ゲームオンがサービス中のPC向けMMORPG「
LOST ARK」で,
新クラス「アーティスト」が2022年6月22日のアップデートにて実装される。
既存のクラスは若いイケメンや渋い壮年の男性,妙齢の女性など大人っぽいキャラクターばかりだが,アーティストは本作で初の少女の見た目をしているということで,プレイヤーからも注目されているクラスだ。
今回,アーティストを実装前にプレイしてきたので,その魅力とプレイフィールを紹介していこう。
自然と芸術を愛するヨズ族の少女
最初にヨズ族とアーティストというクラスについて紹介しよう。ヨズ族はリムレイクに生きる種族で,大地の守護を使命としている。小柄ながらも長命で,自然と意志を通わせ,幻術や時空間術,そして芸術に長けているという。
メインストーリーで登場するヨズ族としては,たびたびプレイヤーの前に現れて導いてくれる鉄鎖戦争の英雄シャンディーがなじみ深い
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今回実装となる21番めの新クラス「アーティスト」は10代の少女で,
「スペシャリスト」の上級クラスとなる。既存のクラスに比べて圧倒的な若さが光るクラスだが,キャラメイクにも他にはない大きな特徴がある。
可愛らしい造形が魅力のアーティスト
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クラス選択画面の「ストーリー閲覧」で,ヨズ族の詳細やアーティストのプロローグが見られる。キャラを作る前に見ておくと,より楽しめる
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その特徴は目の大きさだ。アニメやゲームなどに見られる目が大きい,いわゆる美少女キャラクターがアーティストで再現されている。目の大きさは調整項目で変更できるものとは別で,目の大きさそのものが違うフェイスパターンが用意されている。
上が既存キャラクターと同様の通常のフェイスで,下がアーティスト専用の目が大きいフェイス。明らかに目の大きさ,造形が違うことが分かる
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通常フェイスも専用フェイスもどちらも可愛らしいのだが,専用フェイスはちょっとクセが強く,着ぐるみのように見えるものもある。キャラメイクでさらに目の大きさを変更することもできるが,一歩間違えれば“やりすぎ”なキャラにもなりかねず,ちょっと好みが分かれるかもしれない。
アーティストのフェイスパターンは25種類あり,そのうちの約半分がアーティスト専用フェイスとなっている
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虹彩のパターンにもアーティスト専用のものが20種類用意されていて,花びらや兎が描かれているものもある。専用フェイスは目が大きいので,虹彩のデザインがより映える
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ヘアスタイルもアーティスト専用のものが登場。ロングからショート,ポニーテイルにツインテールなど,可愛らしいキャラをメイクするのに文句ない数が揃っている
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アバターも可愛らしい衣装がそろえられている。個人的にはアーティスト(芸術家)っぽさを感じられる服装があってもよかったのではと思う
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普通に作成しても可愛いキャラになるアーティストだが,専用フェイスは挑戦的な試みで,これまでのキャラメイクとは違ったセンスが求められそうだ。全国のアーティストファンはぜひ腕を振るってほしい。
ちなみに,公式サイトで公開されているアーティストのCGや実機のSSには頭に大きな耳が生えているが,あれらは頭装備で実際にケモ耳が生えているわけではない。
水墨画の鳥や獣で攻撃し,サポートもこなせるクラス
続いて,バトルキャラとしてのアーティストに迫っていこう。
アーティストの武器は,背中に背負った等身大の筆だ。これを振り回して直接敵を攻撃したり,描いた鳥獣を敵にぶつけるなどして攻撃する。回避スキルは前方へダッシュするタイプで移動距離も長い。
通常攻撃は前方へ向かって筆を振り回す直接攻撃。リーチ,攻撃範囲はそれほど広くない
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アーティストのスキルは,大きく分けて攻撃のみのものと,攻撃と同時にサポート効果を付与するものの2つがある。
攻撃のみのスキルは,全体的に前方へ向けてのものが多く,リーチはトライポッドによって変化するが,近距離から中距離のスキルが大半だ。自分を中心にした範囲攻撃を用いることで側面や背後の敵への攻撃も可能だが,ダメージを与えるまで時間がかかる。そのため,継続ダメージ付きの拘束スキルなどで足止めし,その間に移動して敵を正面に捉え直してから一掃するという戦い方になりそうだ。
