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「War Thunder」デベロッパのGaijin Entertainmentにインタビュー。3周年を迎えた日本向けサービスや次期大型アップデートについて聞いた
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印刷2019/12/06 18:00

インタビュー

「War Thunder」デベロッパのGaijin Entertainmentにインタビュー。3周年を迎えた日本向けサービスや次期大型アップデートについて聞いた

 ロシアのゲーム制作会社であるGaijin Entertainmentは,同社が展開するマルチコンバットオンラインゲーム「War Thunder」PC / PS4)の次期大型アップデート1.95を,2019年12月中に実施する。

画像集 No.004のサムネイル画像 / 「War Thunder」デベロッパのGaijin Entertainmentにインタビュー。3周年を迎えた日本向けサービスや次期大型アップデートについて聞いた

 世界展開7周年を迎え,同社とDMM GAMESが協業で行っている日本向けサービスも4年目に突入した「War Thunder」について,Gaijin Entertainmentのパートナー・リレーションズ責任者を務めるアレクサンダー・トリフォノフ氏と,パブリック・リレーションズ担当のコンスタンティン・ゴヴォルン氏に話を聞く機会を得た。
 「War Thunder」のこれまでの歩み次期アップデートの内容,日本向けの取り組み,そして今後の展望を語ってもらったので,それをお届けしよう。

左から,コンスタンティン・ゴヴォルン氏とアレクサンダー・トリフォノフ氏
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「War Thunder」公式サイト



大型の装甲艦実装でさらに高まる戦術性


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。さっそくですが,それぞれの「War Thunder」における役割を教えてください。

アレクサンダー・トリフォノフ氏(以下,トリフォノフ氏):
 私はパートナーシップの責任者として,DMM GAMESを含む各国のパブリッシャとの取り組みに従事しています。また,PlayStationといったプラットフォーム関連のやりとりや,ゲーム内アイテムを販売するGaijin.Netストアなども担当しています。

コンスタンティン・ゴヴォルン氏(以下,ゴヴォルン氏):
 私はパブリック・リレーションズのヘッドで,主にロシアとほかの国や地域とのPR面でのリレーションシップに関する業務を担当しています。

4Gamer:
 世界サービス7周年を迎えた「War Thunder」ですが,これまでどのように進化してきたのでしょう。

トリフォノフ氏:
 2012年のローンチ時には航空機を使った空戦しかありませんでしたが,アップデートを重ねるうちに戦車など地上部隊を実装し,2016年には海戦も追加されました。
 また,当初は第二次世界大戦の兵器しかありませんでしたが,最近では現代兵器も追加され,その数も増えています。2018年9月のアップデートでは,ヘリコプターも実装しました(関連記事)。
 ほかにもさまざまな要素を追加しましたが,「War Thunder」はもともと良質な兵器シミュレータを目指して開発をスタートした作品で,7年経った今でもそのゴールは変わっていません。


4Gamer:
 アップデートを重ねていくなかで,プレイヤーからの意見やリクエストもたくさん届いてきたと思います。そうした声をどのように受け止め,応えてきたのでしょうか。

トリフォノフ氏:
 どのような兵器や機能を追加するのかの年間プランを定め,それに沿ってアップデートを進めてきました。その一方で,オンラインゲームである「War Thunder」にとって,やはりプレイヤーコミュニティからのフィードバックも重要です。プレイヤーの意見やリクエストに応じて,我々が想定していたものとは違う形でゲームを変化させてきたことも少なくありません。

4Gamer:
 それはどのような部分でしょうか。

トリフォノフ氏:
 海軍の追加を例に挙げると,当初は魚雷艇のような小型の舟艇のみを実装する予定でした。地上や空中でのゲームプレイと非常に近いものになるため,初めて海軍をプレイするのには理に適っていると思ったからです。
 一方,大きな艦艇を追加することは,これまでのゲーム体験とは全く異なるものになると考えていました。ゲームの進行がスローペースになり,それは退屈なものになるのではないかという懸念があったのです。しかし,多くのプレイヤーからのフィードバックを見て,スローな進行になったとしても有名な大型艦を使いたいと望んでいることを知り,大型艦を追加する方向へと舵を切りました。

