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ついに発売されたオンライン対戦アクション「EVOLVE」をレビュー。2KとTurtle Rock Studiosが贈る,異色の非対称対戦を存分に楽しもう
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印刷2015/03/21 12:00

プレイレポート

ついに発売されたオンライン対戦アクション「EVOLVE」をレビュー。2KとTurtle Rock Studiosが贈る,異色の非対称対戦を存分に楽しもう

 2015年3月5日にリリースされた「EVOLVE」PC/PlayStation 4/Xbox One)は,ハンター役のプレイヤー4人とモンスター役のプレイヤー1人が戦うという,非対称の対戦を実現したアクションゲームであり,日本でも現在,オンラインでの対戦が大いに盛り上がっている。

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「EVOLVE」公式サイト


 4Gamerではこれまで,本作について多くの記事を掲載してきたが,今回は,発売されたPlayStation 4版をプレイしたうえでの,総合的なゲームの仕様や手触りなど,これまで記事にできなかったところを詳しくお届けしよう。
 なお,筆者は過去3回ほど行われたメディア向け体験会や,東京ゲームショウ2014での試遊,大規模αテストなどに参加し,そのつどプレイレポートを書いた。ビルドは違えど,同じゲームをプレイしているわけなので,本稿と内容が一部被るかもしれない点については,あらかじめ了解願いたい。

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マルチプレイがメインだが,ソロでもしっかり楽しめる


 まずは,ゲームについての知識が少ないという人に向けて,本作の基本ルールを簡単に説明しておこう。
 舞台になるのは地球から遠く離れた惑星シーアで,冒頭でも触れたように,この惑星を舞台にプレイヤーは4人のハンターと1体のモンスターに分かれて,狩るか,狩られるのかの戦いをくり広げる。勝利条件の異なるいくつかのモードが用意されているが,一番分かりやすい「狩猟」では,ハンター側はモンスターを倒すことで,またモンスター側はハンター全員を行動不能にするか,最終段階まで進化した状態でマップにある「送電施設」を破壊することで勝利となる。
 ハンター側が一人称視点であるのに対し,モンスター側はハンター側は三人称視点という異なるシステムが採られていることも本作の大きな特徴で,とくにモンスターはそれぞれに特徴的なアクションが用意されているため,操作には若干の慣れが必要かもしれない。

ハンター側は一人称視点のシューター,つまりFPSスタイルでプレイする。HUDには体力やジェットパックのエネルギー残量などが表示される
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モンスター側でプレイすると,背後から見た三人称視点になる。周囲が見やすく,状況を判断しやすい
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チュートリアルではモンスターのGOLIATHと,ハンターMARKOVの操作が学べる。キャラクター全員分のチュートリアルムービーも用意されている
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 ゲームを始めたばかりの状態でいきなりオンラインに挑むのは少々ハードルが高いが,モンスターおよびハンター,各キャラのアクションが確認できるチュートリアルや,マルチプレイと同じルールを設定できるソロプレイモードが用意されているので,まずはそこから始めればいいだろう。
 当然ながらソロプレイでは自分以外をすべてAIが担当することになるのだが,そこそこの賢さを持っており,さらにプレイヤーの腕に合わせてシチュエーションやAIの強さを設定できるので,操作方法やマップを覚えたり,使える攻撃の特徴を身につけたりするためにちょうどいい相手となってくれる。

後述するソロプレイの「カスタム」を選んだ場合,各種設定が変更可能だ
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 また本作では,プレイヤーキャラクターがそれぞれ固有の武器やアビリティを使い込むことで,新しい武器やアビリティがアンロックされるというシステムになっている。これはマルチでもソロでも同じなので,相手のことを気にせずにアンロック条件を満たしたいなら,ソロプレイがうってつけというわけだ。
 こうした充実のソロプレイにより,いきなりオンライン対戦に参加することに抵抗のある人でも,自然にソロからマルチに移行できるだろう。

AIの操作するキャラクターは練習相手として最適だ。各モードの雰囲気も分かる
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遊び込むことで分かる,対戦バランスの妙


 4人対1人,しかも互いのプレイフィールが大きく違うという独自のシステムの本作だが,ゲームバランスは絶妙だ。全員が3種類の武器と1つのアビリティを持った4人のハンターに追われるモンスターは,相応の力を持っていなければ対抗するのは難しい。かといって強すぎると,対戦バランスが崩れて,誰もハンターをプレイしなくなってしまう。

