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インタビュー
バーチャルサラウンドヘッドフォン技術「DTS Headphone:X」は何を変えるのか。「バイオハザード リベレーションズ2」のデモについてキーマンへ聞く
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これは,カプコンと米DTS,そして協力企業とのコラボレーションによるもので,リアルタイムで動作するゲームに組み込まれた状態で一般来場者が体験できる機会は,今回が初めてだったそうだ。つまり,運のいい人は,バイオハザード リベレーションズ2だけでなく,「DTS Headphone:Xをゲームに組み込んだらどうなるか」を体験できたわけである。
4Gamerでは,実際にデモを体験したうえで,その仕掛け人であり,カプコンのシニアサウンドエンジニアである瀧本和也氏とdts Japanの黒川 剣氏,そしてバイオハザード リベレーションズ2のプロデューサーを務めるカプコンの岡部眞輝氏に,今回のコラボレーションについて話を聞くことができた。今回は,その内容をお伝えしたいと思う。
なお,その内容は多くが専門的なものとなるため,適宜,筆者による注釈を入れている。
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DTS Headphone:Xとは何なのか
4Gamer:
本日はどうぞよろしくお願いします。まずは,DTS Headphone:Xとは何なのか,既存のバーチャルサラウンドヘッドフォン技術とは何が違うのかというところを,黒川さんにご説明いただければと思います。
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DTS Headphone:Xは,DTSの最新ヘッドフォン技術です。
DTSでは20年にわたり,さまざまなサラウンドの技術,それこそコーデックからポストプロセス,バーチャルヘッドフォンまで取り組んできましたが,最近のヘッドフォン市場では,映画や音楽,ゲームを楽しむ方が増えてきていることで,市場が伸びていますよね。
4Gamer:
ええ。
黒川氏:
そういった「伸びている新しい市場」って,具体的にはモバイルデバイスにPC,ゲーム機だったりするのですが,それらすべてに向けて「新しいサラウンド感を提供しよう」という旗印の下に,ゼロから開発したものです。
バーチャルサラウンドヘッドフォンというもの自体にも,そこそこ長い歴史がありますけれども,それに対して多くのユーザーからフィードバックとしていただくのが「違和感」なんですね。「やっぱり疑似で,リアル感がない」とか,「モヤモヤしている」とか。そういった違和感があるからこそ,映画やゲームなどで,どうしてもヘッドフォンを長時間装着し続けることがつらくなっているのです。
4Gamer:
つまり,その問題を解決するものとして開発したのがDTS Headphone:Xであると。
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そうですね。映画なら2時間,ゲームならそれ以上の時間,ヘッドフォンを長いこと装着し続ける人達のために,まずはその違和感をどう解決したらいいか? と考えたことがきっかけでした。
Headphone:X自体を最初に発表したのは2013年1月のCESです。それから2年近く,カプコンさんにもご協力いただきつつ,いろいろなところで披露してきましたが,ここ1〜2年で,ヘッドフォンを当たり前のように使う時代がきたのも追い風になっているように思います。
我々は5.1chやら7.1ch,最近では11.1chといったスピーカーセットを使ったサラウンド環境も提案していますが,それだと,その魅力を味わえる人の数がどうしても限られてしまいますよね。だからこそ,ヘッドフォンが一番いいプラットフォームではないかと。
4Gamer:
DTS Headphone:Xは,映画かゲームかといったコンテンツを問わず,スマートフォンかタブレットかPCか,はたまたゲーム機かといったデバイスも問わず,ヘッドフォンでバーチャルサラウンドサウンドを利用できる,全方向的な技術だということですか。
黒川氏:
そうですね。DTSはもともと映画事業から始まった会社ですけれども,DTS Headphone:Xについていえば,コンテンツや(再生)デバイスをどれかに限定しているということはありません。
ゲームに関して補足させていただくと,インタラクティブ性があるので,プレイヤーの操作次第で,(映像と一緒に)サラウンドの音空間が360度回転します。ここが面白いポイントですよね。
4Gamer:
ただ,「操作に応じて音が回転する」という表現だと,これまでのバーチャルサラウンド技術とそれほど変わりませんよね。TGS 2014におけるデモシステムがどんなものなのか,とくにオーディオ信号の流れに関して説明いただけますか。
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ゲーム機からHDMI経由でサラウンドの(ストリーム)信号がAVアンプに入ります。そしてそこでアナログに変換されたデータを,オーディオインタフェース(=サウンドデバイス)経由でPCに取り込み,さらにPCへインストールしておいたアプリケーションを使ってDTS Headphone:Xのデータに変更して,ステレオで出力しています。それをヘッドフォンで聴いている状態ですね。アンプとヘッドフォンではヤマハさんとオンキヨーさんの協力をいただいています。
4Gamer:
アプリケーション側ではどんな感じでデータ変換を行っているんですか。
瀧本氏:
カプコンのマスタールームでDTSさんに音響測定してもらいまして,その結果として得られた「ルームプロファイル」というデータを用いていますね。ルームプロファイルを使うと,その部屋で聴いているような感覚が得られるので,今回,TGS 2014でDTS Headphone:Xを体験していただいた人は,うちのスタジオ(=カプコンのマスタールーム)でゲームの音を聴いているような状態でした。
4Gamer:
コンボルーションリバーブ的な?
