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[COMPUTEX]ジェンスン・フアン氏が語るGTX 980 TiとAndroid,クラウドゲーミング,そして「NVIDIAのIoT」
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印刷2015/06/04 17:43

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[COMPUTEX]ジェンスン・フアン氏が語るGTX 980 TiとAndroid,クラウドゲーミング,そして「NVIDIAのIoT」

Jen-Hsun Huang氏(Co-Founder and CEO, NVIDIA)
画像集 No.002のサムネイル画像 / [COMPUTEX]ジェンスン・フアン氏が語るGTX 980 TiとAndroid,クラウドゲーミング,そして「NVIDIAのIoT」
 COMPUTEX TAIPEI 2015開幕直前の2015年6月1日,NVIDIAは,報道関係者向け説明会を開催した。説明会には,NVIDIAのCEOであるJen-Hsun Huang(ジェンスン・フアン)氏が登場。NVIDIAの新製品や戦略を説明し,報道関係者との質疑応答を行った。本稿では,その説明会と質疑応答の概要をレポートしてみたい。


Huang氏,GeForce GTX 980 Tiを猛烈アピール


GTX 980 Tiを誇らしげに掲げるJen-Hsun Huang氏
画像集 No.003のサムネイル画像 / [COMPUTEX]ジェンスン・フアン氏が語るGTX 980 TiとAndroid,クラウドゲーミング,そして「NVIDIAのIoT」
 「今日は語りたいことが3つある」と切り出したHuang氏。語りたいテーマの1つめは,6月1日に発表された「GeForce GTX 980 Ti」(以下,GTX 980 Ti)だ。
 「GTX 980 Tiは,Maxwellアーキテクチャをベースにした新しいGPUのフラッグシップだ。極めてエレガントな製品で,高い性能を持っている」と語りながら,Huang氏は誇らしげにGTX 980 Tiを掲げた。

 氏によるとGTX 980 Tiは“これからの新しいグラフィックス技術”に最適化された製品であるという。その一例が,4K解像度への最適化だ。GTX 980 Tiは「4K解像度のゲームで,安定したフレームレートが得られる初めてのGPUである」と,Huang氏は強調する。

日本での説明会で披露された,流体シミュレーションによる煙をVolume Tiled Resourcesで表現したデモ
画像集 No.004のサムネイル画像 / [COMPUTEX]ジェンスン・フアン氏が語るGTX 980 TiとAndroid,クラウドゲーミング,そして「NVIDIAのIoT」
 もう1つの例としてHuang氏が挙げたのは,DirectX 12への最適化だ。第2世代のMaxwellアーキテクチャが,DirectX 12のFeature Level(機能レベル)をフルサポートすることは,4Gamerでもすでにレポートしているとおり(関連記事)。Huang氏は「Volume Tiled Texture」(※Volume Tiled Resourcesとも)を使った流体シミュレーションによる煙の表現を例として挙げながら,GTX 980 TiとDirectX 12によって,新しいグラフィックス表現が可能になると強調していた。

 また,Huang氏は,GTX 980 Tiが,仮想現実(以下,VR)対応のヘッドマウントディスプレイに最適化されているとも主張する。その一例として挙げられたのが,「Multi-res Shading」(※Multi-Resolution Shadingとも)機能だ。画面を分割して,視野の中央と周辺部をそれぞれ異なる解像度でレンダリングすることで,「表示の遅延を20〜30%も低減できる。これはVRにとって極めて効果的な技術」(Huang氏)であるという。
 なお,Huang氏が説明したGTX 980 Tiの特徴は,6月1日掲載の記事で詳しく説明しているので,詳細はそちらを参照してほしい。

[COMPUTEX]「現行のGeForceが対応するDirectX 12の機能レベル」をNVIDIAが明らかに。VR向けGameWorksもリリース


 Huang氏は,PCが有するゲームプラットフォームとしての利点についても語った。いわく,「新しいゲームの技術が最初にやってくるのは,オープンなプラットフォームであるPCだ」。上述した4K解像度対応やVR,そしてDirectX 12がそれを証明しているというのが,Huang氏の主張であるわけだ。。そんなHuang氏が,「これがゲームの未来だ」として披露したのが,「WITCH CHAPTER 0[cry]」(以下,WITCHデモ)である。