4Gamer:
 2016年にはDMM GAMESとの協業で日本サービスが始まりました。その経緯を教えてください。

トリフォノフ氏:
 日本語版のサービス前,「War Thunder」のローンチ当初から日本のプレイヤーは存在しており,そのプレイヤーの皆さんから「もっと日本のプレイヤーが増やすような施策を展開してほしい」というリクエストが寄せられていました。
 しかし,日本のマーケティング事情を知らない私達がそれを実行するのは難しい。そこでパートナーとしてふさわしい日本の企業を探した結果,DMM GAMESにたどり着いたんです。DMM GAMESとの協業のおかげで日本独自の取り組みもできていますし,日本のプレイヤーも増えました。「War Thunder」や「CROSSOUT」PC / PS4)のPS4版を日本でリリースできたことも喜ばしい出来事でしたね。

MMOクラフト系カーアクション「CROSSOUT」。「War Thunder」と同じく,Gaijin EntertainmentとDMM GAMESのタッグで,2017年10月から日本向けサービスが行われている
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4Gamer:
 日本のプレイヤーやゲーム市場にどのような印象を持っていますか。

トリフォノフ氏:
 アメリカやロシアのような大きな国と比較すると人数的には少ないですが,日本の皆さんは“ハードコア”なプレイヤーが多いですね。フォーラムを見ると,ミリタリーに多大な関心を抱いており,兵器について豊富な知識を持っているのです。
 また,日本市場についても重要なマーケットだと捉えています。最初のころの日本向けサービスではシンガポールにあるアジアサーバーを使用していましたが,日本のプレイヤーの増加に伴い,皆さんが快適にゲームを楽しめるよう東京に日本サーバーを新設しました。

4Gamer:
 次期大型アップデート1.95について教えてください。主なコンテンツや注力している要素は何でしょうか。

トリフォノフ氏:
 まず,10月に実装された新国家のスウェーデンに,本格的な航空機のツリーを追加します。すでに2機のプレミアム機体が実装されていますが,今回は完全な航空機ツリーです。もちろんほかの国の兵器も追加する予定があり,その中には大型の装甲艦もあります。

ついに「War Thunder」の戦場に登場する大型艦。画像は,排水量1万トンという巡洋艦並みの艦体に巨大な28cm砲を搭載し,イギリスから「ポケット戦艦」と呼ばれたドイツ海軍のドイッチュラント級装甲艦・アドミラル・グラーフ・シュペー
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4Gamer:
 先ほどおっしゃっていた大型艦追加のことですね。装甲艦が追加されることによって,ゲーム性はどう変わるのでしょうか。

トリフォノフ氏:
 大型艦は,艦艇自体のスピードや攻撃速度が遅くなります。また,より戦術性が増すこと,砲弾を命中させるには10Km以上の距離を計算する必要があることなどから,今まで以上にプレイヤーの知識や技術が求められるようになるでしょう。

4Gamer:
 先ほどの話に戻りますが,もともとの方針にはなかった大型艦を実装すると決めた際,ゲームプレイも大きく変わる新要素を追加することへの不安はありませんでしたか。

トリフォノフ氏:
 駆逐艦実装時のフィードバックで,多くのプレイヤーが大型艦船による戦闘を求めていたことが分かったからこそ,今回の大型艦追加にまでたどりついたんです。
 最初に小型艦艇のみを実装したことについても,私は間違いではなかったと捉えています。小型艦を使用したハイペースでアクティブな戦いと,大型艦によるじっくりと楽しめる戦術的な戦闘という異なる2つのゲーム体験を提供できるようになったわけですから。これは「War Thunder」ならではの,ほかのタイトルにはない特徴になっています。

日本海軍ツリーには,新たに川内型軽巡洋艦「川内」が追加される
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“ハードコアなゲーマー”が多い日本での取り組み


4Gamer:
 2019年5月に登場した陸上自衛隊のAH-1S対戦車ヘリコプターには,実在するペイント「木更津姉妹」がスキンとして追加されました。ああいったアニメ調のキャラクターについて世界のプレイヤーからはどのような反応がありましたか。

トリフォノフ氏:
 アニメ調のキャラクターというと,「木更津姉妹」の前にまず2018年にコラボした「ストライクウィッチーズ」があります。そのときの反応は肯定と否定が半々くらいでした。
 ただその際に,現実にある塗装や装飾とコラボや架空のデザインのものとを分類分けし,オプションで表示のON / OFFを可能にしたんです。木更津姉妹のプリントは実在するものなのでOFFにしても表示されますが,現実にないデザインやキャラクターモノが好きではないという人はOFFにし,コラボデザインの兵器を楽しみたいという人はONにすれば,プレイヤーそれぞれの楽しみ方ができます。

