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[TGS 2015]VR HMDでSF的なダイビングを体験。あなたの街にも潜れる「水没都市」プレイレポート
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印刷2015/09/20 16:14

プレイレポート

[TGS 2015]VR HMDでSF的なダイビングを体験。あなたの街にも潜れる「水没都市」プレイレポート

画像集 No.002のサムネイル画像 / [TGS 2015]VR HMDでSF的なダイビングを体験。あなたの街にも潜れる「水没都市」プレイレポート
 東京ゲームショウ2015(以下,TGS 2015)で公開されたさまざまな展示のなかでも,とりわけ高い注目を集めていたのが,仮想現実対応型ヘッドマウントディスプレイ,いわゆるVR HMD関係の展示や発表だ。E3 2015やgamescom 2015といった海外のゲーム関連イベントでも同じような傾向が見られており,まさに,今が旬のハードウェアと言えるだろう。

 だが,その一方で,今後の普及に向けたいくつかの課題や問題点も指摘されている。たとえば,VR HMDはどうしても着脱に時間がかかるうえに,隣にいても体験者が何をして,何を楽しんでいるのか分かりにくいという弱点があるのだ(※外部ディスプレイで,体験者が見ているものを見ることはできるが)。
 画像が立体的に見えることや,自分の視線に従って画面が動くという機能も,体験してみないと分かりにくいのだが,体験しようにも長蛇の列に並ばなくてはならないことも多く,気軽に体験しにくい状況が続いている。これはなかなかのジレンマといえよう。

水没都市制作チームの1人である島田卓也氏
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 TGS 2015の「インディーゲームコーナー」にも,VR HMDを使ったゲームがいくつか展示されていたのだが,ここは30〜40分も並べば体験できるとあって,VR HMDを体験する場としては,穴場になっていた感がある。

 その中でも,体験待ちで行列ができていたVR HMD向けゲームの1つに,「水没都市」というタイトルがあった。SF的な雰囲気のこの作品は,いったいどんなゲームになっているのだろうか。プレイレポートをお届けしよう。


水没した地球に「潜る」


 SF仕立ての作品である水没都市の舞台は,謎の事故をきっかけとして,全世界が水没してしまった地球だ。かろうじて月に避難した人類は,月の生態系を回復させるために,地球へとダイバー部隊を派遣して,水中に散らばっている「遺伝子のかけら」を集めることになる。プレイヤーは,そんなダイバーの1人として,「遺伝子のかけら」の探索と採取を行う,というゲームだ。
 一人称視点の探索型ゲームといったところで,海中で戦う対戦ゲーム,「Depth」に近いイメージと言えば,分かる人もいるだろうか。

水没都市のプレイ画面を,別の液晶ディスプレイに表示した状態。水没した地球が舞台なので,当然ながら水上は一面の海だ
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 水没都市では,Oculus VRが開発を進めているVR HMD「Rift」の第二世代試作機,通称「DK2」を使用する。
 水没都市の面白いところは,移動の操作にVR HMDのヘッドトラッキング機能を活用していることだ。自分がどの方向に進むかは,物理的に「見ている方向」によって決定される。たとえば,下に潜りたいなら,自分の足元を見ればいいし,移動方向を変えたいなら,移動したい方向に向き直ればいい。

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 操作にはゲームパッドも使うが,使うボタンは2つだけ。1つは移動時の加速ボタンで,もう1つはソナーの発信ボタンだ。これを使って海中から「遺伝子のかけら」を探し出すのである。

ソナーを使ったところ……,左手前方に反応あり!
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 ゲームの進行は,3Dグラフィックスで描かれる水没した都市を自由に移動して,規定数の「遺伝子のかけら」を回収すればステージクリア,というシンプルな形式だ。ただし,「遺伝子のかけら」は1度に1つしか持てないので,1つを回収したら,拠点となる軌道エレベーターまで戻らねばならない。しかも,1ステージは3分という制限時間があるので,規定数のかけらを回収するのは,なかなか大変だ。

画面中央に見えるピンク色の柱が,軌道エレベーターだ
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自分の住んでいる街にも潜れる


 水没都市の興味深い特徴に,マップの自動生成という機能がある。インターネット上で公開されているフリーの地図データ「OpenStreetMap」と地形データ「Global Multi-resolution Terrain Elevation Data」を読み込んで,現実の地形を水没させたマップを自動的に生成できるのだ。
 緯度と経度を入力すれば,その地域がステージになるわけで,馴染みのある街を舞台としてゲームが楽しめるというのは,ゲームのテーマとあわせて,とても面白いギミックといえよう。

マップは自動生成される
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 VR HMDやVR向け入力デバイスには,さまざまなものが登場しているが,水没都市は,DK2と市販のPC用ゲームパッドを利用するゲームとして制作されている。今のところ,ほかのVR HMDや入力デバイスには対応していない。

 また,現状のUIは完成形ではなく,これからも改良を加えていく予定であるという。実際に体験してみた印象では,現状のUIはプレイしていて楽しい反面,周囲をぐるぐると見回さなくてはならないので,HMDのケーブルが制約になってくる。立ってプレイしている状態で,体ごと一回転したりすると,ケーブルが体に巻き付くこともある。
 正式リリースはまだ先,とのことなので,このあたりも含めて,今後の改善に期待したいところだ。


「何やってるか分からなくてキモい」の壁


 さて,面白い作品となっている水没都市だが,VR HMDを用いたゲームを見ていると,開発者やファンの熱意を感じる一方で,一抹の危うさも感じてしまう。
 筆者は,いわゆるアナログゲームに関わって長いが,広く普及するアナログゲームには,「プレイしない人が,プレイしている様子を見ても,楽しそうだと思える」という条件があると考えている。何をしているのか分からなかったり,何が面白いのか分かりにくいゲームは,「面白そうだ」と思われる以前の段階として,「キモい」という拒絶感を生みがちなのだ。

 現状のVR HMDを用いたゲームは,この「プレイしない人が近くで見ていて面白そうだと感じる」感覚に乏しいものが,少なくないように思える。
 もちろん,乗馬をVR HMDで体験する「Hashilus」(ハシラス)のように,見ていて面白そうなことに力を入れた作品もあるので,「VR HMDのゲームでは,プレイしていない人に『面白そう』と思ってもらえない」ということは,決してないはずだ。水没都市でも,DK2に出力する前の画面を外部ディスプレイに表示する機能があり,ギャラリーでも「何が起こっているのか分かりやすい」環境を作っている。

Oculus VRのRiftでは,VR用に変形された映像を生成してVR HMD上に表示する仕組みをとっているが,変形後の画像を別のディスプレイに表示しても,ギャラリーには何が起こっているのかは分かりにくい。そのために水没都市では,変形前の映像を出力する機能を用意することで,ギャラリーにもゲームの内容が分かりやすいようにしているのだ
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 だが今後,VR HMDを用いたゲームが本当に普及していくためには,この「何やってるか分からなくてキモい」の壁に対して,何らかの対処が必要なのではないか。TGS会場におけるさまざまなVRコンテンツの展示を見て,改めてそう感じさせられた。

水没都市 〜シマダシステム 公式Webサイト


4Gamer「東京ゲームショウ2015」特設サイト


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