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「ディビジョン」クローズドβテストのプレイレポート。崩壊したニューヨークを舞台に,ソロでもマルチでも熱くなれる一作になりそう
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印刷2016/02/02 00:00

プレイレポート

「ディビジョン」クローズドβテストのプレイレポート。崩壊したニューヨークを舞台に,ソロでもマルチでも熱くなれる一作になりそう

 ユービーアイソフトから,2016年3月10日に発売予定のアクションシューター「ディビジョン」PC/PS4/Xbox One。原題:Tom Clancy's The Division)。小説家トム・クランシー氏の名を冠する作品としては,「スプリンターセル」や「レインボーシックス」シリーズなどが有名だが,本作は完全な新作として高い注目を集めており,やきもきしながら発売を待っているゲーマーも多いのではないだろうか。

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「ディビジョン」公式サイト


 今回は,1月29日から実施されている,PlayStation 4版のクローズドβテストに参加できたので,そのプレイレポートをお届けしたい。プレイできたのは序盤のごく限られた範囲だが,シングルプレイとマルチプレイの両方が体験可能で,βテスト版とはいえ完成度もすでにかなり高い状態だった。字幕/音声ともにローカライズされており,まさに完成まで秒読み段階といった印象だ。今回のテストに参加できなかった人も,これを読んで本作がどんなゲームなのか予習してもらえれば幸いだ。

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「ディビジョン」の一員となり,崩壊したニューヨークの秩序を取り戻せ!


 ディビジョンの舞台は,謎のウイルステロにより世界中でパンデミックが発生した結果,文明がほぼ崩壊状態になってしまったニューヨークだ。ウイルスの蔓延による混乱は,政府や行政の力を著しく低下させ,あの大都市ニューヨークですら,殺人や強盗,放火が昼夜問わず発生する無法地帯となっている。プレイヤーはそんな状態から秩序を取り戻すために結成された組織「ディビジョン」の一員となり,混乱を収束させるため,困難なミッションをこなしていくことになる。

キャラクターは自由にメイキングできるようだが,βテストでは「ランダム」しか選べなかった
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 本作の魅力の1つは,美しいグラフィックスによって表現された「崩壊後」のニューヨークだ。うち捨てられた大量の自動車や山積みにされたゴミ,さらに平然と道ばたに転がる遺体など,状況は異常なのだが,町並みやランドマークは確かにここがニューヨークであると感じさせてくれる。
 今回のテストでは移動できる範囲が限られており,かの有名なタイムズスクエアはチェックできなかったのだが,それでも徒歩で移動していると,マップ自体はかなり広く感じられた。製品版が発売されたら,ぜひオープンワールドで再現されたニューヨークで,映画やドラマでよく見るいろいろな場所を「観光」したいところだ。

ゲームの拠点となるのは,ニューヨークの中央郵便局。外観は現実とあまり変わらないが,内部は軍事施設のようになっている
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 ゲームシステムは三人称視点のカバーシューターとなっており,崩壊したニューヨークを自由に歩き回り,各所に用意されているミッションをこなしつつゲームを進めていくことになる。今回,受けることができたメインミッションは,序盤の「襲撃された病院から医師を助け出す」というものだけだったが,サブミッションは人質の救出など比較的大きめのものから,移動中に発生するごく小さな襲撃まで,いろいろなタイプが用意されており,町中を少し歩いていると大概何かが起こるという感じだ。まあ,急いでいるときはこれがちょっとウザかったりするのだが,無視することもできるし,さらに拠点などへはファストトラベルも可能なので,大きな問題になることはないだろう。

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 今回のβテストでは,ゲームバランスはカジュアル寄りで,敵も味方も「かなり弾丸を撃ち込まれないと死なない」ようになっていた。それでも,真っ正面から撃ち合うと,雑魚相手ですら撃ち合いに負けることもしばしば。そのためカバー動作は必須だが,場所の移動や障害物の乗り越えがスムーズにできるようになっており,慣れてくると流れるようなカバーアクションができるのが楽しい。ただ,全体的に敵の数はかなり多く,味方のNPCはおとり以外にほとんど役に立たないので,後ろに回り込まれたりしないように注意が必要だ。

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初期設定の操作方法はこのようになっている。最初は少し戸惑うこともあるが,慣れてくるとかなり自由自在に動けるようになる
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防火服を装着し,火炎放射器で暴れ回るイカれた組織「クリーナーズ」。どちらが汚物なのかはっきりさせるため,きちんと「消毒」してやろう

 また,NPCとの戦いでは,敵がグレネードをかなり頻繁に使ってくるのが印象に残った。その傾向は,前述の医師を助ける最初のメインミッションから顕著で,同じ場所でカバー動作を続けていると,高確率かつ高頻度でスモークグレネードが飛んでくる。そのため,同じ場所で固定砲台のように戦い続けるのは難しい。