説明会では,実機によるWITCHデモが披露された。頬を濡らす涙の表現がポイントである
画像集 No.005のサムネイル画像 / [COMPUTEX]ジェンスン・フアン氏が語るGTX 980 TiとAndroid,クラウドゲーミング,そして「NVIDIAのIoT」

 WITCHデモについては,4Gamerでも何度か取り上げているので,改めて説明するまでもないだろう。スクウェア・エニックスの開発チームが,NVIDIAとMicrosoftの協力を得て開発した,リアルタイムCGデモである。人の表情,とくに「泣く表情」という,CGキャラクターではこれまで自然な表現が難しかったものを実現しているというのが,スクウェア・エニックスやNVIDIAの主張だ。


 WITCHデモで見られるような,最新の技術を体験したいトップエンドのゲーマーが選ぶグラフィックスカードとして,GTX 980 Tiは最適なのだとHuang氏は強調していた。


NVIDIAが「SHIELD」に力を入れている理由は?


SHIELDのパッケージを掲げて,「スマートなTegraデバイスを搭載した新しいAndroid TVだ」とアピールするHuang氏。
画像集 No.006のサムネイル画像 / [COMPUTEX]ジェンスン・フアン氏が語るGTX 980 TiとAndroid,クラウドゲーミング,そして「NVIDIAのIoT」
 2つめのテーマとして取り上げられたのは,5月28日に北米で発売されたばかりのAndroid TVデバイス「SHIELD」である。ちなみに,北米でSHIELDを購入すると,Google Playのクーポン60ドル分がもらえるそうだ。

 Huang氏がまず語ったのは,ゲームにおけるAndroidの重要性である。「Androidは,必ずメジャーなゲームのプラットフォームになると信じている。なぜなら,Android OSが極めてオープンで強固なエコシステムを持っているからだ」(Huang氏)。また,Androidが「インターネットに最適化されたOSである」とも,Huang氏は述べている。NVIDIAがSHIELDファミリーを手がけている理由は,そんなAndroidの将来性を信じているからだという。

 その上でHuang氏は,「今日,我々は次のステップに進む。それが次世代のテレビ,SHIELDだ」と高らかに宣言した。
 「我々は,テレビが将来的に,スマートフォンのようになると考えている。スマートフォンで変革が起きたように,テレビにも変革が起きるだろう」と語るHuang氏は,「SHIELDこそが,テレビの未来である」と断言してみせた。製品の出来には,よほどの自信があるようだ。

SHILED本体を掲げるHuang氏。「SHIELDこそが,テレビの未来」と自信を示した
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 残念ながら,今回も,日本におけるSHIELDの発売については,何の情報も明らかにされなかったので,北米以外でどうなるのかは分からないが,今は国内発売を期待して待つとしよう。

 さて,3つめの話題は,NVIDIAが力を入れている車載情報システムだ。Huang氏は,自動運転システム実現のために,車載コンピュータが「コンピュータビジョン」(Computer Vision,CV)のような新しい領域を取り込みつつあることを説明したうえで,「Tegra X1」を搭載する自動運転技術の開発用プラットフォーム「DRIVE PX」を披露した。

Tegra X1を搭載する自動運転技術用の車載コンピュータDRIVE PX
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 DRIVE PXでは,「HDカメラポートを始めとする20系統の入力を備え,GPUを使って車の周囲の状況を認識することが可能になった」とHuang氏はアピール。NVIDIAが,今後もさらに車載コンピュータの分野に取り組むことを力説していた。


Jen-Hsun Huang氏に聞く,GPU,SHIELD,そしてIoT


 プレゼンテーションに続いては,報道陣との質疑応答が行われた。主要な話題を中心に一問一答形式でレポートしよう。


SHIELDとAndroid,クラウドゲーミングへの取り組み

――Androidは,ゲームにとって重要なプラットフォームになるとのことだったが,スマートフォンは画面が小さく,性能はPCに及ばない。SHIELDによってゲーマーにとってのAndroidの重要性が変えられるだろうか?

