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「サンクタム2」のレビューを掲載。タワーディフェンスの「静」とFPSの「動」というコントラストが新鮮なプレイ感覚を生む
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印刷2013/08/23 00:00

レビュー

知略で勝つか,力で勝つか。異なるジャンルが1つになったハイブリッドタイトル

サンクタム2

Text by BRZRK

画像集#018のサムネイル/「サンクタム2」のレビューを掲載。タワーディフェンスの「静」とFPSの「動」というコントラストが新鮮なプレイ感覚を生む
 MAGES.は,2013年8月29日にPC用ソフト「サンクタム2」を発売する。本作はスウェーデンの独立系ゲーム会社,Coffee Stain Studiosが開発し,海外で高い評価を受けたタイトル「Sanctum 2」を日本向けにローカライズしたもので,今後リリース予定のDLC4種類が手に入る「シーズンパス」が同梱されるのもポイントとなっている。

 海外で高い評価を受けている,と書いてしまったが,失礼ながら筆者は今回のレビュー依頼を受けるまで,本作の存在をまったく知らなかった。
 聞くところによると,本作はタワーディフェンス系のタイトルとのことで,普段もっぱらFPSばかりをプレイしている筆者がレビューするのはいかがなものかと思ったのだが,よく調べてみれば本作はタワーディフェンス+FPSというハイブリッドなゲーム内容になっているとのこと。
 それなら筆者でも……ということで,タワーディフェンス要素に恐々としながらもプレイしてみた。本稿ではそのレビューをお届けしよう。


タワーディフェンス+FPSの

ハイブリッドなゲームプレイ


 ゲームを開始すると,ロード中にキャラクターたちのやり取りを綴ったイラストが表示されるが,残念なことに,本作に至るまでの物語や,各キャラクターの人となりまでは紹介されない。一応,キャラクターそれぞれに設定は用意されているのだが,ゲーム中に語られていないため,新規プレイヤーにとっては少々置いてきぼり感があった。
 
 ただ,これはFPSプレイヤーである筆者だからこその感想かもしれない。知り合いのプレイヤーたちに聞いてみたところ,タワーディフェンスタイトルの場合,物語やキャラクターのバックグラウンド云々よりも,ゲームプレイそのものを重視する傾向がより強いようだ。

ロード中は,カートゥーン調のイラストが表示される。なんとなく,どういうキャラクターなのか,ここで把握できるような,できないような……
画像集#001のサムネイル/「サンクタム2」のレビューを掲載。タワーディフェンスの「静」とFPSの「動」というコントラストが新鮮なプレイ感覚を生む

 主人公であるSkye Autumnを中心しとした会話劇が終わると,いきなりミッションが始まる。といっても,プレイヤーがゲームの概要や操作方法を覚えるためのチュートリアルミッションだ。

 プレイヤーの目的は,侵攻してくるエイリアンから,フィールドにある「コア」を守り切ること。これだけ聞くとタワーディフェンスそのままだが,本作の特徴は,壁や自動砲台などを設置して防衛線を構築する,タワーディフェンス風の「ビルドフェーズ」と,銃器などを駆使して敵の侵攻を食い止める,FPS風の「戦闘フェーズ」で構成されていることだ。
 エイリアンは複数回(ウェーブ)に分けて侵攻してくるのだが,そのウェーブの間がビルドフェーズ,ウェーブそのものが戦闘フェーズということになる。

 チュートリアルミッションの開始から終了までを追ったムービーを作成したので,こちらでゲームの大まかな流れを確認してほしい。


 まずビルドフェーズから説明していこう。ここでは,壁を作るブロックのほか,敵を攻撃したり,敵の侵入速度を遅らせたりするといった機能を持つ,さまざまな種類の自動砲台を設置できる。
 一般的なタワーディフェンスのゲームだと,マップの上から見下ろしたオーバービュー視点で操作するタイトルが多いが,本作はFPSとのハイブリッドということもあり,一人称視点となっている。

