2016年6月23日に日本語に対応したサービスが始まったDMM.comのMMORPG
「エルダー・スクロールズ・オンライン」(
PC/
MAC。以下,ESO)は,
「タムリエル」と呼ばれる大陸を舞台にした
「エルダー・スクロール」シリーズの最新作で,初のオンラインタイトルだ。
オンラインタイトルになったということで,いままでのシリーズ作品とは大きく異なるのでは? と思う人もいるかもしれないが,本作はこれまで通り,膨大なテキストによってその複雑な世界情勢を表現した作品となっている。
また,オンラインタイトルになったといっても,1人でタムリエルでの生活を満喫し,自分なりのペースで冒険することも可能なので,ほかの人と冒険するのはちょっと……と思っている人でも気軽にプレイできる。
本作では,第2紀582年のタムリエルが描かれており,第3紀433年の
「The Elder Scrolls IV: Oblivion」(
PC/
PS3/
Xbox 360。以下,Oblivion)から約750年前,第4紀201年の
「The Elder Scrolls V: Skyrim」(
PC/
PS4/
Xbox One/
PS3/
Xbox 360。以下,Skyrim)からは約950年前の物語を楽しむことができる。
第2紀582年は,空位となっている帝国の王座を巡って,3つの勢力がタムリエル全土で戦いを繰り広げている時代で,プレイヤーもその勢力のいずれかに属し,戦うことになる。
今回は,いままでのシリーズとのつながりを感じられる部分や,戦乱の時代を描いた本作の世界観およびメインストーリーについて紹介していく。
ほかのシリーズ作品で見かけた名前が,本作のさまざまな場面で登場
本作の舞台となるタムリエルは,9つの地方からなる大陸で,そのタムリエル全土を舞台にしたTESシリーズの第1作
「The Elder Scrolls: Arena」の次に多くの地を訪れることができるのが,本作の大きな特徴だ。
近年発売された「Oblivion」ではシロディール,「Skyrim」ではタイトルにもなっているスカイリムを主に探索できたが,本作ではそれよりもずっと多くの地を訪れることができるのが,魅力的だ。
もちろん,上記であげたシロディールとスカイリムの一部に足を運ぶことも可能で,いままでのシリーズ作品で遊んだことがある人なら,覚えのある地を旅することもできる。
例えば,「Oblivion」の本編で街中にオブリビオンゲートが開いてしまい,壊滅的な被害を受けた
クヴァッチだが,本作はその時代よりもずっと昔のタムリエルが描かれており,人々は普通に生活している。筆者も「Oblivion」でクヴァッチを訪れ,多くのモンスターと戦ったことをよく覚えているので,ちょっと不思議な気分になった。
Oblivionで登場したアンヴィルやSkyrimで訪れたウィンドヘルムも!
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Oblivionのメインストーリーで出会う重要キャラ・マーティンが暮らしていた「ウェイノン修道院」。こういった場所を巡る旅も面白い
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それぞれの勢力のストーリーは,異なる地域が舞台となっている。ストーリーはもちろんだが,訪れる地域の風景やそこに暮らしている人々,現れるモンスターなども異なっているので,2つめの勢力のストーリーを遊ぶことになっても,新鮮な気持ちでプレイできるはずだ。
ワープポイントとして機能している「旅の祠」も地域によってデザインが異なる
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クラフトスキル「調理」で作れる料理にも,これまでのシリーズ作品とのつながりを感じるものがある。
本作に登場するレシピのなかには,地域のご当地料理のようなものが存在しており,そういったものには料理名の前に地域の名前が書かれている。
例えば,「スカイリムのジャズベイ・クロスタータ」という料理は,Skyrimに登場した「ジャズベイのクロスタータ」という料理とおそらく同一のものだろう。ジャズベイというのは,材料のジャズベイ・ブドウを指しており,どうやらフルーツを使ったタルトのようなものらしい。うん,美味しそう……!
