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メインデザイナーに聞く,「World of Warplanes」が目指すもの。Wargaming.netの15周年記念イベントで行われた試遊の模様もレポート
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印刷2013/08/07 17:00

インタビュー

メインデザイナーに聞く,「World of Warplanes」が目指すもの。Wargaming.netの15周年記念イベントで行われた試遊の模様もレポート

画像集#008のサムネイル/メインデザイナーに聞く,「World of Warplanes」が目指すもの。Wargaming.netの15周年記念イベントで行われた試遊の模様もレポート

 全世界で大ヒット中の戦車ゲーム「World of Tanks」をサービスするWargaming.netが,満を持して投入を予定しているオンライン空中戦ゲーム「World of Warplanes」。しかし,事実上オンリーワンのゲームであるWorld of Tanksに比べ,World of Warplanesの扱う「戦闘機による空中戦」は比較的競争の激しいジャンルだ。果たして,Wargaming.netはどのようにほかの作品と差別化を図り,また何が楽しめるゲームとしてWorld of Warplanesをデザインしたのだろうか?

 現地時間2013年8月1日,ベラルーシの首都ミンスクで開催されたWargaming.net設立15周年を祝うイベントにおいて,World of WarplanesのリードデザイナーであるIvan Kulbych氏にインタビューする機会を得たので,その内容を紹介し,続いてイベント会場で実際に触った最新ビルドのプレイフィールをお伝えしたいと思う。

15周年記念イベントの会場になったミンスク郊外の軍事博物館「Stalin's Line Museum」。ゲートをくぐると,いきなり戦車がお出迎え
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「World of Warplanes」公式サイト


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テスター登録は,すでに100万人オーバー


4Gamer
 まず,World of Warplanesの現状を教えてください。

Ivan Kulbych氏(以下,Kulbych氏)
World of Warplanesのリードデザイナー Ivan Kulbych氏
画像集#003のサムネイル/メインデザイナーに聞く,「World of Warplanes」が目指すもの。Wargaming.netの15周年記念イベントで行われた試遊の模様もレポート
 World of Warplanesは先月(2013年7月)オープンβテストを開始し,現在ではアメリカ,ロシア,ヨーロッパなど4つの地域でテストを行っています(注:ただし,日本からの参加についても,とくに制限は設けられていない)。テスターに登録したのは100万人以上で,例えばロシアですと同時接続で常時1万7000人前後がWorld of Warplanesをプレイしています。8月にβテストは第2段階に入る予定で,順調にいけば正式なリリースはこの秋になります。現在はさまざまなフィードバックにより,ほかの追随を許さない最高のゲームにするべく努力しているところです。

4Gamer
 オンライン対戦できる空中戦ゲームはいろいろあると思いますが,World of Warplanesのポイントはどこでしょうか。

Kulbych氏
 World of Warplanesは,空中戦に特化したゲームです。我々が重視しているのは,アクション性であり,プレイヤーの技量や戦術がゲームに反映されることです。また同時に,初めてこのジャンルのゲームに触れるプレイヤーにとっても快適なゲームでありたいと思っています。つまりWorld of Warplanesは,離陸するために10個以上のボタンを押さなければならないような,シミュレーター寄りのゲームではありません。

テストプレイの模様
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 また,World of Warplanesは我々のゲームの世界を広げる作品でもあります。World of Tanksに比べてWorld of Warplanesはよりスピーディで,アクション性が高くなっています。ですからプレイヤーの気分に応じて,World of TanksやWorld of Warplanes,そして開発中の「World of Warships」を遊び分けてもらえたら,と思っています。朝にはWorld of Warplanesをやり,昼食時にWorld of Tanks,そして夕食後にはストラテジー性の高いWorld of Warshipsをじっくり楽しんでもらうといったイメージですね。それくらい,それぞれに違うゲームになる予定です。