Huang氏:
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 AndroidはスマートフォンのOSというだけでなく,インターネットに最適化されたOSだ。IoTという言葉があるが,Androidこそ,世界ではじめてインターネットに特化した「IoTのOS」だと考える。Androidはオープンなので,たとえばAndroid TVやAndroidを搭載した自動車,さらにAndroidを搭載したIoTデバイスが登場するだろう。

 なぜ多くの人々がAndroidを選ぶのかというと,それは堅牢なOSで活発なコミュニティがあり,そして何よりインターネットに最適化されたOSだからだ。だからこそ私は,ゲームにとってもAndroidが極めて重要なプラットフォームになると信じているのだ。
 事実,私はプロプライエタリなOSの重要性は将来,小さくなっていくと考えている。一方でIoTは,テレビの分野にも入ってくる。SHIELDがまさにそれで,ゲームにとっても堅牢なAndroidを採用したデバイスだ。我々はタブレットも手がけているが,依然としてテレビも家庭の中では重要なデバイスだと考えており,だからSHIELDに取り組んでいる。

――Tegraベースのスマートフォンはあまり普及していないが,スマートフォン市場をどう見ているのか?

Huang氏:
 スマートフォンに関しては我々も大々的に取り組んできたよ(笑)。しかし,スマートフォンはとてもコモディティ化してるいし,強力な競合がすでにいる。そうした中で,我々のスマートフォン戦略は,世界で最も高速なGPUを作り続けるということに尽きる。

――SHIELDは,NVIDIAにとって初のコンソール機だが,たとえばどれくらいの出荷台数があれば,成功だと考えるのか?

Huang氏:
 SHIELDについては非常に長い目で見ている。長い目で見るという点では,我々がGeForceでやってきたことと変わらない。長い期間をかければ1000万台,1億台の出荷が見込める製品だろう。なぜなら,これは初めて4K解像度のゲームがプレイできる未来のテレビ製品だからだ。

――4K解像度のゲームをクラウドゲーミングで実現できるのだろうか?

Huang氏:
 クラウドで4Kゲーム!? それは凄いね。いつか実現させたいよ!(笑)。
 たしかに,スーパーコンピュータはクラウドゲーミングを高速にしてきたけれど,たとえば映像分野では,Blu-rayディスクを4K対応ディスクへ移行することさえ,まだ行われてさえいない。4Kのために新しい映像ライブラリも必要になる。たとえば新しいスターウォーズのライブラリとか(笑),リマスター作業が必要だ。
 クラウドゲーミングは,映像ライブラリよりも4Kへの移行が簡単に思えるかもしれない。けれども実際には,インフラがとても複雑だ。4Kのクラウドゲーミングを実現するようなインフラが整うには,まだ相当の時間がかかるだろう。

――クラウドゲーミングを加速させるキーアプリケーションが登場して,普及の臨界点を超えるのはいつ頃になるだろうか?

Huang氏:
 クラウドゲーミングのキラーアプリケーションは「便利であること」だと思っている。すぐにプレイできるし,ディスクも不要だ。50GBのゲーム本体をダウンロードする待ち時間もない。こうした便利さは,コンピューティングの未来だと思う。
 ゲーム市場は非常に大きく,1000億ドルの市場規模がある。したがって,より多くの人が(キラーアプリケーションである)クラウドゲーミングの便利さに触れることができさえすれば,クラウドゲーミングは急成長するだろう。

 その普及の臨界点が来年か2年後かは,我々の取り組みにもかかってくる。我々の技術開発やインフラ開発といったことも,普及の臨界点がやってくる時期を左右するだろう。我々はクラウドゲーミングを長期的なビジネスと考えており,多くの人がクラウドゲーミングを楽しめるよう,今後も努力を続けていくつもりだ。


GeForceとMaxwell,そして次期GPU「Pascal」

――Maxwellアーキテクチャは,省電力&モバイル向けでスタートして,第2世代の「GM200」コアでハイパフォーマンス向けに採用された。なぜこの順序になったのだろうか。

Huang氏:
Tegra X1もMaxwellアーキテクチャのGPUコアを統合している
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 それは2つの理由がある。GPUアーキテクチャを3つの異なる市場に展開しなければならないというのが1つめの理由だ。具体的にはPC,モバイル,クラウドにGPUアーキテクチャを展開しなければならない。
 GPUを設計するにあたって,この3つの分野でソフトウェア互換性を維持するのはとても重要だ。同じ命令,同じミドルウェア,同じコンパイラが使えるといったことを実現しなければならない。そのため我々は,(Maxwellという)1つの卓越したアーキテクチャを3つの分野に提供している。

