COMPUTEX TAIPEI 2013が開幕した6月4日,「TWTC Nangang」(正式名称:Taipei World Trade Center Nangang Exhibition Hall)と呼ばれる大型展示場には,今年も大手コンポーネントメーカーやPCメーカー,著名パーツメーカーが集結していた。ここでは,初日に見つけた小型デスクトップPCにまつわる製品2つをまとめてお伝えしてみたいと思う。
MSIがKabiniオンボードのMini-ITXマザーを展示
TDP 25W版KabiniはPGAパッケージで来年1月に登場?
MSIブースに置かれていたのは,APUベースのSoC(System-on-a-Chip)である「
Kabini」(カビニ)を,マザーボード上に実装したMini-ITXマザーボードだ。「
E1-2500I-E33」という製品型番を紹介すれば想像できる読者もいると思うが,このマザーボードが搭載するのは,
5月23日に発表されたAMD E-Series APUのTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)15W版モデル「
E1-2500」である。
E1-2500I-E33。製品紹介のシートには「デュアルチャネルDDR3-1333」と書かれていたりするのだが,これはもちろん表記ミスだ。E1-2500のメモリコントローラはシングルチャネルアクセスとなる
![画像集#003のサムネイル/[COMPUTEX]Kabini搭載のMini-ITXに,Haswell搭載NUC。小型PCにまつわる2題](/games/147/G014732/20130604083/TN/003.jpg) |
E1-2500は,「
Jaguar」(ジャガーもしくはジャギュア)と呼ばれるCPUコアを2基統合して1.4GHzで駆動させ,別途,128基のシェーダプロセッサからなるGPUコア「
Radeon HD 8280」を450MHz駆動させているプロセッサだ。MSIでプロジェクトマネージャーを務める
Darya Wang氏は,「TDP 15W版のKabiniは,Intelの『Bay Trail』対抗だ。Bay Trailは9月にOEM向けの出荷開始が予定されているが,
E1-2500搭載のE1-2500I-E33なら,6月末には出荷を開始できる」と,製品開発の意図を述べていた。
ちなみにBay Trail(ベイトレイル)というのは,22nmプロセス技術を使用して製造される,タブレットおよびNetbook,Nettop向けのAtomのこと(
関連記事)。要するに,デスクトップPC向けのMini-ITXマザーボードとして登場するE1-2500I-E33は,Nettop的な端末向けの製品ということになるというわけである。
組み込み向け的な性格が強いこともあって,PS/2×2,アナログRGB(D-Sub 15ピン)が目を引くインタフェース部。HDMI×1,USB 3.0×2,USB 2.0×2,1000BASE-T LAN×1,サウンド入出力(3.5mmアナログミニピン×3)も用意されていた
![画像集#005のサムネイル/[COMPUTEX]Kabini搭載のMini-ITXに,Haswell搭載NUC。小型PCにまつわる2題](/games/147/G014732/20130604083/TN/005.jpg) |
KabiniにはTDP 25W版も用意されていることから,「TDP 25W版Kabiniをオンボードで搭載する製品は出さないのか」と聞いてみたところ,Wang氏の口からは「TDP 25W版はPGAパッケージを採用して,2014年1月の登場予定だ。しかも,デザインガイドが配布されるのは来月なので,現時点では対応ソケットが何ピン仕様になるかも分からない(笑)」という,かなり気になる回答が得られた。
すでにAMDはTDP 25W版Kabiniを「
A6-5200」として発表済みなのだが,氏の発言どおりなのであれば,(より高いTDPを許容した)高クロック版Kabiniが登場するのは,相当先の話ということになってしまうだろう。PlayStation 4では,Kabiniと同じJaguarコアを採用したAPUを搭載するだけに,ひょっとするとそちらを優先しているのかも……というのは,邪推が過ぎるかもしれないが。
IntelはUltrabook向けの
ワンパッケージHaswell搭載NUCを披露
一方,Intelブースには,同社の提唱する超小型PC「NUC」(Next Unit of Computing」の“Haswellモデル”が展示されていた。
Haswell搭載NUCマザーボード。製品名はまだない
![画像集#006のサムネイル/[COMPUTEX]Kabini搭載のMini-ITXに,Haswell搭載NUC。小型PCにまつわる2題](/games/147/G014732/20130604083/TN/006.jpg) |
NUCとは何かという話は,
Intel Developer Forum 2012 San Franciscoのレポートに詳しいが,簡単に紹介しておくと,4インチ平方(約101.6×101.6mm)という手のひらサイズのフォームファクタ(をベースとする小型システム)のことだ。
2012年の時点では,Ivy Bridge世代のノートPC向けCoreプロセッサと,Intel 7シリーズチップセットを搭載していた。それに対して,今回IntelブースにあったHaswell世代のNUCは,CPUのダイとPCH(Platform Controller Hub。いわゆるチップセット)のダイを,マルチチップ技術によって1つのパッケージ上にまとめたプロセッサが搭載されているのが目を引く。
CPUパッケージを搭載する側の基板全景
![画像集#008のサムネイル/[COMPUTEX]Kabini搭載のMini-ITXに,Haswell搭載NUC。小型PCにまつわる2題](/games/147/G014732/20130604083/TN/008.jpg) |
![画像集#009のサムネイル/[COMPUTEX]Kabini搭載のMini-ITXに,Haswell搭載NUC。小型PCにまつわる2題](/games/147/G014732/20130604083/TN/009.jpg) |
![画像集#010のサムネイル/[COMPUTEX]Kabini搭載のMini-ITXに,Haswell搭載NUC。小型PCにまつわる2題](/games/147/G014732/20130604083/TN/010.jpg) |
外部インタフェース一覧。Thunderbolt×1,HDMI×1,USB 3.0×4,有線LAN×1といった構成になっている |
Haswell搭載NUCのデモ機
![画像集#011のサムネイル/[COMPUTEX]Kabini搭載のMini-ITXに,Haswell搭載NUC。小型PCにまつわる2題](/games/147/G014732/20130604083/TN/011.jpg) |
Intelブースの説明員によれば,これはUltrabook向けとなる
U-Processor Lineに属するCore i5プロセッサを搭載しているとのことだ。残念ながらそれ以上は分からないとのことで,発売時期も「きっと年内には出ると思うよ」と,なんとも頼りなかったのだが,ブースでは動作デモ展示が行われていたりしたので,現時点での完成度が最終製品版に近い可能性はあるだろう。
どちらもPCゲーマーの本流からは外れる製品だが,セカンダリPC用途には面白そうであるだけに,小型PC好きは,記憶に留めておくといいかもしれない。