本作では訪れることができないホワイトランの名を冠した料理も。いずれ行けるようになることに期待してしまう
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また本作には,シリーズファンにはお馴染みであろう
「デイドラ公」も複数登場する。
「デイドラ」というのは,オブリビオンと呼ばれる別の次元に住む死の概念を持たない生き物のことだ。デイドラのなかでも,神のような強い力を持つデイドラ達が「デイドラ公」と呼ばれ,タムリエルで暮らす人々
「定命の者」に恐れられたり,逆に崇拝されていたりする。
特に印象的なデイドラ公といえば,シリーズ経験者であれば狂気を司る
「シェオゴラス」とと答える人も多いと思うのだが,本作でもプレイヤーにちょっかいを出してくる。
もちろん,シェオゴラス以外のデイドラ公が登場するクエストも用意されているので,広大な地を探索して,そういったクエストを探し出すのも本作での楽しみの1つだ。
道端でたまたま受けたクエストがデイドラ公に関係するものだった,ということも結構ある
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舞台となる時代のタムリエルでは,3つの勢力が王座を巡って争っている
タムリエルでは,多くの種族が暮らしており,その生活や考え方はそれぞれ個性的なものとなっている。また,本作に登場する10の種族のうち,9の種族が3つの勢力に分かれ,覇権を争っているが,その勢力のストーリーもそれぞれ個性的なものとなっている。
チュートリアルを兼ねたプロローグが完了し次第,プレイヤーはタムリエルへと辿り着く。選んだ勢力によって最初に訪れる地が異なっており,その場所もそれぞれ独特なので,勢力の情報と合わせて紹介していく。
【アルドメリ・ドミニオン】
ハイエルフを中心に,カジート,ウッドエルフからなる勢力で,リーダーはアイレン女王というハイエルフが勤めている。帝都がデイドラ公
「モラグ・バル」を支持する者によって陥落した後に,サマーセット諸島のハイエルフが近隣地域で暮らすウッドエルフやカジート達と共に結成した。
アルドメリ・ドミニオンに所属するキャラを作ると,ケナーシズルーストという島でプレイヤーは目を覚ます。ここでは,ハリケーンによって多くの船が被害を受けて難破したため,プレイヤーもそういった船から放り出された船員と勘違いされ,救出されたようだ。
目を覚まして建物から外にでると,ラズム・ダーというカジートに遭遇する。彼は,何やら“繊細な任務”とやらでここを訪れているようで,そんな任務にプレイヤーも付き合うことになる。
ラズム・ダー,通称ラズは,アルドメリ・ドミニオンのストーリーに大きく関わってくるキャラクターだ。最初は「なんだ,こいつ」と思うかもしれないが,関わりを持っていくうちにラズのことが好きになる人も多いだろう。筆者もその1人。
【エボンハート・パクト】
「アカヴィリ」と呼ばれる種族と戦うために結成された勢力で,ノルド,ダークエルフ,アルゴニアンといった種族で構成されている。
エボンハート・パクトに所属する種族でキャラを作成すると,チュートリアル後にブリークロック島という雪で覆われた島にプレイヤーは流れ着く。ここの風景は,雪景色とあってどことなくスカイリムに似ていると感じられるが,実際スカイリムのイーストマーチの近隣にある島なのだ。なので,ブリークロック島にある建物や遺跡の内装は,よく見てみると「Skyrim」で見かけたデザインとそっくりだ。
仕掛けの模様や墓地となっている建物の見た目など,さまざまなところで「Skyrimで見た!」と感じることだろう
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ブリークロック島は,プレイヤーが流れ着いた時点で,3つの勢力の1つであるダガーフォール・カバナントによる襲撃の危機に悩まされており,行方不明となっている住民を見つけ出して,彼らと共に島を脱出することになる。
脱出した島の住民とプレイヤーは,バル・フォイエンと呼ばれるモロウウィンドの地域に辿り着く。銀世界が楽しめたブリークロック島とは一転して,大きなキノコのような植物が至るところに生息する不思議な景色が広がった場所だ。
また,バル・フォイエンに隣接したストンフォールは,バル・フォイエンと似た雰囲気の地域だが,溶岩や降灰などが景色の一部となっており,また違った風景を楽しみながら探索ができる。
【ダガーフォール・カバナント】
交渉術と商才に長けるブレトンが,レッドガードおよびオークと手を組んだ勢力だ。なおオーク達は,協力する代わりに,彼らの祖国
「オルシニウム」に戻ることを許された。オルシニウムは,DLC第2弾で訪れることが可能だ。
オルシニウム
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ダガーフォール・カバナントのキャラを作成した場合,タムリエルの海に浮かんでいたプレイヤーを,スピアヘッド号のカリーン船長というレッドガードが助けてくれる。
