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6000の兵が激突するオンラインRTS「Total War: ARENA」プレイレポート。戦術と連携がカギを握る
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印刷2018/09/13 15:00

プレイレポート

6000の兵が激突するオンラインRTS「Total War: ARENA」プレイレポート。戦術と連携がカギを握る

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 Wargamingが運営している「Total War: ARENA」(以下,TWA)は,古代の戦場を舞台として10対10の戦いを繰り広げるオンラインRTSであり,2018年2月22日からオープンβテストが実施されている。名目上はテストとなっているが,すでに課金要素も導入されており,その実態は正式サービスに近い。
 本作は,Total Warシリーズを手がけているCreative Assemblyと,「World of Tanks」「World of Warships」などで知られるWargamingが共同開発するオンラインタイトルだ。Total Warシリーズをベースに奥深いながらも遊びやすいゲームとなっている。

歴史上の司令官を操作して戦闘を勝利に導く
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広大なマップで,大規模な戦闘が行われる
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「Total War: ARENA」公式サイト



短時間でテンポよく遊べるリアルタイムストラテジー


 本作には,スパルタの王“レオニダス”やローマの将軍“カエサル”といった歴史上の英雄が司令官として登場する。プレイヤーはそうした英雄の中から司令官として1人と,3つのユニットで部隊を構成して,戦場へと赴くのだ。
 戦場では各プレイヤーが3ユニットを操作するため,両陣営で計60ユニットが入り乱れることになる。1ユニットは兵士数十人〜百人の兵士で構成されており,戦場には最大で6000の兵が参戦する。

はじめに短時間のチュートリアルを受けられる。覚えることはさほど多くないため,操作も簡単だ
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 勝敗が決する条件は3つ。1つは全敵部隊の撃破,もう1つが拠点の占領,最後は決着がつかない場合の残存戦力による判定となる。状況によっては判定勝ちを狙うことにもなるが,殲滅か占領による勝利を狙っていくのが基本だ。
 戦闘時間は15分と短めで,長時間のプレイが強いられがちなRTSとしては珍しく,テンポよく遊べる。

 RTSといえば多くのユニットを細かく操作する「上級者向けのゲーム」という印象を持っている人もいるかもしれない。モノによってはまさにその通りなのだが,前述の通り,本作で操作するのは最大でも3ユニットで,操作量も多くないため,RTS初心者でも取っつきやすくなっている。10対10の戦場なのでプレイヤー1人にかかる負担は少ない。


個性豊かな司令官とユニット
戦場ではユニットの相性が鍵となる


 ゲームの初回起動時はチュートリアルから始まる。ここで基本的な操作を覚えられるが,とくに重要なのは,ユニットが隊列を組んでおり「向き」の概念があるということだ。
 司令官はいつでも変更可能で,最初はローマ帝国のゲルマニクス,ギリシアのキュナネ,蛮族のアルミニウスが使用できる。それぞれ固有のスキルを持っており,得意とする兵種も違うので,いろいろ試して自分に合った司令官を選べる。

チュートリアル終了後はロビー画面に移動する。ロビー画面で司令官やユニットを選択したあと,上部のプレイで戦闘へ出撃しよう
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 ユニットは,大きく分けると「歩兵」「騎兵」「投射歩兵」の3種類になる。歩兵は騎兵に強く,騎兵は投射歩兵に強く,投射歩兵は歩兵に強いという3すくみの関係を持っている。
 ただし,それは単純に正面からぶつかり合った場合の相性だ。歩兵でも騎兵に背後から突撃されると大損害を受けるし,投射歩兵でも騎兵を近づかせなければ容易に殲滅できる。こうした戦果をあげるために必要なのが,味方との連携であり,戦術というわけだ。
 兵種それぞれの特徴は,大雑把に以下のようになっている。

  • 歩兵:正面戦闘に強く前線の主力となる。戦術的なテクニックをそれほど必要とせず,初心者でも扱いやすい。盾を上に構えるなど,遠距離攻撃に対する防御スキルなどを持っている場合もある。
  • 騎兵:移動速度が最も速く,奇襲や偵察を得意としており,その機動力で遠距離ユニットを倒していくのがセオリーとなる。機動力を生かして敵を翻弄する戦いが得意で,相手の弱点を突いたり,自軍の弱点を補強したりとやれることが多く,やや上級者向けの兵種だ。
  • 投射歩兵:防御力が低く非常に打たれ弱いが,弓や投石,投げ槍を使用して遠距離から一方的に攻撃できる兵種だ。ただし,投射歩兵の攻撃には誤射があり,味方と敵が交戦中のところを攻撃すると,味方もダメージを受ける。この場合,自陣営が不利になるだけでなく,報酬へのペナルティもあるので,うっかり味方を射続けて壊滅させてしまった,なんてことがないように注意したい。

