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2019年のスマートフォンでは,4K120fpsのVRコンテンツを楽しめるようになる? モバイルディスプレイ向けの新技術をARMが解説
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印刷2017/12/09 00:00

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2019年のスマートフォンでは,4K120fpsのVRコンテンツを楽しめるようになる? モバイルディスプレイ向けの新技術をARMが解説

 2017年12月8日,Armは,東京・品川で開催した開発者向けイベント「Arm Tech Symposia 2017」に合わせて,報道関係者向けの説明会を行った。
 説明会のテーマは,同社が2017年11月に発表した統合型ディスプレイソリューション「Arm Display Solution」(関連記事)だ。将来のスマートフォンやタブレット端末が採用するSoC(System-on-a-Chip)に組み込まれて,4K解像度で120fpsのVRコンテンツを実現する鍵になる技術であるという。直接ゲーマーが買うものの話ではないが,簡単にレポートしよう。
 説明を担当したのは,英国本社から来日したMachine Learning Group担当ディレクターのSteve Steele氏である。

Steve Steele氏(右,Director of Product Marketing,Machine Learning Group,Arm)
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 さて,今回のテーマであるArmのディスプレイソリューションは,ディスプレイと言っても,液晶ディスプレイやテレビの中に組み込む技術ではない。スマートフォンやタブレット端末向けSoCの中に集積するもので,GPUやCPUが描きだした映像を,液晶パネルや有機ELパネルといったディスプレイデバイスへの出力する部分を担当する技術の話である。
 将来のスマートフォンでは,現在以上にVRコンテンツやHDRコンテンツを利用する機会が増えるだろう。そうしたコンテンツを美しく,かつ快適に表示するためには,GPUだけでなくディスプレイへの出力部分も高性能なものにする必要がある。それを実現するのが,Arm Display Solutionの技術というわけだ。

イベント会場にあった,Arm Display Solutionのデモ機……なのだが,残念ながら筆者が立ち寄ったときは不調で動作できない状態だった(左)。モバイル機器のディスプレイでは,VRやHDR,さまざまな種類のパネル,マルチウインドウ表示などへの対応が求められていると,Steele氏は指摘する(右)
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 Arm Display Solutionは,ディスプレイプロセッサ「Mali-D71」,Armが「システムIP」と呼ぶメモリ管理機構「CoreLink MMU-600」(以下,MMU-600),ディスプレイ表示をリアルタイムで調整する機構「Assertive Display 5」という3種類のIPコアで構成される。
 SoCの内部では,これら3種類をまとめた機能ブロックが,チップ内インターコネクトを介してGPUコアやCPUコアとつながる構造になっている。

架空のSoCをモデルとしたブロック図。Arm Display Solutionは赤い四角のブロックにあり,GPUコアの「Mali-G72」やビデオプロセッサ「Mali-V61」とは,インターコネクト経由で接続されている。HDMIやDisplayPort(※図中ではDP)といった映像出力は,Mali-D71から出ているのが分かるだろう
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 Steele氏はまず,Mali-D71の特徴を説明した。Mali-D71は,4K解像度の映像を最大120fpsで出力可能な高性能なディスプレイプロセッサであるという。同じ製造プロセスで作られた前世代の「Mali-DP650」と比べて,同一の表示面積あたり2倍の処理能力を有し,ピクセルスループットも2倍,さらに,従来と比べて4倍の遅延があっても同一のスループットを実現できるなど,高い性能を誇るそうだ。それでいて,システム全体での消費電力は30%ほど削減することに成功しているとのこと。
 こうした特徴により,高解像度で滑らかな映像によるVRコンテンツの表示が可能になると,Steele氏は主張していた。

Mali-D71の特徴を示したスライド。既存のディスプレイプロセッサよりも,高い性能と低遅延,低消費電力が売りとのこと
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MMU-600は,Mali-D71と組み合わせることで面積を55%縮小,遅延は半減するという
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 MMU-600は,データ管理を担当するユニットで,GPUやディスプレイプロセッサなどとのデータのやり取りを仲立ちする。とくに,著作権保護のかかったコンテンツをセキュアなままやり取りできるのが特徴であるという。
 MMU-600はMali-D71と組み合わせることを前提としたユニットで,Steele氏は「密結合」と称している。そして,両者を組み合わせることで半導体ダイにおける面積を55%縮小することが可能で,性能は3倍以上に向上するとのことだった。

 最後のAssertive Display 5は,スマートフォンの環境光センサーを利用して,端末周囲の光環境を取得したうえで,表示する映像に補正をかけて視認性を向上させる機能ユニットである。とくに重要なのは,「HDR10」および「HLG」(Hybrid Log Gamma)という2種類のHDR形式に対応していること。HDR映像をより鮮やかで自然な色を再現できると,Steele氏はその利点をアピールしていた。

Assertive Display 5の効果を示したスライド。環境光に合わせてHDRコンテンツを適切な見た目になるよう補正をかけたり(上),色調やガンマ補正をかけたりできる(下)
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 Arm Display Solutionを採用した製品が登場するのは2019年とのことなので,エンドユーザーがその効果を体験できるのは,まだしばらく先の話である。ただ,その頃にはスマートフォンで利用できるVRゲームやHDRコンテンツも増えているだろうから,知らないうちに,Arm Display Solutionの恩恵にあずかっていることもありそうだ。

ARM公式Blogにおける当該ポスト(英語)

Arm Tech Symposia 2017 公式Webサイト

  • 関連タイトル:

    Mali,Immortalis

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