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「War Thunder」,開発者メールインタビューをお届け。DMM GAMESでの日本サービス開始から5年で何が変わったのか
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印刷2021/10/13 18:00

インタビュー

「War Thunder」,開発者メールインタビューをお届け。DMM GAMESでの日本サービス開始から5年で何が変わったのか

 陸・海・空での兵器を使用した戦いが楽しめるマルチコンバットオンラインゲーム「War Thunder」PC / Mac / PS5 / PS4)は,今年でDMM GAMESによる日本サービス開始から5周年を迎える。今回,その節目を迎える本作の開発陣にメールインタビューを実施した。

 回答してくれたのは,「War Thunder」のプロデューサーを務めるヴィヤチェスラフ・ブラーニコフ(Vyacheslav Bulannikov)氏と,Gaijin EntertainmentのCEO兼共同創業者であるアントン・ユディンツェフ(Anton Yudintsev)氏だ。これまでの日本サービスのことや,今後のアップデート情報,そしてGaijin Entertainmentとしての日本展開のありかたについてなどを,聞いたので,ぜひとも目を通してほしい。

画像集#009のサムネイル/「War Thunder」,開発者メールインタビューをお届け。DMM GAMESでの日本サービス開始から5年で何が変わったのか
Gaijin EntertainmentのCEO兼共同創業者であるアントン・ユディンツェフ(Anton Yudintsev)氏
画像集#010のサムネイル/「War Thunder」,開発者メールインタビューをお届け。DMM GAMESでの日本サービス開始から5年で何が変わったのか
「War Thunder」のプロデューサーを務めるヴィヤチェスラフ・ブラーニコフ(Vyacheslav Bulannikov)氏

4Gamer:
 「War Thunder」は日本でのサービスが5周年を迎えましたが,その感想を教えてください。

ブラーニコフ氏:
 世界中の人々が「War Thunder」を楽しんでおり,すべての主要な市場で良好な存在感を維持することは,私たちにとって重要なことです。
 DMM GAMESとの提携により,日本のプレイヤーのために,ローカルサポート,支払い方法,イベントやコラボレーション活動を提供することができました。日本のプレイヤーの皆様には,これらすべてを楽しんでいただき,引き続き「War Thunder」をプレイしていただきたいと思っています。

零式艦上戦闘機
画像集#012のサムネイル/「War Thunder」,開発者メールインタビューをお届け。DMM GAMESでの日本サービス開始から5年で何が変わったのか

 日本は,ゲーム内でプレイ可能な国家の1つであり,我々にとって重要で特別な国です。零戦や戦艦の扶桑など日本の有名な航空機や艦艇,地上車両は,日本のプレイヤーだけでなく,海外のユーザーにとっても非常に興味深いものです。
 パートナーであるDMM GAMESは,日本のあらゆる兵器や装備の資料を探したり,自衛隊の地上車両や航空機のサウンドを収録したりと,とても協力的です。そのおかげで,ゲーム内の日本の乗り物がよりリアルになり,世界中のプレイヤーに楽しんでもらえるようになりました。
 また,AH-1Sの木更津バージョンの追加など,特殊なプロジェクトもDMM GAMESとの協力がなければ実現しなかったでしょう。

4Gamer:
 サービス開始からこれまでに,プレイスタイルやプレイ人口などにどんな変化がありましたか。

ブラーニコフ氏:
 「War Thunder」の日本のプレイヤー数は,増え続けていますが,2016年にDMM GAMES経由で正式サービスを開始したことで,その増加率は3倍以上になりました。現在,「War Thunder」に登録している数十万人ものプレイヤーが日本語を使用しています。

4Gamer:
 日本の市場やプレイヤーについてどのような印象をお持ちですか。

ブラーニコフ氏:
 日本のゲーム市場は,現地のパートナーなしに参入するのは非常に困難です。ゲームをローカライズするだけでは十分ではありません。正しいメッセージを伝えるためには,テキストベース,ビジュアルベースを問わず,すべてのコミュニケーションを現地に合わせたり,制作したりする必要があります。
 日本のプレイヤーは好きなゲームには惜しみなく情熱を注いでくれるので,努力する価値はあります。売上面で見ても日本はトップ5に入る国なんですよ。

画像集#007のサムネイル/「War Thunder」,開発者メールインタビューをお届け。DMM GAMESでの日本サービス開始から5年で何が変わったのか

4Gamer:
 ゲームの利用状況や開発スケジュールなどに,新型コロナウイルスの影響はありましたか。
 
ブラーニコフ氏:
 チーム全員がテレワークに切り替えましたが,開発計画は全く変わっていません。これまで通り,年に5回の大型アップデートをリリースし続けています。エピデミックの真っ只中である2020年11月にリリースした,過去最大規模の大型アップデート「ニューパワー(New Power)」は,War Thunder 2.0とも言うべきものになりました。
 現在,開発者の大半は自宅で仕事をしており,基本的にはインターネット環境の整った好きな場所で仕事をしています。中には,海外や地方,海辺などに引っ越して,効率よく仕事をしている人もいます。また,オフィスに行く方が便利だと考える人もいます。
 ゲームの利用率は,2020年4月に急上昇し,その1か月だけで同時接続者数が30%増加しました。その後も徐々に増加しています。COVID-19の影響で,世界中で閉塞感がありますが,「War Thunder」のようなゲームで気分を盛り上げることができたのではないでしょうか。

