ゲームを超える絶望と惨劇の物語がついにベールを脱ぐ――「コープスパーティーTortured Souls ―暴虐された魂の呪叫―」プレミアム上映イベントをレポート

　MAGES.は2013年4月13日，角川シネマ新宿にて「コープスパーティーTortured Souls ―暴虐された魂の呪叫―」（以下，コープスパーティーTS）のプレミアム上映イベント「みんなで観れば怖くない！」を開催した。
　本作は2010年8月に同社から発売されたホラーゲーム「コープスパーティー ブラッドカバー リピーティッドフィアー」（以下，コープスパーティーBR）をアニメ化した作品で，今回上映されたのは2013年夏発売予定のOVA1話〜4話を劇場公開用に編集したバージョンとなっている。
　本稿では原作者の祁答院 慎さん，監督の岩永 彰さんに加え，豪華キャスト陣も登場した舞台挨拶を中心に，イベントの模様をお伝えしていこう。

※ゲスト声優陣
・下野 紘さん（持田哲志役）
・佐藤利奈さん（中嶋直美役）
・新井里美さん（篠原世以子役），
・南里侑香さん（鈴本 繭役）
・山本彩乃さん（冴之木七星役）
・杉田智和さん（刻命裕也役）

「コープスパーティーTortured Souls ―暴虐された魂の呪叫―」公式サイト

ゲームとはまったく違ったエンディング

衝撃のラストシーンは放心間違いなし！

　イベント当日，劇場は待望のアニメ化……いや，大多数は「まさかアニメ化するとは」と思っていたであろうコープスファンで超満員。ゲームに留まらず，コミックや小説など豊富なメディアミックス展開で訓練されたファン達も，長編アニメになった「コープスパーティー」を観るのは初めてであり，みんな「どんな内容なんだろう？」と期待半分，不安半分といった表情で開演を心待ちにしていた。

　上映前の舞台挨拶では本作の監督を務めた岩永さん，原作者の祁答院さんに続いて，声優陣が続々と登場。会場に向けて挨拶を行い，また篠崎あゆみ役の今井麻美さん（※かわいい）からのビデオメッセージも流された。

　最初に，司会者から本作の印象について聞かれた下野さん。曰く，「コープスパーティー 2U」の限定版特典だった「コープスパーティー Missing Footage」では，由香のお風呂シーンみたいなほのぼの（？）要素もあったが，今回はただひたすら凄惨なシーンが続くとのこと。杉田さんも，よく劇場で公開できたな……という感想を抱いており，その口ぶりから内容の凄まじさの片鱗がうかがえた。

　また，件のお風呂シーンが原因で「コープスパーティー 2U」は限定版だけCERO Zになってしまったと述べた杉田さん。そこをツッコまれた当の祁答院さんはキモヤカ（※気持ち悪いのに爽やか）な笑顔で「だって，出したかったんです！」と男らしく断言し，佐藤さんら女性陣から「じゃあしょうがない」というお許し（？）をいただいていた。

　さらに，「コープスパーティー」シリーズでは決まって序盤に犠牲になってしまう不幸な役どころを担っている新井さん，南里さんの両名は，口を揃えて今回もやはりひどい目にあうとコメント。シリーズファンからすると世以子と繭は死ぬのがもはや定番となっているので，会場では「まぁ，そうだよね……」という気の毒な空気が漂っていた。


　いろいろな意味で過酷だった，という収録を振り返った下野さんは，自らの心血を注ぐような気持ちでアフレコしたのはもちろん，映像を見ているだけで気持ちを“持っていかれそう”になるほど激しい現場だったという。新井さんなどは本番開始までスタジオの外に出ていることもあったらしく，今井さんに至っては収録中に怖くなりすぎてトイレに行けなくなっていたとのことだ（※かわいい）。
　そこで，篠崎サチコ役の大谷育江さんに頼んでトイレについてきてもらったらしいのだが，今井さんがトイレに入っている間，大谷さんは追い打ちをかけるように“あの声”で童謡を歌っていたらしい。ドSすぎる。

　微笑ましい（？）エピソードで笑いに包まれる会場だったが，ここで岩永監督の口から衝撃の恐怖体験が。アフレコ終了後，スタジオでエレベーター待ちをしていたときのこと，到着し，開いたエレベーターの中になぜか靴が一足揃えられていたことがあったという。状況が理解できず，スタッフと顔を見合わせたりしている間にエレベーターは行ってしまったのだが，再び戻ってきたときには靴は消えていたとのこと……。
　この話はキャスト陣も初めて聞いたらしく，みんなゾッと震えあがっていた。そのほかにも，スタジオの近くに「天神小学校」という名の学校が実在していたという話や，下野さんの収録中，完全防音されているはずのスタジオで犬の鳴き声が聞こえたなど「コープスパーティー」に関わっている間は数々の不思議な出来事があったという。

　そのようにして出来あがった「コープスパーティーTS」だが，岩永監督はガッツリとホラーを作るのは初めてであり，本当に怖くなっているのか，グロテスクにすれば怖くなるのかなど，制作中は試行錯誤を繰り返していたという。そしてあらためて「ホラーは難しい」と感じたとのこと。しかし祁答院さん曰く，試行錯誤の甲斐あって，出来あがりには満足しているらしく，ゲームとはまったく違ったエンディングになっているので，そこに期待してほしいとコメントした。

　さて，ここでいよいよ本編の上映が開始されたのだが，何を言ってもネタバレになってしまうので詳しい展開について言及できないのが歯痒いところ。なので，具体的な部分をボヤかしつつ語ると，ストーリーは基本的に「コープスパーティーBR」の流れを踏襲しているのだが，ところどころで展開に微妙な違いがある。また，ゲームに比べて縛りが少ないOVA作品ということもあり，凄惨なシーンの描写は凄まじい。大の男でも目を背けたくなるようなエログロスプラッターな場面が目白押しだ。
　個人的な感想として，絶望度はへたをすればゲーム以上だと感じた。とくに衝撃のラストシーンは，観賞後しばらく放心状態になること間違いなし。「コープスパーティー」ファンならば，必ず観るべきだ。それにしても，ゲームであれだけ“マルチバッドエンディング”を見せつけられたというのに，まだこんな超弩級のトラウマ演出を残してあったとは……なんとも恐ろしいコンテンツである。

「コープスパーティーTortured Souls ―暴虐された魂の呪叫―」公式サイト

　上映終了後，再び岩永監督，祁答院さん，そして声優陣がステージに上がったのだが，ここからのトークはネタバレ全開のためイベント参加者向けのサービスだったということで割愛させていただく。

　最後に，祁答院さん曰く，夏発売予定のOVA版は劇場公開バージョンでカットされているシーンも収録されているとのこと。なお，劇場公開バージョンの上映は4月14日から19日までの6日間限定。OVA発売まで我慢できない，大画面で流血と絶叫を楽しみたいという人は，4月19日までに角川シネマ新宿に足を運ぼう。