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そんな感じもありますかね。面白かったのは,うちのスタジオだと,リアスピーカーの配置が一般的なものよりちょっと高いんですけど,計測後,スピーカーで聴いて,そのあとルームプロファイルを適用してヘッドフォンで聴いてみると,同じようにリアが上から打ち下ろすような感じで聞こえてくることでした。
黒川氏:
これは,今までのバーチャライザ(=HRTF方式のバーチャルサラウンドサラウンド)ではできなかったことなんですよ。
これまでのバーチャライザだとスピーカーの位置がバーチャルに固定されてまして,5.1chだろうと7.1chだろうと,各チャネル(のオーディオ信号)を,「固定された位置」に当てはめていく仕組みになっていました。
4Gamer:
HRTF(Head Related Transfer Function,頭部伝達関数)方式ですし。
黒川氏:
ええ。そういう意味では「DTS Headphone:XはHRTFだけに頼らない」のです。
簡単にお話ししますが,中が空っぽな球体をイメージしてみてください。その球体が部屋のサウンドフィールド(=音場)としましょう。
たとえば,カプコンさんが持っているようなスタジオを再現するのであれば,そのスタジオが持つ特性をまず計測します。スピーカーの位置だけでなく,スタジオの残響とか,音の反射,響き,各スピーカーの距離感といった情報をすべて計測し,メタデータ化します。
すると,計測したメタデータによって,その球体の形が大きくなったり小さくなったり,広くなったり狭くなったり,音が感覚的に籠もったり明るくなったりします。なので,カプコンさんのスタジオなら,そこで計測したメタデータを用意して,DTS Headphone:Xのエンジンに適用すれば,その球体(=サウンドフィールド)がカプコンさんのスタジオそのものに生まれ変わるというわけです。
4Gamer:
スタジオならスタジオという「部屋」全体をデータ化して持っておくわけですね。
黒川氏:
そうです。そしてそのうえで,瀧本さんが座っている位置をセンタースポット(=サラウンド感を最も感じられる,ベストなリスニングポイント)とします。そこで滝本さんに実際に耳にマイクをつけていただいて,瀧本さんの耳の形状をプロファイリングして,瀧本さんの耳の形で聞こえている音の特性を録るんですね※。
※HRTFの問題として,「計測時に用いる耳の形状と,リスナーの耳の形状が著しく異なる場合,本来期待されるパフォーマンスが出ない」というものがある。それに対してDTS Headphone:Xでは,瀧本氏の耳の形状までデータとして保持するわけである。
4Gamer:
部屋のデータを取るだけではなく,その場の主が聞いている音も録る,と。その理由は何でしょう。
黒川氏:
我々は長年,さまざまなアーティストやミキシングエンジニアと仕事をしてきましたが,「制作された作品が,どうしても制作者の意図どおりにユーザーへ伝わらない」というのが大きな課題でした。
そこでDTS Headphone:Xでは,部屋そのものを再現するだけではなく,瀧本さんの場合はミキシングエンジニアなので,エンジニアが実際に聞いている音の特徴を計測してプロファイリングし,さらに瀧本さんが使用しているヘッドフォンの特性も計測しています。そこまでをメタデータ化して,やっと「本当のモニタリング」を実現できるというのが,DTS Headphone:Xにおける我々の考え方です。
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なので,そういったヘッドフォンを使って瀧本さんが試聴したときに,「ちょっと音違うね,私がミキシングしたのと変わってるね」と感じてしまいます。
それに対してDTS Headphone:Xでは,(部屋だけでなく,ヘッドフォン,そして瀧本さんの耳の特性までデータ化することで)カプコンさんのスタジオで試聴しているような空間を作り上げています。先ほど話に出た「多少上にあるリアスピーカー」も感じられますし,もちろんフロントスピーカーもあります。それが,プレイヤーの操作に対して,仮想空間上で左右に回転する。サウンドフィールドが操作どおり動くので,まさに,スタジオで瀧本さんが聴いているのと同じような体験ができるわけです。
4Gamer:
確かに,従来のバーチャライザ的なものとはだいぶ発想が違いますね。むしろアコースティックルームシミュレータ(=音響室シミュレータ)でしょうか。
