ミュージック フロム ゲームワールド：Track 72 「グリムノーツ」「鏡界の白雪」

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　ついに夏休みが終わりましたが，筆者の夏の思い出は高校の同級生らと「シン・ゴジラ」を見に行き，その後は朝までゴジラトークで盛り上がったことです。同じ映画を見た人同士でするアフタートークは楽しいものですね。皆さんの夏はいかがだったでしょうか。いい思い出をたくさん作れましたか？

　それでは，気分を入れ替えて，「ミュージック フロム ゲームワールド」で秋のゲームサントラ購入計画でも立てていきましょう！

牧歌的な童話の世界を民族音楽で表現

「グリムノーツ オリジナル・サウンドトラック」

タイトル	グリムノーツ オリジナル・サウンドトラック	→Amazon.co.jpで購入
発売日	2016年7月27日
価格	2300円（税抜）
発売元	スクウェア・エニックス
コピーライト	（C）2016 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

　スクウェア・エニックスが2016年1月よりサービス中のスマホ向けRPG「グリムノーツ」（iOS/Android）。童話の世界を彩る，魅力的な全22曲の楽曲を収録したサントラがリリースされたので，今週の1枚めは「グリムノーツ オリジナル・サウンドトラック」を紹介します。

　作・編曲とサウンドプロデュースは，松岡美弥子氏と砂守岳央氏の2人で構成される音楽ユニット，未来古代楽団が担当。映画音楽やドラマCD，コンサートでの演奏等，幅広く音楽活動をしているユニットで，今作が初のゲーム音楽になります。

　1曲めは寂しげな雰囲気でしっとりと聴かせる「空白の書」。前半は弦楽器，後半では同じ旋律を笛の演奏に変えながら，聴き手を「グリムノーツ」の童話世界へ導いてくれます。2曲めの「輪廻する大地の舞踏」は民族楽器のアンサンブルによる，アイリッシュテイストの明るいサウンドが魅力的な曲。のどかな山村を思い起こさせる牧歌的な雰囲気が良いですね。

　5曲めの「英雄のパズル」は，16ビートの前のめりなパーカッションのリズムと，サビの力強いメロディが印象的。哀愁漂うメロディと，3拍子のリズムに自然と体が左右に揺れてしまう6曲めの「遙か遠きアタラクシア」もイチオシです。そして13曲めの「交叉する子午線」は，アコギのリフも聴きどころですが，中盤から入る感情たっぷりのリードプレイがとくに心に染みます。

　サントラのラストを飾る「忘れじの言の葉」は，沖縄在住の女子高生シンガー，安次嶺希和子さんが歌唱を担当するボーカル曲で，公開後には大きな話題となりました。透明感ある声質と高い歌唱力で，民族音楽のアレンジに寄り添った歌を聴かせてくれます。アイリッシュが好きな人にはとくにお勧めしたい，聴いているだけで優しい気持ちになれる1枚です。

スクウェア・エニックス e-STORE「グリムノーツ オリジナル・サウンドトラック」

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現実世界とファンタジー世界が交錯する二面性サウンド

「鏡界の白雪 オリジナルサウンドトラック」

タイトル	鏡界の白雪 オリジナルサウンドトラック	→Amazon.co.jpで購入
発売日	2016年7月31日
価格	1852円（税抜）
発売元	SPICA MUSICA
コピーライト	（C）2016 IDEA FACTORY （C）＆（P）2016 SPICA MUSICA

　今週の2枚めは，アイディアファクトリーから発売中のPS Vita用ソフト「鏡界の白雪」のサントラ，「鏡界の白雪 オリジナルサウンドトラック」をご紹介。現実世界と狂気の世界“鏡界”が交錯する世界観を彩る，二面性のあるサウンドを堪能できる1枚です。

　作・編曲は「ポケモン」シリーズを始め，数多くのゲーム音楽作品を手がけてきた景山将太氏が担当。近年はHiro師匠，とものかつみ氏と共に，ライブ中に即興で楽曲を作って披露するH.K.S（ハイパー・カッコイイ・システム）での活動も行っており，ゲーム音楽ファンの熱い支持を受けているコンポーザーの一人です。

　1曲めの「白雪 -ワタシ-」は，その名のとおり“白雪”のような冷たいピアノのメロディが印象に残る，神秘的な仕上がり。2曲めの「日常 -ヘイワ-」は現実世界の日常をテーマにした明るい曲で，冒頭からさっそく本作の持つ二面性が発揮されます。4曲めの「愉楽 -ユカイ-」はメロディを抑えめにした，力まずに聴けるリズミカルな曲です。

　サントラ後半は，ダークかつ悲哀に満ちた楽曲が続きます。ピアノソロとストリングスで構成された，悲壮感漂う「悲哀 -カナシミ-」，ピアノソロのみでエモーショナルなフレーズを聴かせてくれる「涙雨 -ウレイ-」，壮大な絶望感が襲い掛かる「女王 -アナタ-」等の楽曲が，非日常の世界を垣間見せてくれます。

　そしてラストは，感動的なインストバラードナンバー「終幕 -ハジマリ-」で締めくくり。景山氏が作る「陰」と「陽」の二面性サウンドを，このサントラでじっくりと味わってください。
　ちなみに，景山氏が参加しているH.K.Sの最新ライブが，2016年9月19日に東京・阿佐ヶ谷LOFTにて行われます。近くにお住まいの人は，ぜひ楽曲が生まれる瞬間のスリルを生で体験してみましょう！

「鏡界の白雪」公式サイト

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■■風のイオナ■■ マーベルランドで産まれ，フェアリーランドで育ち，さざなみの島で一攫千金を夢見るも，バビリム王国に連れ去られて塔建設の奴隷として働く。巨大宇宙船に密航して惑星あくあへ逃亡後，仕事の都合でモタビア星に移住し，ハンターとして惑星ラグオルの調査をして生計を立てていたが，現在はNEO TOKYOを拠点に活動中。ゲーム＆ゲーム音楽に加えて邦楽インディーロック＆サブカルアイドル追跡，自転車旅行，広島東洋カープの応援などが趣味。2016年で編集＆ライター生活20周年を迎えてしまいました。