紹介記事
「討鬼伝」体験版のインプレッションを掲載。「部位破壊から始まる」という独自システムを把握して鬼を狩ろう
ビジュアル面では「信長の野望 Online」のように,和風ファンタジーとも言うべき,コーエーテクモゲームスならではの世界観を見せてくれる本作。強大な生命力と破壊力を宿した敵を,姿形ではなく,その有り様を指して「鬼」と呼ぶ――といった世界観も,なかなかに格好いい。そして,システム面では,基本部分こそ従来の狩りゲーに準じながら,独自の要素が盛り込まれているのだ。
一方で,この独自システムについては,体験版のゲームプレイでは十分なチュートリアルが用意されていないため,逆に狩りゲーに慣れている人ほど戸惑うことが多いかもしれない。
また,一般的な体験版では,こうした新しいシステムに触れさせるときは,あまりシビアなゲームバランスにしないものだと思うのだが,狩りゲーを遊び込んでいるゲームファンへのリスペクトが強すぎるのか,かなり挑戦的なゲームバランスになっている。
そんなこともあって,気軽に体験版として遊んだつもりのプレイヤーが,独特の要素や,ハードなバランスに面食らうといった様子が方々で見られるようだ。
しかし,一通りのシステム,各種武器,そしてミタマという要素についての特徴などを理解すると,見え方も変わってくる。本稿では,「討鬼伝」という作品を,体験版を遊ぶにあたっての基礎知識を交えながら紹介していこう。体験版を遊ぶ前にぜひご一読を。
「鬼」を倒すためのその壱――操作の基本から
体験版を起動したら,いきなりミッションに挑戦するのではなく,必ず「戦闘解説書」に一度目を通してほしい。というのも,武器の使い方はもちろん,ゲームプレイ中のチュートリアルでは知り得ない,本作の肝となる鬼との戦いにおいて,重要かつ基本的な流れが記載されているからだ。
まずは,各種武器とミタマについて確認していこう。武器は4種類用意されていて,それぞれ射程や使い勝手に特徴がある。そしてミタマは,RPGにおけるいわゆるクラスや職業に相当するものだ。戦いにおいての役割を決定づけ,それに応じた能力を付与してくれる。
起動したらさっそくミッションに……挑みたいところだが,はやる気持ちを抑えて「戦闘解説書」に目を通そう。しっかりと読んでいくと,意外な発見もあるはずだ |
アタッカーになるのかサポート役になるのかは,武器でなくミタマで決まることに注意したい |
武器については「武器指南」というプレイモードで,それぞれの武器に関するチュートリアルが用意されているのだが,その内容は最低限なので結局のところミッションで具体的な使い方を身に付けていくことになる。
ただ,武器によってアクションや効果はさまざまなのだが,□と△ボタンによる通常攻撃,□+×ボタンによる弓以外では防御系として使える独自アクション,○ボタンによる特殊技,△+○ボタンによる身体部位破壊アクションといった,ゲーム中の基本操作になる5つのアクションを,ここで理解しておきたい。
○ボタンによる特殊技は,発動中に「気力」を大量消費する上級者向けのアクションだ。気力は回避などにも使用することになるため,緊急時のために残しておきたいのだが,特殊技を使いまくっていると一気に気力がなくなってしまう。筆者自身がプレイしていたときは,気力のマネージメントがうまくいかず,結局,ボタンによるアクションを使わないほうが戦績が安定していたりした。
また,武器ゲージを溜めると使用できる△+○ボタンによる部位破壊攻撃は,鬼を倒すにあたって必須ともいえるアクションなので,覚えておきたい。
また,忘れがちなのが×ボタンを押しっぱなしで「走る」ことができるということ。こちらも気力を消費するが,移動や鬼との距離を詰めたり,逆に距離を取りたいときには欠かせない。