アーティストは通常攻撃やスキル攻撃時に,その軌跡を墨で描いたようなエフェクトが発生する。アーティストらしいエフェクトだが,攻撃範囲や射程距離が少々分かりづらいので体感で覚えよう
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攻撃スキルでとくにオススメしたいのが「墨法:撃虎」と「筆法:一文字」の2つだ。この2つのスキルは,他のスキルと比べて群を抜いて攻撃力が高く,これを交互に使うように運用していけばそれだけでバトル,とくにカオスダンジョンでは楽に進めそうだ。
「墨法:撃虎」は,前方に墨で描かれた虎を突撃させ,その進路上の敵を攻撃するスキル。横方向なら画面端まで攻撃が届くため,敵をまとめて一掃するのに便利だ
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「筆法:一文字」もマウスカーソルのある方向に攻撃するタイプのスキルで,筆を振り下ろして直線状の敵を攻撃する。トライポッドによって溜め攻撃に変化し,よりダメージをアップさせられる
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「墨法:撃虎」と「筆法:一文字」がとくに強いスキルと紹介したが,その秘密はトライポッド「強化の一撃」にあるようだ。これのあるなしでは,ダメージがまるで違う
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この2つのスキル以外にも,見た目が楽しく,美しい攻撃スキルがアーティストには存在する。
筆に乗り,穂の弾力によって移動しながら攻撃する「筆法:弾張筆」。筆の扱いとしてはなかなかに冒涜的だが,連続で3回まで使用でき,範囲攻撃をしつつ相手を転倒させられるので,囲まれた状態から脱出するのに役立つ便利なスキルだ
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「墨法:墨池」は,攻撃と同時に自分を中心に3.5秒間ダメージを発生させる池を描き,池が消える瞬間に大ダメージを与える。消える瞬間に,巨大な鯉が飛び跳ねるため,一番見た目のインパクトがあるスキルだ。なお,トライポッドによってエフェクトや鯉の色が変わったりする
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「墨法:蘭花」は,前方に敷いた紙の上に花の絵を描きつつダメージを与える攻撃スキル。紙のエフェクトは遠方まで伸びているが,射程は14mなので見た目よりも短いかもしれない。トライポッドの選択により,攻撃時に敵にデバフをかけたり,味方にバフを付与したりできる
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「墨法:胡蝶の夢」は,蝶と蘭を描画してダメージを与えたあと,蝶を飛ばして攻撃を行い,最後にもう一度描画してダメージを与える3段階の攻撃スキル。青白い蝶が舞う様はなかなかに美しく,与ダメージをアップさせる「墨の烙印」のトライポッド効果を付けることも可能だ
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前方に向かって,描いた鶴を飛ばして攻撃する「墨法:鶴翼」。スーパーアーマー効果もあり潰されることなく,前方の近距離から長距離の敵をまとめて攻撃できる使い勝手の良さそうなスキルだ
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サポート効果のあるスキルについては,自分を中心として一定距離にいる味方にバフを付与するものが主で,そのほかはトライポッドにより味方へのバフや敵へデバフを付与できるというものだ。そのため,後方から味方をサポートするというより,前線で戦いつつ効果範囲の味方をサポートするといった運用になるのだろう。
指定した場所に4秒間維持できる紙を生成し,その範囲内の敵にダメージを与えつつ,24m以内の味方のマナを即時に15%回復させる「墨法:太陽の井」。井戸を描くといったイメージのスキルで,発動後の範囲内には綺麗な金魚? が泳いでいる
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「墨法:日描き」は,ダメージを与えつつ自分を中心に周囲24m以内の味方の被ダメージを8秒間減少させる。トライポッドにより,攻撃速度アップや攻撃力アップのバフも同時に付与することが可能だ
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一風変わっているのが「墨法:幻影の扉」。カーソルの範囲内に次元の扉を開き,パーティメンバー1人を自分の近くに移動させられる。移動してきたパーティメンバーには,HPの30%までダメージを吸収するバリアが付与される