 最初はタワーの配置場所などがオーバービューよりも見辛いのでは,と心配したのだが,画面左上のミニマップに,ブロックやタワーやだけでなく,敵の予想進行ルートまでが表示されるので,フィールドの状況が把握できずに困るということはなかった。
 また,Tabキーを押せば,このミニマップが拡大表示できるので,込み入った防衛線の構築も問題なく行えた。

画像集#020のサムネイル/「サンクタム2」のレビューを掲載。タワーディフェンスの「静」とFPSの「動」というコントラストが新鮮なプレイ感覚を生む 画像集#021のサムネイル/「サンクタム2」のレビューを掲載。タワーディフェンスの「静」とFPSの「動」というコントラストが新鮮なプレイ感覚を生む

 戦闘フェーズでは,ビルドフェーズで作成したフィールドを舞台に,キャラクター固定のメイン武器と,自由に選べるサブ武器を駆使してエイリアンと戦う。さすがに一般的なFPSと比べると武器の数は少なめだが,メイン武器とサブ武器にはそれぞれ2種類の攻撃方法が用意されているので,状況に応じて攻撃方法を切り替える楽しさはしっかり味わえるはずだ。

 出現するエイリアンには,それぞれ弱点が設定されている。エイリアンは黒を基調としたカラーリングなのだが,弱点である部位は赤くなっており,ここを攻撃すれば,より高いダメージを与えられるのだ。
 設置したタワーは弱点部位を狙って攻撃することはなく,敵を発見すると,その方向に対して攻撃を加えるだけ。弱点部位以外への攻撃を受け付けないようなエイリアンを撃退するには,プレイヤーキャラクターの正確な射撃が必要となる。

画像集#002のサムネイル/「サンクタム2」のレビューを掲載。タワーディフェンスの「静」とFPSの「動」というコントラストが新鮮なプレイ感覚を生む
なんとなく感じたことだが,敵へのダメージ判定はアバウト。なので,FPSのスキルはそれほど必要ではないかもしれない
画像集#003のサムネイル/「サンクタム2」のレビューを掲載。タワーディフェンスの「静」とFPSの「動」というコントラストが新鮮なプレイ感覚を生む
弱点への攻撃に成功すると,与えたダメージ量が赤文字で表示される。効率よく弱点部位を攻撃し,速やかにエイリアンを排除しよう

 最初のミッションを終えると,自分が使用するキャラクターが選択できるようになる。キャラクターは全部で5人おり,前述したメイン武器のほか,アビリティにも固有のものが用意されているので,自分に合ったキャラクターを選ぶといい。ここで,全5キャラクターを簡単に紹介しておこう。

画像集#005のサムネイル/「サンクタム2」のレビューを掲載。タワーディフェンスの「静」とFPSの「動」というコントラストが新鮮なプレイ感覚を生む
SKYE AUTUMN アサルトライフルがメイン武器で,敵に攻撃をヒットさせ続けるほどダメージが上がる固有アビリティを持つ。2段ジャンプが可能で,敵の攻撃を回避しやすい

画像集#006のサムネイル/「サンクタム2」のレビューを掲載。タワーディフェンスの「静」とFPSの「動」というコントラストが新鮮なプレイ感覚を生む
SWEET AUTUMN REXと呼ばれるランチャータイプの武器を使用。敵を炎上させてダメージを与えるアビリティを持っている。実はSKYEの妹

画像集#007のサムネイル/「サンクタム2」のレビューを掲載。タワーディフェンスの「静」とFPSの「動」というコントラストが新鮮なプレイ感覚を生む
SiMO スナイパーライフルをメイン武器とし,弱点への攻撃を成功させると,追加ダメージを与えられるアビリティを持つ。名前の由来はおそらく,伝説のフィンランド人スナイパー,シモ・ヘイへ