「鬼」を倒すためのその弐――各武器の特徴を知る
武器については,先述のとおりプレイヤーの好みで選んで構わないだろう。ただし,それぞれ間合いが異なるほか,ミタマの性能との親和性も若干あるように感じた。アタッカータイプのミタマを選択すれば,どの武器でもアタッカーとして活躍できるので,やはり一通り試してみて自分に合うものを選ぶのがよさそうだ。もし迷うようなら,太刀が一番くせがなくて使いやすいように感じた。
以下に,武器の特徴を挙げてみる。自分で武器を選ぶときの参考にしてほしい。
●太刀
□と△での連続技がつなげやすく,攻撃範囲も比較的広いなど,一番くせのない武器だ。特殊な立ち回りも必要ないので迷ったらこれを使うといい。
●手甲
一発は重いが,間合いが狭く攻撃範囲も広いとは言えない。しかし,□+×ボタンが「不動の構え」というダメージを減衰させるガード技になり,そこからのカウンターが打ちやすいなど,重戦車的なイメージを持つ。また,△ボタンによる「赤熱打撃」がダメージを通りやすくするデバフ的な効果を持つので,準サポート役にもなれる。
●鎖鎌
中距離から攻撃できたり,「分銅射出」で分銅を投げつけた敵に向かって,一気に距離を詰めるといったトリッキーな動きが楽しめる。「分銅射出」で飛びかかるときに迎撃されてしまうとダメージが大きいので,敵の攻撃のタイミングはしっかり見極める必要があるだろう。近距離では鎌による連続攻撃が可能で,見た目も派手だ
●弓
離れた位置から比較的安全(鬼の攻撃範囲は侮れない)に攻撃ができる武器。弓は自力で狙いを付ける必要があるのだが,大型の鬼ならば的も大きく問題はない。溜め撃ちや矢をつがえた数に応じて変化する攻撃など攻撃方法も多彩だ。ただし,防御用のアクションがなく,敵に近づかれると狙いを付けにくいことから,小型の雑魚敵に悩まされることがある。ゼロ距離で攻撃が当たらないことがあるのは,体験版だからだろうか。
「鬼」を倒すためにその参――英雄の魂「ミタマ」を使いこなせ
かつて鬼に食われ,その鬼に捕われていた英雄の魂が「ミタマ」である。製品版では,200以上のミタマが登場する予定だ。
ミタマは,装着することでそのミタマ特有の能力(スキル)が備わるほか,「タマフリ」という特殊能力が使えるようになったり,ミタマに応じて攻撃力や防御力が上昇したりといった効果がある。なおタマフリは,攻撃力の強化や,敵の足止めなどさまざまな効果を持っているが,使用回数が限られている。うまく使っていきたい。
特殊能力であるタマフリに目が行きがちなミタマだが,先ほども述べたように,仲間と一緒に戦うにあたって自らの役割を決める要素になっている。例えば,アタッカーにおける攻撃力の上昇や,タンクにおける敵対心の上昇などがそうだ。
また,敵の攻撃をうまく回避できないからと言って防御系のミタマを付けるのは,とくに鬼との戦いにおいてはあまりオススメできない。強大な力を誇る鬼に対しては,欠点を補うようなミタマを装着するよりも,やはり役割に応じたミタマの装着が効果的だ。
ひとまず体験版では,ミタマの選択に迷ったら「源頼光」をオススメしたい。攻撃力を手っ取り早く上げることができる,一番シンプルに活躍しやすいミタマだからだ。また,気力の回復速度が上昇する能力も大きい。
武器と同様に体験版で使えるミタマについても,以下に簡単な特徴を挙げておこう。シングルプレイなら上記のとおり「源頼光」が一番のオススメだが,アドホックプレイで仲間と遊ぶのなら,各自の役割に応じてミタマを選ぶといいだろう。
●源頼光
Rボタン長押しで気力を素早く回復できるのも,気力消費の激しいこの体験版ではとてもありがたい。割となんでもできる“勇者様”なミタマで,どの武器と組み合わせても十分な効果を発揮する。
