本作は,シリーズ伝統の3on3チームバトルや鋭いダッシュとジャンプを軸としたバトルデザインを継承しながら,グラフィックスを2Dから3Dへと一新。そして,シリーズ最大級となる総勢50名のキャラクターが参戦する,まさにKOF新章の幕開けを予感させる作品となっている。

 今回4Gamerは,KOF14開発チームの面々──プロデューサーの小田泰之氏,キャラクターデザイナーのおぐらえいすけ氏,ゲームデザイナーの渡邉勇仁氏,そして前職で「ストリートファイターIII 3rd strike」(以下,ストIII 3rd)や「Capcom vs. SNK 2」(以下,CvS2)といった様々なタイトルを手がけ,格闘ゲームファンにNeo_Gのニックネームで知られる石澤英敏氏の4名にインタビューする機会を得た。
 KOF14開発の経緯や登場キャラクターの選定理由,またバトルデザインの狙いといった,格闘ゲーム語りに欠かせない話はもちろんのこと,「ギースのレイジングストームコマンドはどうしてああなった?」「餓狼MOW2の開発が進んでたって本当?」といった,古くからのSNKファンには見逃せない話題も語ってもらったので,お見逃しなく。

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「THE KING OF FIGHTERS XIV」公式サイト



またゲームが作りたい――士気の高いスタッフが集結したKOF開発チーム


4Gamer:
 まずは自己紹介を兼ねて,それぞれのご経歴からお聞かせ願えますか。

SNKプレイモア ゲーム事業本部 第一スタジオ プロデューサー小田泰之氏
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小田泰之氏(以下,小田氏):
 プロデューサーの小田です。「餓狼」シリーズや「龍虎」シリーズを中心に携わり,「餓狼 MARK OF THE WOLVES」(以下,餓狼MOW)のリリース後,「2」の開発が少し進んだぐらいまでSNKに居まして,その後はディンプスに在籍していました。そして,本作の開発スタートを機に,今のSNKプレイモアに戻ってきたという経緯になります。

おぐらえいすけ氏(以下,おぐら氏):
 キャラクターデザインを担当しているおぐらです。SNKに入社したのは1996年で,餓狼チームに配属されて「リアルバウト餓狼伝説スペシャル」(以下,RBS)から格闘ゲームの制作に携わるようになりました。で,そのときのデザイナーの先輩が小田さんだったという。

小田氏:
 ……そうだっけ?

SNKプレイモア ゲーム事業本部 第一スタジオ アーティスト おぐらえいすけ氏
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おぐら氏:
 そうですよ! で,自分はその後,RBSのアレンジ移植版である「DOMINATED MIND」(PlayStation)からキャラのドットも打つようになり,「リアルバウト餓狼伝説2」「幕末浪漫第二幕 月華の剣士」を手伝ったり,餓狼MOWで牙刀やグラントのドットを打ったりしていました。それからいろいろあって別の会社に移ったりしていましたが,2001年頃から再びSNKプレイモアのタイトルに関わるようになり,今に至っています。

4Gamer:
 おぐらさんは,KOF12と13のメインビジュアルを担当されたとお聞きしています。

おぐら氏:
 ええ。その頃は広報宣伝的な部署にいたんですが,KOF14では開発チームに戻り,キャラクターデザインと広報系のビジュアルを兼任しているんです。

渡邉勇仁氏(以下,渡邉氏):
 バトルデザイナーの渡邉です。ええと,僕は格ゲーをバリバリ作ってきたお三方とは違い,ちょっと経歴が特殊なんです。もともとは,そこらのゲーセンにいるゲーマーだったんですが,KOF2003のバグチェックで知り合った友人の紹介で,モバイルゲームが主力のデベロッパに入ることになり,そこで格闘ゲームのモバイル版移植に関わることになりました。

4Gamer:
 モバイル版というと,いつ頃の話なんでしょうか。

SNKプレイモア ゲーム事業本部 第一スタジオ ゲームデザイナー 渡邉勇仁氏氏
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渡邉氏:
 2007年頃の,いわゆるガラケーの時代です。秒間12フレームしか出せなくて,苦労しました(笑)。それからすぐにiPhone 3Gが出て,iPhone用の格闘ゲームも作ってました。

