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[COMPUTEX]リリースを7月に控えるWindows 10の利点や機能がアピールされたMicrosoftプレスカンファレンス
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印刷2015/06/06 17:09

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[COMPUTEX]リリースを7月に控えるWindows 10の利点や機能がアピールされたMicrosoftプレスカンファレンス

講演を担当したNick Parker氏(Corporate Vice President,OEM Division,Microsoft)
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 COMPUTEX TAIPEI 2015の2日めにあたる2015年6月3日,Microsoftは,COMPUTEX恒例のプレスカンファレンスを開催した。次期Windowsである「Windows 10」のリリース日が7月29日と発表された直後でもあり,発売が近づくWindows 10のデモを中心としたイベントとなっていた。講演を担当したのは,OEM部門担当副社長のNick Parker氏。氏は「モバイルファースト」「クラウドファースト」といった同社の戦略を説明したうえで,Windows 10によってMicrosoftがどのような世界を目指すのかを示した。
 本稿では,このプレスカンファレンスの概要をレポートしよう。


AndroidやiOSからのアプリケーション取り込みを重視するMicrosoft


 Windows 10は,これまでのWindows OSから大きく方向性を変更したもので,PCからスマートフォン,据え置き型ゲーム機やヘッドマウントディスプレイにいたるまでを,1つのOSでカバーすることを目指して開発された。そのため,プログラムコードをほとんど変更することなく,他のデバイスでも動作する「Universal Windows App」(以下,UWA)として開発できるようになっているのが特徴だ。

さまざまなデバイスでWindows 10が動作することで,ひとつのアプリがすべての環境で動作するようになる
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 Microsoftは,Windows 8でもこうした環境の実現を目指してはいた。しかし,結局は従来型のWindowsアプリケーション(デスクトップアプリ)とタッチ操作向けのWindowsストアアプリに分離してしまい,その実現に失敗した経緯がある。
 そこでWindows 10では,Windowsストアアプリ改めUWAをウインドウ表示できるようにし,デスクトップアプリのように操作できるようになった。そして,同じアプリケーションがそのまま,Windows 10搭載スマートフォンであるWindows Phoneでも動作するようになるわけだ。
 アプリケーションの開発環境も拡充されており,JavaやC++で書かれたAndroidアプリケーションをそのまま動くようにしたり,Objective-Cで書かれたiOS用アプリケーションからのコード変換を可能にしたりといった対策により,アプリケーション不足の解消を狙う。とくに深刻なアプリケーション不足が問題視されていたWindows Phoneでは,これらの施策によってアプリケーションが増えることが期待されている。

AndroidやiOS用のアプリケーションを簡単にUWAへと移植する開発環境を整えた
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Windowsストアも変更され,アプリだけでなく各種コンテンツの販売など,総合的なコンテンツストアとなる
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 ちなみに,Parker氏は,Windows 10におけるアピールポイントの1つとして,「1 Billion」(10億)という数字を挙げていた。10億というのは,Windowsがインストールされているデバイスの数のこと。
 Windows 10は,リリース後最初の1年間はWindows 8.1/7ユーザーに対して無償で提供されることが決まっているので,多くのユーザーが移行する可能性がある。もちろん,10億台のすべてがWindows 10に置き換わることはあり得ないが,それでも多くのユーザーが移行を選択すれば,一気にWindows 10のプラットフォームは増加するだろう。プラットフォームが整えば,Windows 10向けのアプリケーションやサービスの提供が,Windows 8.xよりも増加する可能性はあるというわけだ。

Windows 8.1 UpdateとWindows 7 SP1,Windows Phone 8.1ならば,1年間は無償でWindows 10へアップグレードできる(左)。それを受けて,「対象となるWindows搭載製品を購入すれば無償で“(Windows)10”が手に入る」と,海外のCMで見かけるような宣伝文句でアピール
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 このアピールは,COMPUTEX TAIPEIというPC見本市では,大きな意味を持つ。アプリケーションやサービスが拡大すれば,Windows 10搭載PCを新たに購入するユーザーも増える可能性があり,台湾に多いPCメーカーや周辺機器メーカーにとっても,大きなビジネスチャンスの可能性があるからだ。


最新ビルドでWindows 10の機能を紹介

Windows 10 Mobileは出遅れ気味


 さて,そのWindows 10だが,現在はInsider Previewとして開発版を提供しており,ユーザーによるバグ報告や「ここの翻訳がおかしい」といった要望などを受け付けている段階だ。今回のカンファレンスでは,Windows 10の最新ビルドである「10130」を使い,スタートメニューやウインドウのスナップ機能といった機能が紹介された。目新しい話題ではないので,写真中心で簡単に紹介しよう。