オレンジ色のサークルは自分のグレネードの投擲場所と攻撃範囲を表し,赤色のサークルは敵のグレネードの効果範囲を示している。自分の周りが赤くなったら,とにかく逃げよう
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 ただ,グレネードを投げてくる敵はアイコンが表示され,タイミングよく攻撃するとその場にグレネードを落とすため,逆にチャンスタイムとすることも可能だ。さらに自分が投げるグレネードも,軌道や着弾点,効果範囲が正確に表示されるため,障害物の向こうにいる敵を狙いやすい。カバーシューターの場合,戦闘が膠着して敵味方が同じ場所でひたすら隠れながら撃ち続けるという事態が発生しがちだが,これを避けるための仕組み,という側面もあるのかもしれない。


ミッションをこなし,強力な装備を入手して,己を強化せよ


 本作は三人称視点のアクションシューターながら,RPG的な成長要素が重要なファクターを占めているのも特徴だ。レベルが高い敵はかなりの堅さと攻撃力を持っているため,腕でカバーするにしても限界がある。ミッションをクリアしたり,敵を倒したりすることによって経験値が溜まってレベルが上がるが,それだけではキャラの大きな強化は望めず,新たなスキルや強力な武器をゲットしなければならない。

 ディビジョンの拠点となる建物には,「医療棟」「技術棟」「防衛棟」という3つの施設がある。これらの施設は「物資」を消費することでアップグレードでき,これによってプレイヤーのスキルもアンロックされるという仕組みだ。βテストでは医療棟しか使えなかったが,アップグレードも可能になっており,戦闘を有利に進められるスキルや,既存のスキルを強化できる「スキルMOD」が使用可能だった。物資は主にクエストの報酬として入手できるため,積極的にこなしていくことがキャラクターの強化につながる。

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 装備は,主に敵からのドロップやマップ内に隠されているチェストから入手し,同じ装備でも性能にばらつきがあるなど,何がゲットできるかは基本的にランダムだ。武器は,ハンドガンやアサルトライフルなど一通りの種類が網羅されており,それに取り付ける強化MODも多数用意されている。また,防具は部位ごとに計6種類用意されていたりと,アイテムの種類は非常に多い。おまけに装備にはレア度が設定されており,レア度が上がるほど強力で特殊な能力が付与されているため,アイテム集めについ力が入ってしまう。

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 装備の変更による能力の上昇はかなり大きく,はっきり言ってしまえば,同じレベルでも装備が違えば戦闘の難度は大幅に変わってくる。当然ながら,少しでも強いものを入手したいところだが,実は本作には,強力な装備をより高い確率で入手する方法がある。それが本作のもう1つのウリである「ダークゾーン」だ。


さらなる無法地帯の「ダークゾーン」は,リスクとレアアイテムでいっぱい


 本作はオンラインプレイを前提としており,最大4人でのCo-opプレイに対応している。気心の知れたフレンドとニューヨークの街を歩き回るのもいいが,一期一会のオートマッチングで集まった仲間とミッションをプレイするのも楽しい。ソロプレイでは,どうしても大量の敵を真っ正面から受け止めるしかなくなるが,マルチプレイなら裏に回ったり高所から狙撃したりとプレイスタイルが広がり,同じマップでもかなり違った感覚でプレイできるのが嬉しいところだ。

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 そんな本作のマルチプレイの本命が,上述した「ダークゾーン」だ。ダークゾーンとは,汚染が特にひどく完全に隔離された地区のことで,一般人や治安維持部隊もいるほかの地区と違い,プレイヤーと同じディビジョンの隊員以外は犯罪者しかいないという超危険地帯。ゲームシステム的にはPvPエリアとなっており,通常より強力なNPCの敵が出現するほか,最大4人のパーティで,この地に残された強力な装備を巡って争奪戦を繰り広げるのだ。

パーティを組んだ仲間全員がアイテムを拾えるので,取り合いになることはない
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 ダークゾーンの最大の特徴は,やはり「レアアイテムが出やすい」ことだ。通常のエリアで出る装備は,ほとんどが標準ランクの緑アイテムで,レア度が1段階高い青アイテムはたまに出る程度だが,ダークゾーンでは青が標準とばかりに大盤振る舞いで出現し,さらに1ランク上の紫アイテムを入手できることもある。また,敵を倒すと「DZファンド」という通常のクレジットとは違う通貨を入手でき,ダークゾーンの入り口やダークゾーン内にあるショップでより強力な装備を購入することもできる。

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 とはいえ,当然ながらリスクも大きい。PvPエリアなので,NPCだけでなくほかのプレイヤーに倒される危険とは常に隣り合わせで,もし倒されるとダークゾーンで手に入れたアイテムと一定量のDZファンドをドロップしてしまう。そして,ここがキモなのだが,ダークゾーンで拾ったアイテムは,汚染されているのでそのまま持ち帰れない。ここにダークゾーンの駆け引きと魅力が詰まっている。