スピアヘッドが停泊しているのは,ストロス・エムカイというアラビアンな風景が楽しめる島だ。この島の宮殿は,前の支配者を殺したボーセクという男が支配しているのだが,そのボーセクから“あるもの”を盗むため,プレイヤーはカリーン船長に教えられた3人を仲間にすることになる。この仲間達がなかなか個性的で面白い。ちなみに筆者のお気に入りは,人間たらしのジャカーンという男だ。
ストロス・エムカイで一仕事を終えた一行は,オーク達の島・ベトニクを訪れることになる。元々ベトニクは,ブレトンが暮らすベトニー島だったがオークとの戦争に負け,彼らに占領された島だ。
ここでプレイヤーは,ある重大な選択をすることになる。その選択によって,カリーン船長やスピアヘッド号の乗員,ストロス・エムカイで仲間にした3人との関係が変化するので,慎重に選択しよう。
3つの勢力によって争っている時代のタムリエルを描いた本作だが,なぜこの争いが起こったのかは,メインストーリーで知ることができる。
デイドラ公モラグ・バルや虫の王・マニマルコとの戦いを描いたメインストーリー
本作のメインストーリーは,デイドラ公の1人であるモラグ・バルの領土とされるコールドハーバーから始まる。
プレイヤーは,元々定命の者であったが,モラグ・バルによってこの地に連れてこられ,
「魂なき者」として囚われて,労働を強いられるはずだった。
いままでのシリーズ同様,囚人からのスタート……ただし,今回はちょっと特殊な囚人だ
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ところが,そこでリリス・ティタンボーンという女性と出会い,彼女に手を貸すことになる。タムリエルに戻るためには,コールドハーバーの囚人となっている
「預言者」と呼ばれる人物を救出し,その力を借りる必要があるということで,彼を救うためコールドハーバーをリリスと共に駆け回ることに……。
コールドハーバーのあちらこちらには,魂を奪われた人々がいるのだが,彼らとは話をすることができない。そんななかでキャドウェルという鍋を帽子のようにかぶった人物は,かなり個性的な受け答えをしてくれるので,とても楽しい気分にさせてくれる。
本作で一番謎が多いかもしれないキャドウェル卿
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キャドウェルに聞いた道を辿り,無事預言者が囚われている牢獄へと辿り着くと,そこでリリスから預言者を助け出す方法について聞かされる。預言者を自由にするためには誰かが身代わりになるしかなく,その身代わりにリリス自身がなるというのだ。
結局,リリスを身代わりに預言者を助け出し,2人でタムリエルに戻ることになる。
預言者は,プレイヤーのことを「面影」と呼ぶ
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預言者によると,プレイヤーが現れることは
「星霜の書」の予言通りであったようだ。星霜の書とは,タイトルにもなっている「エルダースクロールズ」のことで,人知を超える“何か”によって作れたもので,壊したり,焼いたりといったことができない不思議な書だ。
いままで起きたこと,これから起きること……すべてが書かれているという星霜の書だが,これを読んだ者は視力を失うようで,預言者も星霜の書を読んだことで盲目になってしまったらしい。
コールドハーバーから脱出したプレイヤーが目を覚ますと,そこは見知らぬ土地だ。目覚める場所は,先に書いた通り,勢力によって全く異なる。まずは,その地のクエストを進めて,移動することになる。
しばらくタムリエルで冒険をしていると,預言者が留まっている
「避難所」と呼ばれる場所に呼び出される。避難所を訪れたプレイヤーは,預言者の力によって,なぜ帝国の王座が空位になってしまったかを知ることになる。
リリスを含む冒険者の集団
「選ばれし5人」は,王者のアミュレットと呼ばれる古代の秘宝を探す旅をしていた。なぜなら,この秘宝の力によって,自分達のリーダーで,レオヴィック皇帝に対する反乱軍を率いたヴァレン・アクィラリオスが指導者にふさわしい「ドラゴンボーン」であることが証明できると信じていたからだ。
ドラゴンボーンとは,ドラゴンの血が流れた定命の者を指す。「Oblivion」ではマーティン・セプティムが,「Skyrim」ではプレイヤー自身がドラゴンボーンだった
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選ばれし5人のリーダー,ヴァレン・アクィラリオスは,レオヴィック皇帝に対する反乱軍を率いた指導者。真の指導者になるためにと,マニマルコの提案をのんでしまう
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リリス・ティタンボーンは,コールドハーバーで出会ったノルドの女性だ。スカイリム出身で,巨人の血を引いているとのこと。ヴァレンは,その強さと忠誠心から,彼女を個人的な護衛に任命した
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サイ・サハーンは,ヴァレンと元老院の警護を行うドラゴンガードのリーダー。どうやらリリスに対して,密かに想いを寄せているようだ。頑張れ!