小田氏:
 あれ,すごく良くできてたんだよね。てっきり海外で作ってるものだとばかり思っていて,「この技,よぉ作ったなあ」なんて言いながら遊んでいたんだけど,実はすごく近所で作られていたっていう(笑)。

おぐら氏:
 KOF13のスマホ版である「THE KING OF FIGHTERS-i」も,渡邉さんが作ったんですよね。

渡邉氏:
 ええ,立ち上げに関わりました。そんなわけで,ここにいるほかの皆さんが作った格闘ゲームを,モバイル端末に移植する仕事を中心にしていたんですが,「KOF14を作るぞ!」という話を聞いて,SNKプレイモアに移ってきました。以来,企画立ち上げから本作に関わっています。

石澤英敏氏(以下,Neo_G氏):
 それじゃ最後に僕から。ええと,最近SNKプレイモアに入社したNeo_Gこと石澤です。今は渡邉くんと各キャラのバトルコンセプトやゲームシステムについて相談したり,ときにアドバイスしたりといった仕事をしています。あと,開発やプロモ全般のアシスト的なこともやったりとか。

4Gamer:
 Neo_Gさんは,前職で数々の格闘ゲームを手がけてこられた,古くからのゲーマーにはお馴染みのクリエイターなわでけすが,なぜSNKプレイモアに移られたのでしょうか。

Neo_G氏:
 まず最初に言っておきますが,円満退社ですから(笑)。
 前の職場には長く在籍していたこともあって,しばらく管理側にまわっていました。でも,その横で最新の格闘ゲームなんかを作っているのを見ていると,段々と自分でもゲームを作りたくなってきて。何かチャレンジできないかと考えているうちに,たまたま小田さんと飲む機会があって……めっちゃ盛り上がったんですよね(笑)。

小田氏:
 あれは2015年末でしたね。深夜の2時ぐらいまで,格ゲーの話ばかりしていたという(笑)。

SNKプレイモア ゲーム事業本部 第一スタジオ リードゲームデザイナー 石澤英敏氏(Neo_G)
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Neo_G氏:
 そのときはまだ,会社を辞めてまでゲームを作る決心まではしていなかったんですが,ふと思ったんです。定年まで15年ぐらいあるとして,自分はあと何本ゲームを作れるんだろうかって。

4Gamer:
 ああ,なるほど。

Neo_G氏:
 最近は1作あたりの開発スパンも長いですし,もしかすると外に出て作った方が早いのかとか,フリーの企画マンはどうだろうとか考えていた折に,またしばらくしてSNKプレイモアと話してみたら……どうも自分も勢いづいちゃってたみたいで。最初は最近どうですかって話だったのが,サクサクと話が進んでしまった(笑)。

4Gamer:
 古巣を飛び出してまで,現場に居続けたかった?

Neo_G氏:
 もちろんそれもありますが,SNKプレイモアを選んだ理由はもう一つあって。今回のKOF14というのは,SNKという企業の新たな船出でもありますし,その立ち上げに加われることは,同時に自分の経験としてすごいチャンスだと思ったんです。ゲーム会社が,いい意味でまだ泥臭い開発をしていた時代――現場の連中一人一人の試行錯誤でモノを作っていた時分のやり方が,またできるんじゃないかという期待があった。だとしたら,これを逃す手はないなと。

小田氏:
 コンソールのタイトルは,作るのになにかと言い訳が必要な時代ですからね。でもそういう経緯もあってか,実際,KOF14の開発チームは「またガンガンゲーム作りがしたい」という環境を求めて集まってきた人が多いです。
 Neo_Gさんのように外から移ってきた人もいれば,「龍虎」「餓狼」の旧SNK時代からずっと格闘ゲームを作ってきた人もいますが,ベテランも若手もとにかく士気が異常に高くて。

