インタビュー
木人で鍛えて今度はアレキサンダーの左腕へ。「FFXIV:蒼天のイシュガルド」のパッチ3.2実装直前,吉田直樹氏インタビュー
今回のアップデートでは,2種類のインスタンスダンジョン(以下,ID)やシーズン制の新しいPvP「ザ・フィースト」,レイドダンジョン「機工城アレキサンダー:律動編」,FFVIに登場した三闘神のひとり「セフィロト」が蛮神戦に登場するなど,新しいコンテンツが複数追加される。
コンテンツの追加以外にも,タンクの攻撃力の計算式が変更になったり,占星術師や機工士などにジョブ調整が行われたりするほか,新規プレイヤーをサポートするための「メンターシステム」などが実装される予定だ。もちろん,物語が大きく動くメインストーリーの続きにも注目したいところ。
今回もパッチ実装直前に,本作のプロデューサー兼ディレクター吉田直樹氏(以下,吉田氏)にインタビューしてきた。パッチ3.2の情報はもちろん,プロデューサーレターLIVE(以下,PLL)では公開されなかった情報もぽろりと出ているので,アップデート前に一読してほしい。
「ファイナルファンタジーXIV」公式サイト
ミンフィリアがいよいよ帰ってくる? メインストーリーと新ダンジョン2種類が追加
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。1月30日のPLLでミンフィリアが登場することが発表されて驚きました。それに,トレイラーではマザークリスタルが映っているシーンで,いつものマザークリスタルの声ではなく,聞き覚えのあるキャラクターの声で,その前にいるのが彼女じゃないですか。もう気になる点がたくさんありました。
吉田氏:
今回は初めてパッチロゴの中に“暁”のメインキャラクターを入れましたし,パッチ前にトレイラーを見てプレイヤーの皆さんで推測合戦をしていただけると嬉しいです(笑)。年始に出させていただいた,4行詩を解読するキーになる要素などが語られると思います。
4Gamer:
4行詩はかなり壮大な内容に見えましたが,竜詩戦争だけでなくもっと大きな話に踏み込んでいくということでしょうか。
吉田氏:
今回のメインストーリーから,FFXIV全体の世界の構造に踏み込んだ内容になっていて,竜詩戦争編だけではなく,全体のお話が見えてくると思います。
4Gamer:
メインストーリーに関連して,IDに「逆さの塔」が追加されます。かなり特殊な全景をしていますが,これは人が作った建物なんでしょうか。
シャーレアンの研究者がエーテル学だったり,世界の真理に触れようといろいろな試みをしていたうちのひとつですね。「星海観測」という名前がIDについているのも,そういうイメージで作られているからです。
4Gamer:
ということは,登場するモンスターもこの施設を守るためのものですか? ドールタイプなど,人の手で作られている印象を受けるモンスターが多かったです。
吉田氏:
そうですね。なので,グブラ幻想図書館に若干近いような感じです。カエルも出てきますし。もうひとつ追加されるIDの古アムダプール(Hard)もそうですが,今回のふたつのIDはかなり雰囲気が良いと思います。
4Gamer:
プレイヤーとしてはチラッと見えたギミックも気になるところです。今までになかったようなものに見えましたが。
吉田氏:
今回のダンジョン企画には,2.xシリーズ中に育ってきた若手達も本格参加しているので,基本を押さえつつ目新しさもあるかなと。
4Gamer:
だから,ギミックに新しい色が出てきていると。
吉田氏:
ええ。でも,「違う味を出すのは良いけど,難しく作れば良いってもんじゃないからね」と言っているのですが……みんな先輩に負けないように,自分の色を出したがるので,なかなか調整が大変で(笑)。でもその分,なかなか面白くなってると思います。
4Gamer:
IDの難度調整については,パッチ3.1のインタビューでも少し話題に上がりましたが,具体的に何か基準はあるのでしょうか?