 2つめの理由は,ほとんどの場合,高性能と省電力は同時に求められるためだ。低消費電力というのは,どんな場合でも経済的で優れた技術といえる。Maxwellアーキテクチャはそれを実現している。

――(GPUには)GTX 980 TiとGeForce GTX TITAN X(以下,GTX TITAN X)という2つのフラッグシップがある。その理由を教えてほしい。

Huang氏:
 それはとても複雑な質問だね(笑)。
 我々には2つの使命があった。1つは,4K解像度のゲーマー向け製品を出すということだ。GTX 980 Tiは卓越した製品で,4K解像度のゲームに最適だ。もう1つの使命は,VRへの対応だ。GTX 980 Tiは,650ドルという手頃な価格でこの2つの要求を満たす製品といえる。

 一方,GTX TITAN Xは,それとは異なる使命を持つ製品だ。たとえば,GTX TITAN Xは12GBのグラフィックスメモリを搭載している。そのため,4Kビデオ編集といったメモリヘビーな作業もこなせるわけだ。また,ディープラーニングという用途もある。GTX TITAN Xはディープラーニングを研究する人々にとって最適な製品だ。
 4K解像度のゲームを開発している人も,多くのグラフィックスメモリが必要になる。GTX TITAN Xはそうした人々に向けた製品ということになる。

――NVIDIAが投入を予定しているPascalや,それに採用されるというHBM(High Bandwidth Memory)について教えてほしい。

Huang氏:
画像集 No.014のサムネイル画像 / [COMPUTEX]ジェンスン・フアン氏が語るGTX 980 TiとAndroid,クラウドゲーミング,そして「NVIDIAのIoT」
 まず,現行のMaxwellアーキテクチャにも,最先端のメモリ技術が投入されているということは強調しておきたい。
 このGTX 980 Tiは,Maxwellアーキテクチャベースだが,4K解像度のゲームに最適化されている。(フルHD解像度の)4倍の解像度に最適化するには,メモリアーキテクチャも素晴らしいものでなければならない。

 将来的にはHBM,あるいはStacked Memoryと呼ばれるメモリ技術を投入することになるだろう。しかし,現時点ではコストまだ高いので,市場に投入するにはまだ早すぎる技術だと,多くのユーザーが考えるはずだ。
 だがいずれ,そう遠くない将来には,HBMのアドバンテージについて語れるようになるだろう。たとえば,素晴らしい性能であるとか,低消費電力であるとか,液冷は必要なくなるだとか(笑),そういったことをね。

――現在はプロセッサ(※CPU)にGPUが組み込まれるようになっている。600ドルを超えるようなグラフィックスカードの市場は,影響を受けていないのか?

Huang氏:
 かつて,グラフィックスカードはただの部品にすぎなかった。だが今日(こんにち),我々は部品としてのグラフィックスカードを提供しているのではなく,ゲーマーに素晴らしいゲーム体験を提供することにフォーカスしている。GeForceは単なるグラフィックスカードではなく,ゲームプラットフォームなのだ。

 「GeForce Experience」が,その典型的な例だ。GeForce Experienceは,ゲームデベロッパと協力して開発されており,ゲーマーの設定を手助けしたり,Twitchでゲームプレイを共有する機能を備えている。
 我々は人々がゲームを楽しむことを手助けしているし,その仕事を楽しんでいる。GeForceは価格に見合う価値をゲーマーに提供していると信じている。

――サーバー分野におけるGPUビジネスの状況はどうなっているのだろうか。

Huang氏:
 GPUは,クラウドコンピューティングを加速させており,サーバー向けのGPU市場は(※年率)60〜70%の勢いで成長している。

 その理由は,ビッグデータの解析においてディープラーニング(深層学習)や人工知能(以下,AI)といった技術に,脚光が当たっていることが挙げられる。今日(こんにち)では,極めて高速なコンピュータを使って,コンピュータ自身にデータの解析を学習させたり,自分自身をプログラムするを学習させたりするといったことが可能になりつつある。これは驚くべきことだ。たとえば我々は,音声や画像といったものをコンピュータに学習させて,認識させることができるようになった。
 こうしたことが可能になったのは,ディープラーニングの技術によるもので,今では重要な分野になっている。また,この分野はとても早く成長しており,NVIDIAにとって将来のゲーム,将来のクラウドといった点からも,重要性が高まっているといえる。


NVIDIAが見るIoT

――NVIDIAは,「Denver」という独自の64bit ARMコアを開発しているが,現行製品(※Tegra X1)にはARMのCortex-A57を選択している。Denverコアは高性能な用途に限っているのか?