Neo_G氏:
 言い方が悪いかも知れないけど,“開発室がちょっと臭いタイプ”の作り方ですよね(笑)。

4Gamer:
 2015年11月に発表されたSNKプレイモアの方向転換については,発表時には格闘ゲーマーの間でも話題になりました。パチスロ事業からは撤退するとのことですが,つまり今後はゲーム一本で行く,ということですよね。

小田氏:
 ええ。パチスロは業界全体が厳しい状況にある一方で,ゲーム事業は手応えを感じるようになってきた,というのが,今回舵を切った理由だと聞いています。パチスロが国内でしか商売にならない一方,ここ10年でコンシューマゲームやスマホゲームはオンライン接続が当たりまえになり,世界に製品を届けることができるようになった。アジア圏や中南米で人気のIPを持つSNKプレイモアにとって,これは大きなビジネスチャンスです。

4Gamer:
 先のプレス発表会では,コーポレートロゴが旧SNKのものに戻り,コーポレートメッセージも“The Future Is Now”という,古参の格闘ゲーマーにとってなじみ深いものに変更されることが発表されました。あれにはどういう意図があるのでしょう。

2016年4月25日開催のプレス発表会にて、SNKプレイモアの新ブランド戦略を発表する外山公一社長
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小田氏:
 ゲーム事業に専念することを対外的にも分かりやすく伝えようということですね。実はあれに決まったのは,社員全員への公募と投票の結果だったりします。

4Gamer:
 なにか反響はありましたか?

おぐら氏:
 北米や中南米といった,海外からの反響が大きかったですね。

小田氏:
 海外にはパチスロがないので,SNKプレイモアがゲームを作らずに何をやっているのか,知らなかったみたいですね。だからあのメッセージを出したことで,「SNKがようやく戻ってきた」「おかえりなさい」というレスポンスがたくさん来ました。
 ちなみに,SNKプレイモアのロゴの“O”の文字って,実はあれパチスロのメダルなんですよ。みんな地球だと思っているみたいだけど(笑)。

おぐら&渡邉氏:
 ええっ,そうなの?

小田氏:
 おぐらくんも知らんかったのか(笑)。

渡邉氏:
 あの“O”って,最初茶色でしたよね? だから,ずっとバスケットボールだと思ってました。

小田氏:
 ラッキー・グローバーの?

渡邉氏:
 そうそう,それです! 

(一同笑)

SNKプレイモアの旧コーポレートロゴ
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2Dから3Dへ。新章を迎えたKOFを彩る50名の登場キャラクター達


4Gamer:
 ここからは,KOF14そのものについて掘り下げて行きたいのですが,まず本作ではナンバリングタイトルとしては初となる3Dグラフィックスが採用されています。これは何度も聞かれた質問だと思うのですが,KOF12から13へとブラッシュアップされてきた2Dグラフィックスを捨て,3Dグラフィックスを採用した理由を教えていただけますか。

小田氏:
 これは今の市場を考えての判断です。KOF13のグラフィックスを評価していただく機会は多いのですが,5年先10年先を考えたときに,この延長で続けてしまっていいものかという点には疑問がありました。それよりも,ここで3Dグラフィックスにチャレンジし,社内に表現方法や技術,ライブラリを蓄積していくべきなのではないか。そのうえで,クオリティを高めていくほうが未来があるはずだ。それが,開発スタッフ全員が総意として出した結論だったんです。

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4Gamer:
 ゲームエンジンはどうされているのでしょうか。Unrealですか?

小田氏:
 いえ,内製のエンジンを使っています。Unreal Engineも開発初期には候補に挙がりましたが,当時のバージョンを使用した場合の,我々の開発力や予算との兼ね合い,またそのほかのリスクを考えた結果,採用は見送りました。そうすると,どうしてもライティングやシェーダ周りが弱くなってしまいますが,まずは自社にノウハウを溜めていく意味もあって,こちらを選ぶことにしたんです。

4Gamer:
 なるほど。では,グラフィックスの方向性として,やや写実寄りな表現を選んだのはなぜでしょう。個人的なイメージでは,KOFはもう少しアニメ寄りというか,セルルックな表現になるものだと思っていたのですが。