黒川氏:
そうですね。
瀧本氏:
「リスナーに対してどういう音を聴かせるか」を選択できるというか,作り込むことができる,そういうシステムな感じがしますね。
4Gamer:
となると,ルームプロファイルと「イヤープロファイル」,「ヘッドフォンプロファイル」の3点が揃えば,瀧本さんが聴いているのとだいたい同じ環境になるということですよね。瀧本さんと同じヘッドフォンを使うのがベストなのは当たり前の話として,別のヘッドフォンを使っていても,マッチさせることは不可能ではないというか。
黒川氏:
ヘッドフォンのほうでもDTS Headphone:Xのパートナーは増やしてきていまして,すでに北米が拠点のSkullcandyさんや,日本ではパナソニックさんと協力関係にあります。また,今回のTGS 2014ではオンキヨーさんやヤマハさんに協力いただいて,我々が将来的にヘッドフォンプロファイルを(オンラインで)ホスティング(して,AVアンプなどへダウンロードできるように)する仕組みも考えています。
これが実現すれば,ルームとイヤー,ヘッドフォンのデータごとにマッチングできるのではないかと。
4Gamer:
うまくいけば,それこそ瀧本さんのスタジオの音そのものをユーザーに届けられるようになりますね。
黒川氏:
おっしゃるとおりです。
ユーザーが,せっかくお金を払ってコンテンツを買って,視聴したりプレイしたりするときに,作ったアーティストやエンジニアの思いそのものを感じ取ることができたら,ファンとして,よりたまらなくなると思いませんか? それを,DTS Headphone:Xなら実現できるはずです。
4Gamer:
現状のステータスはどんな感じなのでしょうか。最近は国内でもちらほらとDTS Headphone:X対応製品の話を聞くようになってきた気はしますが。
黒川氏:
我々としてはまず,音楽配信とか,動画配信とか,そういうサービスから,DTS Headphone:Xのエンジンを組み込んでいただいたり,コンテンツをエンコードして配信していただいたりしています。
ゲーム機への組み込みは次の課題ですが,ゲームにおいては,瀧本さんのようなミキシングエンジニアとしてワークフローを変える必要はないというのが一番のメリットだと思います(ので,そこを取っかかりにして話を始めています)※。
※これは「開発工程において,DTS Headphone:Xを組み込むことによる工数の増大がない」という意味。要するに,サウンドエンジニアは従来どおり,リアルタイムパートを含めたサラウンドミックスを作成しておく。そのうえで,ゲーム機側,もしくはゲームアプリケーション側に組み込まれたDTS Headphone:Xエンジンへマルチチャネル信号を送るだけでいい。後は,先に出てきたルームやイヤー,ヘッドフォンのプロファイルを読み出せば,環境が再現されることになる。ただしこれを実現するには,「ゲーム機もしくはゲームアプリケーションがDTS Headphone:Xを組み込んでいる」ことが大前提となるが。
4Gamer:
岡部さんに伺いますが,やはりそこ(=工数が増えない)がゲーム開発においては大きいですか。
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そうですね,新しい技術が出てきたとき,「それに合わせてゲーム側でも何かしないと」って言うとハードルが上がりますが,「今までどおりやってください」ですから,すごく助かりますね。
瀧本氏:
こちらはまったくいつもどおり,サラウンドで作品を作っています。最終的には,うちのマスタールームで,スタッフと一緒に最終調整を行っていますが,それを,DTS Headphone:Xにエンコードしてるだけの話ですね。
4Gamer:
今後,DTS Headphone:Xがゲーム機で動作するようになれば,ゲームの側ではルームとヘッドフォン,イヤーのプロファイルだけ用意して,ヘッドフォンメーカーなどとコラボレーションして,ゲームのなかにプロファイルとして組み込んだり,後からダウンロードできるようにしたりすることも可能になりますね。エンドユーザーにとってもそのほうが使い勝手はいいでしょうし,そうなってくれればと思います。
瀧本氏:
作っている側としてはそれが一番ですね。
DTS Headphone:Xなら,ゲーム世界の「音の高さ」を表現できるようになる?
4Gamer:
瀧本さんのスタジオを再現できる,という以外に,何かメリットってありました?
