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あと1試合だけ……。Blizzard初のカードゲーム「Hearthstone: Heroes of Warcraft」は,やめどきが分からなくなる危険なゲームだった
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印刷2014/01/30 00:00

プレイレポート

あと1試合だけ……。Blizzard初のカードゲーム「Hearthstone: Heroes of Warcraft」は,やめどきが分からなくなる危険なゲームだった

画像集#001のサムネイル/あと1試合だけ……。Blizzard初のカードゲーム「Hearthstone: Heroes of Warcraft」は,やめどきが分からなくなる危険なゲームだった
 Blizzard Entertainmentは,同社初となるカードゲーム「Hearthstone: Heroes of Warcraft」のオープンβテストを,2014年1月22日より開始している。本作は,「Warcraft」シリーズと同じ世界観を共有する対戦型のカードゲームだ。

 Blizzardが遂にカードゲームを出したぞ!ということで,世界中のゲーマーから注目を集めている本作だが,海外のゲームをあまりプレイしないユーザの中には「ふーん,そうなんだ」程度に思っている人も少なくはないだろう。

 いや,ちょっと待ってほしい。確かに日本語でのサポートはしていないが,さすがBlizzardというべきか,オープンβテストの段階にしてゲームの完成度はかなり高く,「ふーん,そうなんだ」で済ませるのは非常にもったいないくらいに面白い。実際に睡眠時間を削ってまで夜な夜なプレイしている誰かさんが言うのだから間違いない。

 ということで,「1人でも多くの人に知ってもらえれば」という100%純粋な気持ちから仕上がった本作のプレイレポートをさっそくお届けしよう。決して仕事中に遊びたいからという訳ではない。


「Hearthstone: Heroes of Warcraft」公式サイト



「マジック:ザ・ギャザリング」を凝縮したようなスピード感と面白さ


 「Hearthstone」は,30枚で構成されるデッキを使って,相手プレイヤーと戦うゲームだ。ミニオンや,スペル武器カードを駆使して互いのHPを削り合い,先に相手のHPを0にすれば勝ち,といった感じで勝敗のルールは至ってシンプルだ。

 1試合にかかる時間も5分〜10分程度と短いので,「寝る前に1試合だけ」といった感じにサクっと遊ぶことができるのも本作の特徴だ。「あと1試合だけ……あと1試合だけ……」と,某ストラテジーゲームのような病に掛かり,ここのところ,筆者も睡眠不足が続いている。
 「サクッと遊べる分,ゲームの内容は薄っぺらいのでは?」と思われるかもしれないが,それはないとキッパリ断言できる。むしろ短時間のうちに何度も逆転劇が起こるので,否が応でも白熱してしまう。

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 ゲーム全体としては「マジック:ザ・ギャザリング」(MtG)の面白い部分をうまく凝縮している印象で,ルールもそれに近い。プレイヤーは,カードごとに設定されたマナコストを支払ってカードをプレイするのだが,このマナの扱いがMtGと若干異なる。
 MtGの場合は,土地と呼ばれるカードがマナの役割をしており,実際に手札からプレイする必要があるのだが,「Hearthstone」は,毎ターン1ずつマナが増えていく仕様になっている。
 要するに,マナの量で相手と差が開くことがなく,高コストのカードが使えるタイミングも大体同じになるのだ。どうもこのマナシステムがゲームスピードに大きく影響しているようで,体感的に言わせてもらうと,マナ1〜3が序盤,4〜6が中盤,7〜10が終盤といった感じで,ゲーム開始から大体10ターンで終盤に突入している印象だ。早い試合ならば7ターン目を前にして決着していることもある。

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デッキのコンセプトは個性派揃いのヒーロー達で決まる


 本作を語るうえで欠かせないのが“ヒーロー”の存在だ。豊富なスペルカードで相手を圧倒する「Mage」,武器カードを装備して自ら攻撃を仕掛けていく「Warrior」,相手の一手先を読み封殺する「Hunter」など,現段階で9人のヒーローが実装されている。
 プレイヤーはデッキを作る際にヒーローを1体選び,そのヒーローが持つ固有のカードと,すべてのヒーローが扱える「Neutral」カードを組み合わせてデッキを構築していくのだ。
 さらにヒーローは,それぞれマナコスト2で使用する特殊スキルを持っている。ダメージを与えたり,HPを回復したり,カードをドローしたりと,これらをうまく利用すれば,より有利な状況に持っていける訳だ。

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 このヒーロー達の存在は,デッキを作る時のコンセプトとしても役立つ。どのカードゲームでも言えることだが,始めたばかりのうちは,どういうデッキを作ればいいのか非常に悩むものだ。
 そういう時は,何枚かお気に入りのカードを見つけて,それを中心にデッキを組むといい。「Hearthstone」においては,ヒーローの固有カードが非常に強力なので,何枚かの固有カードと,それをうまく活かせる「Neutral」カードを見つけてデッキを組めば,十分に戦えるはずだ。

