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[E3 2015]VR専用ゲーム「Robinson: The Journey」を発表したCrytek。その土台となった技術デモ「Back to Dinosaur Island 2」を体験してみた
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印刷2015/06/18 00:00

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[E3 2015]VR専用ゲーム「Robinson: The Journey」を発表したCrytek。その土台となった技術デモ「Back to Dinosaur Island 2」を体験してみた

CrytekにてVR関連プロダクトを統括しているFrank Vitz氏(Creative Director,Crytek)
画像集 No.002のサムネイル画像 / [E3 2015]VR専用ゲーム「Robinson: The Journey」を発表したCrytek。その土台となった技術デモ「Back to Dinosaur Island 2」を体験してみた
 「Crysis」シリーズでリアルタイムCGの新境地を開拓し,Ryse: Son of Rome」では,SIGGRAPH 2014にて「Best Real-Time Graphics Award」を受賞するなど(関連記事),華々しい実績で知られるゲームスタジオであるCrytek。E3 2015で同社は,完全新作のゲームタイトル「Robinson: The Journey」(以下,Robinson)を発表している。
 そして,北米時間2015年6月16日,AMDが開催した独自イベント「The Era of PC Gaming」でCrytekは,Robinsonを開発するきっかけとなった仮想現実(以下,VR)対応のインタラクティブデモ「Back to Dinosaur Island 2」をプレイアブル展示した。

 イベント会場では,Robinsonを含むCrytekのVR関連プロダクト全体を統括するCreative DirectorのFrank Vitz氏に話を聞くことができたので,その内容をレポートしたい。
 余談だが,Vitz氏はもともと,オフラインレンダリング分野のプロで,映画X-Menシリーズを始めとして,数々の大作映画でCG制作に関わった人物だ。Crytekに合流する前には,EA DICEに所属していたそうで,Battlefieldシリーズの制作に関わっていたという,リアルタイム,オフライン双方のCGエキスパートである。


VR専用タイトルとして開発中の

「Robinson: The Journey」


 まずは,完全新作ゲームであるRobinsonの話題から始めよう。
 先に言ってしまうと,現時点でRobinsonは,どういったジャンルでどのプラットフォームに提供するのかや,いつ頃リリースするのかといった情報は一切明かされていない。事実上,「こんなタイトルを開発してますよ」としか発表されていないようなものだ。
 ただ,どのようなゲームになるのかは,やんわりとほのめかされている。

Robinsonのキービジュアル
画像集 No.003のサムネイル画像 / [E3 2015]VR専用ゲーム「Robinson: The Journey」を発表したCrytek。その土台となった技術デモ「Back to Dinosaur Island 2」を体験してみた
 まず,Robinsonは,CRYENGINEベースで開発された,VR対応ヘッドマウントディスプレイ(以下,HMD)専用タイトルになる予定だ。Vitz氏によると,今後のCRYENGINEは,VRコンテンツの制作支援機能を充実させていく予定だそうで,Robinsonはそうした機能を活用する技術デモ的な位置付けにあるらしい。

 先述のとおり,対応HMDや対応プラットフォームは明らかにされていないものの,CRYENGINE自体が,Windows PCとOculus VRの「Rift」や,PlayStation 4と「Project Morpheus」に対応済みであるうえ,今後は「Steam Machine」と「SteamVR」にも対応する予定なので,「リリース先はどれにでも対応できる」(Vitz氏)という姿勢なのだそうだ。

 ゲームとしてのRobinsonには,探索やアクション,パズル的な要素が盛り込まれるものの,これまでのCrytekがリリースしていたような,ハードコアなゲーム性は盛り込まれない予定という。ゆるいインタラクティブ要素を主体としたゲームになるようだ。

 プロットや世界観は,SF冒険ものになることが決定しているそうだが,詳細はまだ決まっていない点が多いそうだ。
 主人公はRobinという名前の少年で,彼が乗っていた宇宙船が星間航行中に「何らかの原因」で,未知の惑星に不時着。気が付いたときは見知った者が周囲におらず,大破した宇宙船を横目に,未知なる惑星の探索を開始する。すると,その惑星に文明の面影はなく,巨大な恐竜達が闊歩する原始の惑星であることが明らかになっていく。宇宙船難破事故の原因は何か,ほかの乗員はどこへ行ったのか。果たしてRobin少年の運命やいかに……。現時点で明かされているプロットは,このくらいである。
 詳細は徐々に明らかになっていくそうだが,Vitz氏によれば,来年のE3 2016では,もう少し具体的な話ができるかもしれないとのこと。完成したRobinsonをプレイできるのは,しばらく先のことになるだろう。


Robinson開発のきっかけとなったVRコンテンツ

Back to Dinosaur Island 2をプレイ


 さて,このRobinson,その原点を辿ると,Game Developers Conference 2015で発表された,CrytekのVR技術デモ「Back to Dinosaur Island」(以下,Island 1)に行き着くそうだ(関連記事)。