吉田氏:
IDの場合は,初見で全滅3〜4回まで,約40分から45分でクリアできれば良し。周回に入ると,平均で20分。アイテムレベル(以下,ILv)が上がって高速周回になると約16分というのを目安にしています。
星海観測 逆さの塔 |
神聖遺跡 古アムダプール市街(Hard) |
三闘神シリーズがいよいよスタート。魔神セフィロト討滅戦が登場
4Gamer:
いよいよ三闘神シリーズがスタートしますが,トレイラーにおけるセフィロトとの戦闘シーンはすごいことになっていましたね……。てっきり最初に見たサイズでずっと戦うものだと思っていましたから,正直,驚きました。
吉田氏:
究極履行で巨大化した,あのセフィロトと戦うのが本番です(笑)。巨大化するタイミングはタイタン戦で言うところの,心核フェーズにあたると思っていただければ良いと思います。ダメージを与えられてよろよろと1回ステージから消えて,それから巨大化みたいな。
4Gamer:
なるほど。ちなみに……,今回は(フィールドから)落ちますか?
吉田氏:
落ちます! でも,魔神セフィロト討滅戦はメインストーリーとは切り離されていますし,今までの「真」と難度は変わらず,どなたでも楽しんでいただけると思います。極は,まあ……(苦笑)。
4Gamer:
どれくらいの難度になっているのか,楽しみですね(笑)。ところで,パッチ3.1で登場した「極ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦」(以下,極ナイツ)は,ほかの蛮神と比べると少し難度が高く設定されていましたが,今回はそれより優しくなるのでしょうか?
吉田氏:
さすがに極ナイツほど難しくはならないように調整はしています。でも,難しさの尺度は人によって違ってくるとは思いますし……。
4Gamer:
たしかに。極ナイツはほかの蛮神と違って,時間切れまでフェーズが進み続けるのでギミックを覚えるのが大変なんですよね。
そうですね。ほかの蛮神はループという概念がありますが,極ナイツにはそれがありませんでした。セフィロトも,今までの蛮神と同様になるので一通りギミックを把握して,DPSを出す場所さえ分かれば,何ターンでクリアできるかの問題です。セフィロトは,マーカー系ギミックとセフィロト自体の動きを良く見る必要があって,タイタンと似た感じだと思います。
4Gamer:
そう言えば年末のインタビューで,次のシリーズからはレアドロップでマウントが追加されると聞きましたが,セフィロトからドロップするのでしょうか。
吉田氏:
ドロップします。セフィロト以外にも,3.0以降の極蛮神全部にマウントを入れました。
4Gamer:
全部ですか? つまりビスマルクや,ラーヴァナなどからも。
吉田氏:
はい。蒼天幻想ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦にも用意されています。最新のコンテンツに実装し,それ以降,継続実装でも良いかと思っていたのですが,担当者が全部用意してくれたので実装の運びとなりました。
4Gamer:
でも,まだ極ビスマルクや極ラーヴァナをクリアしていない人にとっては,コンテンツに人が戻ってきてくれて嬉しいかもしれません。
吉田氏:
そうですね。クリアできる機会が増えるのは,良いと思います。でも,当時武器を取るために散々周回した人にすれば,「周回している時に入れてくれよ」「また行かなきゃいけないのか」と感じられてしまうので,悩ましいところではあります。
4Gamer:
ドロップと言えば,アラガン装備とハイアラガン装備の染色に使うアイテムも追加されますが,これは,それぞれバハムート邂逅編,侵攻編に追加されるのでしょうか。
吉田氏:
はい。これも過去のコンテンツに新しいアイテムを入れたわけですが,これには明確な意図があります。この染色レシピはどうしてもクラフターに追加してあげたかったのですが,当時,最高難度を誇ったアラグ帝国時代の施設から出た装備が,まったくこれらと関連なくクラフトできてしまうのもRPGらしくないと考えました。それに,バハムート邂逅編や侵攻編は制限解除などで今は割とラクにクリアできるので,腕のある人がそれをマーケットに流してくれれば良いなと思ってこのような実装になっています。
4Gamer:
新しいアイテムつながりで,オーケストリオンの楽譜の入手についても教えてください。PLLで紹介されたとき,「下限アイテムレベルシンクで挑戦」という内容があった気がします。そういった特殊条件下でドロップするものもあるんですか?