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ゲームの場合って,サラウンドの使い方が映画とかと根本的に違うんですよね。ダイアログ(=セリフ)って通常,映画をミックスするなら,センターから動かさないんですけど,ゲームの場合はキャラクターがある座標位置にいれば,当然そこから聞こえてくるので,バイオハザード リベレーションズ2の場合でも,ペアになっているキャラクターが後ろでしゃべれば,後ろから声がするんですよね。
ゲームサウンドにとって,どこにいるのか,あるいはどこから攻撃されているのかとかいった情報はとても重要です。ただ,スピーカーでプレイヤーをぐるっと囲んで音を鳴らすのはとても大変で,しかも,物理的にスピーカーを置いて鳴らそうとすると,違和感のあるポジションがあったりします。
4Gamer:
物理的に「そこにある」かどうかで結構変わりますよね。ないと,どうしようもないというか。
瀧本氏:
ええ。ファントムになったところがちょっとあやふやになったりしますね※。
DTS Headphone:Xのメリットだなと思ったのは,そういった「物理的なスピーカー配置」の影響を受けないので,パニング(panning,定位の移動)がスムーズにいくところです。後ろとかからダイアログが鳴っても違和感が少ない。キレイに後ろから聞こえてくるというのが,ゲームに向いている技術だと思ったところです。
※ファントム(phantom)とは,スピーカーとスピーカーの間で鳴るよう設定された音のこと。オーディオ業界では伝統的に「ファンタム」ともいう。5.1chなら,フロントLとリアLの間で真横から鳴る音や,リアLとリアRの間で真後ろから鳴る音などがファントムである。
黒川氏:
先ほど11.1chのお話をしましたが,今後,ハイトチャネルを採用するとなると※,ゲームの体験として新しい刺激や楽しみが生まれてくると思います。FPSやTPSだと,ユーザーは上を向いたり下を向いたりしますが,そこに音を追加できれば,それこそバイオハザードシリーズのようなタイトルでは,新しい世界を体験してもらえるようになるのではないかと。
そういったときに,DTS Headphone:Xであれば,実際のハイトチャネル(スピーカー)を置かずに実現できるようになるのがメリットだと思います。
※DTSや同社の競合であるDolby Laboratriesは現在,スピーカーを天井などに設置して高さを表現するハイトチャネル(Height Channel)ソリューションを訴求している。
4Gamer:
瀧本さんに伺いますが,開発の現場として,ハイトチャネルはどのように評価していますか。
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(実現するのに)あまりにも多大なコストがかかるようだと避けることになってしまうでしょうが,興味はもちろん持っています。いろいろな形でハイトスピーカーを設置するシステムってあると思うんですけど,実際,ゲームだと(実装すること自体は)簡単というか。座標をとって音を鳴らしますから,音源の位置が上かどうかさえ判定してしまえば,上から音を鳴らす方法はいくらでもあるんですね。なので,そういう意味では「全然いける」んですけども,むしろ最大の問題となるのは,鳴らせるかどうかではなく,「聴けるかどうか」だったりするんですよ。
実際のところ,PlayStation 4(以下,PS4)やXbox Oneが7.1ch対応になりますって言われても,何人が7.1chのスピーカーセットを用意するんだという話になりますし。現実的には,DTS Headphone:Xのようなやり方が,コストと効果を考えると,(ハイトスピーカーを)一番実現しやすい方法ですよね。
4Gamer:
ヘッドフォンさえあればいいわけですからね。
黒川氏:
AVのバブル時代といいますか,5.1chのシステムが普及して,それに2つ追加された7.1chの時代もやってきました。ここまでは,それほどのハードルではなかったと思うんですが,それが9.1chや11.1chでハイトチャネル付き,なんてことになっていくと,コストや設置スペースという観点でのハードルが上がっていきますよね。そうなると,大多数の方々の間では,当然のことながら「サラウンドで聴く」こと自体への興味が薄くなっていきます。
その意味では,いま瀧本さんもおっしゃったように,ヘッドフォンを使ってサラウンド体験というのが,分かりやすい話だと思いますね。
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4Gamer:
360度というお話が出ましたが,ハイトチャネルを低く置くというか,床のようなところから音を出すこともできるんでしょうか。
黒川氏:
できます。そこがDTS Headphone:Xが一般的なバーチャルサラウンドサウンド技術と違うところでして,先ほどお話した球体の中ではどんな部屋でも再現可能です。我々の技術は,球体の空間のなかで,音をどこに置いていくかっていう,X軸Y軸Z軸の形になっていますから。
TGS 2014における発表への道のり
4Gamer:
そもそも,カプコンさんとして,どういう経緯でDTS Headphone:XをTGS 2014用のデモに組み込もうという話になったのでしょうか。