小田氏:
 これはですね,僕とアートディレクターの黒木が,シリーズ第1作であるKOF'94にそういう印象を持っていたからなんです。KOF'94は「R-TYPE」「ラストリゾート」児玉光生さん(現・ケーツー代表取締役社長)がグラフィックスを担当したこともあって,ちょっとSFチックな雰囲気がありました。

Neo_G氏:
 これは僕も同意見で,当時のSNKの格闘ゲームは,写実的な絵をなんとかドットで表現することを目指していたように思います。なので,KOF14の絵の方向性は,個人的にもとても“らしい”と感じています。

小田氏:
 ストリートファイターや餓狼伝説の場合は,劇画調の絵からスタートし,後に筋肉を誇張したデフォルメが行われるなかで,コミカルさを獲得していったじゃないですか。対するKOFのキャラクターは,最初から頭身が高く,デフォルメの少ない自然なプロポーションだった。

4Gamer:
 そう言われれば,かつてのSNK作品はパッケージアートも写実寄りでしたね。

森気楼氏が手掛けていた,かつてのパッケージアート(画像はKOF'95のもの)
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小田氏:
 ええ。ただ,KOF13のようなアニメっぽいビジュアルのほうが良かったという声も,確かにありました。恐らくそれは,KOF13が6年にわたって遊ばれ続けた結果なのかな,と僕らは考えているんですけど。

おぐら氏:
 実を言うと,開発初期は今よりももっとリアル寄りのグラフィックスだったんですよ。でもそうすると,髪の毛が水色のクーラや,ピンクだったり紫だったりするアテナのようなキャラクターは,どうしても違和感が出てしまって。それで少しデフォルメを入れることになり,今のテイストに落ち着いたという感じです。

KOF14のクーラ
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4Gamer:
 グラフィックスが2Dから3Dになったことで,作り方が大きく変わったようなところはあるのでしょうか。

渡邉氏:
 当たり判定なんかは,これまでどおり2Dの矩形で付けていますし,根っこの部分では変わらないですね。ただ絵的な表現の面では,アニメーションをモーション補完に頼らずに手付けしたりと,手触り的な部分が変わらないように気を使っています。

小田氏:
 でもモーション補完があるおかけで,楽になった部分もあります。例えばキムの飛燕斬みたいな下タメ技って,出がかりの絵を立ち状態から描いてしまうと,出したときに不自然な立ちモーションが挟まっちゃうんですよ。

4Gamer:
 ああ,なるほど。

小田氏:
 なので,そういうときは先にコマンドを決めてから絵を描き始めるか,後からつじつまを合わせるために描き直す必要があったんですが,3Dの場合は立ちかしゃがみかを設定しておくだけで,勝手に補完してくれるので楽ちんです(笑)。

4Gamer:
 2Dドット絵に,未練はないですか。

おぐら氏:
 ドット絵という技法は,解像度が低くて色数も少ないという制限の中でこそ生きるものですから。その制限が解消された今となっては,わざわざ選ぶようなものではないと思います。仮に2D風にやるにしても,ドットとは違う手法を選ぶことになるかな,と。

KOF'98のゲーム画面(画像はNESiCAxLive版のもの)
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KOF13のゲーム画面
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小田氏:
 1990年代のアーケードゲームって,各社がそれぞれで筐体を作っていたじゃないですか。うちの場合,MVS筐体に搭載されたブラウン管モニタの走査線の発色性能に合わせて,色々とカスタマイズしたうえでドットを打っていたわけで。だから,MVS筐体以外のモニタに映した場合,絵がちょっと汚く見えるはずなんですよ。

Neo_G氏:
 ありましたね,昔はそういうの。例えば有名な話ですけど,CPS基板の解像度は384×224ドットで,縦長のドットを打ってたんです。それと比べたら今は環境が違いすぎます。

おぐら氏:
 それに,ドット絵でカッコ良いモーションが作れる人って,3Dになってもやっぱりカッコ良い絵が作れるんです。そこはこれまでの蓄積が確実に生きている部分ですから,技法が変化したとしてもまったく無駄ではないし,ガラッと変化したわけでもないかなと思いますね。

4Gamer:
 分かりました。ではキャラクターについてなんですが,本作では全部で50名のキャラクターが登場することが明らかになっています。うち19名が新キャラクターですが……これ,かなり多いですよね?