吉田氏:
いえ,下限シンクでしかドロップしないという物は入れてないです。ただ,下限シンクで極蛮神をクリアすると確定ドロップですね。
4Gamer:
下限で極蛮神ですか……。では,例えば真蛮神での下限だとドロップ率が上がるといったことは?
吉田氏:
逆に真蛮神だとさすがに簡単すぎるので,そこは変わりません。ドロップ率は,トリプルトライアドのカードに近い感じですね。
4Gamer:
しかし,確定となると下限で極蛮神に挑戦しがいがありますね。
吉田氏:
みなさんそろそろ懐かしさも出てきて,「どれ,下限で遊んでみるか」と思ってる人はいると思うんです。
4Gamer:
ただ,キッカケがないですし,8人集めるのも大変ですよね。
吉田氏:
なので,その機会を作りたかったというのもあります。パーティ募集とか,フリーカンパニー(以下,FC)やリンクシェルのメンバーで「楽譜で一稼ぎしようぜ!」と行ってもらって,「あれ,こんなに強かったっけ!?」って遊んでほしいですね。
4Gamer:
私はちょうど先日,FCメンバーと下限シンクで極タイタンに行ってきましたが。
吉田氏:
どうでした?
4Gamer:
無理でした(笑)。下限シンクすると,当時クリアした時よりもILvが低いんですよね。タンクが「あれ,デバフいくつでスイッチだっけ!?」とか言うレベルで。
吉田氏:
当時はちゃぶ台(マウンテンバスター)をインビンシブルで耐えてましたからね(笑)。かばうなんてしたら,二人とも死んじゃいますよ。
4Gamer:
昔の攻略方法を思い出しながらやるのも面白そうです。
シャッフルで同じカードはもう出ません! ジョブ調整を実施
4Gamer:
今回実施されるジョブ調整は,タンクの計算式の変更や占星術師のシャッフルで同じカードが出ないようになるとのことで,かなりプレイヤーの間で話題になっているかと思います。とくに占星術師については,年末のインタビューでもお話しされていましたが,同じカードを引かないことを考慮したパラメータに調整されるのでしょうか。
ええ。そういったことも含めて全体的に調整をしました。今回はメジャーアップデートなのと,タンクが大きく変わるのもあるので,それぞれのロール内で全ジョブの比較を洗いなおしています。例えばヒーラーなら,ヒール力,攻撃力,ヘイト力を洗い出して比較し,調整しています。
4Gamer:
占星術師のヘイトを下げるというのは,既存アクションに効果が追加されるというものですか?
吉田氏:
そうなります。極ナイツでアルティメットエンド後に,占星術師がヘイト1位というシーンもあったので,さすがにヘイトを下げなくてはストレスだろうと。今回は各ロール内のジョブバランスを見て,不足点があるジョブについては上方調整を行っています。方針どおりロール内バランスを取るときは強いジョブを下方修正するのではなく,ほかを上方調整することで横並びを作りました。
4Gamer:
底上げしていくという感じですね。一度体感した強さや爽快感が失われるとがっかりしますし。
吉田氏:
はい。基本的には上方修正で強さが並ぶように調整されると思っていただければ。あと,戦士のフェルクリーヴが修正されるのではと言われているようですが,今はとくに調整を入れません。若干強すぎだとは思ってますが……(笑)。
4Gamer:
ひとまず安心ということですね(笑)。機工士のDPSも伸びるとのことですが,今でも使いこなせばDPSは高いですよね?