4Gamer:
 5年間のサービスの間で,日本の兵器なども資料を得て制作していましたが,大変だったことはありますか。

ブラーニコフ氏:
 海外の研究者にとっては,量産された有名な兵器の情報はある程度手に入りますが,このゲームでは,あまり知られていない数十種類もの兵器を再現しています。そうした兵器の資料は入手しづらく,すべて日本語で書かれているんですよ。
 特に,第二次世界大戦末期に開発された試作車である五式中戦車「チリ」第二案(Chi Ri II)や試製中特車(後の61式戦車)ST-A1/2/3のような戦後の車両,そして90式戦車のような現代的な車両は苦労しました。

90式戦車
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4Gamer:
 DMM GAMESが,自衛隊の取材や独自のキャンペーンを実施していますが,そうした取り組みはどう感じていますか。

ブラーニコフ氏:
 DMM GAMESのサポートは貴重なものです。第二次世界大戦中の博物館を自分たちで見学することは可能ですが,自衛隊が外国企業に試験場への立ち入りを許可することはまずありえません。どの国も軍事関係の省庁はかなり厳しく,簡単には話が通りませんから。
 それがDMM GAMESの協力を得て,自衛隊の装備の高品質な写真やビデオ映像を入手でき,74式戦車などの車両が,ゲーム内で実際の車両と比べてどのように動作するかについて,自衛隊員からのフィードバックを得られました。こうした協力により,本物の主力戦車やジェット戦闘機と同じような外観,音,動作を実現することができています。

4Gamer:
 ジェット戦闘機は1960年代〜80年代ごろまでの第3世代,戦車はほぼ最新の第3世代が登場していますが,今後はどういった兵器が登場するのでしょうか。

ブラーニコフ氏:
 基本的には徐々に新しい兵器に移行していく予定ですので,次に登場する兵器は容易に想像がつくのではないでしょうか。プレイヤーからは,F-14トムキャットについて聞かれることがあります。もちろん,私たちも取り組んでいますが,第3世代を超える前に埋めるべきギャップがまだあると考えています。

4Gamer:
 日本は90式やF4-EJといった有名どころに加え,60式自走無反動砲などのマイナー兵器まで登場していますが,次は何が登場するのでしょうか。

ブラーニコフ氏:
 昨年,「War Thunder」に戦艦を追加しましたが,最初は20世紀初頭のモデルから始めました。現在,1915年に就役した扶桑が進行中ですが,後に追加する予定の第二次世界大戦で有名な日本の巡洋艦や戦艦もたくさんあります。
 次世代の10式戦車も研究していますが,信憑性のある非機密情報が十分ではないため,いつ追加できるかはわかりません。
 
4Gamer:
 「War Thunder」に加え,「CROSSOUT」「CRSED」や「Enlisted」なども日本でサービスを行っていますが,今後の予定はいかがでしょう。

アントン・ユディンツェフ氏:(以下,ユディンツェフ氏)
 私たちはすでに,主要なオンラインゲームをすべて日本で提供しています。また,発表済みおよび未発表のいくつかのタイトルが開発段階にあり,準備ができ次第,日本でも提供する予定です。楽しみにしていてください。

4Gamer:
 「Enlisted」のエイプリルフールネタが「CRSED」として一つのゲームになったり,「Enlisted」には「War Thunder」の兵器データが採り入れられたりなど面白い試みが行われていますが,今後もこうしたタイトルで連携した開発が行われていくのでしょうか。

画像集#011のサムネイル/「War Thunder」,開発者メールインタビューをお届け。DMM GAMESでの日本サービス開始から5年で何が変わったのか

ユディンツェフ氏:
 ゲームの大半は独自のDagorエンジンを使用しているので,あるゲームで先に行われたグラフィックスの改善は,他のタイトルにもすぐに反映されます。また,開発チームの協力体制も充実しています。
 創造性と生産性を重視しているので,楽しいイベントやゲームのプロトタイプを開発することができ,それはエイプリルフールイベントを作るときにも役立ち,中には完全に独立したゲーム(CRSEDなど)になったものもあります。
 実際,私たちの技術をもっと試してみたいと思っていますし,さらに面白いゲームやゲームモードを作るために,Gaijin以外のもっと多くの才能ある開発者を巻き込んでいきたいと考えています。

4Gamer:
 次期アップデートについて,注目してほしいコンテンツや力を入れている部分を教えてください。

ブラーニコフ氏:
 次期アップデートではこれまで同様,プレイヤーに数十種類の新しい空軍,陸軍,海軍の軍事兵器を提供できます。また,最新のアップデートでは誘導爆弾を導入しましたが,すべての国が手に入れたわけではないので,誘導爆弾を使用できるジェット機の数を増やします。
 さらに,まったく新しいゲームメカニズムの開発にも取り組んでいます。まだお話しできませんが,そのうちの1つは空戦と地上戦のプレイヤーの体験を大きく変えるものです。

4Gamer:
 日本のファンにメッセージをお願いします。

ブラーニコフ氏:
 「War Thunder」をプレイしていただき,本当にありがとうございます。多くの「扉」が閉じている今,私たちはゲームを世界中の人々と一緒に楽しむことができる大切で素晴らしい方法だと考えています。今後追加を予定している何百,何千もの軍事兵器をすべて試していただきたいと思っていますので,これからも末永くお付き合い頂けると幸いです。

4Gamer:
 ありがとうございました。

「War Thunder」公式サイト

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