KOF14に登場する50名のキャラクター達
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渡邉氏:
 比率でいえば1/3なので,そんなに多いわけでは……。あと,KOFは3人で1キャラみたいな扱いなので,それでいうと6キャラ相当ですよ。

小田氏:
 まあ6キャラでも今の時代なら多いかもしれないけど。それこそ昔は総とっかえしていたわけで。ウチは考え方が古いのか,とにかく新鮮味を出したいってことで,この数になっちゃいましたね。

4Gamer:
 とくに,ナコルルの参戦には驚きました。昔ゲームボーイ版の「熱闘ザ・キング・オブ・ファイターズ'95」に登場したことがありましたが,本編としては初ですよね?

KOF14への参戦が決まったナコルル
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小田氏:
 結果的にはそうなんですが,作っている側としては,ずっと出したかったキャラクターだったと思うんですよ。あの当時は「世界観が違うから出しません」なんて言ってましたけどね(笑)。

4Gamer:
 え,そうなんですか?

小田氏:
 KOF'94は「サムライスピリッツ」(以下,サムスピ)と同時期の制作でしたし,ナコルルがあそこまで人気キャラクターになるとは,当時は誰も予想していなかったでしょうし。だからゲームエンジンの基礎の部分に,武器やママハハといったキャラクターとは別のスプライトを被せる仕組みが組み込まれていなかった。KOF'95以降も,そうした基礎部分は引き継いでいたので,ナコルルは出したくても出せなかったというのが実情だと思います。

4Gamer:
 ……なんというか,今になって明かされる衝撃の事実を聞いた気分です(苦笑)。
 KOF14の新キャラクターでは,ほかにもシルヴィ・ポーラ・ポーラが印象的ですね。なんというか,顔芸という意味で。あと,キング・オブ・ダイナソーは……一体何者なんだ。

おぐら氏:
 いや,彼はれっきとした新キャラクターです!  もともと新キャラの中にプロレスラー枠が1つあって,最初はまったく別のキャラクターを考えていたのですが,ある日小田さんが「こんなんどう?」って持ってきたデザイン画のインパクトが大きくて。結果,現在のあの方になったという経緯です。

小田氏:
 シルヴィの方は,多分男性人気は出ないでしょうね(笑)。彼女は女性ファンにカワイイと言ってもらえたら成功だと思います。

おぐら氏:
 最初のコンセプトから,変顔をするようなキャラクターでした。それをどこに入れようかって段になって,勝利ポーズになったという。

シルヴィ・ポーラ・ポーラの勝利ポーズ
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4Gamer:
 なるほど……新キャラはまだまだいるわけですが,今挙がった以外でイチオシのキャラクターはいますか?

おぐら氏:
 ストレートに人気が出そうなのは,中国チームのシュンエイですね。主人公的なアクションのカッコ良さがあって,ストーリーモードでもかなり活躍します。女性人気という意味でも,期待できるのではないかと。

小田氏:
 僕はボスキャラクターのアントノフですね。皆に好かれて欲しいキャラクターです。あとはオフィシャル招待チームのククリかなあ。

4Gamer:
 ああ,ククリはいいですよね。普通にカッコ良いといいますか。

小田氏:
 ……普通にカッコいいかというと,蓋を開けてビックリかもしれませんけど。

4Gamer:
 えっ?

小田氏:
 見た目としゃべりのギャップがスゴいんですよ。ぜひ楽しみにしていてください(笑)。

Neo_G氏:
 僕は悪人チームのザナドゥ推しです! 見た目も設定も相当キレていて,ストーリーモードを追いかけてみても,何のことを言ってるのか分かるかどうか(笑)。彼の言動から想像を膨らませると,とんでもなく面白いです。

4Gamer:
 ……ええと,それは深いキャラクター設定があるってことですか?