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僕自体は(カプコン社内の)スタジオで作業を行っていますが,すべてのゲーム会社やクリエイターがスタジオを持っているわけではないので,(社外のクリエイターと連携するにあたって)全員が平等に聞けるサラウンド環境が欲しかったというのは,以前からありました。
実は,それにあたって,別のプロ用機材をテストしていたんですが,その頃,東京ゲームショウ2013(以下,TGS 2013)のタイミングで,DTSさんから「聴いてみてください」っていうお話をいただいたのがスタートですね。
黒川氏:
TGS 2013で弊社はビジネスミーティング用のスペースを確保していまして,そこにご招待したんですよ。
瀧本氏:
プロ用の機器をテストしていくなかで,最近のバーチャルヘッドフォンの効果が,以前のものとは違う,新しいステージにあることは感じていましたから,DTS Headphone:Xに対しても期待はしていました。
ただ,(DTS Headphone:Xを実現する)プロ用の機器は金額もプロ用で(笑)。もう少しカジュアルに聴けるものはないかと考えていたところに試聴の機会をいただけたわけです。で,聴いてみたら,「これだけ自由度が高くて,こんなに効果が出るんだったら使えるな」と。
黒川氏:
TGS 2013でお会いしてから約9か月。何回も瀧本さんのスタジオに足を運んで。どうしましょうか,ルームプロファイル作りましょうかと,とんとん拍子に話が進んでいきまして。
その流れのなかで,今回協力していただいたヤマハさんやオンキヨーさんにもスタジオに来ていただいて,DTS Headphone:Xにマッチングさせましょうという話になりました。
4Gamer:
ゲームの世界でDTS Headphone:X用のプロファイルまで作ったのはこれが初めてですよね。
瀧本氏:
そうですね,世界初ですね。
黒川氏:
弊社としても,もちろんE3やGDCなどで体験デモは行ってきましたが,全部プライベートだったんですね。TGS 2014のようなオープンな場で,カプコンさんのブースにおいてエンドユーザーが普通に体験できた機会というのは,おそらく今回が初めてです。
瀧本氏:
一番最初って大好きなんですよ(笑)。
4Gamer:
オーディオの人ってそういう傾向ありますよね(笑)。
黒川氏:
会ったときから意気投合して,「やろう」って。私もそういうの好きなので。
4Gamer:
面白い試みですよね,ちょうどヘッドフォン市場も,年々規模が大きくなってきて。
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やっぱり没入感の高さが魅力ですよね。おかんの声とか聴きたくない(笑)。できるだけ入り込みたい。その環境のためにはヘッドフォンが大事だと思います。あとは音情報という意味でもヘッドフォンの存在感は大きいかなと。
4Gamer:
スピーカーで35Hzとか出すの,たいへんですからね。
瀧本氏:
マンション住めなくなりますからね(笑)。
ただ,だからって“しょぼい”音はイヤなんですよ。届けるほうもイヤですし。
4Gamer:
TGS 2014のデモで採用されていたヘッドフォンって,そこまで高級な製品というわけではありませんよね。
瀧本氏:
ですね。2万円そこそこくらいのものです。もちろんハイエンド製品があって,桁も1つ違ったりしますが,音にこだわっている人じゃない場合,2万円って,エンドユーザーがヘッドフォンに払える金額の上限クラスだと思うんですよ。それでもあそこまでの効果が得られるので,かなりいいと思いますよ。
黒川氏:
ヘッドフォンって,当然ですけどもゲーム専用ではなく,一度買えば,どんなコンテンツでも使えますしね。
付け加えておくと,DTS Headphone:Xはヘッドフォンを選ばないので,それこそ数百円で売っているようなインイヤーヘッドフォンでも効果は出ます。皆さんがヘッドフォンに何万円も注ぎ込めるわけではないので,この点は重要ではないかと考えています。
TGS 2014版デモにおける実装と,今後の見込み
4Gamer:
瀧本さんに質問ですが,TGS 2014版のDTS Headphone:X環境で,意図した効果はどの程度得られていると実感していますか。
瀧本氏:
率直に述べて,スタジオで実際に音を聴いている状態にすごく近い印象です。ステレオだけでダウンミックスしたものになると,頭の中に入っちゃうので※,ワイドな表現にならなかったりしますが,そういうことがないのはいいと思います。
※ステレオダウンミックスだと,いわゆる「耳に張り付いた」音になってしまい,音場が狭く感じられるということだと思われる。
4Gamer:
試聴に使ったのは純然たる密閉型ヘッドフォンだと思うんですが,もっと耳の近くで鳴るものだと思っていたら,意外に耳から遠かったのが印象的でした。
瀧本氏:
オープンエアタイプのヘッドフォンを使うと,音はさらに広がりますね。今回は遮音性も考えてクローズドにしましたが。
岡部氏:
恐怖というか,閉塞感がより感じられるので,そういうところはいいですよね。
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スタジオのイメージと比べると,少し音場が近くなってるんですけど,結果的に今回の環境では効果的になったと思いますね。なので,文字どおり忠実にスタジオの再現だけすればいいかというと,難しいところだなとも思います。いま岡部が言いましたが,少しくらい音場が狭くなったとしても,狭く聞こえたほうが怖さが出るケースはありますから。