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サポートメインのスキルの他にも,前述の「筆法:弾張筆」や前方攻撃となる「筆法:墨嵐」など,トライポッドでバフやデバフを付与可能になるスキルは数多くある。それらの取捨選択により,攻撃に寄るかサポートに寄るか,様々なスキルビルドが楽しめそうだ
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アーティストの「アイデンティティスキル」と「クラス刻印」は密接に絡んでいて,キャラビルドに大きく直結する。
アイデンティティスキルは「沈む月」と「昇る太陽」の2つ。どちらも,特定のスキル攻撃を敵にヒットさせて「調和ゲージ」を増やし,一定量貯まると追加される「調和の玉」を消費して効果を発揮する。
沈む月は調和の玉2つを消費して発動し,自身と周囲を含めた24m以内のパーティメンバーの与ダメージを10秒間アップさせる。
筆を地面に叩きつけて,自分を中心とした円形のエリアにいる味方にバフを付与する「沈む月」。今回はソロでのテストプレイだったので,範囲内から出てもバフが継続するか切れてしまうかは確認できなかった
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昇る太陽は,アーティストの最大HPの25%相当のHPを回復できる「太陽の玉」を召喚する。調和の玉1つにつき太陽の玉1つを召喚でき,最大で3つをフィールド上に配置できる。
太陽の玉は60秒間フィールド上に存在する。近寄ってGキーで使えば,その場でキャラクターのHPが回復するとても便利なスキルだ
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クラス刻印の「陰陽回帰」は,アイデンティティスキル使用時に60秒間クリティカルヒット率とクリティカルダメージにボーナスが入るというもの。もうひとつの「陽葉」は昇る太陽使用時,太陽の玉の周囲24mにいる味方のHPを回復させる効果がある。この回復効果は太陽の玉を取ったときとは別で,最大でアーティストの最大HPの40%ほど回復できる。
それぞれの効果を見るに,攻撃タイプのビルドなら陰陽回帰,サポート寄りのビルドならば陽葉の刻印が適しているのが分かるだろう。しかし,昇る太陽はかなり便利な回復スキルなので,攻撃タイプのビルドでも回復を考慮して陽葉を付けるという選択肢もありそうだ。
Lv50アーティストの最大HPが8054なので,太陽の玉取得時のHP回復量は約2000。陽葉の刻印装備時は,最大で約3800ほどの回復量となる。ソロでもパーティでも重宝するアイデンティティスキルなので,どのようなスキルビルドにするにせよ,アクセサリの戦闘特性は特化を優先するのがいいのではないだろうか
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最後に2つの覚醒スキルを紹介しよう。
1つは「絶技:渓山蘭若図」だ。半径8mの紙を生成して絵を描きながらダメージを与えるというもので,最後の爆発時に追加ダメージがあり,ヒットした敵は移動速度ダウンとクリティカル抵抗率のデバフを負う。フィールドに描かれた水墨画が綺麗で,見た目にはスキル説明以上の効果範囲がありそうだ。
もう1つの覚醒スキルは,半径24m以内の味方にHP100%分のバリアを付与し,調和の玉を2個生成,さらに範囲内の敵にダメージを与える「絶技:早春図」。早春という名が付いているだけあって,暖色系の華やかなエフェクトが美しい。
攻撃力の低さが課題で,使い勝手もやや上級者向けか
本作は基本的にどのクラスもアタッカーであり,アーティストも多彩な攻撃スキルがそろっている。ただ,使ってみた感じとしては攻撃力が少し低めで,殲滅力に物足りなさを感じた。「墨法:撃虎」と「筆法:一文字」の威力が頭ひとつ抜けているので(当然スキルレベルを10にして,トライポッドはダメージ重視),この2つのスキルを軸に攻撃範囲とクールタイムの短さなどを考慮してトライポッドを設定し,スキルビルドを組み立てていくとよさそうだ。
前方への射程距離が長い攻撃スキルは多くあるが,横への広がりのあるスキルが少ない。加えて,墨汁のエフェクトのせいもあって,攻撃スキルの範囲や幅が把握しづらい。アーティストを使うなら,まずはそこの確認から始めるといい
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また,攻撃だけでなく同時にバフやデバフ,回復を行えるスキル,それらの効果を追加できるトライポッドも数多くあり,サポートキャラとしてのビルドも幅広い。しかし,スキルをサポート系スキルに全振りすると攻撃力に支障がありそうなので,バランス良く習得する必要があるだろう。とくに高難度コンテンツでサポート型として運用する場合,バフを効率的に撒くには最前線で戦いつつとなるので上級者向けになるかもしれない
とはいえ,アーティストが初心者にまったく向いていないわけではない。回復タイプのアイデンティティスキル「昇る太陽」は,ポーションなどのクールタイム中にも回復できるので,回避に慣れていない初心者だからこそ便利に感じられるのではないだろうか。