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オープンβテストの段階で500種類を超えるカードが実装。そこから生まれるデッキや戦略の幅広さ


 先ほども説明したとおり本作には,ヒーロー固有のカードと「Neutral」というカードが存在し,その数はオープンβテストの段階で,すでに500種類を超えている。そのうえ,まだ始まったばかりのゲームなので,攻略サイトなどを見ずに試行錯誤してデッキを作っているプレイヤーが多く,対戦をしていると「そういう使い方があったのか!」というようなコンボがたくさん見られる。

 例えば,HPを2倍にするスペルカードと,攻撃力をHPと同じにするスペルカードを組み合わせて,一発逆転の大ダメージを与えたり,攻撃を受けると能力が高まるミニオンに,攻撃力の低いスペルを当てて自己強化するなど,ヒーロー固有のカードと「Neutral」を組み合わせたコンボが対戦では多く見られる。

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 また,コスト2にして強力なパワーを持つ「Ancient Watcher」というミニオンを使ったコンボもある。彼は攻撃ができないという効果付きだが,カードの効果を打ち消す「Silence」や,攻撃を引き付ける「Taunt」を付与することで,その真価を発揮するのだ。当然,こういったコンボを知っているプレイヤーにしてみれば,召喚されただけでかなりのプレッシャーを感じるはずだ。
 ほかにも,BeastsMurlocといった,同じ種族同士で能力を高め合うカードもあり,これらを軸にしたデッキも非常に強力だ。

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 こういったデッキ作りのヒントは,実際にプレイする以外にも,ランクの高いプレイヤーのライブ配信などで得ることができる。ちなみにライブ配信サイト「Twitch.TV」では,「Hearthstone」の配信視聴者数がピーク時で4万を超えるなど,日夜盛り上がりを見せている。


気軽に対人戦ができる「Casual」「Ranked」 リアルマネーで入場する「The Arena」


 今のところ本作には,「Casual」「Ranked」「Practice」「The Arena」の4つのモードが用意されている。「Casual」は,勝っても負けてもプレイヤーランクが変動しないので,気軽に楽しむことができるモードだ。まずはこのモードから始めて対人戦に慣れておこう。
 「Ranked」は実力の近いプレイヤーとマッチングし,勝ち続けることでランクが上がっていく仕組みだ。ある程度ルールを覚えたら,戦いの場をRankedに移すといいだろう。また「Practice」は,CPU相手に練習ができるので,試作デッキがうまく機能しているか見るのに最適だ。

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 そして中でも特殊なのが,リアルマネーを払ってプレイする「The Arena」だ。正確には,1.99ドルまたはゲーム内通貨であるゴールド150枚を入場料として払う形になる。このモードは12勝するか3敗することで終了し,その時点での勝ち数によってカードパックやゴールドといった報酬がもらえる。感覚としてはゲームセンターなどでプレイするカードゲームに近いかもしれない。
 
 試合のルールこそほかと同じだが,Arenaでは3枚ずつランダムに提示されるカードを1つ選択,という作業を繰り返しながら構築した即席デッキで試合に挑むことになる。MtGにおけるシールド戦のような感じだ。
 入場料があるので気軽に遊べない分,勝ち続ければそれ以上の報酬が手に入るので,腕に覚えがあるのならば挑戦してみよう。

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 ちなみにはカードパックには,5枚のカードが入っており,必ず1枚はレアカードが封入されている。カードパックは1パック100ゴールドとなり,2パック以上からはリアルマネー(2パックで2.99ドル〜)で購入可能だ。手っ取り早くカードを揃えたいなら購入を検討してみるのもいいだろう。


「あと1試合だけ」の無限ループ


 さて,筆者を「あと1試合だけ」病に貶めている本作だが,その魅力はやはりBlizzardのゲームという安心感にある。ただのファンボーイだと思われるかもしれないが,「Diablo」「Warcraft」を世に送り出しただけのことはあり,ゲームバランスはもちろん,操作感やフィールドギミックの動きなど,細かいところに目を向けても,そのクオリティの高さを確認できる。

 また,1クリックですぐに対戦相手が見つかるマッチングシステムはもちろんのこと,試合時間が短く,何より対戦成績が付かないので勝率を気にせずにプレイできるという気軽さが,「あと1試合だけ」と思わせる要因に違いない。
 現在実施中のオープンβテストはPC向けのものになるが,今後スマートデバイスに向けたリリースも予定されているので,しばらくすれば場所を選ばずプレイできる。考えただけでも色々な意味で恐ろしい。

 「ふーん,そうなんだ」で済ますには惜しいことが分かってもらえたかは不明だが,少しでも興味を持ってもらえたなら,“1試合だけ”でいいので遊んでみてほしい。

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