あと,実装してみて分かったのは,ダイナミクスに対する反応がいいことですね※。一般的なバーチャルサラウンドヘッドフォンの場合,意外と定位がぼやけてしまってダイナミクスの表現がうまくいかなくて。とくにリアでそういう傾向があったと思うんですが,DTS Headphone:Xは比較的反応がいいというか,素直に出てくれる感覚があります。
※ダイナミクスとは,音の強弱の変化もしくは対比による表現のこと。たとえば,小さい音が突然大きくなるとびっくりする,こういったものもダイナミクス表現の一種である。
4Gamer:
瀧本さんの作り方もあるでしょうし,DTS Headphone:Xの効果もあるんでしょうけど,全体的によくあるバーチャルサラウンドと比べて,距離感がある程度きちんと出ていて,音が団子にならないのはとてもいいと思いましたね。洋ゲーだとだいたいみんな団子になりますし。
瀧本氏:
全部ワーって(笑)。
4Gamer:
瀧本さんとしては,かなり意図した感じになっていますか。
瀧本氏:
そうですね。十分にそうなっていると思います。低音もけっこうよく出るんで。
4Gamer:
デモの最後のところでも低音はかなりよく出てましたね。
瀧本氏:
意図的に鳴らしにいけば,ヘッドフォンなのにけっこう鳴ってくれるんで,そこも大きいと思いますよ。普通のダウンミックスでは出ないですから。
ダウンミックス係数的に,LFEはカットされる可能性が高いから,メインチャネルに入れてるんですけど,一方で僕らは意図的に,演出的にLFE使うじゃないですか※。
※LFE(Low Frequency Effects)とは,サブウーファチャネルだけで再生される低音専用信号。たとえば地鳴りの音があったとして,サテライトとサブウーファチャネルで再生される音とは別にLFEを用意してサブウーファに送り,迫力を増す演出に仕上げたりする。
4Gamer:
ええ。
瀧本氏:
ヘッドフォンだと通常,LFEは体験できませんが,DTS Headphone:Xの場合は,LFEもきちんと表現できるので,かなり「ドーン」と低音が出ます。せっかく演出として入れたLFEチャネルなので,きっちり鳴ってくれるのは,やはり嬉しいです。
4Gamer:
デモでは映像と音の間に遅延がないのも印象的でした。
瀧本氏:
確かに反応はいいですよね。ものすごく厳しいアクションになってくると,多少感じると思うんですけど,少なくとも今回のデモだと遅延は感じません。実際は,物理的にオーディオを出力している問題があるので遅れているけども※,もっと近いところでエンコードだけするようにすれば,ほとんど感じないんじゃないですか。
※本稿の序盤で瀧本氏が述べていたとおり,TGS 2014版のデモでは,かなり複雑な経路を使ってDTS Headphone:Xを利用できるようにしてあった。
4Gamer:
それだと,タイムラグはどうしても出ますね。
瀧本氏:
(長い伝送軽度とA/DおよびD/A変換による)純粋なレイテンシが出てるんですけど。それ以外では感じないですね。
4Gamer:
黒川さんに伺いますが,DTS Headphone:Xって,ソフトウェアソリューションとハードウェアソリューションの両方に対応できますか。
黒川氏:
できますね。
4Gamer:
となれば,極論,PS4やXbox OneのCPUを使った完全なソフトウェア処理で実装したり,ゲーム機のプロセッサに統合されたTensilica製DSP(Digital Audio Processor)を使ってハードウェア実装したりできますね。
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まだ具体的なことはお話できませんが,そういうところを目指してはいます。DTS Headphone:Xのアピールポイントはプラットフォームを選ばないところにあるので,使えるところがあるならぜひ使ってくださいというスタンスです。
4Gamer:
PS4やXbox Oneでの採用に向けては動いているということですか。プラットフォーマーへの働きかけという意味ではどうでしょう。
黒川氏:
してますね。いずれ採用……となることを期待しています。
4Gamer:
ただ,現状では外付けの何かが必要になる,という理解で合っていますか。
黒川氏:
そうですね。DTS Headphone:X対応のDSPはすでに存在してまして,AVアンプのメーカーさんやヘッドフォンメーカーさんとは話を進めています。
ご質問にお答えすると,いまの時点でゲーム機からDTS Headphone:Xを利用しようとした場合,ご指摘のとおり,「外付けの何か」が必要になります。なので,そういうマーケットの存在を見越して,DTS Headphone:Xを,ソフトウェアでもハードウェアでも対応できるようにしているところはありますね。
4Gamer:
それを今後,順次発表していくということになる感じでしょうか。
黒川氏:
ええ。ゲーム機もそうですが,とくに弊社としては,モバイルゲームの高品質化が起こっているので,その世界にもDTS Headphone:Xを提供できればと考えています。
すでにQualcommのモバイル向けプロセッサには対応していますし,そうでなくともアプリケーションとして組み込めますからね。
将来的には「音の遠近」も?