雑誌「月刊PANZER」やライセンス元のズーの協力のもと実装された「木更津姉妹」スキン。実際の機体に貼られたイラストのデータを使用した,“完全公式塗装”だ(画像は第4対戦車ヘリコプター隊20周年記念塗装「木更津若菜」)
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4Gamer:
 今後もこういったコラボを予定しているのでしょうか。

ゴヴォルン氏:
 アニメファンは世界中にたくさんいるので,こういったコラボをとおして新しいプレイヤーが増加するのではないかと期待しています。また,日本の文化に触れたことで開発チームに新たな発見があったりと,良い取り組みだと思いますね。

トリフォノフ氏:
 日本にはミリタリーをモチーフにしたアニメやコミックが多いですから,同じようなコラボを実施する可能性はもちろんあります。

4Gamer:
 DMM GAMESとの協業や日本での取り組みについて聞かせてください。サービス面以外でのサポートなどはあるのでしょうか。

トリフォノフ氏:
 日本の兵器に関する資料提供という形で協力いただけています。とくに第二次世界大戦によって多くの資料が失われてしまったり,保管場所が不明だったりするので,ほかの国ではなかなか入手が難しいんです。
 一般には公開されていないものや機密情報が多いなか,74式戦車(G)を実装するプロジェクト(関連記事)を進めることができ,89式装甲戦闘車や75式130mm自走多連装ロケット弾発射機,75式自走155mmりゅう弾砲なども追加できたことで現代兵器を充実させることができました。1.89アップデートでは帝国海軍から海上自衛隊まで多くの艦艇を追加できましたし,日本サービス3周年を記念した「日本」ロケーションプロジェクトも動いています。

画像集 No.015のサムネイル画像 / 「War Thunder」デベロッパのGaijin Entertainmentにインタビュー。3周年を迎えた日本向けサービスや次期大型アップデートについて聞いた 画像集 No.014のサムネイル画像 / 「War Thunder」デベロッパのGaijin Entertainmentにインタビュー。3周年を迎えた日本向けサービスや次期大型アップデートについて聞いた

日本サービス3周年記念「日本」ロケーションプロジェクトの情報ページ


4Gamer:
 最近のアップデートでは現代兵器の実装が続いていますが,今後も第二次世界大戦の兵器は追加されるのでしょうか。

トリフォノフ氏:
 「War Thunder」には1500種類以上の兵器が実装されており,そのうち1000種類以上が第二次世界大戦の兵器です。しかし第二次世界大戦時には5000種類以上の兵器が存在していたので,まだまだゲーム内に実装する可能性はあります。未実装の兵器の中には人気の高いものもありますので,ぜひ期待してください。

4Gamer:
 2020年以降,どのようなコンテンツの実装を計画しているか教えてください。また「ゲームにこのような新要素を追加したい」「こういったサービスを充実させたい」といった展望があれば,それもぜひ聞かせてください。

トリフォノフ氏:
 2020年はスウェーデンの陸軍や,イタリアの海軍とヘリコプター,現代的なジェット機などを実装していく予定です。
 ただ,順番はまだ決まっていません。複雑で大規模なゲームですから,しっかり考えて動かないとプレイヤーの皆さんが新しいコンテンツに戸惑うことになってしまいます。引き続きゲーム内メニューやモードのナビゲーションを充実させたり,直感的に遊べるようUIを意識して作ったりして,より快適に楽しめる内容にしていくことも大事だと考えています。

4Gamer:
 最後に,日本のプレイヤーやゲームファンにメッセージをお願いします。

トリフォノフ氏:
 日本のプレイヤーの皆さんは熱意を持ってプレイしてくださりますし,歴史的な深い知識も持っているコアなプレイヤーが多く本当に感謝しています。皆さんからの提案は大歓迎です。これからも日本の皆さんに好まれるような兵器や機能を実装していくので,ぜひ期待してください。

ゴヴォルン氏:
 日本は私達にとって非常に重要な国です。兵器にも歴史にも詳しいミリタリーファンが多く,プレイヤーコミュニティや制作チームに対して良い影響を与えてくれます。そんな皆さんからの皆さんの提案やリクエストを実現できるよう,私たちも頑張っていきます。

4Gamer:
 ありがとうございました。

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