なお体力を回復するタマフリは,体験版で使用できるミタマ全員が持っている。いわゆる回復薬のようなもので,これは全ミタマ共通なのかもしれない。
●土方歳三
●清少納言
●濃姫
「鬼」を倒すためのその肆――鬼を知る
狩りゲーにおいては,大型の強敵との戦いこそが醍醐味だ。どのタイトルでも,そうした敵はとてつもない強さを誇るのが常だが,本作の鬼も尋常ならざる強さを持っている。
初見では想像をはるかに上回る攻撃を繰り出し,しかもこちらがダウンしてダメージの入らない状態だと,起き上がりを待って攻撃してくるといった,なかなか狡猾な動きも見せる。体力が減ったキャラも目を付けられやすい印象だ。
さらに,やっかいなのが,HPにあたる生命力を削るのが一筋縄ではいかないことだ。この鬼の倒し方というのが,これまでの狩りゲーと似ているようでいて,実はかなり異なる。ここをしっかりと理解していないと,ゲームそのものの印象がかなり変わってしまうはずなので,注意してほしい。
本作の鬼は,外殻の内部に生命力を宿していて,ただ外殻を攻撃をするだけではなかなか生命力が削れないのだ。ではどうするのかというと,一番シンプルな戦い方は「部位破壊」を行えばいい。部位破壊を行うと,その部位に生命力が表面化し,そこに攻撃を当てることで体力を削ることができるようになるのだ。
なお,破壊された部位はフィールド上に落下するが,これを放っておくと鬼がその部位を再生してしまう。これを防ぐために,Rボタン長押しによる「鬼祓い」で落下した部位を浄化する必要がある。浄化に成功すればその部位は,ずっと生命力が表面化した状態になるわけだ。
ちなみに鬼祓いは,部位破壊や雑魚モンスターを倒したあとに行うことで,アイテムを得ることができる。また,複数人で鬼祓いを行うと,より早く浄化できるため,この点も鬼との戦いでは重要になる。
ここで注意したいのが,部位破壊を行って部位を鬼祓いしても,身体が失われたわけではないと言うことだ。足を部位破壊しても,マガツヒ化した足は残っており,動けなくなったり移動力が遅くなったりはしない。あくまでダメージを与えられる状態になったという印なのだ。
さらに,これで終わらないのが鬼の鬼たるところ。体力が少なくなると,鬼は暴走し「タマハミ(魂喰)」化するのだ。こうなると,さらに攻撃は苛烈になる。ここに至るまでに体力や使用可能なタマフリが残っていないと一気に全滅しかねない。
だが,タマハミ状態では全身の生命力が表面化するため,ダメージを与えやすくなる。そして,残りの体力も甚大というわけではないので,そこに付け入る隙が生まれるのだ。
強大な力を持つ鬼だが,以上のような鬼の特性を理解すれば,倒せない相手ではないはずだ。次に,体験版に登場する大型の鬼も紹介しておこう。
●ミフチ
体験版で初めて戦うことになる大型の鬼。クモのような姿をしており,糸を吐いてこちらを動けなくしたり,身体を回転させて周囲を薙ぎ払ったりしてくる。また,小型のササガニという雑魚敵を2匹放つこともある。雑魚だからと放っておくと,意外と攻撃が痛いので注意。
●ゴウエンマ
本作を代表すると言っても良さそうな大型の鬼。ミフチが雑魚に思えるほどの強力な攻撃の数々を繰り出してくる。突進や長く太い尻尾を使った攻撃は射程も長いので注意が必要。地面に腕を突っ込み,地下からこちらを攻撃してくることもある。タマハミ化すると四つん這いになり,驚くほど広範囲を薙ぎ払う炎を吐き出す。これに当たると延焼状態になり,持続ダメージをくらうので極めてやっかいだ。
そして鬼を討つ――我かく戦えり
自分の能力を把握し,鬼の特性が理解できたら,いよいよ討伐に移ろう。
シングルプレイ(マルチ推奨任務をひとりで遊んでいる場合も同様)においてなら,ミタマは「源頼光」を推奨したい。同行してくれるNPCは体力を回復させる心配もあまりなく,どちらかというとサポート役に徹してくれるからだ。というわけで,ここでは源頼光を選択したときの戦い方で,筆者のとった作戦を紹介したい。
