2013年8月21〜23日にかけて開催されたCEDEC 2013。その開催初日,
「累計アプリダウンロード数1億9000万突破! ゲームプラットフォーム『LINE GAME』の成長と今後の可能性」と題したセッションが行われた。
このセッションでは,LINEの代表取締役社長
森川 亮氏が,同社のスマートフォン用アプリ「LINE」で展開しているゲームプラットフォーム「
LINE GAME」の急速な成長過程と現状,そして今後の展望を語った。
1つのプラットフォームとして存在価値を高めた「LINE」
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セッションの序盤では,森川氏がLINEのこれまでの歩みを振り返った。
2011年6月,無料通話/無料メッセージアプリとしてサービスをスタートしたLINEだが,当初は家族や友人など身近な人達同士のコミュニケーションツールとして利用されることを想定していたという。それが今や,国や地域,言語の壁を超えて成長し,全世界のユーザー数は2億3000万人以上となった(※2013年8月21日現在)。なお,2012年8月から1年間の成長率は460%で,1時間に6万3000人の新規ユーザーが生まれているとのこと。
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LINEは,Google Playでは1億回以上ダウンロードされたアプリ(全13タイトル)のうちの1つ,App Storeでは52か国でランキング1位を獲得したアプリという記録を達成している |
現在は17言語をサポートしている。日本のユーザー数は全世界の20%にあたる4700万人と最も多く,次いでタイ,台湾,スペイン,インドネシアの順に
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1日に飛び交うメッセージ数は70億で,使われるスタンプの数は10億にも上る |
これらのデータから森川氏は,LINEについて「今,世界で最もホットかつポピュラーなソーシャルプラットフォームである」と表現した。さらにこうした存在になった理由に「世界的に起こっているスマートフォン革命にある」と説明を加えた。森川氏は近年のスマートフォンの台頭は,単なるデバイスの進化ではないとし,
「スマートフォン革命とは,コミュニケーション革命」と持論を展開する。
すなわち,これまでPCの電子メールに始まり,携帯電話のショートメールが登場し,その後はスマートフォンでキャリアの垣根を越えてやり取りのできる無料メッセンジャーアプリが登場した。さらに現在はメッセージだけでなく,通話や動画などのさまざまなコンテンツと連携したやり取りのできるLINEのようなマルチコミュニケーションアプリが主流になっているというわけだ。
森川氏によると,「今やLINEはコミュニケーションツールとしてだけでなく,1つのプラットフォームとして,さまざまなコンテンツを提供する場として利用されている」とのことだ。
「LINE」のコンセプトに沿って身近な人と
一緒に楽しむことを目指した「LINE GAME」
パブリッシャとしてのLINEは,スマートフォンアプリのグローバルランキングでGoogle Playでは4位,App Storeでは10位に入る。
なぜこのような急成長を遂げたのかを説明する前に,森川氏はモバイル端末で遊ぶゲームの傾向を説明した。コンシューマゲームがそうだったように,当初の主流はカジュアルでシンプルな内容のものだったが,次第にやり込み要素のあるコアなものへとシフトしている状況のようだ。
こうした流れの中で,LINEが提供するコンテンツの1つであるLINE GAMEはどうあるべきか。森川氏は「身近な人とのコミュニケーション」というLINE本来のコンセプトに立ち返り,オフタイムに友人や同僚と遊んだり,リビングで親子が遊んだりできる,誰にでも分かりやすいゲームを目指したと語る。
その流れから誕生したのが,シンプルなパズルゲームの
「LINE ポップ」と
「LINE バブル」だ。結果として,両タイトルはLINE GAMEの代表作と言えるほどのヒットを記録した。森川氏はその理由について,シンプルな内容はもちろんのこと,日本人があまり好まない直接的な競争を避け,ランキング形式にしたこと,そして「勝ったときは実力,負けたときは運」と思えるゲームデザインにしたことなどと分析した。
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2013年7月31日現在,「LINE ポップ」は3200万ダウンロード/売上43億円,「LINE バブル」は2500万ダウンロード/売上19億円を記録している |
現在,LINE GAMEは全36タイトルがラインナップされており,累計1億9000万ダウンロードを記録している。これは1秒間に5回ダウンロードされている計算になり,2013年7月の売上は26億円だったという。
この数字を受けて,森川氏は2014年度のLINE GAMEに関して,「日本一のスマホネイティブアプリ・プラットフォームを目指す」と展望を述べた。また,さらなる世界展開も視野に入れており,氏は昨今のゲーム市場が大きく転換していることから,「ゲームを提供する方法や価値が以前と異なっている」と分析。LINEの世界展開に合わせて,LINE GAMEも同時に展開していくとの方針を明らかにした。なお,現在はアジアやロシア,南米を中心に展開を進めているが,2014年度にかけてヨーロッパや北米にも範囲を広げていくとのことだ。
さらに森川氏は,
「LINE GAMEをスマホネイティブアプリのゲートウェイにしたい」との展望を語った。そのためには,「いつでもどこでも遊べる」「誰でも遊べる」「身近な人と遊べる」「世界中のゲームを遊べる」という4つのポイントがあるといい,具体的にはLINEを今以上に多様な言語に対応したり,各国のパートナー企業のゲームをLINE GAMEで展開するとのことだ。
今後,LINEは2013年内の3億ユーザー達成を目指すとともに,コンテンツとマーケティング双方のプラットフォームとして展開していくという。
コンテンツプラットフォームとしては,LINE GAMEのほかに電子書籍や音楽,動画などとの結び付きを強化していく。
また,マーケティングプラットフォームの面では,企業がスポンサードする無料スタンプの配布などに注力していくようだ。ちなみに,とあるテレビ業界関係者によると,LINEの国内におけるマーケティング効果はテレビ視聴率の7%に相当するという。森川氏は「オンラインメディアがテレビと比較されること自体,ほとんど例がない」とLINEの影響力の大きさを明かしている。
最後に森川氏は,聴講するゲーム開発者に向けて「LINEの価値をご理解いただき,ぜひ一緒にビジネスを展開できればと思っています」と呼びかけた。そして,あらためて「LINEを世界の共通語にしたい」と展望を述べて,セッションを締めくくった。