4Gamer:
そろそろまとめに入らせてください。今回のコラボレーションを機に,今後はどういった方向を目指していくことになるでしょうか。
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DTS Headphone:Xについてお話するなら,やはりカプコンさんのような大手のゲーム会社と組んで,(ゲーム会社が)映像だけでなく音にも力を入れていることを証明したいんですよね。今回,瀧本さんのスタジオをルームプロファイルとして設定させていただいたのはその第一歩です。このプロファイルを使えば,カプコンさんのスタジオでミキシングされている音そのものを聴きながらプレイできるということを,皆さんにお伝えしていきたいと考えています。
4Gamer:
瀧本さんはいかがでしょう。
瀧本氏:
ある意味,妄想に近いものではあるんですが,ルームプロファイルでスピーカーの位置関係も取れることが分かったので,これってひょっとして,「音が近づく」という動きそのものを表現できる可能性があるんじゃないか,と考え始めています。
今はスピーカーをシミュレートして,「音がそこから鳴ってる」というのを表現しているだけですけど,仮想空間をプロファイルできるようになって,近くで鳴る音と遠くで鳴る音をゲームに入れられたら盛り上がるんじゃないかと※。これができると,かなりフレキシブルに音を鳴らせるようになるので,オーディオクリエイターとしてはものすごくわくわくしますね。
※現状のDTS Headphone:Xは「球体」,すなわち球状の「面」で音が鳴る仕様になっている。瀧本氏が期待しているのは,球状の「面」の内側で,あらゆる場所に音源を定位できるようにならないか,ということだ。たとえば音源が迫ってくるとき,現在は音量でそれを表現しているが,実際に音源の距離を仮想的に変更することで,文字どおり音が迫ってくる状況を表現できるようになるのではないかと,氏は期待しているわけである。
4Gamer:
たとえばバイオハザード リベレーションズ2なら,プレイヤーキャラクターは2人いますから,すぐ近くから声をかけるといった表現もできるようになりますね。
岡部氏:
バイノーラル的な。できたら,すごくおもしろいんじゃないかなと思いますね。
4Gamer:
そういう将来に向けて,カプコンさんとしては今後も,DTS Headphone:Xを試していく感じでしょうか。
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先ほどもお話したとおり,DTS Headphone:Xはゲーム開発と切り離したところで考えていけるので,これはこれとして理解を進めていくつもりです。結果「DTS Headphone:Xだからアプローチできること」があれば,当然,やることになると思います。もちろん,解決しなきゃならない問題はあるでしょうが,何かしらの形で注目はし続けていくことになると思いますね。
黒川氏:
我々としては,いろいろな場所,いろいろな形でDTS Headphone:Xをデモしていきたいと考えています。ゲーム業界でも音楽業界でも,DTS Headphone:Xを体験して驚かない人は一人もいません。
現在,中国ではDTS Headphone:X対応の音楽配信サービスが始まっていて,北米では映画のトレイラーが配信され,日本でも「Music Live」という音楽配信サービスがスマホ向けに始まっています。我々の次のステップとしては当然ゲームでしょう。一人でも多くの皆さんにDTS Headphone:Xを体験していただきたいですね。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
あくまでも「ショウケース」だが,
大きな可能性を感じるDTS Headphone:X
まずおさらいしておこう。今回のデモはあくまで「ショウケース」。今後,バイオハザード リベレーションズ2が発売になったとしても,PCやPS4,Xbox OneにヘッドセットやヘッドフォンをつなげばDTS Headphone:Xの効果を堪能できる,というわけではない。
インタビュー中に黒川氏が述べていたとおり,DTS Headphone:X対応のAVアンプなど,何らかの外付けデバイスが出てくれば,それとゲーム機をつなぐことで,DTS Headphone:Xには対応できるようになるが,今回の話に出てきた「カプコンのスタジオで聞いているかのような体験」をするには,カプコンもしくはDTSから当該ルームプロファイルやヘッドフォンプロファイルが提供され,それを対応DTS Headphone:X対応デバイスにインストールする必要がある。さらに,「瀧本氏が実際に聴いている音」を再現するには,イヤープロファイルも入手する必要がある。ヘッドフォンは基本的に何でもいいが,完璧を期すならば,指定されたヘッドフォンを用意する必要もあるだろう。
