小学生を中心に大ブームを巻き起こし,今や社会現象として取り上げられることも多い
「妖怪ウォッチ」は,ごくごく普通の小学5年生
天野ケータがひょんなことから手に入れた不思議な腕時計の力で,町に潜むさまざまな妖怪と
“ともだち”になっていくという物語の作品だ。レベルファイブから2013年7月にニンテンドー3DS用ソフト「
妖怪ウォッチ」が発売されると,そこから生まれたテレビアニメ,コミックス,玩具,アミューズメントマシンなどのクロスメディア展開によって,爆発的な人気を得て大ヒットコンテンツに成長した。
そんな妖怪ウォッチのゲーム最新作が,前作の発売日からちょうど1年後にあたる2014年7月10日に発売された。本稿では,数々の新要素が盛り込まれたニンテンドー3DS用ソフト「
妖怪ウォッチ2 元祖/
本家」のプレイレポートをお届けしよう。
町にはさまざまな妖怪が潜んでいる!
妖怪ウォッチ2の物語は,夏休みを迎えた
「さくらニュータウン」からスタートする。プレイヤーは操作キャラクターを小学5年生の男の子(天野ケータ)か女の子(木霊フミカ)のどちらかを選択する(名前は変更可能)のだが,子供にとって町は巨大な遊び場となっている。町のいたるところにたくさんの驚きが隠されており,その代表的なものが
「虫捕り」と
「妖怪探し」だろう。
町を探索していると,さまざまな場所で主人公の頭上に虫眼鏡のアイコンが出現する。これは近くに虫がいるかもしれないというサインなので,じっくりと周辺を調べることで虫を捕まえることができる。あちこち歩き回って木の幹を見上げたり,草むらや車の下をのぞき込んだりしていると,小学生だった頃の夏休みの思い出が蘇ってくるようで思わず熱中してしまった。
さらに「子供のときにこんな遊びがあればなあ」と思わせてくれるのが,妖怪探しである。主人公が持っている腕時計「妖怪ウォッチ」は,町に潜んでいる妖怪を探知できるアイテムで,妖怪に近づくと時計の針が動き始め,その反応は距離が短くなるにつれて大きくなっていく。針の動きを見ながら妖怪が潜む場所を特定したら,「妖怪レンズ」でその姿を捉えてバトルに突入するという流れになっている。
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交差点を調べると,おなじみの妖怪「ジバニャン」を発見! |
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ゴミ捨て場で妖怪ウォッチが反応。いったいどんな妖怪が潜んでいるのか…… |
妖怪だけでなく,本作の新要素である「きまぐれゲート」や「ナゾのたてふだ」を発見することもある。きまぐれゲートは,中に入ると強敵との戦いやタイムアタックなどのお題が待っているというもの。また,ナゾのたてふだには「妖怪ウォッチ」にまつわるなぞなぞが書いてあり,これを解くと妖怪を召喚することができるのだ。
このほかにも,町の探索要素は大幅に増えており,
“遊び”の幅が広がっていることが実感できた。
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きまぐれゲートに入ると,不思議な空間でさまざまなお題が待っている。これをクリアすると手に入る「ゲートボール」を集めると,何かが起こるらしいが…… |
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ナゾのたてふだでは,妖怪にまつわるなぞなぞが出題される。見事に解くことができれば,妖怪を召喚できるのだ |
タッチ操作を活用したリアルタイムバトルが熱い!