4Gamer
 リリース後の予定などを聞かせてください。

Kulbych氏
画像集#004のサムネイル/メインデザイナーに聞く,「World of Warplanes」が目指すもの。Wargaming.netの15周年記念イベントで行われた試遊の模様もレポート
 World of WarplanesとWorld of Tanksは,同じアカウントでプレイできるようになります。World of Tanksには「プレミアムアカウント」という課金サービスがありますが,World of Tanksでプレミアムを購入すると,World of Warplanesにも自動的に適用され,これにより,フリー経験値やゴールドなどがゲーム間で共有されることになります。
 また,現在すでに4か国,80〜100種類ほどの機体が用意されていますが,英国機の追加も予定されています(関連記事)。対戦モードなども,順次追加していく予定です。

4Gamer
 開発のうえでの苦労やこだわりには,どのようなものがありますか。

Kulbych氏
 World of Warplanesはキエフのスタジオが専門であたっていますが,開発には2年近くかかっています。先ほど申し上げたように,我々はWorld of Warplanesをアクションゲームであり,フライトシミュレータではないと考えています。遊んで楽しいことが最も大切であり,リアリティと面白さが衝突する場合は,面白さを優先しました。
 とはいえ,我々はリアリティを軽視しているわけではありません。実在した飛行機を徹底的に調査し,構造やパーツなどを調べ上げました。さまざまなパーツは,World of Tanksと同様のアップグレードが可能ですが,搭載するパーツを変えれば外見はもちろん,機体の挙動も変化します。したがって,プレイヤーには「さまざまな航空機を乗りこなす」というスキルが要求されます。
 ちなみにWorld of Warplanesの制作にあたって,開発スタッフの多くが実際にパイロット免許を取得しました。ですから,空戦の楽しさを優先したといっても,決して飛行機の挙動をないがしろにしているわけではありません。

インタビューが行われたのは,なんというか,人の出入りの激しい物置のような部屋だった
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4Gamer
 World of Warplanesで勝つためのコツのようなものはあるでしょうか。

Kulbych氏
チュートリアル画面。画面(および音声)の指示に従えば,基本の操作が覚えられる
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 まずはチュートリアルをプレイしてください。チュートリアルは3分ほどで終わります。そのあとは,BOT相手に練習するのがオススメで,以上でひととおり操作に慣れることができるでしょう。実戦では,自分の機体についての知識を持つことが重要です。HUDには速度と高度が表示されていますが,メーターで太い緑の表示になっている帯域が,その機体にとってベストの速度と高度を示しています。
 プレイを開始することは簡単ですが,ゲームは非常に深みのあるものに仕上がっています。きっと,何年でも興味を失わずに楽しめるでしょう。

4Gamer
 最後に,日本のファンにメッセージをお願いします。

Kulbych氏
 World of Warplanesはアクションを重視したゲームで,展開の早さが特徴です。また,プレイヤーの技量がゲームに強く反映されるようにもなっています。ですから,World of Tanksを楽しんでいるファンも,また違う作品として楽しめるはずです。加えて,World of Warplanesには零戦など日本の戦闘機が多数収録されています。ぜひプレイしてください。

4Gamer
 本日はどうもありがとうございました。



World of Warplanesの試遊インプレッション


 インタビューの後,World of Warplanesを実際に遊ぶ機会を得たので,こちらの簡単なインプレッションもお届けしたい。

 Kulbych氏の言葉どおり,World of Warplanesは展開の早いゲームだ。操作は基本的にマウスだけで可能で,キーボードはエンジンを加速するときにWキーを押す程度。Altキーで機体の名前が見られたりするといったインタフェースはWorld of Tanksそのままなので,World of Tanksプレイヤーはもちろん,World of WarplanesでWargaming.netの作品を初めてプレイするという人でもすぐに飲み込めるだろう。

画像集#013のサムネイル/メインデザイナーに聞く,「World of Warplanes」が目指すもの。Wargaming.netの15周年記念イベントで行われた試遊の模様もレポート