ローマ帝国のゲルマニクス。歩兵で使いやすいスキルを持ち初心者向き
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ギリシアのキュナネ。投射歩兵用のスキルが多く,前線支援を得意とする
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蛮族のアルミニウス。攻撃力が上昇する一方で防御力が大幅に減少したり,敵に変装したりといったスキルを持ち,クセがある
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投射歩兵が,歩兵の突撃を受けて大打撃を受けている。投射歩兵は接近戦に弱く,相性が良い兵種にも負けてしまう
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 戦場には最大で30の敵ユニットがいるわけで,そのすべてを1人で相手にするのはまず不可能だ。となると,必然的に味方と連携しながら戦う必要がある。
 そうした連携の一番分かりやすい例は投射歩兵だろう。前線の後方で弓や投石で攻撃する投射歩兵は孤立しやすい。そして孤立すれば相性の悪い騎兵に狙われやすくなるというわけで,味方の歩兵に護衛してもらうといった連携が必要になってくるのだ。
 投射歩兵の場合は守備的な連携だが,攻撃面でも連携は重要だ。例えば,味方歩兵が前線を構築し,相手部隊を押さえている間に別動隊が後方へと回り,包囲して殲滅する。敵も同じように後方へ回り込もうとしたり,味方の別動隊を阻止しようとするので,簡単にはいかないが,うまく連携が取れたときは,なんとも言えない達成感が味わえる。
 
味方の投射歩兵が襲われそうになっている。自身のユニットで防衛に向かおう
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戦いの重要な要素「士気」。敵の士気を削ぎ,味方の士気を高めろ


右側面から攻撃に成功し,敵ユニットを敗走させた!
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 「戦闘」に特化したRTSである本作には「士気」の要素がある。士気はユニットごとに存在し,士気が十分に高ければ通常通りの戦闘力を発揮できるが,0になると“敗走”してしまう。敗走すると反撃能力が失われるため,追撃を受けると簡単に壊滅するのだ。
 つまり,直接戦闘で敵を殲滅するだけでなく,いかに敵の士気を挫くかも重要になる。士気は敵の側面や背面を突いたときや,特殊なスキルを使用すると削れる。
 また,士気を削る単純な戦法としては,相手より多くのユニットを投入して包囲する方法がある。個人単位の小規模な戦闘では1〜2ユニットで敵を正面に引きつけ,その隙に別ユニットを敵後方に回り込ませるというのも有効だ。
 とはいえ,数的に不利な状況でも,うまく敵を翻弄し,敗走させれば勝利するとこは可能だ。士気の要素によって,単純な兵力差だけで勝負が決まらないゲームプレイを生み出しており,それがRTSとしての本作の面白さの肝にもなっている。


司令官とユニットの階級となる「Tier」
あがるにつれ広がる戦術の幅


 戦闘が終わると経験値とゲーム内通貨「シルバー」が手に入る。シルバーは消耗品の購入やユニットの補給,装備品の更新などで使用するという分かりやすいものだが,経験値はちょっと複雑だ。

 そもそも本作には「経験値」に該当するものがいくつか存在する。1つはユニットの経験値。これは「World of Tanks」における技術ツリーと同様のシステムで,ユニットごとに管理され,そのユニットの強化や,新ユニットの開放などに使用する。
 2つめは司令官の経験値で,こちらは戦闘を終えるたびに司令官に蓄積され,一定値に到達すると自動的に次のTierへと進む。ユニットの開放は勢力ごとだが,司令官は自分のTier以下のユニットしか指揮できない。例えば,ローマでTierVの歩兵を開放していても,司令官のTierがIVだと部隊にはIVまでの歩兵しか編制できないというわけだ。また司令官のスキルもTierが上がることで使用できるものが増えていく。
 3つめは「フリー経験値」だ。こちらは戦闘での活躍によって一定割合で入手できる。ユニットの強化にも使用できるが,司令官のスキルのレベルアップと新たな司令官の開放はフリー経験値でしか行えないので,無駄使いしないようにしたい。

 Tierが上がっていくにつれて,投石器といった特殊な兵種も登場するほか,歩兵などの基本兵種も使えるスキルが増える。戦術の幅が広がり,より白熱した戦闘が楽しめるようになるだろう。

この画面で,司令官のスキルを強化することができる
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対人戦で白熱した戦術のぶつかり合い


