主催のIntelやESLがゲームパブリッシャではないこともあり,IEMの競技タイトルは開催地でのトレンドなどに応じて変わる。近年はPC向けFPS「Counter-Strike: Global Offensive」(以下,CS:GO)がメインに採用されることが多く,今回のシドニー大会も同様だ。また今回は,サブステージで「Overwatch」のオーストラリア大会も行われていた。
会場となったQudos Bank Arenaは,オーストラリアで最大級のスタジアム。海外アーティストの公演も多数行われており,年内にはエルトン・ジョンやKISSの引退ツアーなども予定されている
シドニーの中心街から電車で25分くらいの場所に,オリンピックパークと呼ばれる地域があり,その一角にQudos Bank Arenaがある。この一帯は2000年のシドニーオリンピックに合わせて整備されており,日本でたとえるならば幕張メッセ周辺のスケールを大きくした感じだ
決勝戦に駒を進めたのは,Team Liquid(アメリカ)とFnatic(スウェーデン)の2チームで,招待チーム同士の対決となった。Team LiquidはグループステージAを1位通過し,決勝トーナメントの準決勝でMIBR(ブラジル)を下しての決勝進出。そしてFnaticはグループステージBを2位通過し,準々決勝でNinjas in Pyjamas(スウェーデン)を,そして準決勝でNRG Esports(アメリカ)を下しての決勝進出である。
決勝戦はBO5(3本先取制)で行われ,1マップ目のde_cacheをFnaticが制してから,お互いにポイントを取り合う展開となった。そして2-2で迎えた最終マップのde_infernoは,激戦のすえにTeam Liquidが16-9で勝利。6時間半の長丁場を制したTeam LiquidはIEMのビッグタイトルを手にし,また,賞金100万ドルの「Intel Grand Slam」に向けての第一歩を踏み出した。
まず,観客のテンションが異様なほどに高い。サッカーの国際試合のテレビ中継などで,オーストラリアの観客が「オジオジオジ!」「オイオイオイ!」(Ausie Ausie Ausie,Oi Oi Oi!)と合唱しているのを目にしたことのある人は多いだろう。試合中は,これが延々と繰り返されるのだ。
もっとも,常に叫んでるわけでもない。イメージとしては,アリーナを中心に多くの観客が「(まだか……,まだか……!)」と待ち構えており,どこからともなくトキの一声で前振りが始まると,見事な一体感で「オジオジオジ!」と大爆発する感じだ。
Qudos Bank Arenaの観客席では,酒を含む飲食が禁止されておらず,むしろ推奨されている部分も盛り上がりに拍車をかけてそうだ。多くの観客は試合が始まる前からビールなどをガンガン飲みながら大騒ぎしている。そして試合が盛り上がると怒号や奇声にも似た歓声がそこらじゅうから挙がり,ウェーブが繰り返され,ピザの空箱が(大相撲の座布団のように)空を飛ぶ。
とくにアリーナ席は興奮の坩堝と化していくが,意外なことに,取材中は彼らに対してガラの悪さや怖さなどを感じなかった。まじまじと観察して分かったのだが,彼らは騒ぐためだけに来ているのではなく,真剣に観戦するゲーマーであることがうかがえるのだ。その証拠に選手がファインプレーを見せたときなど,拍手や歓声が挙がるべきときはしっかり挙がるし,ときには容赦のないブーイングも起こる。
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