Island 1のキービジュアル。すべてはここから始まった
画像集 No.004のサムネイル画像 / [E3 2015]VR専用ゲーム「Robinson: The Journey」を発表したCrytek。その土台となった技術デモ「Back to Dinosaur Island 2」を体験してみた

 恐竜をテーマにしたこのVR技術デモは,簡単なインタラクティブ要素をともなったデモにすぎなかったのだが,体験者からは好評を得られたため,開発チームは,新たなデモである「Back to Dinosaur Island 2」(以下,Island 2)の制作に着手する。
 Island 2では,インタラクティブ要素をさらに強化し,簡単ではあるが,制作途中でゲーム的な要素を入れてみたところ大きな手応えが感じられため,それがきっかけとなって,VR技術デモから正式なゲーム開発プロジェクトへと,昇格させることになったとVitz氏は述べていた。

Island 2のイメージ。空を飛ぶ翼竜と墜落した宇宙船など,Robinsonに通じる要素は,ここですでに構築されていたのだ
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 さて,そのIsland 2だが,本稿執筆時点で最新版のCRYENGINEで開発されたもので,AMDのVR制作支援ミドルウェア「LiquidVR」にも対応したものになる。会場では,AMDの新GPUである「Radeon R9 Fury」を2基搭載するコンパクトなゲームPC「Project Quantum」でデモプログラムを動作させ,表示用のHMDには,Riftの第3世代試作機「Crescent Bay」を使用していた。

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Island 2を動作させていたのは,Radeon R9 Fury×2搭載の小型ゲームPC,Project Quantumだった
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Island 2を体験中の筆者。装着しているHMDはOculus VRのHMD試作機であるCrescent Bayだ

 前作であるIsland 1は,恐竜の通り道に迷い込んだプレイヤーが,巨大昆虫のちょっかいをうけながら,草食恐竜や肉食恐竜の生態を観察するといった内容で,とくにストーリーのようなものは存在しなかった。

Island 1は,恐竜達の生態を観察するという内容で,とくにストーリー要素はなかった
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 一方,その続編となるIsland 2は,崖を登っていく途中で,翼竜に襲われるという,ドラマチックなストーリー展開をともなうものとなっている。

Island 2の1シーンより。翼竜の襲撃というゲーム的な要素が取り入れられている
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 崖を登る操作には,有線ゲームパッドの「Xbox One Controller」を使用。ゲームパッドの左右アナログトリガーを両方引くと,崖にかけられたワイヤーを登っていくという仕組みになっていた。崖の途中にはワイヤーの分岐点がある。どちらに行くかを選択するには,片方のアナログトリガーから指を離してから,行きたい方向のワイヤーに視線を向けて,再びアナログトリガーを押すという動作が必要だ。イメージ的には,左右のアナログトリガーを押し込む操作が,左右の手による掴み動作に連動しているような感覚だった。

 さて,そうしてワイヤーで崖を移動していると,崖上から次々と飛び降りてくる翼竜の大群に遭遇したり,翼竜の巣に迷い込んでしまい,卵を奪いに来た盗人と勘違いされて翼竜に威嚇されたりするもする。とはいえ,反撃するような要素はなく,あくまでもスリルを味わうだけのデモだ。

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 テーマパークのライドアトラクション的な展開のIsland 2だが,Vitz氏は過去に,米国のUniversal Studiosでスパイダーマンのアトラクションを手がけた経験があるとのこと。もしかしたら,Vitz氏のそうした経験が,Island 2にも生かされているのかもしれない。

翼竜を目で追ったり(左),上から岩を落としてくる翼竜を見上げたり(右)している筆者。サウンドもリアルで,羽ばたく音が背後から聞こえると,ついそちらを向いてしまう
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 翼竜に驚かされながら崖の上に到達すると,眼の前にはVRコンテンツならではの,広大なパノラマビューが広がっている。そこには空や水辺,木々といった大自然だけでなく,巨大な宇宙船の残骸も転がっている。あれはいったい……,というところでデモは終了した。Vitz氏はIsland 2のことを,「Robinsonにつながるティザー的なVRデモ」と説明していたが,言い得て妙,といったところである。

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自然表現のリアリティこそ,CRYENGINEの真骨頂だ
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 水辺や空,植物といった要素は,長年Crytekが力を入れて表現してきたグラフィックス要素だけに,VRになっても安定して高い品質を誇っている。翼竜の表現も見事で,巨大な鳥のような動きや羽毛のない皮膚の質感が,リアルな存在であるかのように見えていた。

 あくまでVR技術デモであるとはいえ,ゲーム的なドラマや世界観をともなった作品という印象で,Robinsonへの期待を高めるには十分なものだったと思う。ゲーム本編の完成が,今から楽しみだ。

Robinson: The Journey 公式Webサイト(英語)

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