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舞台「天下統一恋の乱 Love Ballad 〜序章〜」のゲネプロをレポート。個性派演劇集団「番町ボーイズ☆」が挑む人狼劇は結末まで目が離せない
ソニーミュージックの個性派演劇集団「劇団番町ボーイズ☆」の第4回公演でもあるこの舞台は,人気パーティーゲーム「人狼」のルールに沿って,舞台上の出演者がアドリブで物語を紡ぐライブ・エンターテインメント「人狼 ザ・ライブプレイングシアター(人狼TLPT)」とコラボした人狼劇だ。ストーリーはもちろんのこと,アドリブで進行していく人狼ゲームパートや,殺陣やダンス,来場者が一緒に人狼ゲームに参加できる要素など,見どころ盛りだくさんとなっている。本稿では,公演初日の本番前に行われたゲネプロ(通し稽古)の模様をお届けしよう。
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【出演者】(敬称略)
- 織田信長役:二葉 要
- 真田幸村役:糸川耀士郎
- 霧隠才蔵役:二葉 勇
- 伊達政宗役:高本 学
- 片倉小十郎役:瑛
- 徳川家康役:安井一真
- 武田信玄役:松本大志
- 明智光秀役:堂本翔平
- 石田三成役:野嵜 豊
- 豊臣秀吉役:西原健太
- 前田慶次役:石岡僚士(人狼TLPT)
- 上杉謙信役:森 輝弥(人狼TLPT)
- 前田利家役:松島勇之助(10神ACTOR)
- フランシスコ・ザビエール役:高品雄基(劇団TEAM-ODAC)
- 弥彦役:矢代卓也
- アクションチーム
相葉悠樹,北林秦明,津村雅彦,兵藤結也,富士尚紀
【劇団番町ボーイズ☆ とは】
2014年11月に結成した、ソニーミュージック新人開発部門・SDグループが主宰する個性派演劇集団。通称「番ボ」。様々なオーディションから選抜されたメンバーは芝居を通し、新なた可能性に挑戦中。メンバーは現在22名。個々でも活動範囲を広げている。
「天下統一恋の乱 Love Ballad 〜序章〜」公式サイト
「劇団番町ボーイズ☆」公式サイト
開演5分前になると,ステージ後方にあるスクリーンを使って,人狼ゲームについての解説が行われる。これは人狼ゲーム初心者にとってはありがたい。ちょっとオネエな喋り方をするフランシスコ・ザビエールの説明のもと,ルールを学んだらいよいよ舞台の開幕だ。
原作アプリでは,小料理屋の娘であるヒロインが,弟の身代わりとなり毒味役として戦国武将の城に上がり,名だたる武将達と出会い,絆を深めていく物語が描かれるが,今回の舞台は,ヒロインが一時的に実家の小料理屋に戻り,そこに彼女に会いたい武将達が次々と訪ねてくるところからストーリーが始まる。
ちなみに,織田信長を筆頭に,見た目も性格も原作アプリ通りの計13名の戦国武将が登場する今回の舞台,彼らからの愛を一身に受けるヒロイン役は舞台を見に来た観客という設定だ。
そんな中,弥彦が大声を上げながら書き置きを持ってやってくる。なんとヒロインは,病床の母のため,どんな病も直せるという薬草を求めて,狼の化け物・人狼が生息する島へ1人で向かってしまったようだ。武将達は互いに牽制しながらも全員でヒロインを追いかける。人狼と戦う殺陣のシーンは前半の見せ場だ。
人狼を倒しきり,ヒロインを見つけた武将達。だが一足遅く,彼女は狼の化け物の手にかかり長い眠りに陥ってしまっていた。武将達を追いかけて現れたザビエールが言うには,島にいるすべての人狼を退治し,とある薬を飲ませれば彼女を助けられるという。しかし,倒しきったと思っていた人狼が,島にいる3人の武将達に憑依されていることが分かる。ここから武将達による人狼ゲームに突入する。
ここからは台本なし。キャスト達はアドリブでそれぞれの役を演じながら実際に人狼ゲームをプレイして,3人の人狼を探していく。すべては愛するヒロインのために!
そうやって段々とフルイに掛けていき,昼の討論で3人の人狼を見つけ出せれば人間の勝ち,人間の数が生存する人狼の数と同じか,それ以下にまで減ってしまったら人狼の勝ちだ。
これだけだと人狼有利だが,人間の中にも特殊な能力を持つ役割の者が4人いる。
■「予言者」:討論後の夜の時間に,1人を選び人狼かそうでないかを見抜ける。また,ゲーム開始時点で1人だけ人狼でない人を知っている
■「霊媒師」:夜の時間にその日追放された人が人間か人狼か知ることができる
■「狩人」:人知れず毎晩誰か1人を守ることができる。選んだ対象が人狼に狙われた場合,襲撃を阻止できる。二晩続けて同じ人を守ることはできない
■「狂陣」:人狼に味方する人間,つまり裏切り者。特殊な力はないが,嘘をついて討論をかき乱す
毎公演,開演直前にくじ引きで人狼ゲームの役割を決めるため,すべての公演で内容やエンディングが変わるのもこの舞台の面白いところ。ちなみに,今回のゲネプロでは,前田慶次と前田利家の2人が予言者,明智光秀と伊達政宗,片倉小十郎の3人が霊媒師と名乗り出る波乱の展開だった。実は人狼だった小十郎と慶次は順番に追放されていったが,最後の1人と裏切り者である狂人を残したまま,ステージ上の人間はどんどん数を減らしていった。残り4人になったところで,序盤から討論のまとめ役をしていた上杉謙信(人狼)と,実は狂人だった光秀がその正体を表した。人間側で残ったのは織田信長と真田幸村だ。ここからはホントにアドリブなのかと思うほどかなりドラマチックだった。
2回の決戦投票を経て追放者なしとなったその晩に姿を消したのは幸村。最終日に残ったのは信長,光秀,謙信の3人。この時点で人間の敗北は決まり,ストーリーはバッドエンドの方向へ。最後に残った因縁の2人(しかも光秀が裏切り者の立場)と,黒幕的な謙信。バッドエンドであるものの,つい「お見事!」と言ってしまいたくなるほどキレイな結末だった。いやぁ,良いもの見せてもらいました!
最後の最後まで展開の読めない「天下統一恋の乱 Love Ballad 〜序章〜」。舞台上の展開の速さに,正直筆者はついていくのが精一杯だったのだが,あれを実際に舞台上で各戦国武将を演じながらやっているのは素直にすごいと思う。前述のとおり,毎公演内容とエンディングが変わるため,何回見ても新鮮な楽しさを味わえるはずだ。私ももう一度見たい!
「天下統一恋の乱 Love Ballad 〜序章〜」公式サイト
(C)ボルテージ
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