新型スタートメニュー。ビルドが進むにつれて,細かく改良されている。ウインドウのサイズ変更も可能だ
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Windows 10のスナップ機能では,1画面に最大4つのアプリケーションを整列させられるようになった。空いた場所に,ウインドウをスナップさせるのも簡単になっている
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標準機能となった仮想デスクトップ機能では,ウインドウを移動させてそのまま新しいデスクトップを作成するなど,簡単に操作できる点がアピールされていた。デスクトップの移動はマウスでもキーボードでも可能だ
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 Windows 10では標準の地図機能「Bing maps」も強化される。日本の地図も強化されるようだ。また,新Webブラウザの「Edge」は,Webページ上に手書きやテキストの書き込みが可能になるといった,新しい機能を盛り込んでいる。

Bing maps。写真は台湾の人気料理店「鼎泰豊」を地図上で示したところ
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新WebブラウザのEdgeは,Webサイトに直接メモ(写真赤丸内)を残せる
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顔写真をプリントした紙をカメラにかざしても,ログインはできないというデモの様子
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音声エージェントのCortana。今のところ,日本語対応は時期さえ不明確だ
 Intelによる基調講演でも紹介された,顔認証を使ったログイン機能「Windows Hello」のデモも披露されている。手入力では面倒なほど長いパスワードを設定しても,顔をPCのカメラに向けるだけでログインできるという利便性に加えて,顔写真を見せてもログインできないという安全性もアピールされていた。

 Windows 10の新機能で目玉の1つが音声エージェント機能「Cortana」である。自然な会話のように喋るだけで,Web検索やPC内検索,音声でのタスク作成ができるというもので,ステージでは,キーボードやマウス,タッチやペンに加えて,音声でも自由に操作できるというデモを披露して,Windows 10のメリットを強調していた。
 とはいえ,Cortanaの音声入力は,Windows 10のリリース直後からすべての国・地域の言語で使えるわけではない。日本語での音声入力も,リリース直後は使えない予定だ。

 ゲームに関わる話題としては,やはりDirectX 12への対応が最大のトピックだろう。ステージでは,Snail Gameの「King of Wushu」を,DirectX 12版に変更したものを披露。レンダリングの速さやキャラクターの同時表示数といった性能面の優位性を,DirectX 11版との比較でアピールしていた。ちなみにDirectX 12版は,Snail Gamesのエンジニア2人が,6週間かけてDirectX 11版から移植したとのこと。

King of WushuのDirectX 11版(左)とDirectX 12版による処理能力比較。DirectX 12版のほうがCPUやGPUの性能を使い切っており,フレームレートが高く,表示しているキャラクター数も多いというデモだ
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 カンファレンスの最後には,Windows 10を搭載するPC新製品が多数紹介された。ゲーマー向けのPCではDellやMSIといった,お馴染みの製品が披露されている。

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Dellのおむすび型ゲーマー向けデスクトップPC「ALIENWARE Area-51」もWindows 10版が投入される予定
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知名度は低いものの,日本でも製品を展開しているOrigin PCは,「GeForce GTX 980 Ti」の2-way SLI搭載PCを披露

MSIのゲーマー向けノートPC「GT72 Dominator Pro」は,ノートPCとしては初めて,Tobii Technologyの視線認識技術を標準搭載するとのこと
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 とくにメディアの注目を集めていたのは,東芝が開発中の2-in-1ノートPC「Astrea」だ。4K解像度の液晶パネルや「Skylake」こと第6世代Coreプロセッサを搭載しているほか,顔認証のWindows Helloにも対応しており,薄型ながらディスプレイが360度回転してタブレットになる機構などを備えているなど,いかにも凝ったノートPCを得意とする日本メーカー製らしい製品だった。

東芝の2-in-1ノートPC「Astrea」(※開発コードネームと思われる)。二重ヒンジでディスプレイが360度回転してタブレット型になる
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変形機構自体は珍しいものではないが,ボディの薄さは注目に値する
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 さて,今回のカンファレンスで筆者が気になったのは,スマートフォンやタブレット向けのWindows 10である「Windows 10 Mobile」の動向だ。Windows 10のリリース日である7月29日には間に合わないことが明らかにされているが,カンファレンス会場の展示コーナーでも,Windows 10 Mobile Readyの端末は2製品しか紹介されておらず,しかも,展示されていた端末では,Windows Phone 8.1が動作しているという状況だった。

 サービスやアプリケーションでは「モバイルファースト」を標榜するマイクロソフトだが,肝心のOS開発は遅れていると見られる。あらゆるデバイスで同じ環境を実現するWindows 10の世界が完成するのは,もう少し先の話になりそうだ。

カンファレンス会場に展示されていたWindows 10 Mobile Readyの端末。左は中国Beijing Tianyu Communication EquipmentがK-Touchで展開する「WPK1」で,右はパキスタンのQMobile製「Noir W1」。どちらも動いているのはWindows Phone 8.1だった
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