 もう少し具体的に説明すると,ダークゾーンで入手したアイテムは,一度ヘリで回収し,自分の保管庫に移動しない限りは,外に持ち出すことも装備することもできない仕組みになっている。拾った時点では,何の役にも立たないのだ。
 ヘリを呼ぶためには,マップ上に固定配置されている回収ポイントに移動し,信号弾を発射して,そこで一定時間待たなければならない。おまけにヘリの挙動はほかのプレイヤーに完全に筒抜けになるうえ,呼んだ人に関係なく誰でもアイテム回収を行えるようになっている。つまり他人のアイテムを奪うなら,これ以上のタイミングはないわけだ。

ヘリに装備を括り付けるタイミングでは,完全に無防備になる。このタイミングを狙われることが多い
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 実際,筆者もダークゾーンに少し慣れ,鼻歌交じりでヘリを待っていたら,まさにアイテムを回収する瞬間に近くに隠れていたパーティの一斉射撃を食らい,アイテムを根こそぎ持っていかれるという経験をしている。最初は何が起こったのか分からなかったが,事態を把握してリスポーンポイントから急いで戻ってもあとの祭り,アイテムも襲撃者も残っていなかった。まあ,そりゃそうだよね……。ダークゾーンの醍醐味を,たった数十秒で嫌というほど体験できた瞬間だった。

待望の回収が完了した瞬間。これができない限り,ダークゾーンからはアイテムを持ち出せない
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 とはいえ,たとえダークゾーンでも襲撃者ばかりが有利というわけではない。あくまでプレイヤーはディビジョンという治安維持組織の一員であり,非合法的な手段が大っぴらに許されているわけではないからだ。別のプレイヤーを攻撃すると「ローグ」状態になり,分かりやすい目印が付いて,ほかのプレイヤーから自由に攻撃されるだけでなく,倒されたときにより大きなペナルティを払うハメになる。ローグ状態は目立ちやすく,リスクとリターンでいえばリスクのほうが高いと感じられた。

無差別ローグパーティvs.ほか全員,という極端なバトルが繰り広げられた瞬間。こういうカオス状態が突発的に起こるのも楽しい
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ソロでも楽しいが,マルチにハマるといっそう面白くなる


 本作は,見た目もプレイフィールも完全にアクションシューターであり,実際にそのとおりなのだが,ユービーアイソフトが“オンラインRPG”とアピールしているように,装備やスキルに大きな比重が置かれたバランスになっている。基本的には「じっくりキャラクターを育てていく」というのが,大きな目的になりそうだ。最初は勝てなかった敵でも,装備とスキルを整えることであっさり倒せるようになる感覚は,まさに「RPGそのもの」と言ってもいいだろう。
 アクション性が高いため,もちろんプレイヤー自身の腕前も重要だが,逆に筆者のように射撃の腕が今ひとつな人でも,しっかりと準備を整えれば敵を倒せるようになるのはありがたい。

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 またプレイしていて感心したのは,ソロプレイとマルチプレイ(ダークゾーン)がしっかりとかみ合った形で融合していることだ。プレイヤーを強化するには,レベル,スキル,装備の3点が必要だが,ダークゾーンは基本的に装備の取得,つまり「トレジャーハンティング」に特化しており,それ以外のスキルなどを強化するためには,通常のエリアでミッションをこなす必要がある。要するに,いくら良いアイテムが入手しやすいといっても,ダークゾーンにこもってばかりでは限界があるのだ。

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 その一方,普通にアイテムを入手する方法はいくらでもあるので,ダークゾーンに入らなくてもゲームの進行に影響はない。βテストで実装されていたミッションはかなり少なかったものの,小さいものを含めればバラエティに富んでおり,ソロでもしっかりと楽しめそうな印象で,PvPに抵抗があるならCo-opだけをプレイするという手もあるだろう。このあたり,プレイヤーの趣向で自由に楽しめるのは嬉しいところ。ただ,リスクを許容できるならダークゾーンは魅力的で,ゲームの良いスパイスになっていると感じられた。

 なお,本作のオンライン要素(Co-opプレイやダークゾーンへの侵入)を楽しむためには,PS4版ではPlayStation Plus,Xbox One版ではXbox Liveゴールドメンバーシップへの加入が必要で,普段はあまりオンラインプレイをしない人にとっては,若干ハードルが高そうではある。また,RPG要素が強いため「ガチの腕前対決」をしたいという人には好みが分かれるかもしれない。
 だが,それらを考慮しても,「ソロでも楽しく,マルチならもっと楽しい」が文字どおり体現されているのは魅力的だ。製品版ではストーリーミッションやスキルをすべて遊べるようになるはずで,プレイの幅と自由度が一気に上がることが期待できる。発売は約1か月後だが,この春に腰を据えてプレイするのにもってこいな一作となりそうだ。

自分は戦う意思がなくても,パーティメンバーが勝手にほかのプレイヤーを攻撃して,連帯責任でドクロマークが付くローグになってしまうことも。野良パーティではありがちな光景だが,これはこれで面白い
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