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アブナー・サルンは,シロディールで影響のある名家の一つ“サルン家”の当主で,元老院の議長であるが,魔闘士や敏腕な為政者としての一面も持っている。彼の助言によって,ヴァレンは帝国の王座を奪ったという
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選ばれし5人の裏切り者・マニマルコは,預言者曰く最強の死霊術師とのこと。「虫の王」と呼ばれる彼は,配下である「虫の教団」を使い,タムリエルで“ある儀式”を行っている
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ところが,これはマニマルコによる罠! 儀式によって,定命の者が住む惑星「ニルン」と,デイドラ王の領域「オブリビオン」を分かつベールが引き裂かれ,それによって,マニマルコはニルンに住む者の魂を奪うことが可能になった。
マニマルコが魂を奪うのは,彼の主であるモラグ・バルが「次元融合」を引き起こす為に大量の魂が必要だからだ
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儀式のあと,ヴァレンは行方不明となり,帝国の王座は空位となってしまった。その結果,タムリエルは3つの勢力による争いで分裂し,さらにはデイドラという脅威に晒されることになってしまったのだ。
プレイヤーは,モラグ・バルとマニマルコに対抗するために,まず同志を集めなければならない。同志というのは,選ばれし5人のなかでプレイヤーと預言者に協力してくれそうな人物のことで,まずは預言者の身代わりになり,コールドハーバーに囚われたままのリリスを救出することになる。
以上がメインストーリーの序盤の物語だ。
「Skyrim」や「Oblivion」などでもそうだったように,本作はメインストーリーのほかにも,数多くのサブクエストが存在している。メインストーリーの合間に,そういったサブクエストが遊べるようになっているので,本作を始めてみる人はぜひ,各地で発生するクエストにも挑戦してほしい。
ちなみに,筆者は9月の中旬頃に本作を始めたが,いまだに1つめの勢力であるアルドメリ・ドミニオンの地域でさまざまなクエストに挑戦しているといった進み具合だ。
決して,プレイ時間は短いわけではないと思うが,膨大なテキストによる物語を楽しんでいたら,あっという間に数か月が経っていたし,さまざまな展開のストーリーが用意されているので,飽きることがない。
■14日間無料トライアル
本作は,14日間利用できる無料トライアルを実施している。
無料トライアルでは,3つの勢力,10の種族から計8キャラまで作成できるほか,製品版への引き継ぎも可能となっている。また,レベルやクエストの制限がないので,無料トライアル中でも,製品版と同様にタムリエルを自由に駆け回れる。
■本作のダウンロード版が期間限定で半額
現在,DMM GAMES 5周年を記念して,本作のダウンロード版が半額になるセールが行われている。
なお,インペリアルエディションもセールの対象となるので,すぐに種族「インペリアル」で遊びたいという人は,こちらがおすすめだ。
●ダウンロード版パッケージ半額
2016年12月21日(水)12:00〜2017年1月5日(木)11:59
シリーズを通して培ってきた世界観を膨大なテキストとストーリーで再現した本作を,いままでのシリーズで遊んできた“クヴァッチの英雄”や“ドラゴンボーン”の皆さんもぜひ体験してほしい。