 ダメージのシステムも基本的にWorld of Tanksと同じだ。各機体にはHPが設定されており,攻撃を受けるとそれが減少する。またエンジンや翼などに被弾すると,機体の性能が低下する。

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 攻撃もまたシンプルで,左クリックで照準に向かって射撃するだけだ。飛行機は移動速度が速いため,偏差射撃が必要になるが,移動する敵機のどこを狙えばいいかは,画面上に赤丸で表示されるので,その赤丸を狙って射撃することになる。
 さてここで,「偏差射撃ガイドがあるなら,簡単じゃないか」と思った方。その想像は半分だけ正しい。World of Warplanesは敵を撃つことで勝利に近づけるが,それだけで勝てるゲームではないのだ。

 当然ながら戦車に比べて飛行機は圧倒的にもろく,空にはこれといった遮蔽物もないため,敵機にただ正面から突っ込んでいくのでは,正面火力に勝る側が勝利するか,あるいは運だけで勝敗が決まることになる。となると重要になるのは,まずは「敵よりもたくさんの数で戦う」ことだ。遮蔽物がなく,装甲も薄いため,銃口の数の差は露骨に結果の差につながっていく。
 なんともロマンに欠ける話かもしれないが,「数は力」は鉄板の解答であるようだ。つまり,仲間とはぐれないことがWorld of Warplanesにおける戦闘の第一歩になる。

 だが単純に数さえ集まればいいのかといえば,必ずしもそうではない。一定の空域に無闇に数が集まりすぎると,今度は空中衝突同士討ちの危険性が高まる。飛行機はその場で静止することができないため,戦車より衝突が起こりやすく,衝突の結果は決定的なものになりがちだ(World of Tanksと同様,リスポーンはないので,味方同士の空中衝突は重大な損失になる)。つまり,群れればいいというわけでもないのだ。

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 話をさらに難しくするのが,地上建造物の存在だ。
 地上には自軍,敵軍双方の建造物が多数設置されている。そのうちいくつかは対空砲なので,味方陣地の上空で戦闘ができれば敵に対して優位に立てる。また建造物によっては,照準の精度を上げたりする効果を持っているものもある。

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 これらの建造物は,地上攻撃によって破壊可能だ。対空砲を破壊すれば敵が優位に立てる空域が狭まるし,照準の精度を向上させる施設を破壊すれば,敵チームの戦闘力が下がる。したがって,積極的に地上攻撃を行いたいところ。
 だが,地上攻撃を行うことになれば,攻撃機はどうしても地表近くを飛ぶことになる。航空機の戦闘において高度は重大な要素(一般に,敵よりも高度が高いほうが有利)だが,地上攻撃はその優位を捨てることにほかならず,制空権があやふやな状況で地上攻撃に打って出るのは無謀といえるのだ。しかし,地上攻撃で敵建造物を破壊できれば制空権確保に大いに利するというわけで,ここには単純だが,やっかいなジレンマが用意されているのだ。

 World of Warplanesはアーケードライクな空戦シューティングゲームとして楽しめるが,その先ではかなり高度な戦術判断が求められることになりそうだ。Kulbych氏によれば,βテストにおいて日々新しい戦術が編み出されているとのことで,クランを編成してチームプレイを楽しみたいプレイヤーにとって非常に深く遊べる作品になっている感じだ。

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 また航空機の種類も充実しており,各国の主力となる戦闘機のバリエーションはもちろん,ジェットエンジン装備の震電(もちろん普通の震電もある)にアメリカの「フライングパンケーキ」といったキワモノまで,マニアの要望にはおおむね応えられるラインナップといえる。今後は英国機もカバーされるので,スピットファイアやモスキートを愛する人々も安心してほしい。
 というわけで,2013年秋の正式リリースが非常に楽しみな仕上がりだ。続報を楽しみにしたい。

驚いたことに,「Stalin's Line Museum」は稼働するIII号突撃砲を保有していた。マジかー!
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