Huang氏:
画像集 No.009のサムネイル画像 / [COMPUTEX]ジェンスン・フアン氏が語るGTX 980 TiとAndroid,クラウドゲーミング,そして「NVIDIAのIoT」
 我々は「Ping-Pong(ピンポン)戦略」を取っている。ご存知のように,NVIDIAは毎年,新しいTegraを市場に投入している。そして,新しいCPUアーキテクチャを開発しているが,それはPing-Pong戦略に基づいたものなのだ。
 Ping-Pong戦略というのは,新しいアーキテクチャの開発と新しいプロセスの開発を,ピンポン,ピンポンといった具合で交互に行うという意味だ(笑)。そのリズムは2年置きで,2年で新しいCPUアーキテクチャの開発を行い,2年で新しいプロセスを開発する。CPUコアもそうした戦略に基づいて投入している。

*言うまでもなく,Intelの「Tick-Tock(チクタク)戦略」をもじったもの。

――製造プロセスの微細化が,半導体製造コストの低下にはつながらなくなってきている。プロセス技術の状況をどう見ているか。

Huang氏:
 多くの企業がその問題に取り組んでいるが,我々のビジネスは少し違う。
 我々には,常に高い性能と低価格が求められている。そして我々は,それに応え続けてきた。たとえば,この2年でフラッグシップ製品の性能は3倍に向上している。我々は,それを卓越したアーキテクチャと,巧妙な設計によって成し遂げた。プロセス技術によるものではないのだ。

――NVIDIAは現在,GPUや車載コンピュータ,IoT(Internet of Things),そしてスマートフォンやタブレットなど,幅広い分野に取り組んでいるが,これらのどこに重点を置いて取り組んでいるのか?

Huang氏:
 我々のことを見てきている人は知っているように,NVIDIAはこの10年,取り組む分野を広げてきた。我々は,GPUとビジュアルコンピューティングの分野でスタートした企業だが,現在はPC,クラウド,そしてIoTやモバイルデバイスにその経験が活かせると考えている。だから,この3つの分野に取り組み,さらにアプリケーションの開発にも力を入れている。

 力を入れるアプリケーション分野のひとつは,もちろんゲームだ。ゲームは我々の核であり,たとえば,このSHIELDもゲームが核になっている。そのほかに,自動車やクラウド,そして古典的なビジネスやエンタープライズ分野の開発にも力を注いている。我々はこの4つの分野に注力しており,それぞれで独自の地位を築いている。
 しかし,私が言いたいのは,すべての分野で基礎は同じであるということだ。我々のGPU,我々のソフトウェアスタックは,他社には真似ができない。そうしたものを市場,あるいはパートナーに提供して,パートナーとともに市場を成長させていくことを目指している。

――それぞれの分野によって異なるパートナーが必要になりますね。

Huang氏:
 もちろん,異なる市場には異なるパートナーが必要になる。ひとつ例をあげると,ここにあるSHIELDは,ハードウェアやソフトウェアを我々が作っているが,Googleとパートナーを組んでいる。けれどもゲームデベロッパは(PCゲーム)と同じだ。だからゲームデベロッパは,(SHIELDでも)我々にとって重要なパートナーだと思っている。

――IoTは,これまでのNVIDIAとは異なる取り組みが必要になるのでは?

Huang氏:
画像集 No.013のサムネイル画像 / [COMPUTEX]ジェンスン・フアン氏が語るGTX 980 TiとAndroid,クラウドゲーミング,そして「NVIDIAのIoT」
 まず言っておきたいのは,我々が考えるIoTは,他の人が考えるIoTとはちょっと違うということだ。(DRIVE PXを示しながら)これが我々のIoTだ……世界でいちばん大きいIoTかもしれないね(笑)。

 IoTについては,多くの人がいろんなことを言っている。Bluetoothヘッドセットのようなものがインターネットにつながるとか,カップや靴がインターネットにつながるとかね。そうしたことを実現するには,非常に小さなSoCが必要になる。だが,それはNVIDIAのIoTではない

NVIDIA 公式Webサイト

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