 本作のモンスターは,効果範囲の広い強力な攻撃方法や,驚異的な移動能力を持つ一方,タイトルにもなっている「進化」(Evolve)をしなければ,そのポテンシャルを発揮することができない。野生動物を倒して食べることで行う進化だが,そのプロセスにもリスクがあり,進化のために倒した野生動物を吸収するときや,進化自体をするときは完全無防備になる。進化した直後はモンスターの体を覆う外皮(アーマーの役割)がなくなり,それを回復させるまでは,防御面で圧倒的に不利になってしまうのだ。
 またモンスターの体力は,進化したときに底上げされる以外は一切回復しない。そのため,最終のステージ3(進化は2段階で,初期状態はステージ1)まで進化して,攻撃面では圧倒的に勝る状態となっても,体力の少ない状態で敵から攻撃を受ければ危ない。最後まで油断できないわけだ。

倒した野生動物の吸収と,それによってできる進化が,モンスターの勝利のカギだ
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 そんなモンスターを追うハンターも,4人の役割がしっかりと差別化されているため,プレイヤーは自分のクラスの能力を理解し,各々の役割に徹せなければ,モンスターを倒すどころか,発見することさえ難しいかもしれない。
 「トラッパー」がマップのどこかにいるモンスターを探して足止めし,攻撃専門の「アサルト」がそれを攻撃,後方から「サポート」が補助し,傷ついたメンバーを「メディック」が回復する……こうした基本的な役割をしっかりと果たすためには,アサルト以外は攻撃武器を封印するぐらいの心構えが必要かもしれない。

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回復役を務めるメディックが倒されてしまうと,モンスターにたたみかけられて全滅する可能性もある
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ドクロマークは行動不能の仲間だ。近寄って蘇生しなければ,やられてしまう。リスポーンまでは数分を要する

トラッパーMAGGIEのペットDAISYは,オスかメスかもよく分からないが,5人めの仲間として活躍してくれる。攻撃能力は持たないが,追跡や蘇生をしてくれる頼もしいヤツだ
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 こうしたハンターとモンスターの戦いに華を添える要素としては,惑星シーアの風土が挙げられる。広大で凹凸の激しい地形と生い茂る植物は,モンスターにとって身を隠すのにうってつけで,うまく利用することでハンターを翻弄できる。
 一方でマップに群れる野鳥は,そばを通ったモンスターに驚いて飛び立ち,ハンターがモンスターの位置を調べる目印となる。さらに原生の野生動物の中には凶悪なものがいて,ハンターだろうがモンスターだろうが見境なく攻撃してくるなど,シーアの自然がもたらすハプニングが両者の均衡を崩し,対戦にちょっとした味付けをしているのだ。モンスターを見つける前に野生動物に襲われて,瀕死の重傷を負ってしまうことも珍しくない。

マップは全部で12種類あり,最初からすべてプレイできる
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モンスターは足跡を残さないスニーク移動を使いこなすことで,惑星シーアの自然に身を隠すことができる。ただし木などを倒すと気づかれてしまうことも
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近くを通るだけで突然襲いかかってくる,凶暴な野生動物もいる。周りに仲間がいないと殺されてしまう場合もある
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死骸に集まる鳥は,モンスターに怯えて飛び上がり,位置を教えてしまう(モンスターにとっては)厄介な存在だ

野生動物には「エリート」が存在し,倒して吸収すると一時的に能力がアップする。ハンターとモンスター,どちらでもこの効果が得られる
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 モンスターやハンターが使える武器やアビリティは個性的かつよく錬られていて,自身の役割をうまく果たして勝ったときの手応えは格別だ。ハンターは同じクラスでもキャラクターによって感触がかなり違うので,ぜひすべてを開放して,自分のプレイスタイルに合ったキャラクターを見つけてほしい。

頭部を外して空中に飛ばし,マップの索敵を行えるサポートのBUCKET。キャラクターならではの能力がそれぞれかなり面白い
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目的の異なる4つのモードと,それを通しでプレイするモード


