COMPUTEX TAIPEI 2015のメイン会場であるTWTC Nangangに大きなブースを構えるASRockは,ゲーマー向け製品ブランド「
ASRock GAMING」の立ち上げをブースにおいて宣言。合わせて,第1弾製品の1つとなるゲーマー向け無線LANルーター「
G10」の動作デモ展示を行っていた。
G10。一般にルーター製品は黒や白が多いのだが,G10の外観は赤色だ。このカットだと角度の問題で分かりにくいが,ASRockロゴは金色であり,なんとも中華圏っぽい感じである
|
IPQ8064のブロック図。ASRockによれば,メインメモリ容量は512MBとのこと
|
「ゲーマー向け○○」という製品が出てきた場合,当然のことながら「何がゲーム用途に向くのか」という話になるが,ASRock GAMINGでプロダクトマネージャーを務める
Alex Liu(アレックス・リウ)氏によると,G10では,
Qu
al
co
mm
Ath
er
os製SoC
(Sys
tem
-on
-a-
Ch
ip)にして,
「In
ter
net
Pro
ces
sor」と位置づけられる「
IPQ8064」を搭載することがそれにあたる。1.4GHzで駆動するデュアルコアKrait CPUと,デュアルコアのネットワークアクセラレータを統合した同SoCによって,
ゲームアプリケーションのパケットを自動認識し,優先して適切なネットワーク帯域幅を確保できるのだという。
背面側のインタフェース。4つ並んだLANポートの上に見える2つのボタンは,5GHz帯用と2.4GHz帯用のそれぞれに向けて用意されたWPSボタンだ
|
ASRockはこの機能を「
Gaming Boost」と名付けているが,
そんなGam
ing
Boo
stを支える足回りでは,
1000
BA
SE
-T
LAN
×4と,
IEEE
802
.11
ac対応の無線LANをサポート。IEEE
802
.11
acの5GHz帯では最大17
33
Mbps,
IEEE
802
.11n
の2.4
GHz帯では最大800
Mbpsの帯域幅を確保してあるのもポイントだ。
8本のアンテナを内蔵した4×4 MIMO仕様になっており,複数のクライアント端末と同時に通信できる「MU-MIMO」(Multi-User MIMO)に対応することから,「PCとタブレットなど,同時に複数の端末でオンラインゲームをプレイしても,十分な速度を確保できる」(Liu氏)とのことである。
というわけで,“なんちゃって系”ではなく,確かにゲーマー向けルーターだと紹介していい印象なのだが,それで終わらないのが,変態マザーボードのメーカー(?)として実績豊富なASRockの製品である。
HDMI Dongle & Travel APを本体に格納した状態(上)。なぜLANの口が背面の一番上に1つ用意されているのか疑問に思ったが,この部分が引き出せるのだった(下)
|
|
最も奇抜なのは,本体に差し込んで格納できる「
HDMI Dongle & Travel AP」で,
これは何かというと,
Wi-Fi Allianceが策定した無線HDMI技術「Miracast」レシーバーに,ホテルなどの有線LANを無線LAN化する,いわゆるホテルルーター機能を追加したものだそうだ。
なぜその2つを2-in-1化したのかという疑問はさておき,家庭内でG10と接続された状態では,HDMI Dongle &
Tra
vel
APをテレビと接続することにより,たとえばスマートフォンで再生しているビデオなどをテレビに表示できる。また,
HDMI
Don
gle
&
Tra
vel
APだけを外出先へ持ち出して,用意されているWANポートと有線LAN接続すると,無線LANアクセスポイントとしてスマートデバイスを利用できるのだ。
控えめに言ってもどうかしているアイデアだが,話を聞くと「便利かも」と思えてくるあたり,ASRockの真骨頂と言ってもいいかもしれない。
左と中央はHDMI Dongle & Travel APの表側と裏側。引き出すと,HDMI Type A端子が“生えて”いる。右は会場で行われていたデモ。なぜかWANポートにLANケーブルが差さっているが,ここでG10とHDMI Dongle & Travel AP間はワイヤレス接続されている
|
|
|
Android版のIOT Application
|
もう1つ,本体に学習リモコン機能を持つというのも,重要なトピックとして紹介しておく必要があるだろう。
G10では,「
IOT Application」というAndroid/iOS用アプリを使うことにより,無線LANの中だけでなく,外出先からも,家庭内ネットワークの設定を行える。そして,G10にはUSB 3.0が2系統用意されており,そこに接続されたストレージなどにも簡単にアクセス可能だ。リモート制御はアプリベースなので,ファイアウォールやIPアドレスの設定といった,面倒な作業なしに,家庭内LAN内のデバイスを利用できる……というのが前振りである。
アプリ側からルーターを設定したり,ルーターに接続されたストレージデバイスを利用したりできる
|
|
IOT Applicationから「IR Control」を選択すると,複数のリモコン設定を行える。ここでは「Channel 2」を選択したところで,学習や,動作テスト,学習内容の削除,学習内容の保存といった操作をここから行える
|
IOT Applicationには,学習リモコンの制御機能が用意されており,本体前面下部に用意された赤外線(IR)レシーバーを使って,家電用のリモコンを学習させると,本体背面の赤外線トランスミッタから,家庭内にあるデバイスを操作できるようになるのだ。自宅にあるデバイスをIoTデバイスばりに使えるから,
IOT
App
li
ca
ti
onというわけである。
なお,「赤外線リモコンを使って操作するデバイスなら何でも操作できる」と言うLiu氏によると,ASRockでは,帰宅直前にエアコンをオンにしたり,Xbox Oneから録画設定を行ったりという使い方を想定しているとのこと。もちろん,もっと突拍子もない使い方も可能だろう。
本体前面下にある赤外線レシーバー(左)と,本体背面上,WPSボタンとHDMI Dongle & Travel AP収納用スロットの下に用意された赤外線トランスミッタ(右)
|
|
ゲーマー向け無線LANルーターを謳う資格は十分にある印象ながら,それに留まらない多機能さを持つこのG10。世界市場では7月にも発売予定で,北米市場においては
250ドル(税別)くらいで出回る見込みという。
日本でも,ASRock GAMINGの立ち上げに合わせて投入したい旨をLiu氏は力強く語っていたので,続報に期待したい。
無線LAN関連の機能では,ビームフォーミングや,出力の自動調整機能,友人が訪ねてきたりしたときに便利なゲスト用ネットワーク設定機能なども用意されている。基本はしっかりしている印象だ
|