付け加えると,現時点では「ルームやヘッドフォン,イヤーのプロファイルが提供されるかどうか」も未定だ。実現するとしても相当先の話になると思われるので,この点は注意してほしい。
さて,そんなDTS Headphone:Xだが,インタビューにも出てきたとおり,要はマルチチャネルサラウンドの信号をヘッドフォン用のステレオ信号へとダウンミックスするためのアルゴリズムである。メジャーなHRTF方式は採用されていない。
その事実と,実際の試聴印象を基に,その正体を推測しておくと,DTS Headphone:Xはおそらく,
- 標準的なマルチチャネルサラウンド音声信号をマルチチャネル対応のコンボリューションリバーブに通し(※そのときにIRデータとしてルームプロファイルを適用できる)
- ステレオにダウンミックスされたデータをステレオコンボルーションリバーブに通して(※ここでIRデータとしてイヤープロファイルを使用可能。ヘッドフォンプロファイルはこのタイミングの後段で当てるのだと思われる)
- ヘッドフォンデータを最適化する
という流れになっていると思われる。コンボルーションリバーブやIRデータとは何か,という話は,そのあたりの解説を加えてある「TrueAudio」のテストレポートを参照してもらえればと思う。
ただ,まったく新しい技術であるがゆえに外れている可能性もあるので,だとしたらご容赦を。あくまでも可能性の話だと思っておいてほしい。
聴いた限りでは,もちろんいま述べた処理系以外にも,補正用のイコライザやダイナミックレンジプロセッサ(Processor,アルゴリズムのこと),低音強調プロセッサなども組み込まれているのではないかと考えている。
もう1つ,DTS Headphone:Xが,
- ゲーム開発者サイドでの追加投資が不要(ミドルウェアなどに組み込まれており,個別のパラメータ設定やデバッグの必要がない)
- エンジニアが制作したマルチチャネルサラウンドオーディオ信号をDTS Headphone:X対応デバイスが受け取り,エンコードして最終的にステレオヘッドフォンのフォーマットへデコードするだけ
という,極めてシンプルなソリューションだったこともあらためて紹介しておきたい。要はDTSお得意の,映画などでよく使われているマルチチャネルフォーマットのエンコードやデコードとほぼ同じというわけだ。
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TGS 2014でバイオハザード リベレーションズ2を体験した人なら分かるだろうが,TGS 2014の会場は非常にやかましかった。なので正直なところ,今回のDTS Headphone:Xデモで,瀧本氏が表現したかった音をすべて聞き取れたとは思わない。ただ,音のクリアさや,密閉式ヘッドフォンにもかかわらず音が耳に張り付かない感覚,定位のスムーズさや,ダイナミックレンジの広さ,LFEを使った「脅かし」的な重低音サウンドは確実に確認できた。従来のバーチャルサラウンドと比べて明らかにサラウンド感があり,単純に「いい音」とも思った次第だ。
しかし,これをDTS Headphone:X“だけ”の力だと思いこむのがとんでもない誤解だという点も指摘しておかなければならない。
瀧本氏は日本のゲーム業界にはそもそも少ない,音楽制作業界のオーディオエンジニアからゲームのサウンドエンジニアに転身した経歴を持つ人物である。しかも,そういった経歴を持つエンジニアが得意とするプリレンダリングミックスだけでなく,ゲーム内でインタラクティブに再生されるBGMや効果音,ダイアログすべてのリアルタイムミックスも得意としており,さらにCEDECでも常に次世代のトピックを提供してくれるという,腕利きのエンジニアだ。
実際,サウンドデザイナーでもある筆者の率直な感想は「DTS Headphone:Xはかなり有望で,面白いが,瀧本さんの作った“元の音”がいいからここまで映えるんだよな」というところだったりもする。つまり,“元の音”が雑だったりすると,
瀧本氏の側も常にアンテナを張り巡らせていたからこの出会いがあったのだと推察するが,2014年秋の時点で言うなら,誰にでもできるコラボレーションではない。
ともあれ,DTS Headphone:Xがゲームの世界で離陸するには,まずはDTSにがんばってもらって,PS4やXbox Oneからの標準サポートを獲得する必要があるだろう。それが早期になされれば,外部デバイスを購入することなく,ヘッドフォンやヘッドセットを用いたゲームプレイで,よりリッチなサラウンドサウンドをゲーマーが楽しめるようになるからだ。
ショウケースとはいえ,大変興味深いデモとインタビューだった。瀧本氏と黒川氏,岡部氏をはじめ,本インタビューの実現にご協力いただいた関係諸氏に心から御礼申し上げる次第である。
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- ライター:榎本 涼
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