おぐら氏:
 深すぎて,普通の人はついてこられないかも。

Neo_G氏:
 なので,まったく人気が出ない可能性もありえますね(笑)。

渡邉氏:
 僕はギースの執事,ハインがオススメですね。皆さんの思い描いているだろうKOFっぽいバトルデザインから,ちょっとズレたキャラクターとして作ったので,そのあたりを楽しんでいただけたらと。とはいえ,シルヴィもククリもザナドゥも,新キャラは皆「お前ら別ゲー出身やろ」って感じではあるんですが。

KOF2003からスタートした「アッシュ編」は前作KOF13で完結を迎え,新章がスタートするKOF14。基本的にはこれまでのアーケードモードを踏襲し,CPU戦の合間にデモシーンが挿入され,ボスを倒すことでチームごとのエンディングが見られる形式だとか。期待しておこう
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4Gamer:
 実際に遊べるのを楽しみにしたいと思います(笑)。
 ところで,本作に登場するキャラクターは,この50体ですべてなんでしょうか。例えば,DLCなどでの追加キャラクターの予定は?

小田氏:
 今のところ予定はありません。というか,まだそこまで考える余裕がないというのが正直なところです。発売後2〜3か月でDLCキャラクターが登場したりすることも珍しくないですが,ああいうのは前もって作ってないとできないことなんです。KOF14の場合,発売時の50体にすべてを注ぎ込んでしまったので……。なので,仮にDLCキャラクターが追加できるとしても,発売後にファンの皆さんの反応を見てから制作に取りかかることになると思います。

4Gamer:
 ちなみに,例えば過去作のオロチチームなんてものすごく人気があると思うんですが,ストーリー的にはもう出すのが難しそうですよね。今後の可能性として,その辺りはどうお考えなんですか。

小田氏:
 オロチチームの面々は死んじゃってますからねえ。出したいんですけど,「実は生きてました!」というわけにもいかないし……出すからには物語も含め,きっちり作らないとダメですね。

おぐら氏:
 でも人気があるのはスタッフ一同重々分かっているので,そこの折り合いさえ付けば,いずれはありえると思いますよ。

4Gamer:
 ストーリーモード以外には,どんなモードがあるのでしょうか。先の発表会では,オンラインモードについての言及もありましたが。

小田氏:
 対戦部屋を作って対戦する「FREE MATCH」には,「TEAM VS」「SINGLE VS」「PARTY VS」の3つのモードがあります。最大12人まで入室可能で,観戦もできますよ。

4Gamer:
 もちろん,いわゆるランクマッチもあるわけですよね。ストーリーモードやトレーニングモードを遊びながら相手を探す,いわゆる待ち受け機能もあるのでしょうか。

渡邉氏:
 ランクマッチも待ち受け機能も用意しています。「RANK MATCH」はいわゆる段位制になっていて,級から始まって数字段になり,上の方になると称号が付くような形です。全部で30段位ほどありますので,腕に覚えのある人はぜひ挑戦していただければと。

小田氏:
 それと「RANK MATCH」は飛び級モードを用意していまして,これを選ぶと最初の10戦の結果で,適正な段位までショートカットできるようになっています。シリーズ経験者の方は,これを選ぶと意図しない初心者狩りをしなくて済みますので,ぜひ活用してほしいです。

「FREE MATCH(TEAM VS)」のロビー画面。ルールの異なる6つのテーブルが用意されていて,好きなルールを選んで対戦できる。チャット機能も完備されていて,「GUILTY GEAR Xrd」シリーズのロビーマッチに近い形式
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こちらは「FREE MATCH(PARTY VS)」のロビー画面。3人のプレイヤーで1つのチームを作り,1人1キャラを担当して戦うモードとなる。なおPARTY VSでは,チーム内でキャラが被ってもOKなため,例えば全員チャン・コーハンといったチーム構成も可能とのこと
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「FREE MATCH」では,トレーニングモードの部屋を作ることもできる。待ち受け条件で「教えてください」アピールもでき,上級者側はそういう部屋を選んで入ることもできるそうだ
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