 本作は対戦型のオンラインゲームだが,ゲームを始めたばかりのTierI〜IIはAIとの対戦になる。対人戦は可能になるのはTier IIIからで,さらにTierIVまであがると対人戦のみとなる。
 ただ,意図的に低いTierのユニットで部隊を編制すれば,いつでもAI戦は可能なので安心してほしい。

 AIとの対戦も面白いのだが,やはり本作の醍醐味は対人戦だ。10対10の戦場は何が起こるか予測がつかず,お互いの戦術がぶつかり合う熱い戦いが繰り広げられる。戦闘開始前に味方と打ち合わせもできるが,大まかな行動方針を味方に伝えるくらいのもの。状況を把握して戦うことが勝利の近道なのは間違いないが,大体は行き当たりばったりで戦うことになるので,そこまで気にしなくても楽しめる。

開始位置選択画面ではF3の地図マーカーがよく使われる。覚えておこう
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 とはいえ,コミュニケーションを取って計画を立てるといろいろとスムーズに進むのは間違いないし,味方とコミュケーションを取れば危機的な状況で救援が望めるかもしれない。戦闘開始前にF3キーで地図上にマーカーを置けるので,自分がどの方面に向かうか,くらいは伝えておくといいだろう。
 また敵が潜んでいたり,横から奇襲されそうな場所を報せる警告ピンがF2キー,味方と簡単なコミュニケーションが取れるピンがF4キーで使えるので,余裕があれば役立てたい。

コミュニケーション

Enter : 味方にチャットを送る
F2 : 警告ピン
F3 : 地図上にマーカー(試合前の開始位置選択画面でも可能)
F4 : ピンを鳴らす(ピンの種類はマウスドラッグで選択)

試合開始前の待機画面では,カメラを操作してマップの探索が可能。戦闘中に細部を見ることはないが,細かいところまで描写されているので眺めるだけでも面白い
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マップは現在13種類あり,それぞれに特徴がある。試合前のロード画面や,公式サイトでチェックできるマップの攻略ヒントを参考にしながら,どのように敵陣を攻めるか考えるといい
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 それでは部隊の配置を決めたあとの戦闘の流れを軽く紹介しよう。戦闘開始後,まず行われるのは,騎兵を率いる司令官による偵察だ。相手がどのように動くか,どの方面に集中しているかが分かると,当然,戦いやすくなる。
 敵が集中する方へと向かい,正面からぶつかっても良いし,十分に味方が前線を築けているなら,移動速度が速くなる道や,ユニットを隠せる森を通って敵の背後を突く手もある。
 本作の戦闘において最も重要なのは“数”だ。自軍より多い敵が来るなら後退して味方と合流してもいいし,陽動部隊を送りこんで敵の兵力を分散させるのもいいだろう。劣勢をどう覆すか,優勢時にどうやって効率よく敵を撃破するか,戦術家としての手腕が問われるところで,TWAの最も面白い部分だ。

試合結果画面では,活躍したプレイヤーが表示される
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詳細画面でスコアや統計を確認できる
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戦闘中に自分の部隊が全滅しても,ロビーに戻れば別の司令官で出撃できる。全滅して途中で抜けても報酬は通常通りもらえる
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新たな勢力や司令官の追加で進化していく戦術


 2月22日からオープンβテストが行われている本作だが,クローズドβテストからオープンβテストに移行するタイミングで,新たな勢力“カルタゴ”が追加された。“ハンニバル・バルカ”などの司令官を有し,ギリシアの槍兵と騎兵,ローマの剣兵,蛮族の傭兵と,バランスの良い兵種が揃っている勢力だが,もっとも特徴的なユニットは“戦象”だ。その巨体でもって敵歩兵に突進しなぎ倒す,強力なユニットとなっている。
 新たな勢力が追加されると,その特徴的なユニットをベースにした新たな戦術,戦法が編み出される。当然,それに対抗するための戦術も生まれるわけで,新たな勢力や司令官が追加されるたびに,戦術も進化していくのだ。
 また3.1.5アップデートでは蛮族に新たな司令官“アンビオリクス”が追加されるなど,継続的に戦場を変える新要素が追加されている。

 TGS 2017のステージイベント(関連記事)で“日本”の参戦も示唆されている。具体的にいつ頃追加されるのかは分からないが,楽しみな要素の1つだろう。

新しく追加された蛮族の司令官であるアンビオリクス。遠距離攻撃に特化したスキルを持っている
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自軍が敵ユニットを抑えている間に,味方が敵本拠地を占拠! 連携がうまくいった試合は,かなりの充実感がある
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