 続いて,本作のゲームモードについて紹介しよう。上記の「狩猟」のほか,ハンターがモンスターの卵を破壊する「巣窟」,ハンターが入植者を救助する「救出」,そして輸送船の動力源をモンスターから守る「防衛」の4種があり,すべてがソロ,マルチ両方で楽しめる。
 以上のモードを通しでプレイする「脱出」というキャンペーンモードも存在している。1日1モード,5日間で5つのモードを連続してプレイしていく(一部,プレイヤーによる選択あり)というもので,勝利できればクイックマッチの比ではない,最高の達成感が得られるはずだ。ただし結構な長丁場になるので,じっくり時間があるときにチャレンジするのがいいだろう。

ステージ3まで進化したモンスターの最終目標がこの「送電施設」だ。これを破壊すれば勝利だが,進化の完了はハンターにも伝えられるため,自然に彼らもここに集まり,激しい戦いになる
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どのモードでも,ゲームをプレイしたときの実績によって経験値が入り,プレイヤーのレベルが上がっていく(左)。レベルが上がると,キャラクターの能力を上げられる「パーク」が開放され,プレイ時にそれを装備できるようになる(右)
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複数のマップを使って行われる,「脱出」モード。5つのマップをクリアすると,ハンターとモンスターの勝率が表示される
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 オンラインで楽しむときは,「狩猟」のみが楽しめる「スカーミッシュ」,または上記の「脱出」,そしてモードやマップなどを自分で設定できる「カスタム」のいずれかを選ぶことでマッチングが始まる。プレイヤーが少なかった場合でも,ある程度時間が経過するとAIを交えてのプレイが始まり,そこに新たなプレイヤーが入ってくることもある。また,プレイヤーが途中で抜けてしまった場合,AIがそのキャラクターを引き継ぐなど,このへんは本作を開発したTurtle Rock Studiosの出世作,「Left 4 Dead」に似ている。
 なおマッチングは,自分のレベルに近いプレイヤーが集まるようになっている。
 この仕様,マッチングのテンポが速くていいのだが,AIを入れず全員人間でプレイしたいと思うときもあり,「5人揃ったらスタート」というような設定があれば,満足度はさらに上がったのではないだろうか。

ほかのプレイヤーに自分をアピールするための,バッジを作ることもできる。絵柄や背景はゲームをやり込むことで,次々にアンロックされていく
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 なお,3月13日に掲載した記事でお伝えした「観戦モード」だが,こちらも4月中には実装されそうだ(関連記事)。
 本作は敵にやられてリスポーンするまでの間,戦っているほかのプレイヤーの様子を見ることができるのだが,これがなかなか面白く,筆者は実況にも向いた作品だという印象を持った。それだけに,大いに歓迎したいモードだ。これからゲームをプレイする人にとって,戦い方の参考にもなるのは間違いないので,早めの実装を希望したいところだ。

これは倒されて,リスポーンを待っている画面。観戦モードでは,このような映像を見られるようだ
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緻密なグラフィックスで繰り広げられる異色の戦い


 筆者のプレイしたPlayStation 4版についていえば,ソロ,マルチともにロード時間がやや長く,ちょっと待たされるなという印象だった。また上記のように,プレイヤーが揃わないうちに,AIを交えて対戦がスタートしてしまう。プレイヤーの腕の差が大きいと,マッチが面白くなくなる可能性のある作品なので,今のところこれがベストなのだとは思うが,人と戦いたい筆者としては,ちょっと残念だ。

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 また,αテストのときに2Kから発表された「ハンターとモンスターの勝率」や「クラスごとの使用頻度」などがリアルタイムで表示されれば面白そうだなとも思えた(関連記事)。可能なら,ぜひ機能として用意してほしい。ちなみに,プレイヤーランキングをリアルタイムで見る機能は実装されている。

 「Left 4 Dead」シリーズを手がけたTurtle Rock Studiosのノウハウが,たっぷり詰まった本作。長い経験による絶妙な対戦バランスとルール設定は,プレイすればきっと納得できるはずだ。

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 筆者は現在,ハンターではトラッパーのGRIFFINとサポートのBUCKET,モンスターはKRAKENで参戦中だ。対戦ではモンスターがやや有利という声もある中,実のところオンラインではあまりモンスターで勝てておらず,ソロとマルチ両者で特訓しているところだ。
 後日,新規ハンター4人とモンスター1体も追加コンテンツとして予定されているそうなので,そちらが参戦することで,戦況にどんな影響を与えるのかも気になるところ。
 最新機種向けにリリースされているということもあり,グラフィックスのクオリティもバツグンだ。緻密に表現された箱庭の中で繰り広げられる異色の戦いを,あなたもぜひ試してほしい。

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