吉田氏:
ええ。でも,それができているのがほんの一部の人だけで,操作が難しい割にリターンが少ないと感じたので,その部分を調整しました。
4Gamer:
たしかに機工士は操作が難しい印象ですが。
吉田氏:
もともと機工士は,操作が容易なジョブではなく,使いこなせば強いというイメージで作られています。吟遊詩人と比較した時に,一段階難しい,玄人向けなジョブにしてあります。しかし,ほかのジョブと比べて難しい操作を要求されて,結果「これだけしかDPSが出ないのか」と……。
4Gamer:
難しい操作で,思ったようにDPSが出せていないわけですね。
吉田氏:
このままでは,使っているプレイヤーがしんどいと思いますし,「機工士は弱い」みたいなネガティブな印象も消しておきたいので調整に踏み切りました。でも,そんなに大きな調整が入るわけではないですよ。
4Gamer:
吟遊詩人の「時神のピーアン」にも調整が入るんですよね?
吉田氏:
時神のピーアンは,現状だと戦士のバーサク後に付く「ウェポンスキル不可」を消すぐらいしか使う場面がないので,もう少し効果を付けたりして使える局面を増やすようにしようと思っています。
4Gamer:
今回のパッチで新しいPvPコンテンツ「ザ・フィースト」も実装されますが,これに関連したジョブバランスの調整などはあるのでしょうか。
吉田氏:
PvP側での調整はあります。ただ,それはザ・フィースト用の調整であって,PvE側に何か影響があるということはありません。あと,システムの調整などもしていますね。
4Gamer:
と言いますと,具体的にはどのような調整になるのでしょうか。
吉田氏:
PvP中は,全ジョブでスプリントのTPペナルティを消しました。
4Gamer:
つまりリキャストが消化できれば,すぐに走れるわけですか。
吉田氏:
はい。キャスターをやってる僕としては,ずっと追いかけられて厳しいですけど(笑)。
4Gamer:
それは,たしかに(笑)。スプリントはTPを使わないキャスターやヒーラーの特権だった気がしますが,なぜこのような調整をしたのでしょう。
吉田氏:
戦闘をスピーディにしたかったというのがあります。それと,近接が敵を追うのにもたもた走っているのは,さすがに調整した方が良いだろうと。近接DPSの有用性や,瞬発力の引き上げです。
4Gamer:
なるほど。そうなると,へヴィや動きの速い忍者の存在が肝になってきそうですね。
吉田氏:
はい。浄化を使うタイミングも大事だと思います。
4Gamer:
スプリントを使って走り回れるとなると,戦闘フィールドは広く作ってあるのでしょうか? トレイラーではかなり広いように見えましたが。
吉田氏:
それは8vs.8のフィールドですね。さすがに16人になるので,結構広めに作ってあります。4vs.4の方はそこまで広くないですよ。
4Gamer:
なるほど。現状で用意されている戦場は,4vs.4用と8vs.8用の2つだけですか?
吉田氏:
はい。対戦ゲームの鉄則ですが,マップはたくさんあってもあまり意味がないので,今回は2つです。マップが3つあってその中から選択したり,ランダムだったりはあまり好まれないことが多いです。「有利不利があるじゃん,このマップ」とか「嫌いなんだよね,このマップ」とかが絶対あるので,できるだけ有効性の高いものを用意していこうと思っています。
4Gamer:
ありそうですね。それで退出されては元も子もないですし。では,シーズンごとに使用されるマップの種類が増えていくということはありますか?
吉田氏:
パッチやシーズンが進んだら,徐々に舞台は変えていこうと思います。ただ,できるだけひとつのマップにして,プレイヤーのフィードバックを聞いて,調整していくという方針です。
4Gamer:
とくに最初にプレシーズンでは,できるだけ多くのフィードバックがほしいところですね。
吉田氏:
そうですね。マップの形状に有利不利があるなど,プレイヤーから指摘されれば,マップ自体の修正も早急に行うつもりです。また,DPSは絶対この組み合わせが強いだとか,バランスが崩壊しているようであれば修正します。それらの調整を行ってからシーズン1を開けられればと。今後PvPのバランス調整の頻度は,いままでにないぐらい上げるつもりです。
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