画像集#008のサムネイル/「サンクタム2」のレビューを掲載。タワーディフェンスの「静」とFPSの「動」というコントラストが新鮮なプレイ感覚を生む
HAIGEN HAWKINS ショットガンがメイン武器で,近距離での戦闘時に与えるダメージ量が高いアビリティを持つという突進型。敵との殴り合いになりやすいためか,ライフ値が高くなっている

画像集#009のサムネイル/「サンクタム2」のレビューを掲載。タワーディフェンスの「静」とFPSの「動」というコントラストが新鮮なプレイ感覚を生む
TSYGAN DLCの適用で使用可能となるキャラクターで,バリスタがメイン武器。弾倉に残された最後の一発のダメージが高いというアビリティを持っているので,そのときはなんとしても弱点を狙いたいところだ

 ミッションをクリアすると,プレイヤーは経験値を獲得し,ランクが上がる。このランクが上がると,ロックされていたサブ武器やタワーのほか,キャラクターの追加アビリティである「Perks」が使用可能になる。ミッションは一度クリアしたものであっても挑戦可能になっているので,何度も繰り返してキャラクターを成長させてから先に進む,というプレイスタイルでもいいだろう。
 
画像集#010のサムネイル/「サンクタム2」のレビューを掲載。タワーディフェンスの「静」とFPSの「動」というコントラストが新鮮なプレイ感覚を生む
しっかりとランクアップしていけば,FPSのテクニックがなくてもなんとかなる……かもしれない
画像集#011のサムネイル/「サンクタム2」のレビューを掲載。タワーディフェンスの「静」とFPSの「動」というコントラストが新鮮なプレイ感覚を生む
サブ武器はDLCの適用で9種類まで増える。すべてをアンロックするためには,かなりやり込まなければならないだろう

画像集#012のサムネイル/「サンクタム2」のレビューを掲載。タワーディフェンスの「静」とFPSの「動」というコントラストが新鮮なプレイ感覚を生む
PERKSはDLC適用前でも24種類,適用後は30種類が使用可能。攻撃力がアップするタイプが多いが,中にはウェーブ間にコアのライフを回復させるものや,2段ジャンプを可能にするものもある


敵の進行ルートをコントロールして

効率よくダメージを与えていこう


 プレイ回数を重ねるうちに,このゲームで重要なのは敵の進行ルートの掌握だということが分かってきた。というのも,ブロックを効率よく配置しなければ,エイリアンはコアまで一直線に進んできてしまうからだ。エイリアンを可能な限り遠回りさせるようにブロックを配置して,こちらの攻撃時間を増やすのがコツだ。……まぁ,これはタワーディフェンスの基本なのだが。

画像集#013のサムネイル/「サンクタム2」のレビューを掲載。タワーディフェンスの「静」とFPSの「動」というコントラストが新鮮なプレイ感覚を生む
赤い丸で描かれているラインが敵の進行ルート。青い四角がブロックで,緑色に英文字が書かれたブロックがタワーだ。現状では壁に1マス開いた隙間から敵が素通りしてしまうので,ここにブロックを配置して隙間を埋めるのがベスト

画像集#015のサムネイル/「サンクタム2」のレビューを掲載。タワーディフェンスの「静」とFPSの「動」というコントラストが新鮮なプレイ感覚を生む
ブロックやタワーを配置して,エイリアン迎撃態勢を整えた状況がこちら。エイリアンの進行ルートがかなり遠回りになり,ガトリングなどのタワーが設置されているのが分かるはずだ

 時間が稼げるルート作りと同様に重要なのが,敵へ効率よくダメージを与えられるタワーの配置だ。
 例えば,ガトリングを配置したところで,移動速度が速い敵が相手では,倒す前に走り抜けられてしまう。そんなときは,移動速度を低下させるタワーを併用すれば,より長い時間攻撃を与えられるのだ。
 また,攻撃範囲もタワーの種類によって異なるので,設置する地形を考える必要もある。例えば,Uターンのような通路を作り,エイリアンの“行きと帰り”でダメージを与えられるような仕掛けを作ると効率が上がるはずだ。

