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[NDC18]「HIT」で取り組まれたカルチャライズ手法が明らかに。カギを握るのはキャラクターの顔と体型?
水野氏はまず聴講者に向けて自己紹介を行った。氏は専門学校を卒業後,フリーのイラストレーターとして数年間活動した後,2008年にデザイナーとしてネクソンに入社する。2015年以降はプロダクトデザイン室の室長として,日本で運営されるタイトル全般のインゲームデザインを担当。「メイプルストーリー」「テイルズウィーバー」「マビノギ英雄伝」などのゲーム内アイテムや,イベントに合わせたイラストを手がけているという。
ローカライズを大まかに言うと,特定の言語で制作された製品(ゲームなど)を別の言語に翻訳することだが,今回のテーマにも挙げられているカルチャライズは,地域の文化に合わせてコンテンツを調整することを意味する。水野氏は,韓国と日本ではキャラクターのイラストなどに対して「好み」の違いがあるとし,いくつかの例を交えて解説した。
プロジェクトの立ち上げ時,まず日本の運営チームによって韓国版HITの分析が行われた。そこで国内プレイヤーのニーズに合わせたゲームにするためには,ストーリー性やキャラクター性,ゲームシステムの変更が必要だと判断されたという。
それらを実行するためには,デザイン面でいくつか解決したい問題が浮上した。
韓国で展開されていたバージョンではキャラクターの雰囲気がコア寄りの印象だったため,日本ではターゲットを狭めてしまうのではないかと懸念されたそうだ。
加えてゲームの会話シーンに主人公が登場しない点も問題視された。基本的にNPC同士の掛け合いとなっており,日本のプレイヤーが主人公やキャラにより愛着を持つためには,手を入れる必要があった。
HITのキャラクターとして展開されているさまざまなイラストで見た目が固定されていなかった点も,日本ではイメージが浸透しづらいという指摘もあったそうだ。
さらにアバター数も少なかった。日本ではアバターの需要が大きく,日本のプレイヤーに響くアーティストも用意する必要があると判断された。
韓国版HITは全体的にアクションと世界観を優先した構成のゲームだったが,日本で長期的に愛着を持ってもらうにはキャラクター性の強調が必要とされ,改修の方向性が定まっていったと水野氏は振り返った。イラストのテイストについては,当時流行していたコミックなどを参考にしたとのこと。
キャラクターの表情の差分も日本版で追加された要素だという |
ストーリーは全面改修。会話パートに主人公が登場するのも日本版オリジナルの要素だ |
gloopsのスタッフによって制作されたイラストの提供もプロモーションの一環として行われた |
こちらは新規プレイアブルキャラクター「飛燕(ひえん)」のカルチャライズ過程。原作の特徴を残しつつ大胆なイメージの刷新が行われている。ちなみに飛燕は,ネクソンが2018年初夏にサービスを予定している「OVERHIT」(iOS / Android)のキャラが,HITに参戦するというコンセプトで登場 |
また,開発側で制作されたイラストの調整は,時間との戦い次第でもあるそうだが,可能な限り日本の運営チームで調整を図ると水野氏はコメント。基本的にキャラクターの顔に視線が集中する方向で調整されるそうだ。以下のイラストでは,顔と上半身のライティングが強くされている。
講演内で水野氏は,日本のプレイヤーはイベントやアップデートの内容を重要視する傾向にあることも紹介した。そのため早いペースでアバターを追加する環境作りも必要になったという。これはHITに限らず課題になりやすい点とのこと。
そういった紆余曲折を経て日本でリリースされたHITは,約3か月でセールスランキングのトップ10入りを達成。大成功だったと言えるのではないかと,水野氏は当時を振り返って述べた。
水野氏は最後に,カルチャライズに向けてHITの開発会社であるNAT Gamesと,Nexon Korea,そしてネクソンが密に連携をとれたことが,より大きな成功へとつながったことを確信していると述べ,講演を締めくくった。
「HIT 〜Heroes of Incredible Tales〜」公式サイト
「HIT 〜Heroes of Incredible Tales〜」ダウンロードページ
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