妖怪とのバトルは,ニンテンドー3DSならではのタッチ操作を活用したユニークなシステムになっている。主人公自身が戦うのではなく,プレイヤーはリアルタイムで進行するうバトルの展開に応じて,6体の
“ともだち妖怪”に指示を出していくというものだが,これがなかなか忙しくスリリングなのだ。
ともだち妖怪は,それぞれの性格に応じたスタイルで自動的に戦ってくれる。たとえば「まじめで しんちょう」な性格の妖怪だと,バトル時にガードを多用するといった具合だ。ただ,自動的に戦うといっても,ともだち妖怪が次々に個性的な特技を繰り出すため,バトルの行方を見守っているだけでも楽しい。もちろん,弱い妖怪が相手ならともだち妖怪にお任せでもいいのだが,強敵を戦う場合はプレイヤーの指示が勝敗を左右することになる。
プレイヤーが出せる指示のうち,とくにユニークなのが
「ひっさつわざ」と
「おはらい」だ。
ひっさつわざはそれぞれの妖怪固有の大技で,プレイヤーが指示することで初めて使用可能になる。ひっさつわざを指示すると下画面(タッチスクリーン)では,図形をなぞったり,飛来するボールをタッチで狙い撃ったりするなどの「妖怪タッチアクション」がスタートし,これをクリアできればひっさつわざを発動できる仕組みである。当然,早く攻撃したほうが有利になるのだから,夢中になって挑んでしまうというわけだ。
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妖怪ウォッチの針を指定された時刻に合わせると…… |
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ジバニャンのひっさつわざ「ひゃくれつ肉球」が炸裂! |
おはらいは,敵にとりつかれたともだち妖怪の状態異常を取り除くというものだ。バトルでは6体のともだち妖怪がサークルに配置され,上半分の3体が敵と戦い,下半分の3体は“控え”になる。おはらいするためには控えのポジションにいることが条件なので,敵にとりつかれてしまったら,タッチペンか[L/R]ボタンでサークルを回転させて,素早く控えに回さなくてはならない。おはらいも妖怪タッチアクションになっているが,もちろんその最中もバトルは進行していくので,すみやかにクリアしたほうがいいことは言うまでもないだろう。
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「バクロ婆」が敵にとりつかれてしまった! 素早くサークルを回転させて,おはらいしよう |
物語の要所で主人公の行く手に立ちはだかるボス妖怪とのバトルは,さらに趣向が凝らされている。たとえば序盤に登場する「ガシャどくろ」は,ガシャを回して出てきたカプセルの色によって攻撃が変化したり,タッチペンかアナログスティックで「ピン」を動かして弱点に狙いをつけたりと,通常のバトルとは異なる仕掛けが印象的だ。
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ガシャどくろとのバトル。カラスが運んでくるコインでガシャを回して,出てきたカプセルの色によって異なる攻撃を浴びせてくる |
こうしたバトルに勝つと,倒した妖怪とともだちになれることがある。ともだちを増やしていく楽しさはもちろんだが,妖怪は個性的な特技を持っているだけでなく,同じ種族の妖怪を並べて配置すると特殊効果が発動したり,アイテムと合成して進化させたりといったことが可能で,さらにバトルのバリエーションが広がっていく。
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ともだちになった「ぶようじん坊」は「イサマシ」属性の妖怪。同じ属性の「かたづ家来」と並べて配置すると特殊効果が発動する |
大人になって忘れていた“ワクワク”が甦る!
今回,妖怪ウォッチ2をプレイして強く感じたのは,さまざまな遊びの要素や驚きがあらゆるところに仕掛けられていることだった。
最初の町であるさくらニュータウンでは,何度も信号を無視して道路をわたっていたら,ものすごく強い妖怪「なまはげ」が現れ,コテンパンに叩きのめされるということがあった。さらに夜に出歩くことも可能になるが,恐ろしい鬼に追い回される「鬼時間」に呑み込まれたり,妖怪のおでん屋に遭遇したりすることも。
また,本作では電車に乗ってほかの町に行けるようになった。行き先によっては途中駅で乗り換えすることになるが,自分が初めて一人で電車に乗ったときのドキドキした気持ちが思い出された。
今回は紹介できなかったものの,物語を進めていくと
「古典妖怪」が出現する過去の世界にタイムスリップしたり,ジバニャンが妖怪になってしまったエピソードが明らかになったりするという。さらに通信機能を使った協力プレイや対戦プレイにも対応しており,遊びの要素もボリュームも十分に期待できるだろう。「今日は何をして遊ぼう」「これは明日にとっておこう」と毎日のように考えていた少年時代の気持ちが呼び起こされ,
大人になって忘れていた“ワクワク”が甦ってくるような感覚で楽しめる作品だ。
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小学校の校庭にそびえ立つポールにもよじ上れる。何回か挑戦するうちに,少しずつ高いところに上れるようになるのが嬉しい |