 なお,タワーは,初期状態だと性能が低く,思ったように効果を発揮しない場合があるので,ゲーム中に入手できるリソースを各タワーに投入し,攻撃力や効果範囲を強化するのがオススメだ。
 ただし,リソースを消費しすぎると,新たなタワーが設置できず,結果的にパワー不足となることもあるので,全体的なバランスを考えながら,質で行くか,数で勝負するかを決めよう。


最大4人のマルチプレイで

ワイワイ遊ぶのがベスト


 本作は最大4人でのオンライン協力プレイに対応している。とくにマルチプレイ用のモードが用意されているわけではなく,ネットワークの設定で,ほかのプレイヤーが自分のゲームに参加できるようにすればいい。フレンドのみに公開することも可能だ。

画像集#019のサムネイル/「サンクタム2」のレビューを掲載。タワーディフェンスの「静」とFPSの「動」というコントラストが新鮮なプレイ感覚を生む

 実際にフレンドと遊んでみたのだが,これが予想以上に面白く,ハマってしまった。
 ブロックの配置をあーでもない,こーでもないと一緒に考えたり,着弾と同時に味方がふっ飛ばされるバトルキャノンという武器を使い,ウェーブ間にイタズラしたりするのが本当にツボ。やり過ぎると嫌がられてしまうが……。

 いざ敵襲となれば,ミニマップを見ながら味方と敵の位置を把握し,何をすべきかを個々が判断して,敵を迎撃。タワーディフェンスの経験があまりない筆者ゆえの感覚かもしれないが,新鮮なプレイ感覚だった。

 タワー設置に必要なコストを分担できるというメリットもあるうえ,ゲームバランス自体も協力プレイを前提としているようなので,シングルプレイで敵に押し込まれている人は,ぜひフレンドを誘ってマルチプレイを試してほしい。

 また,見知らぬ人との一期一会とも言える協力プレイも,フレンドとはまた違った雰囲気となって面白い。こちらはかなり真面目なプレイをすることになるが,「あー,そういうブロックの配置方法もあるんだな」といった感じに,ちょっとした勉強になることもあるので,初級者にこそオススメしたい

ボスのエイリアンはその巨体で,こちらが設置したブロックを破壊しながら進んでくる。いかに周囲の小物を素早く排除し,ボスに攻撃を加えられるかがキモ。もちろん,協力プレイでの連携も大事だ
画像集#016のサムネイル/「サンクタム2」のレビューを掲載。タワーディフェンスの「静」とFPSの「動」というコントラストが新鮮なプレイ感覚を生む 画像集#017のサムネイル/「サンクタム2」のレビューを掲載。タワーディフェンスの「静」とFPSの「動」というコントラストが新鮮なプレイ感覚を生む

 タワーディフェンス+FPSという,一見相容れないようなジャンルのハイブリッドである「サンクタム2」。ブロックやタワーの配置という「静」と,FPSスキルの「動」という対照的な手段を駆使して,敵の大群をねじ伏せるというゲーム性になかなかの遊びごたえを感じた。

 また,マルチプレイの魅力にも改めて触れておきたい。本作には,敵の耐久力やスピードをアップさせてミッションに挑む「チャレンジ」という要素があるが,困難なミッションでフレンドと一緒に頭を悩ませ,打開策を発見し,クリアできたときの満足感はかなりのものだ。

 現時点でもかなりのボリュームなのだが,今後3回のDLC配信が予定されているので,遊びの幅はかなり広がるはず。シーズンパスのおかげで,追加費用なしにDLCを導入できるのは嬉しい。
 筆者のように,FPSで対戦ばかりしているようなプレイヤーにとっては,新たな世界が開けるタイトルになるかもしれない。

「サンクタム2」公式サイト

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    サンクタム2

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AD(最終更新日:2022/12/17)
サンクタム2
Software
発売日:2013/08/29
価格:¥2,000円(Amazon)
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