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「WWE'12」で採用された新エンジン「プレデターテクノロジー」とは? プレイムービーで確認してみよう
「WWE'12」公式サイト
では,このプレデターテクノロジーによって,一体,何が変わるのだろうか? その大きな特徴は以下の五つだ。
(1)WWEのテレビ中継における,カメラのスイッチングを徹底的に研究,解析したことにより,フィニッシャー以外の技であっても,その技が最も格好良く見えるカメラで描かれる
(2)体格差のあるキャラクター同士が組み合っても,ポリゴンがめり込まない
(3)フィニッシャーが出せるときにアピールをすると,アピールからフィニッシャーへ移行するタイミングと,対戦相手の動きが連動して,スムーズにフィニッシュへ繋げられる
(4)リング上のどこでフィニッシャーを出しても,技がきれいに決まるようにキャラクターの立ち位置が自動的に調整される
(5)技に対して,複数の返しポイントが設定されており,技の攻防がより進化
百聞は一見にしかずということで,今回,上記の特徴が分かるように試合シーンを丸ごとムービーとして撮影してみた。
どの試合でもぱっと見で目を引くのは,カメラワークだろう。編集部で撮影しつつプレイをしていたところ,遠目に見ていた編集部員から「なんで仕事中にWWE見てるの?」と聞かれたほどの再現度である。なお,ここまで頻繁にスイッチングされると,遊びにくいのでは……? と思う人もいるかもしれないが,そういった不満はいっさい感じることがなかったので,ご安心を。
それではまず,ランディ・オートン vs. ビッグ・ショーの一戦をご覧いただきたい。
ビッグ・ショーといえば,WWEでもトップクラスの巨体の持ち主。ランディ・オートンも決して小さい選手ではないが,並んだときのサイズ差はかなりのものとなっている。
従来作の場合,こうした体格差のある選手同士の対戦時には,組み合ったり,投げ技になった瞬間に,ポリゴンが相手選手の体にめり込んだりしてしまっていた。実際にゲームを進めるうえで問題になるようなものではないのだが,気にし始めると気になってしまうようなポイントではある。これがほとんど解消されているのが,この一戦でもよく分かるだろう。
また,ランディ・オートンがフィニッシャーのRKOを出す前にアピールをすると,ビッグ・ショーがふらふらと立ち上がり,いかにも「さあ,RKOを頂戴いたしますよ!」とでも言うような動きを見せる。従来作では,せっかくフィニッシャーの前にアピールを入れても,相手との距離が遠くてうまく技をかけられず,何となく消化不良になってしまうこともあったのだが,今作ではそれがないというわけだ。
さらに細かい部分ではあるのだが,ランディ・オートンがビッグ・ショーを投げるとき,投げ方がちょっとゆっくりというか,いかにも重そうな感じになっている。これもまた,プレデターテクノロジーによって実現した,重さの表現なのだ。
続いては,ミステリオ vs. シン・カラ。メキシカン同士の対戦である。
ここで注目してほしいのは,ミステリオのフィニッシャーである619。シン・カラの背後へドロップキックを放つと,シン・カラがセカンドロープに引っかかるのだが,リングの中央ではない。こういった場合,従来作ではシン・カラの体が619を浴びるのに最適な位置へワープしたものだが,今回の場合は,ミステリオが斜めに走って位置を調整している。
ゲームだからしょうがない……と,プレイヤーが見て見ぬ振りをしていたようなポイントが,きっちりとホンモノのWWEさながらに調整されているのが分かるだろう。
そして最後はおまけ。4月1日(北米時間)に開催予定の,WWE年間最大イベント「WRESTLE MANIA XXVIII」で予定されている,ザ・ロック vs. ジョン・シナの一戦だ。
筆者がロックを操作し,シナをこてんぱんにしてやろうと思ったのだが,あっさり負けた。言い訳をすると,打撃のモーションはロックのほうが大きいため,打ち合いになると先に当たるのがシナの打撃になりがちだったのだ。まぁ,これもまたよく出来ているなぁと思った次第。ただ,それじゃあちょっと悔しいので,もう一戦。今度はロックが勝つパターンも撮影し(大人げない),同じムービーにまとめている。
とはいえ,シナのファイブ・ナックル・シャッフルからのアティテュード・アジャストメントも,ロックのピープルズ・エルボーもどちらもご覧いただける動画になっているので,これでいいですよね?(ロック・ボトム出すの忘れたけど)
ファイブ・ナックル・シャッフルにしろピープルズ・エルボーにしろ,相手がリングの中央に倒れていなくても,自動的に走る距離を補正してくれるようになっているのが嬉しい。あと,ファイブ・ナックル・シャッフルのときに観客が掲げるサインボードがすげえ邪魔なのも,TV中継さながらだ。
さて,そんなこんなで3本の動画を撮影してみたわけだが,ゲームとして大きく進化したというよりも,映像表現として,WWEのTV中継に近くなったと言っちゃったほうがしっくりくるだろう。
この手のシリーズものというと,選手データやモデリングの進化+新モードぐらいで最新作としてリリースされることが多く,それはそれで元ネタのファンにとっては嬉しいものなのだが,本作においては「そこまで気にして遊んでなかったよ!」と,プレイヤー側が気付かされるような細かいポイントを,きっちり仕上げてきている。
開発元のユークスは,気付けば新日本プロレスの親会社になっているなど,プロレスとの親和性が高い会社ではあるが,本作においてあらためて,プロレスへの愛を必要以上に発揮してくれたと言える。そういう意味で,本作は日頃WWEをきっちりチェックしていないプロレスファンにも,ぜひ遊んでいただきたい。
日本のプロレスファンとしては,このエンジンで「闘魂烈伝」シリーズも復活させてほしいところだが,WWEみたいにワールドワイドで売れるコンテンツじゃないので,難しいのだろうなぁ……。
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