鬼との戦いにおいては,体力勝負では圧倒的に相手が上なので,体力の削りあいでは歯が立たない。とにかく,攻撃を食らわないことが第一だ。倒し方の大まかな流れは表層破壊を行いつつ,武器ゲージを溜めて部位破壊を行っていく。常時「渾身」で攻撃力を上げたり「吸生」で体力を回復しながら戦っていこう。積極的に攻撃していれば,2〜3回は武器ゲージが満タンになる機会があるはずだ。
なお,武器ゲージを消費して部位破壊攻撃を行わなくても,戦闘の中で自然と部位破壊は発生するので,倒すことだけが目的であれば,部位に対してそれほど神経質にならなくてもいいだろう。
そして,敵の体力が減ってきたらタマハミ化に備えて武器ゲージを温存しながら,自分の体力にも注意したい。一定時間すべての攻撃が会心になるタマフリ「軍神招来」も1つは残したいところだ。
通常状態なら攻撃パターンを見極めれば,ダメージはあまり食らわずに回避できるはず。相手の動きが止まることも多いので,攻撃を入れる隙を見い出せるだろう。同じ攻撃を繰り返すことはほとんどないようなので,間合いなどから次の攻撃も見極められるようになるはずだ |
この作戦の要は,ミタマ「源頼光」の攻撃力とタマフリ「軍神招来」の会心と属性無視(万能属性)のダメージ,そして「部位破壊」攻撃の威力にある |
そして,敵がタマハミ化したところで,「軍神招来」を使用した状態で部位破壊攻撃を行うことで一気に鬼の生命力を削ってしまうのだ。タマハミ化すると攻撃が激しくなるので,なるべくこの時間を短くして決着を付けることが理想的。「源頼光」のミタマが持つ攻撃力があれば,これが可能というわけだ。
さて,今回の体験版では,「敵を100匹倒す」「5分で雑魚鬼のガキ(餓鬼)を10匹倒す」といったミッションもあるが,多くのプレイヤーにとって,メインは大型の鬼との戦いを体験することだろう。システムを知った上で,じっくりと遊び込んでほしい。武器もそれぞれに特徴がありアクションも多彩だ。鬼との戦いも慣れてくると,駆け引きが楽しくもなってくる。
上記の要素に着目すれば,比較的簡単に鬼を倒せるようになるはず。強力な鬼をぜひとも倒してみてほしい。
今回の体験版は,どちらかというと「テスト版」といった趣が強い印象だ。PlayStation公式のコミュニティサイト「プレコミュ」で,体験版に対して開発から積極的にプレイヤーの感想を求めているところにもそれが窺える(回答期間は2013年4月30日まで)。そして,すでに開発陣から体験版の反応を受けて,コメントが発表されている。それによれば,気力の消費や移動スピードなどはすでに調整項目として挙がっているようだ。
確かに,本作は気力の運用は難しいのだが,ただひたすら攻撃と回避を繰り返すのではなく,キッチリと「静」と「動」を使い分けることがポイントだと理解でき,それが本作の狙いなのかとも思えてくる。一方で,それによって戦いのテンポが悪くなるという意見ももっともだ。
ただ体験版では,200以上が登場するというミタマのうち4人しか登場していないし,ストーリーや素材を使った武具の生産もしくは強化など,全体を通してのバランスはまだまだ未知数であることも確かだろう。
ともあれ,こうしたフィードバックを受け,製品版に向かけてブラッシュアップが進み,より面白い作品に昇華されていくことに期待したくなる。本稿を読んで興味を持った人は,体験版をプレイしてみて,ゲーム開発に関わるつもりで,その感想をプレコミュでω-Forceに届けてほしい。
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